制服や工具、鍵など会社備品を貸与する際の受領書です。貸与品目、状態、返却義務、紛失・破損時の負担を明記します。ひな型をもとに数分で自社仕様に調整できます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
備品貸与書兼受領書
第1部: 書式本文
【会社名】【 】部門 殿
備品貸与書兼受領書
下記のとおり、会社備品の貸与を受けたことを確認します。
1. 貸与日 令和【 】年【 】月【 】日
2. 貸与を受ける従業員 所属【 】 氏名【 】 社員番号【 】
3. 貸与品目一覧 | No. | 品目 | 型番・仕様 | 数量 | 貸与時の状態(新品・中古・使用感の程度) | 管理番号 | |---|---|---|---|---|---| | 1 | 【例:制服(上下)】 | 【 】 | 【 】 | 【 】 | 【 】 | | 2 | 【例:工具セット】 | 【 】 | 【 】 | 【 】 | 【 】 | | 3 | 【例:社屋出入用の鍵】 | 【 】 | 【 】 | 【 】 | 【 】 | | 4 | 【 】 | 【 】 | 【 】 | 【 】 | 【 】 |
4. 貸与目的 【業務上の必要性を記載する。例:接客業務における制服着用義務、現場作業における工具の使用等】
5. 貸与形態 無償貸与(会社が所有権を保持し、無償で使用収益させる)とする【 】(有償で費用の一部を従業員が負担する場合はその金額及び精算方法を別途明記する)
6. 返却義務及び返却期限 貸与を受けた従業員は、次のいずれかの事由が生じたときは、遅滞なく貸与品を会社に返却する。 (1) 退職、休職その他の雇用契約関係の終了・中断 (2) 配置転換等により貸与品の使用の必要性が消滅したとき (3) 会社が返却を求めたとき (4) 貸与品ごとに定める使用期限(耐用年数等)が経過したとき
7. 使用上の遵守事項 □ 貸与品を貸与目的の範囲内でのみ使用し、私的な目的に使用しない。 □ 善良な管理者の注意をもって貸与品を保管し、清潔な状態を維持する。 □ 会社の承諾なく貸与品を第三者に譲渡、貸与、改造しない。 □ 破損、故障、紛失が生じた場合、直ちに所属長及び管理部門へ報告する。 □ 定期棚卸し(年【1】回)の際、貸与品を提示し状態確認に協力する。
8. 紛失・破損時の負担 貸与を受けた従業員に故意又は重大な過失が認められる場合、会社は当該従業員に対し、貸与品の再調達費用又は修理費用のうち合理的な範囲を負担させることがある。通常の業務使用による自然損耗・経年劣化については、この限りでない。
9. 貸与を受ける従業員の確認署名 上記貸与品目及び状態、並びに第6項から第8項までの内容を確認しました。 氏名【 】 印【 】 日付【 】
10. 会社側交付確認 交付者(所属長又は管理部門担当者)【 】 印【 】 交付日【 】
11. 返却確認欄(返却時に記入) 返却日【 】、返却品目・数量(貸与時との一致確認)【 】、返却時の状態【良好・要修理・紛失あり】、返却受領者【 】 印【 】、精算の要否【要・不要】、精算金額【 】円
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 会社(貸与元)側の場面に応じた書き換え
A-1 高額な備品(工具・測定機器等)を貸与する場合 「第3項の貸与品目のうち取得価額が【5】万円以上の備品については、貸与時に写真を撮影し本書式に添付するとともに、返却時にも同様に撮影し、状態変化の有無を客観的に比較できるようにする。」 一言解説: 高額備品は状態をめぐる認識の相違が生じやすいため、貸与時・返却時双方の写真記録を残すことで、破損の有無や程度に関する紛争を予防できる。
A-2 制服等、複数従業員に定期的に貸与する備品を管理する場合 「制服等、季節や体型に応じて交換が生じる備品については、交換の都度、旧品の返却と新品の貸与を1枚の本書式で連続的に記録し、貸与品目一覧の管理番号欄で履歴を追跡できるようにする。」 一言解説: 交換頻度の高い備品は個別に書式を作り直すと管理が煩雑になるため、履歴を1枚の書式又は管理台帳で追跡できる形式に書き換える。
A-3 複数拠点にまたがる備品貸与を一括管理したい場合 「本書式は各拠点の管理部門が作成・保管するものとし、本社管理部門は拠点ごとの貸与状況を四半期に1回集計し、貸与品目一覧に記載のない備品の使用が発覚した場合の報告経路をあわせて定める。」 一言解説: 拠点が分散していると備品管理が属人化しやすいため、本社での定期的な集計と、未登録備品発覚時の報告経路を明確にしておくことが望ましい。
B節: 貸与を受ける従業員側の場面に応じた書き換え
