アセスメントからPoC・開発へ段階的に進めるAI契約書。経済産業省「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」AI編と民法の準委任構成を前提とする。

以下はAIが作成し弁護士監修前のβ版である。一般的な参考情報として無料公開しており、個別事案への適合性は保証しない。重要な取引に使用する際は専門家によるレビューを受けること。監修完了後に正式版へ差し替える。

⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。

AI開発委託契約書(探索的段階型)

第1部: 書式本文

〇〇〇〇(以下「甲」という。ベンダー)と〇〇〇〇(以下「乙」という。ユーザー)とは、AI技術を用いたシステム(以下「本AIシステム」という。)の開発について、次のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(目的) 本契約は、経済産業省「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」(AI編)の考え方を踏まえ、本AIシステムの開発をアセスメント段階、PoC(概念実証)段階及び開発段階の3段階に分けて進めることを目的とする。

第2条(段階的進行の合意) 1. 甲及び乙は、本契約が探索的段階型(アジャイル型に準ずる進め方)であることを確認し、各段階の終了時に次段階への移行の可否を協議のうえ決定する。 2. 各段階の成果が期待した水準に達しないと合理的に判断される場合、甲及び乙は本契約を次段階に進めることなく終了させることができる。

第3条(法的性質) 甲が行う各段階の業務は、成果物の完成を約するものではなく、民法第656条に定める準委任契約とし、甲は善良な管理者の注意をもって業務を遂行する義務(同法第644条)を負う。

第4条(アセスメント段階) 1. 甲は、乙が保有するデータの性質及び量を評価し、本AIシステムの開発が技術的に実現可能かを検討する。 2. アセスメント段階の対価及び期間は別紙のとおりとする。

第5条(PoC段階) 1. 甲は、乙から提供された学習用データセット(以下「提供データ」という。)を用いて、本AIシステムのプロトタイプ(以下「学習済みモデル(PoC版)」という。)を作成し、期待する精度水準を達成できるかを検証する。 2. PoC段階において得られた学習済みモデル(PoC版)、ノウハウ及びレポートの知的財産権の帰属は別紙のとおりとする。 3. 甲は、PoC段階の結果、期待する精度水準を達成できない可能性があることについて、乙にあらかじめ説明する。

第6条(開発段階への移行) PoC段階の結果を踏まえ、甲及び乙が開発段階への移行に合意した場合、開発段階における対価、納期及び知的財産権の帰属について別途契約(本契約に付随する開発段階契約)を締結する。

第7条(提供データの取扱い) 1. 甲は、提供データを本AIシステムの開発以外の目的に利用してはならない。 2. 提供データに個人情報が含まれる場合、甲は個人情報保護法第18条に定める利用目的の範囲内でのみこれを取り扱い、目的外利用を行わない。 3. 甲は、提供データを、著作権法第30条の4に定める情報解析の用に供する場合を除き、乙の事前の承諾なく複製又は保存してはならない。

第8条(学習済みモデルの性質に関する説明) 甲は、学習済みモデルの精度が学習用データセットの質と量に依存し、開発時点で想定されていなかった入力データに対しては期待した精度が得られない場合があることを、乙に対しあらかじめ説明する。

第9条(責任制限) 甲の責任は、故意又は重過失による場合を除き、乙が甲に支払った当該段階の対価の総額を上限とする。

第10条(秘密保持) 甲及び乙は、本契約の履行の過程で知り得た相手方の営業上の秘密情報を第三者に開示してはならない。

第11条(合意管轄) 本契約に関する紛争については、〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. ベンダー向けの修正

A-1. 精度未達時の責任否定の明確化

修正後:「PoC段階において期待する精度水準を達成できなかった場合であっても、甲は乙に対し損害賠償責任その他の責任を負わない。ただし、甲の善管注意義務違反に起因する場合を除く。」 一言解説: AI開発は結果を保証できない性質を有するため、精度未達それ自体を債務不履行としないことを明確化する修正である。

A-2. 学習用ノウハウの甲への帰属明記

修正後:「本AIシステムの開発過程で得られた汎用的な学習アルゴリズム及びパラメータチューニングのノウハウは、乙の提供データに由来する部分を除き、甲に帰属する。」 一言解説: 特定案件で培った汎用的な技術ノウハウを他の案件にも活用できるようにする、ベンダー側の典型的な修正である。

