キャラクターを玩具や菓子等の商品に用いる場面の許諾契約書。著作権法第21条の複製権と商標法上の使用許諾を組み合わせて設計します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
キャラクター商品化権許諾契約書
第1部: 書式本文
【権利者名】(以下「甲」という。)と【商品化事業者名】(以下「乙」という。)は、甲が権利を有するキャラクター「【キャラクター名称】」(以下「本キャラクター」という。)の商品化に関し、以下のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(定義) 本契約において、①「対象商品」とは別紙商品目録記載の【玩具/菓子/文具/アパレル】等の商品を、②「許諾地域」とは【日本国内】を、③「許諾期間」とは第9条に定める期間を、④「本著作物」とは本キャラクターの原画、デザイン、名称及びこれらに関連する著作権法上の著作物一切をいう。
第2条(許諾の付与) 甲は乙に対し、本著作物を複製(著作権法第21条)及び翻案(同法第27条)して対象商品を製造し許諾地域内で販売する権利、並びに本キャラクターに係る登録商標(登録番号【】)を対象商品及び包装に付して使用する権利(商標法上の使用許諾)を許諾する。
第3条(許諾の範囲) 本許諾は、〔選択A: 独占的(甲は乙以外の第三者に同一対象商品区分について許諾しない)/選択B: 非独占的〕とする。乙は、甲の書面による事前承諾なく、第三者に本許諾に係る権利を再許諾し、又は譲渡してはならない。
第4条(対象商品及び販売チャネル) 乙は、対象商品を別紙商品目録記載の範囲に限り製造・販売でき、当該範囲を超える使用及びオンラインモール以外の【卸売・直販】チャネルでの販売には甲の事前の書面承諾を要する。
第5条(ロイヤリティ及びミニマムギャランティ) 乙は甲に対し、対象商品の純売上高(希望小売価格から返品・値引きを控除した額)の【〇】%に相当するロイヤリティを支払う。乙は、各契約年度につき実績の多寡にかかわらず最低保証額(ミニマムギャランティ)として金【〇〇】円を保証し、年度開始日から【30】日以内に前払いする。実績ロイヤリティが超過した場合、乙は超過額を四半期ごとに精算して支払う。
第6条(品質管理) 乙は、対象商品の製造に先立ち、デザイン案及び製品サンプルを甲に提出し、書面による事前承認を得なければならない。甲は、対象商品の品質が本キャラクターのイメージを損なうと判断した場合、承認を留保し、又は修正を求めることができる。乙は、承認を得た仕様と異なる態様で対象商品を製造してはならない。
第7条(表示義務) 乙は、対象商品及びその包装に、甲の指定する著作権表示(©表示)及び商標表示を、甲の指定する態様で付さなければならない。
第8条(第三者による権利侵害への対応) 乙は、対象商品又は本キャラクターに関連して第三者による権利侵害を発見した場合、直ちに甲に通知する。侵害排除措置(警告、差止請求、損害賠償請求等)の実施は甲の裁量による。
第9条(契約期間) 本契約の有効期間は、契約締結日から【1】年間とする。期間満了の【3】か月前までに書面による終了の申入れがない場合、本契約は同一条件で【1】年間自動更新され、以後も同様とする。
第10条(解除) 甲又は乙は、相手方が本契約に違反し相当期間の催告後も是正されない場合、本契約を解除できる。乙が第6条の品質管理条項に違反しブランドイメージを著しく損なったと甲が判断した場合、甲は催告を要せず解除できる。
第11条(契約終了後の在庫処分) 本契約終了後、乙は新たに対象商品を製造してはならない。終了時点で現に保有する在庫品は、終了日から【90】日間に限り通常のロイヤリティを支払うことを条件に販売を継続でき、当該期間経過後は残存在庫を廃棄し、甲に廃棄証明書を提出する。
第12条(権利の帰属) 本著作物及び本キャラクターに関する著作権、商標権その他一切の知的財産権は甲に帰属し、本契約は当該権利の譲渡を意味しない。乙が本契約に基づき制作した商品デザインのうち本キャラクターと不可分の要素についても、甲乙別段の合意なき限り甲に帰属する。
第13条(秘密保持) 甲及び乙は、本契約に関連して知り得た相手方の営業上・技術上の秘密情報を、事前の書面承諾なく第三者に開示し、又は本契約の目的以外に使用してはならない。
第14条(反社会的勢力の排除) 甲及び乙は、自己及び役員が暴力団員等の反社会的勢力に該当しないことを表明し保証する。
第15条(準拠法及び合意管轄) 本契約の準拠法は日本法とし、本契約に関する紛争については【】地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ各1通を保有する。
【契約締結日】 甲(権利者):住所 氏名又は名称 印 乙(商品化事業者):住所 氏名又は名称 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. IPホルダー向けの修正
A-1. サンプル承認プロセスの厳格化
