50人以上の事業場を持つ企業向け。衛生委員会や産業医、安全衛生教育の体制を定め、労働安全衛生法第18条・第13条の選任義務に基づき整備します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
安全衛生管理規程
第1部: 書式本文
第1条(目的) 本規程は、【株式会社〇〇】(以下「会社」という。)における労働安全衛生管理体制を定め、労働安全衛生法(以下「安衛法」という。)その他関係法令に基づき、従業員の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。
第2条(適用範囲) 本規程は、会社が使用する全ての事業場に適用する。ただし、常時使用する労働者数が【50】人未満の事業場については、第3条から第8条までの規定を適用しない。
第3条(総括安全衛生管理者) 1. 会社は、安衛法第10条に基づき、常時【100】人以上の労働者を使用する事業場において、総括安全衛生管理者を選任する。 2. 総括安全衛生管理者は、安全管理者及び衛生管理者を指揮するとともに、労働災害の防止に関する業務を統括管理する。
第4条(安全管理者) 会社は、安衛法第11条及び労働安全衛生規則(以下「安衛則」という。)第4条に基づき、常時50人以上の労働者を使用する事業場のうち、政令で定める業種に該当するものについて、安全管理者を選任する。
第5条(衛生管理者) 1. 会社は、安衛法第12条に基づき、常時50人以上の労働者を使用する各事業場において、衛生管理者を選任する。 2. 衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに必要な措置を講じる。
第6条(産業医) 1. 会社は、安衛法第13条に基づき、常時50人以上の労働者を使用する事業場において、産業医を選任する。 2. 産業医は、少なくとも毎月1回(会社から所定の情報の提供を受けている場合であって事業者の同意を得ているときは2か月に1回)作業場等を巡視する。 3. 産業医は、従業員の健康管理等について会社に対し必要な勧告をすることができる。会社は、当該勧告を尊重しなければならない。
第7条(衛生委員会) 1. 会社は、安衛法第18条に基づき、常時50人以上の労働者を使用する事業場において、衛生委員会を設置する。 2. 衛生委員会は、衛生に関する規程の作成、危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置、健康診断の実施その他労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項を調査審議する。 3. 衛生委員会は、毎月1回以上開催し、議事の概要を従業員に周知する。
第8条(安全委員会) 会社は、安衛法第17条に基づき、政令で定める業種及び規模の事業場において安全委員会を設置し、前条第2項及び第3項の規定を準用する。安全委員会と衛生委員会は、安衛法第19条に基づき、安全衛生委員会として統合して設置することができる。
第9条(安全衛生教育) 1. 会社は、安衛法第59条第1項に基づき、従業員を雇い入れたときは、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行う。 2. 会社は、安衛法第59条第2項に基づき、従業員の作業内容を変更したときも、前項に準じた教育を行う。 3. 会社は、安衛法第59条第3項に基づき、政令で定める危険又は有害な業務に従事させる従業員に対し、特別の教育を行う。
第10条(職長教育) 会社は、安衛法第60条に基づき、新たに職務に就くこととなった職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者に対し、安全又は衛生のための教育を行う。
第11条(作業環境測定) 会社は、安衛法第65条に基づき、有害な業務を行う屋内作業場その他政令で定める作業場について、必要な作業環境測定を行い、その結果を記録する。
第12条(危険性又は有害性等の調査) 会社は、安衛法第28条の2に基づき、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による危険性又は有害性等を調査し、その結果に基づき必要な措置を講じるよう努める。
第13条(記録の管理) 会社は、本規程に基づき実施した安全衛生教育、作業環境測定その他の記録を適切に保存し、関係法令に定める保存期間を遵守する。
第14条(改廃) 本規程の改廃は、就業規則の変更手続に準じて行う。
第15条(附則) 本規程は【西暦年】年【 】月【 】日から施行する。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 製造業向け(有害物質・機械設備を扱う事業場)
A-1 第11条の修正例 「会社は、安衛法第65条並びに有機溶剤中毒予防規則及び粉じん障害防止規則等の特別規則に基づき、有機溶剤、特定化学物質、粉じん等を取り扱う作業場について、6か月以内ごとに1回、定期に作業環境測定を実施し、測定結果に基づく作業環境の評価を行う。」 一言解説: 製造業では特別規則ごとに測定対象・頻度が異なるため、条文上も該当する特別規則を具体的に列挙し、抜け漏れを防ぐ必要がある。
