店舗や事務所の防犯カメラ映像を記録し利用することへ同意を得る書式。個人情報保護法における顔画像の取扱いとプライバシー配慮を踏まえ、保存期間と開示範囲を定めます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
防犯カメラ映像の利用に関する同意書
第1部: 書式本文
【店舗・施設運営者名】(以下「甲」という)は、【対象店舗・施設名】における防犯カメラの設置及び映像の取扱いについて、次のとおり定め、来店者・利用者(以下「乙」という)の理解を求める。
第1条(目的) 本書は、甲が対象店舗・施設に設置する防犯カメラにより取得する映像(以下「本映像」という)の記録及び利用に関する事項を定め、乙の理解と協力を求めることを目的とする。
第2条(設置目的) 防犯カメラの設置目的は、次のとおりとする。 一 犯罪の防止及び事故発生時の状況確認 二 施設内の安全管理 三 【その他の目的】
第3条(設置場所) 防犯カメラは【設置場所(入口・レジ周辺・駐車場等)】に設置し、その旨を店舗内又は施設内の見やすい場所に掲示する。
第4条(撮影範囲) 撮影範囲は、防犯上必要な範囲に限定し、更衣室、トイレその他プライバシーへの配慮が特に必要な場所には設置しない。
第5条(保存期間) 本映像の保存期間は取得日から【期間】とし、期間経過後は自動的に上書き又は消去する。
第6条(閲覧・利用権限) 本映像を閲覧できる者は、甲があらかじめ指定した担当者に限り、業務上必要な範囲でのみ閲覧する。
第7条(第三者提供) 甲は、法令に基づく場合(捜査機関からの照会等)又は乙本人の同意がある場合を除き、本映像を第三者に提供しない。
第8条(開示請求への対応) 本映像に自己が映っていると考える者から開示の請求があった場合、甲は、他の利用者のプライバシーに配慮しつつ、合理的な範囲で対応を検討する。
第9条(苦情対応窓口) 本映像の取扱いに関する苦情又は問合せの窓口は【窓口名称・連絡先】とする。
以上
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 店舗運営責任者の立場から
店舗運営責任者としては、万引き等の犯罪行為が疑われる場合に本映像を警察に提供する手続について、社内での判断者を明確にしておくことが望ましい。
修正例:「甲は、盗難等の犯罪行為が疑われる事案が発生した場合、店長又はこれに代わる者の判断により、警察からの捜査関係事項照会又は任意提出の求めに応じて本映像を提供することができる。」
一言解説:緊急性の高い場面で映像提供の判断者が定まっていないと対応が遅れるため、あらかじめ社内の判断権限者を明確にしておくことが実務上重要である。
B. 総務・施設管理担当の立場から
総務・施設管理担当としては、複数の防犯カメラを設置する大規模施設において、カメラごとの設置目的と撮影範囲を一覧管理する運用を定めることが望ましい。
修正例:「甲は、設置する防犯カメラごとに、設置場所、撮影範囲及び設置目的を記載した管理台帳を作成し、定期的に見直しを行う。」
一言解説:カメラの台数が多い施設では設置目的が形骸化しやすく、目的外の監視に利用されているとの疑義を招きやすいため、台帳による管理が望ましい。
C. 個人情報保護管理者の立場から
個人情報保護管理者としては、本映像から特定の個人を検索・識別する機能(顔認証等)を利用する場合、通常の防犯カメラの掲示のみでは足りず、追加の説明を行う旨を明記することが必要である。
修正例:「甲が防犯カメラに顔認証機能を用いて特定の個人を識別する場合、甲は当該機能の利用目的及び利用範囲について、通常の防犯カメラの掲示とは別に追加の掲示又は説明を行う。」
一言解説:顔識別機能付きのカメラは通常の防犯カメラよりも本人への影響が大きいとされ、より踏み込んだ説明が求められる場合があるため、単純録画型のカメラと区別して整理することが望ましい。
個人情報保護管理者としてはさらに、来店者からの開示請求に対応する際の本人確認手続についても、あらかじめ具体的に定めておくことが望ましい。
修正例:「甲は、開示請求を行う者に対し、当該請求者が映像に映る本人であることを確認できる資料の提示を求めた上で対応を検討する。」
一言解説:本人確認を行わずに映像を開示すると、映像に映り込んだ第三者のプライバシーを侵害するおそれがあるため、開示請求時の本人確認手続をあらかじめ整備しておく必要がある。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、店舗や事務所、マンション共用部等に防犯カメラを設置する事業者が、来店者や利用者に対し映像の記録及び利用方針を明示し、理解を求める場面で使用する。私人の住居内など専ら私的な領域での監視を目的とする場合や、従業員の勤務状況を監視する目的で設置する場合には、労働関係の観点からの追加の説明義務が生じるため、本書式のみでは足りないことがある。
根拠法令としては、防犯カメラで撮影された映像のうち、特定の個人を識別できるものは、個人情報保護法上の個人情報に該当すると解されている。同法第17条の利用目的の特定及び第18条の目的外利用の制限、第21条の取得時の利用目的の通知・公表に関する規律が適用される。もっとも、防犯目的の映像取得は、取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合として、個別の通知を要しないと整理されることが多く、実務上はカメラ作動中である旨の掲示をもって公表に代える運用が一般的である。個人情報保護委員会が公表する各種ガイドライン等でも、防犯カメラの映像の取扱いに関する考え方が示されており、撮影目的の特定、撮影範囲の限定、保存期間の設定、開示請求への対応等が留意点として挙げられている。また、撮影された者のプライバシーへの配慮として、更衣室等特に私的領域性の高い場所への設置は慎重な検討を要する。
実務でよくある失敗として、第一に、防犯目的で設置したカメラの映像を、後日、従業員の勤怠管理や業務評価の資料として利用し、目的外利用として問題になるケースがある。設置目的をあらかじめ具体的に定め、目的外利用を行わない旨を明記することが対策となる。第二に、保存期間を定めずに映像を長期間保存し続け、必要以上に個人情報を保有している状態となるケースがあり、保存期間及び自動消去の仕組みを明記することが望ましい。第三に、来店者から映像の開示を求められた際、対応方針が定まっておらず、他の利用者のプライバシーへの配慮なく安易に開示してしまう、又は逆に一切対応しないケースがあり、開示請求への対応方針をあらかじめ整理しておくことが対策となる。
第四に、開示請求者の本人確認を行わずに映像を開示してしまい、請求者本人ではない第三者に他の来店者の映像が渡ってしまうケースがあり、開示請求時の本人確認手続を整備することが対策となる。
防犯カメラ映像の取扱いに関する具体的な運用は施設の性質や設置目的により異なるため、実際の運用にあたっては弁護士等の専門家に個別に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 防犯カメラの設置目的を具体的に明記したか
- [ ] 設置場所及び撮影範囲を特定したか
- [ ] 更衣室・トイレ等への設置を避けているか
- [ ] カメラ作動中である旨の掲示を行っているか
- [ ] 保存期間及び自動消去の仕組みを定めたか
- [ ] 映像を閲覧できる担当者を限定したか
- [ ] 第三者提供(捜査機関への提供等)の要件を明記したか
- [ ] 開示請求への対応方針を定めたか
- [ ] 苦情対応窓口を明記したか
- [ ] 顔認証等の識別機能を用いる場合の追加説明を検討したか
- [ ] 開示請求時の本人確認手続を定めたか
- [ ] 従業員の勤怠管理等への目的外利用を禁止したか