追加条文例:「乙は、量産開始前に必ず本製品サンプルを甲に提出し書面承認を得るものとし、承認を得ないまま製造した商品は本契約上の許諾対象外とみなす。」 一言解説: 「回答なき場合は承認とみなす」という乙有利な運用を防ぎ、承認の欠如を明確に不許諾として扱いキャラクターイメージの毀損を予防する修正である。
A-2. 監査権の追加
追加条文例:「甲は年1回を上限として乙の帳簿及び関連資料を監査する権利を有し、実績ロイヤリティが申告額より5%以上過少であった場合、監査費用は乙の負担とする。」 一言解説: ロイヤリティの過少申告リスクに備え、権利者側が実績を検証できる手段を確保する修正である。
B. 商品化事業者向けの修正
B-1. 独占的許諾範囲の地域・商品区分限定明記
追加条文例:「甲は、許諾期間中、対象商品と同一の商品区分については、乙以外の第三者に対して許諾地域内での使用を許諾しない。」 一言解説: 初期投資(金型代等)を回収する必要がある事業者のため独占範囲を商品区分単位で明確化し、甲が後日競合他社に類似区分を許諾するリスクを排除する修正である。
B-2. ミニマムギャランティ未達時の返還不要条項
追加条文例:「乙が支払ったミニマムギャランティは、実績ロイヤリティがこれに満たなかった場合でも、甲は返還を要しない。ただし甲の責めに帰すべき事由により製造・販売が不能となった場合はこの限りでない。」 一言解説: ミニマムギャランティの前払い性を確認しつつ、甲側の事情による不達成の場合は例外とし公平性を確保する修正である。
C. ミニマムギャランティ型向けの修正
C-1. 段階的ミニマムギャランティ設定
追加条文例:「ミニマムギャランティは、契約1年目金【〇〇】円、2年目金【〇〇】円とし、各年度開始前30日以内に前払いする。前年度実績ロイヤリティが前年度MGの80%を下回った場合、甲乙協議のうえ2年目以降の金額を改定できる。」 一言解説: 市場立ち上げ期の販売実績が読みにくい案件において、初年度実績を踏まえ翌年度以降のMG額を調整し、双方のリスクを平準化する修正である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面/使ってはいけない場面 本書式は、漫画・アニメ・ゲーム等のキャラクターを玩具、菓子、文具、アパレル等の物品(グッズ)に付して製造・販売する場面で用いる。タレント本人の氏名・肖像を商品に用いる場合はパブリシティ権が問題となり別途の許諾契約が必要であり、単発の広告出演のみが目的の場合は本書式ではなく出演契約や肖像利用の覚書を用いるべきである。本キャラクターが第三者の既存著作物の二次的著作物である場合、原著作者の許諾(著作権法第28条)も別途必要となる点に留意する。
根拠法令 著作権法第21条は複製権を、同法第27条は翻案権を著作者に専有させており、キャラクターを立体化・意匠化して商品に用いる行為はこれらの対象となる。商標法上、登録商標の使用許諾は専用使用権(同法第30条)か通常使用権(同法第31条)かを契約書上明確にする必要がある。また商標法第53条は、使用権者が指定商品の品質の誤認を生じさせる使用をした場合、何人も当該商標登録の取消しを審判請求できる旨を定めており、ライセンサーが品質管理を怠るとブランドの根幹である商標登録自体を失うリスクがある点が本書式特有の重要な論点である。
実務でよくある失敗と対策 第一に、品質管理条項を形式的にしか定めず、サンプル確認を省略した結果、粗悪品の流通によりキャラクターイメージが毀損される失敗がある。第6条のように事前承認を必須とし、承認を得ない製造を契約違反として扱う設計が有効である。第二に、ロイヤリティ料率のみを定めミニマムギャランティを設定しなかったため、実績が乏しい年度に権利者側の収益が確保できなかった失敗がある。第5条のように最低保証額を前払いさせる設計でダウンサイドリスクを限定できる。第三に、商標の使用態様(ロゴの色・比率・配置)を統制せず、乙が独自に改変した表示を用いた結果、需要者の誤認を招き商標法第53条の不正使用取消審判のリスクが生じる失敗がある。表示態様は甲が指定するものに限定し、変更には都度承認を要する設計とすべきである。
なお、対象商品の分野(食品、化粧品、ベビー用品等)によっては薬機法や食品表示法等の業法規制が別途適用されるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 本キャラクターの著作権者・商標権者が甲本人であることを確認したか
- [ ] 二次的著作物である場合、原著作者の許諾を得ているか
- [ ] 対象商品の範囲(商品区分)を商品目録で具体的に特定したか
- [ ] 独占的許諾か非独占的許諾かを明確にしたか
- [ ] ロイヤリティ料率及びミニマムギャランティの金額・支払時期を定めたか
- [ ] サンプル承認プロセス及び承認基準を明記したか
- [ ] 商標の表示態様(ロゴ・色・比率)の指定方法を定めたか
- [ ] 契約終了後の在庫処分期間・方法を定めたか
- [ ] 第三者による権利侵害発見時の対応フローを定めたか
- [ ] 監査権の要否を検討したか
- [ ] 食品・化粧品等の場合、業法上の表示規制を確認したか
- [ ] 契約期間及び更新条件を確認したか