登録制でAPIを外部開放する際の規約。民法第548条の2の定型約款としての組入れ要件を満たし、レート制限・禁止行為・提供終了の予告手続を定める。

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API利用規約

第1部: 書式本文

第1条(適用) 本規約は、〇〇〇〇(以下「当社」という。)が提供するAPI(以下「本API」という。)の利用条件を定めるものであり、本APIを利用する開発者(以下「利用者」という。)と当社との間の権利義務関係に適用される。

第2条(定義) 本規約において、「APIキー」とは本APIへのアクセスに必要な認証情報を、「アプリケーション」とは利用者が本APIを組み込んで開発するソフトウェア又はサービスを、「レスポンスデータ」とは本APIの呼出しに応じて返却されるデータをいう。

第3条(定型約款としてのみなし合意) 本規約は民法第548条の2第1項に定める定型約款に該当する。利用者は、APIキーの発行申請及びこれに続く本APIの利用開始をもって、本規約の個別の条項の内容を認識しているか否かにかかわらず、本規約の内容に合意したものとみなされる。

第4条(APIキーの発行及び管理) 1. 当社は、利用者からの申請に基づき、審査のうえAPIキーを発行する。 2. 利用者は、APIキーを自己の責任において厳重に管理し、第三者に開示、貸与又は共有してはならない。 3. APIキーの管理不十分に起因して生じた損害について、当社は責任を負わない。

第5条(利用登録の審査及び拒否) 当社は、申請内容に虚偽があると判断した場合、過去に本規約に違反したことがある場合その他当社が本APIの提供に支障があると合理的に判断する場合、利用登録を拒否することができる。

第6条(レート制限) 1. 利用者は、当社が別途定める呼出し回数、同時接続数その他の制限(以下「レート制限」という。)を遵守しなければならない。 2. レート制限を超過した呼出しについて、当社はレスポンスを制限し、又は一時的にAPIキーを停止することができる。 3. 当社は、システムの安定運用上必要な場合、事前の通知をもってレート制限の内容を変更することができる。

第7条(禁止行為) 利用者は、本APIの利用にあたり、次の各号の行為をしてはならない。 一 レスポンスデータを本規約及び別途定める利用条件の範囲を超えて複製、再配布又は販売する行為 二 不正アクセス禁止法その他の法令に違反する方法により本APIにアクセスする行為 三 レート制限を回避する目的で複数のAPIキーを不正に取得する行為 四 本APIのリバースエンジニアリング、逆コンパイル又は逆アセンブルを行う行為 五 当社又は第三者の知的財産権、プライバシー権その他の権利を侵害する行為 六 本APIを通じて取得した個人情報を、個人情報保護法その他の法令に違反して取り扱う行為

第8条(知的財産権) 本API及びこれに関するドキュメント、ソフトウェアその他一切の知的財産権は、当社又は当社にライセンスを許諾する第三者に帰属する。本規約は、本APIの利用に必要な範囲での利用許諾を付与するものであり、知的財産権の譲渡を意味しない。

第9条(提供内容の変更) 当社は、本APIの仕様、エンドポイント又はレスポンス形式を、事前の合理的な予告期間(原則として30日以上)を設けたうえで変更することができる。ただし、緊急のセキュリティ対応その他やむを得ない場合は、この限りでない。

第10条(提供の停止及び終了) 1. 当社は、システムの保守点検、天災地変その他やむを得ない事由がある場合、本APIの全部又は一部の提供を一時的に停止することができる。 2. 当社は、本APIの提供を終了しようとするときは、原則として終了予定日の90日前までに利用者に通知する。 3. 利用者が本規約に違反した場合、当社は事前の通知なくAPIキーを停止し、又は利用登録を取り消すことができる。

第11条(免責事項) 当社は、本APIが特定の目的に適合すること、期待する機能・正確性を有すること及び継続的に利用できることについて、明示又は黙示を問わず保証しない。当社は、本APIの利用又は利用不能により利用者に生じた損害について、当社の故意又は重過失による場合を除き、責任を負わない。

第12条(有償プランへの移行) 当社は、利用量が別途定める無償枠を超過した場合、有償プランへの移行を求めることができるものとし、その料金体系は当社ウェブサイトに掲示する。

第13条(規約の変更) 当社は、民法第548条の4の規定に従い、本規約を変更することができる。変更後の規約は、当社が別途定める周知期間の経過後に効力を生じる。

第14条(準拠法及び管轄) 本規約の準拠法は日本法とし、本規約に関する紛争については、〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. API提供者向けの修正

