文書の保存年限を統一したい企業向け。作成から保存・廃棄までの手順を定め、労働基準法第109条の記録保存義務や会社法の帳簿保存義務に対応します。

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文書管理規程

第1部: 書式本文

第1条(制定の趣旨) 文書の作成、保存、廃棄に関する社内の取扱いがまちまちであると、必要な記録が誤って廃棄される一方、不要な文書が漫然と保管され続けるという事態が生じる。そこで【株式会社〇〇】(以下「会社」という。)は、文書の分類、保存年限及び廃棄手続を統一するため、本規程を定める。

第2条(適用範囲) 本規程は、会社が業務上作成し、又は取得するすべての文書(紙媒体及び電磁的記録の双方を含む。)に適用する。

第3条(用語の定義) 1. 「文書」とは、会社の業務に関して作成され、又は取得された記録であって、紙媒体によるもの及び電磁的記録によるものをいう。 2. 「電子取引データ」とは、電子帳簿保存法第2条第5号に定める電子取引により授受された取引情報に係る電磁的記録をいう。 3. 「保存年限」とは、文書の作成又は取得の日から廃棄が許容されるまでの期間をいう。

第4条(文書の分類) 会社は、文書を次の各号のとおり分類し、別表の文書分類・保存年限表において分類ごとの具体的な保存年限を定める。 一 法定保存文書(法令により保存期間が定められている文書) 二 契約関係文書 三 会計・税務関係文書 四 人事労務関係文書 五 その他業務文書

第5条(法定保存年限の基準) 別表の保存年限表は、次の各号を含む関係法令の定めを踏まえて作成する。 一 労働者名簿、賃金台帳その他労働関係に関する重要な書類 労働基準法第109条(2020年の同法改正により保存期間は5年とされたが、附則により当分の間は3年とする経過措置が置かれている。) 二 会計帳簿及びその事業に関する重要な資料 会社法第432条第2項の規定により帳簿閉鎖の時から10年間 三 計算書類及びその附属明細書 会社法第435条第4項の規定により作成の時から10年間 四 電子取引により授受した取引情報 電子帳簿保存法第7条により、原則として電磁的記録のまま保存しなければならず、単なる紙出力による代替保存は認められない

第6条(保存方法) 1. 紙文書は、分類ごとに整理し、施錠可能な保管庫又は倉庫において保存する。 2. 電磁的記録は、改ざん防止措置(タイムスタンプの付与、訂正削除履歴の保存等)を講じた上でサーバー又はクラウドストレージに保存する。 3. 電子取引データについては、電子帳簿保存法施行規則に定める真実性及び可視性の確保の要件(検索機能の確保、見読可能装置の備付け等)を満たす方法で保存する。

第7条(文書の作成・取得時の登録) 文書を新たに作成し、又は取得した部門は、当該文書の分類、保存年限及び保管場所を文書管理台帳に登録するものとする。

第8条(保存期間中の文書の取扱い) 保存期間中の文書は、みだりに改変し、又は紛失することのないよう管理しなければならない。訴訟、税務調査その他の手続により保存期間経過後も保存が必要と見込まれる文書については、当該手続が終結するまで廃棄を留保する。

第9条(廃棄の手続) 1. 保存年限を経過した文書は、当該文書を管理する部門の長の確認を経て、総務部門の承認を得た上で廃棄する。 2. 紙文書の廃棄は、溶解処理又はシュレッダー処理その他復元が困難な方法により行う。 3. 電磁的記録の廃棄は、削除に加え、必要に応じてバックアップデータからの消去を行う。 4. 個人情報を含む文書の廃棄に当たっては、情報漏洩を防止するため、廃棄記録(廃棄日、廃棄方法、対象文書)を作成し保存する。

第10条(電子化・スキャナ保存) 紙文書を電磁的記録に変換して保存しようとするときは、電子帳簿保存法に定めるスキャナ保存の要件(解像度、タイムスタンプの付与期限、入力者等情報の確認等)を満たす場合に限り、原本である紙文書を廃棄することができる。

第11条(アクセス管理) 機密性の高い文書及び個人情報を含む文書については、閲覧及び複製できる者を業務上必要な範囲に限定し、アクセス権限を文書管理台帳に記録する。

第12条(文書管理責任者) 会社は、部門ごとに文書管理責任者を置き、本規程の遵守状況を確認させる。

第13条(見直し) 会社は、関係法令の改正があったときは、遅滞なく別表の保存年限表を見直す。

第14条(改廃) 本規程の改廃は、【取締役会/代表取締役】の決定による。

第15条(附則) 本規程は【西暦年】年【 】月【 】日から施行する。

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A節: 紙文書中心の企業向け(電子化が進んでいない企業)

A-1 第6条の修正例 「紙文書は、保存年限に応じて『常用文書(頻繁に参照するもの)』と『保存文書(参照頻度の低いもの)』に区分し、保存文書は作成から【1】年経過後に外部倉庫へ移管する。移管に当たっては、移管リストを作成し、原本の所在を常に追跡できるようにする。」 一言解説: 紙文書中心の企業では保管スペースの制約が大きいため、社内保管と外部倉庫保管を保存年限の経過段階で切り替える二段階運用が有効である。