B. ユーザー向けの修正

B-1. 提供データの目的外利用禁止の徹底

修正後:「甲は、本契約が中途で終了した場合、乙の提供データを速やかに廃棄し、廃棄した旨を証する報告書を乙に提出する。」 一言解説: 開発が途中で終了した場合でも、提供したデータが甲の手元に残り続けることを防ぐユーザー側の修正である。

B-2. 精度検証結果の詳細開示義務

追加条文例:「甲は、PoC段階の終了時に、精度検証に用いた評価指標、テストデータの構成及び検証結果の詳細を記載した報告書を乙に提出する。」 一言解説: 開発段階への移行判断を適切に行うため、単なる「精度〇%」という結果だけでなく、検証プロセスの透明性を求めるユーザー側の修正である。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

使う場面/使ってはいけない場面 本書式は、AIを用いたシステムの開発において、開発当初の時点では最終的な精度や実現可能性が不確実であるため、アセスメント、PoC、開発という段階を踏んで進める探索的な開発形態に用いる。他方、すでに確立された仕様に基づき、確実に完成させることを約する通常のシステム開発の場合には、請負契約を基本とした通常の開発委託契約書を用いるべきであり、本書式のような準委任構成は適さない。

根拠法令 本契約は、経済産業省が公表する「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」(AI編)の考え方を反映したものである。同ガイドラインは、AI技術を用いたソフトウェア開発が、開発対象の性質上、開発当初に成果を確定的に予測することが困難であるという特性(不確実性)を踏まえ、アセスメント段階・PoC段階・開発段階に分けて段階的に契約を締結する進め方を提唱している。各段階における甲の義務は、仕事の完成を約する請負(民法第632条)ではなく、善良な管理者の注意をもって事務処理を行う準委任(同法第656条、第644条)として構成するのが同ガイドラインの基本的な考え方である。また、学習用データの取扱いについては、著作権法第30条の4が、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用(情報解析目的の利用等)について、必要と認められる限度で著作権者の許諾なく利用できる旨を定めているが、これはあくまで著作権法上の権利制限規定であり、提供データに含まれる個人情報の取扱いについては別途、個人情報保護法第18条(利用目的による制限)を遵守する必要がある。

実務でよくある失敗と対策 第一に、開発委託契約を通常の請負契約として締結してしまい、期待する精度が得られなかった場合に債務不履行として扱われ、ベンダーが不相当な責任を負わされる失敗がある。第3条のように準委任契約として構成し、A-1のように精度未達それ自体が債務不履行とならない旨を明記することが対策となる。第二に、PoC段階で提供したデータが、当初の目的を超えて他の案件や別のモデルの学習に流用される失敗がある。第7条第1項及びB-1のように、目的外利用の禁止と契約終了時のデータ廃棄義務を明記することが対策となる。第三に、開発段階への移行判断の材料となる精度検証結果が「合格」「不合格」といった簡略な報告にとどまり、ユーザーが妥当性を検証できない失敗がある。B-2のような詳細開示義務が対策となる。

AI開発における知的財産権の帰属や責任分担は、経済産業省のガイドラインにおいても複数の選択肢が提示されており、個別事案は専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] アセスメント・PoC・開発の各段階の対価及び期間を別紙で定めたか
  • [ ] 各段階が準委任契約(善管注意義務)として構成されているか確認したか
  • [ ] 精度未達時にベンダーが債務不履行責任を負わない旨を明記したか
  • [ ] 提供データの目的外利用禁止及び個人情報保護法上の利用目的制限を確認したか
  • [ ] 著作権法第30条の4に基づく情報解析目的の利用の範囲を確認したか
  • [ ] PoC段階終了時の精度検証結果の開示範囲を定めたか
  • [ ] 学習済みモデル・ノウハウの知的財産権の帰属を段階ごとに定めたか
  • [ ] 開発段階への移行判断の基準及び手続を定めたか
  • [ ] 契約終了時の提供データの廃棄義務を定めたか
  • [ ] 責任制限条項の上限額を確認したか