B-1 在宅勤務のためにパソコン周辺機器等を貸与される場合 「貸与場所を会社所在地に限定せず、第2項の所属欄に加えて主たる使用場所(自宅住所等)を記載する欄を設け、第7項の遵守事項に、貸与品を自宅以外の場所へ持ち出す際の事前届出義務を追加する。」 一言解説: 在宅勤務では貸与品の使用場所が事業所外に及ぶため、使用場所の把握と持ち出しルールを明確にしておくことで紛失時の経緯確認が容易になる。
B-2 貸与品の一部について私費で購入した付属品を組み合わせて使用する場合 「貸与品目一覧の備考欄に、従業員が自己負担で用意した付属品(私物)を明記し、返却時に会社備品と私物とを区別できるようにする。」 一言解説: 会社備品と私物が混在すると返却時の区別が困難になるため、貸与時点で私物を明記しておくことで、返却漏れや誤徴収を防ぐ。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面・使ってはいけない場面の解説 本書式は、制服、工具、鍵、パソコン周辺機器等、会社が所有する備品を従業員に無償又は低廉な負担で使用させる場面において、貸与の事実と貸与時の状態を記録し、後日の返却時に照合するために使用する。会社備品全般の保管・管理ルールそのものを組織的に定める場面では、本書式ではなく備品管理規程を整備すべきであり、本書式はあくまで個々の貸与・受領の事実を証拠化するための書面である。また、実質的に従業員に譲渡する(返却を予定しない)場合は、本書式ではなく譲渡に関する別の書面を用いるべきである。
根拠法令の解説 会社が無償で備品を従業員に使用させ、使用後に返還させる関係は、民法第593条に定める使用貸借契約の性質を有すると整理できる。使用貸借の借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、目的物を使用収益する義務を負い、契約が終了したときは目的物を返還しなければならない。また、借主は特定物の引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存する義務を負うものとされ(民法第400条)、本書式第7項の保管義務はこれを踏まえた規定である。従業員が善管注意義務に違反し、又は貸与目的外の使用等の債務不履行によって貸与品を破損・紛失させた場合、会社は民法第415条に基づき、当該債務不履行によって生じた損害の賠償を請求し得る。もっとも、通常の業務使用に伴う自然損耗や経年劣化は債務不履行に当たらないため、負担を求める範囲を合理的なものに限定する必要がある。
実務でよくある失敗と対策の解説 第一によくある失敗は、貸与時の備品の状態を記録せず、返却時に生じた傷や汚れが貸与前から存在していたのか、貸与期間中に生じたのかを判別できなくなることである。第2部A-1のように、高額備品については写真記録を貸与時・返却時双方で残すことが対策となる。第二によくある失敗は、退職時の貸与品回収が徹底されず、退職後も備品が返却されない状態が続くことである。本書式第6項のように、退職その他の雇用契約終了時を明確な返却事由として定め、退職手続の一環として貸与品の返却状況を確認するフローと連動させることが有効である。第三によくある失敗は、紛失・破損時の費用負担について明確な基準がないまま、会社が一方的に高額な弁償を求め、労務トラブルに発展することである。本書式第8項のように、故意又は重大な過失がある場合に限定し、通常の自然損耗を除外する基準を明示しておくことが望ましい。実際の負担額の算定や、労働基準法上の損害賠償額の予定禁止(同法第16条)との関係を踏まえた具体的な請求の可否については、個別事案は専門家(弁護士等)に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 貸与を受ける従業員の所属・氏名・社員番号を記載しているか
- [ ] 貸与品目一覧に品目・型番・数量・貸与時の状態・管理番号を記載しているか
- [ ] 高額備品については貸与時の写真等、状態を客観的に確認できる資料を残しているか
- [ ] 貸与目的を具体的に記載しているか
- [ ] 無償貸与か有償貸与かを明確にし、有償の場合は精算方法を定めているか
- [ ] 返却事由(退職、配置転換、会社からの請求、使用期限経過等)を明記しているか
- [ ] 私的利用の禁止及び第三者への譲渡・貸与・改造の禁止を確認させているか
- [ ] 破損・故障・紛失時の報告義務を明記しているか
- [ ] 紛失・破損時の費用負担の範囲を故意・重過失がある場合に限定しているか
- [ ] 定期棚卸しの頻度及び方法を定めているか
- [ ] 貸与を受ける従業員の署名・押印欄及び会社側交付者の確認欄を設けているか
- [ ] 返却時の品目・数量・状態の照合欄及び精算欄を設けているか