A-2 第9条の修正例 「紙文書の廃棄は、年【2】回、総務部門が全部門から廃棄対象文書の申請を取りまとめて一括して溶解処理業者に委託する方法により行う。」 一言解説: 紙文書中心の企業では部門ごとに個別廃棄すると管理が煩雑になるため、定期的な一括廃棄のタイミングを規程上固定し、廃棄漏れと過剰保管の双方を防ぐ。

B節: 電子文書中心の企業向け(ペーパーレス運用が中心の企業)

B-1 第6条の修正例 「電磁的記録は、文書管理システム上で分類ごとにフォルダを設け、システムが自動的に保存年限を計算し、保存期間満了の【30】日前に文書管理責任者へ通知する機能を利用して管理する。」 一言解説: 電子文書中心の企業では、保存年限の管理を手作業の台帳ではなくシステムの自動通知機能に委ねることで、廃棄漏れや期限超過のリスクを大幅に下げられる。

B-2 第10条の修正例 「取引先から電子メールに添付されて送付された請求書等は、電子取引データとして電子帳簿保存法第7条の要件に従い電磁的記録のまま保存するものとし、これを紙に出力して保存する運用に代えることはできない。」 一言解説: 電子文書中心の企業では紙出力による代替保存に慣れた担当者が誤って印刷保存してしまう例があるため、電子取引データは電磁的記録のままの保存が必須である旨を明記する。

第3部: 書き方と法的ポイントの解説

本規程は、部門ごとに文書の保存期間の運用がばらつき、監査や税務調査の際に必要な書類が見つからない、あるいは逆に不要な個人情報を含む文書が長期間放置され漏洩リスクとなっている企業に適する。反対に、既にISMS等の認証取得に伴い詳細な文書管理体系を整備済みの企業では、本規程はその体系と重複しないよう、既存の情報セキュリティ規程との役割分担を明確にした上で導入する必要がある。

保存年限の設計に当たっては複数の法令を横断的に確認する必要がある。労働関係書類については労働基準法第109条が労働者名簿、賃金台帳、雇入れ・解雇・退職に関する書類等の保存を義務付けており、2020年の法改正により保存期間は5年に延長されたが、経過措置として当分の間は従前どおり3年とされている点に注意を要する。会計関係では、会社法第432条第2項が会計帳簿及び事業に関する重要な資料について帳簿閉鎖の時から10年間の保存を義務付け、同法第435条第4項が計算書類及びその附属明細書について作成時から10年間の保存を義務付けている。さらに近年特に実務対応が急務となっているのが電子帳簿保存法であり、同法第7条は電子取引により授受した取引情報について、紙に出力しての保存では足りず、電磁的記録のまま、かつ真実性及び可視性の確保の要件を満たす方法で保存することを義務付けている。

実務でよくある失敗の一つ目は、労働基準法第109条の保存期間について、法改正後の5年を基準に規程を作成してしまい、経過措置で当分の間は3年とされていることを見落として運用上の混乱を招くことである。第5条第1号のように経過措置の存在を明記しておくことが対策となる。二つ目は、電子メールやクラウドサービス経由で受領した請求書・領収書等の電子取引データを、従来どおり紙に出力して保存し原本の電磁的記録を削除してしまい、電子帳簿保存法第7条の要件を満たさない保存となることである。第10条のように電子取引データは電磁的記録のままの保存が原則である旨を明記する必要がある。三つ目は、保存年限を経過した文書、特に個人情報を含む人事労務関係文書を漫然と保管し続け、結果として不要な個人情報の保有期間が長期化し漏洩時の被害範囲が拡大することである。第9条のように廃棄手続と廃棄記録の作成を明確に定め、保存年限経過後の速やかな廃棄を制度化することが対策となる。具体的な文書の保存年限の当てはめや電子帳簿保存法上の要件充足の判断は、業種や取引形態により異なり得るため、専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 文書を法定保存文書・契約関係・会計税務・人事労務・その他に分類したか
  • [ ] 分類ごとの保存年限を別表として具体的に定めたか
  • [ ] 労働基準法第109条の経過措置(当分の間3年)を反映したか
  • [ ] 会社法第432条・第435条に基づく会計帳簿・計算書類の10年保存を反映したか
  • [ ] 電子取引データについて電子帳簿保存法第7条の電磁的記録保存義務を反映したか
  • [ ] スキャナ保存を行う場合の要件(タイムスタンプ等)を定めたか
  • [ ] 訴訟・税務調査中の文書の廃棄留保のルールを定めたか
  • [ ] 廃棄手続(承認者、廃棄方法、廃棄記録の作成)を具体的に定めたか
  • [ ] 個人情報を含む文書のアクセス制限を定めたか
  • [ ] 保存年限管理の方法(台帳又はシステムの自動通知)を紙・電子それぞれに適した形で定めたか
  • [ ] 関係法令の改正時に保存年限表を見直す体制を定めたか