A-1. レート制限違反への段階的措置の明確化

修正後:「レート制限を超過した場合、当社は初回は警告のうえ一時的な速度制限を課し、24時間以内に3回以上違反した場合はAPIキーを停止することができる。」 一言解説: 提供者側の裁量に委ねられがちな運用を明文化し、利用者からの異議申立てリスクを下げる修正である。

A-2. 商用利用の別途許諾制への変更

追加条文例:「利用者が本APIを組み込んだアプリケーションを第三者に有償提供する場合、事前に当社の書面による商用利用許諾を得なければならない。」 一言解説: 無償APIが想定外の大規模商用利用に転用されることを防ぐため、収益化の可否を提供者の管理下に置く修正である。

B. 開発者向けの修正

B-1. 提供終了時の移行猶予期間の延長

修正後:「当社は、本APIの提供を終了しようとするときは、終了予定日の180日前までに利用者に通知し、代替APIへの移行を支援するための技術情報を提供する。」 一言解説: 開発者にとってAPI終了はアプリケーション改修を要する重大な事態であるため、猶予期間の延長と移行支援を求める修正である。

B-2. 仕様変更時の後方互換性維持の努力義務追加

追加条文例:「当社は、本APIの破壊的変更を行う場合、旧バージョンを一定期間(原則6か月間)並行稼働させるよう努める。」 一言解説: 急な仕様変更によるアプリケーションの動作不良を防ぐため、移行期間の確保を求める開発者側の修正である。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

使う場面/使ってはいけない場面 本書式は、不特定多数の開発者に対し登録制でAPIを外部公開し、ウェブサイト上の掲示への同意によって利用条件を設定する場面で用いる。他方、特定の取引先と基幹システムを連携させ、可用性保証(SLA)や責任分担を個別交渉する場面には適さず、個別のAPI利用契約書を締結すべきである。

根拠法令 本書式は民法第548条の2に定める定型約款の規定を前提とする。定型約款は、①ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、②その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なもの(定型取引)において、契約の内容とすることを目的として準備された条項の総体をいう。同条第1項は、定型取引を行うことの合意をした者は、個別の条項の内容を認識していなくても、原則として合意をしたものとみなす旨を定める。ただし、同条第2項により、相手方の利益を一方的に害する条項は合意をしなかったものとみなされる点に留意が必要である。また規約の変更については同法第548条の4が、変更が相手方の一般の利益に適合する場合又は変更が合理的なものである場合に、個別の同意なく変更できる要件を定めている。禁止行為の定めに関連して不正アクセス禁止法第3条、レスポンスデータに個人情報が含まれる場合は個人情報保護法の適用にも留意する。

実務でよくある失敗と対策 第一に、規約の変更を行う際、民法第548条の4が要求する周知手続(効力発生時期の到来までにインターネット等で周知すること)を怠り、変更の効力について争いが生じる失敗がある。第13条のように周知期間を明記し、実際の運用でも変更内容を事前に告知する体制を整えることが対策となる。第二に、無償提供を前提としたAPIが想定外の大規模利用にさらされ、インフラコストが利用者数に比例して増大する失敗がある。第6条のレート制限及びA-2のような商用利用の別途許諾制を組み合わせることで対策できる。第三に、提供終了時の周知が不十分で、利用者のアプリケーションが突然停止し、損害賠償請求に発展する失敗がある。第10条及びB-1のように、十分な予告期間と移行支援の枠組みをあらかじめ規約に盛り込んでおくことが望ましい。

APIの安定運用義務の程度や免責範囲の妥当性は提供するサービスの性質により異なるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 定型約款としてのみなし合意の要件(表示・周知)を満たしているか確認したか
  • [ ] APIキーの発行審査基準を明確にしたか
  • [ ] レート制限の具体的な数値及び超過時の措置を定めたか
  • [ ] 禁止行為の各号が自社のAPIの性質に照らして網羅的か確認したか
  • [ ] レスポンスデータに個人情報が含まれる場合の取扱いを個人情報保護法に照らして確認したか
  • [ ] 仕様変更の予告期間が実務上履行可能な期間になっているか確認したか
  • [ ] 提供終了時の通知期間及び移行支援の内容を定めたか
  • [ ] 規約変更時の周知方法(民法第548条の4)を運用フローに落とし込んだか
  • [ ] 有償プランへの移行条件と料金体系の掲示場所を明確にしたか
  • [ ] 準拠法及び合意管轄裁判所を記載したか