A-2 第9条の修正例 「会社は、安衛法第59条第3項及び安衛則第36条に基づき、プレス機械、フォークリフト、研削といしその他政令で定める業務に従事させる従業員に対し、当該業務に応じた特別教育を実施し、実施記録を【3】年間保存する。」 一言解説: 製造現場では特別教育の対象業務が多岐にわたるため、対象業務を具体的に列挙し、記録保存期間まで明記することで監督署の調査にも対応しやすくなる。
B節: オフィス向け(事務作業中心の事業場)
B-1 第2条の修正例 「本規程のうち、第4条(安全管理者)及び第11条(作業環境測定)は、事務作業を主たる業務とする事業場には適用せず、当該事業場については衛生管理者及び産業医による職場巡視を中心とした運用とする。」 一言解説: オフィス中心の事業場では製造現場向けの規定が形骸化しやすいため、適用除外を明確にし、実態に即した規定のみを機能させる方が運用しやすい。
B-2 第7条の修正例 「衛生委員会の調査審議事項には、長時間労働による健康障害の防止及びメンタルヘルス対策に関する事項を含めるものとし、必要に応じてストレスチェック実施規程に定める実施状況を報告事項とする。」 一言解説: オフィスワーカー中心の事業場では化学物質等よりもメンタルヘルスや長時間労働対策が主要な論点となるため、衛生委員会の審議事項として明記しておくとよい。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
本規程を導入すべき場面は、常時使用する労働者数が50人以上となり、安衛法上の産業医・衛生管理者・衛生委員会の選任義務が発生する事業場、又は労働災害のリスクが相対的に高い製造業、建設業等の業種で自主的な安全衛生管理体制を整備したい企業である。逆に、労働者数が数名程度で安衛法上の選任義務が生じておらず、かつ業務内容に重大な労働災害リスクが想定されない小規模なオフィスでは、詳細な管理体制を定める本規程よりも、簡易な安全衛生に関する心得や就業規則の一条項で足りる場合がある。
根拠法令は安衛法に集中する。総括安全衛生管理者は第10条、安全管理者は第11条、衛生管理者は第12条、産業医は第13条によりそれぞれ選任義務が定められ、選任すべき事業場の規模・業種は労働安全衛生法施行令及び安衛則で具体化されている。衛生委員会・安全委員会は第18条・第17条に、両者を統合した安全衛生委員会は第19条に規定がある。第59条は雇入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育を、第60条は職長教育を、第65条は作業環境測定をそれぞれ義務付けており、これらは労働災害防止の実務上の柱となる規定である。第28条の2に定めるリスクアセスメント(危険性又は有害性等の調査)は努力義務ではあるが、化学物質を扱う事業場では今後の法改正動向も踏まえ体制整備が望ましい。
実務でよくある失敗の一つ目は、労働者数が50人を超えたにもかかわらず、衛生管理者や産業医の選任、衛生委員会の設置が遅れることである。本規程第2条のように事業場ごとの適用基準を明記し、人員増加時に選任義務の発生を人事部門が把握できる仕組みとしておくことが有効である。
二つ目の失敗は、衛生委員会を形式的に設置したのみで、実際には開催されない、又は議事概要が従業員に周知されないことである。第7条第3項のように毎月の開催頻度と周知方法を明記し、実質的な運用を担保する必要がある。
三つ目の失敗は、特別教育や職長教育の実施記録を保存しておらず、労働災害発生時に安衛法上の教育義務の履行を証明できないことである。製造業向けのA-2のように、対象業務と記録保存期間を具体的に定めておくことが重要である。
事業場の業種・規模に応じた選任義務の要否や作業環境測定の対象範囲については、労働基準監督署への確認も含め、個別事案は専門家に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 事業場ごとの労働者数を把握し、総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者の選任義務の有無を確認したか
- [ ] 産業医の選任及び月1回(要件充足時は2か月に1回)の職場巡視を定めたか
- [ ] 衛生委員会・安全委員会(又は安全衛生委員会)の設置と月1回以上の開催を定めたか
- [ ] 雇入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育(安衛法第59条)を定めたか
- [ ] 特別教育の対象業務と実施記録の保存期間を明記したか
- [ ] 職長教育(安衛法第60条)の対象者と実施方法を定めたか
- [ ] 有害業務を行う事業場における作業環境測定(安衛法第65条)の実施頻度を定めたか
- [ ] リスクアセスメント(安衛法第28条の2)の実施体制を定めたか
- [ ] 製造業・オフィス等、業態に応じた適用範囲の調整を行ったか
- [ ] 記録の保存期間及び管理方法を明記したか