期間満了に伴い賃貸借契約を合意更新する書面。借地借家法第26条の法定更新との違いを整理し、更新後の期間、更新料、保証人の再確認事項を記載した書式。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
賃貸借契約更新合意書
第1部: 書式本文
賃貸借契約更新合意書
貸主【貸主氏名・名称】(以下「甲」という。)と、借主【借主氏名・名称】(以下「乙」という。)は、甲乙間の下記賃貸借契約(以下「原契約」という。)について、次のとおり合意更新する(以下「本合意」という。)。
第1条(原契約の特定) - 物件所在地: 【物件所在地】 - 物件名称・号室: 【建物名称・号室】 - 原契約締結日: 【原契約締結日】 - 現行契約期間: 【現行始期】から【現行終期】まで
第2条(合意更新であることの確認) 1. 甲及び乙は、原契約の期間満了に際し、借地借家法第26条に定める法定更新によらず、当事者間の合意により本契約を更新するものであることを相互に確認する。 2. 合意更新は、法定更新と異なり、更新後の契約期間を当事者間で任意に定めることができる。
第3条(更新後の契約期間) 更新後の契約期間は、【更新後始期】から【更新後終期】までの【 】年間とする。
第4条(更新後の賃料等) 1. 更新後の賃料は、月額金【更新後賃料】円とする。 2. 共益費、駐車場使用料その他の付随費用は、【変更しない・下記のとおり改定する】。
第5条(更新料) 乙は甲に対し、本更新にあたり更新料として金【更新料】円を、【支払期限】までに支払う。
第6条(連帯保証人の再確認) 1. 原契約の連帯保証人【保証人氏名】は、本合意による更新後も引き続き乙の債務を連帯して保証することを確認する。 2. 保証人が個人である場合、極度額を金【 】円とする個人根保証契約(民法第465条の2)として、更新後の保証内容を再確認する。
第7条(その他の契約条件) 本合意に定めのない事項は、原契約の内容を維持するものとし、原契約の内容は、本合意による変更部分を除き、更新後も引き続き効力を有する。
第8条(協議事項) 本合意に定めのない事項は、甲乙誠実に協議して定める。
以上、本合意締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する。
【締結日】
甲: 【住所】 【氏名・名称】 印 乙: 【住所】 【氏名・名称】 印 連帯保証人: 【住所】 【氏名】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 貸主向け(更新料の支払確保を重視する場合)
A-1 第5条の修正例 「乙は、更新料の支払をもって本合意の効力発生要件とし、【支払期限】までに更新料の支払がないときは、本合意は効力を生じず、原契約は借地借家法第26条に基づく法定更新として扱われる。」 一言解説: 貸主にとっては、更新料支払を合意更新の効力発生要件として明記することで、更新料の未払いを防止しやすくなるが、更新料条項自体の有効性は判例上の議論があるため慎重な設計が必要である。
B節: 管理会社向け(保証人の再確認手続を徹底したい場合)
B-1 第6条への追加例 「管理会社は、本合意締結にあたり、連帯保証人に対し極度額及び保証継続の意思について書面又は電磁的方法により確認を行い、確認が取れない場合は、乙に対し新たな保証人の選任又は家賃債務保証会社の利用を求める。」 一言解説: 令和2年の民法改正により極度額の定めのない個人根保証契約は無効となるため、管理会社は更新のたびに保証人へ極度額を明示した再確認を行う実務対応が必要である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、賃貸借契約の期間満了に伴い、当事者双方の合意によって契約を更新する場面で使用する。当事者からの更新拒絶の申入れがないまま期間満了を迎え、自動的に更新される法定更新の場合には、通常本書式のような合意書は不要であるが、更新料の授受や賃料改定など、法定更新とは異なる条件変更を伴う更新を行いたい場合には、本書式によって条件を明確化しておくことが望ましい。
根拠法令は借地借家法第26条である。同条第1項は、建物の賃貸借について期間満了の1年前から6か月前までの間に相手方に対し更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす(法定更新)と定める。法定更新の場合、期間の定めのない契約になる点(同条第1項但書)、更新後の契約条件は従前と同一である点が特徴であり、当事者が期間や賃料等の条件を積極的に変更したい場合には、法定更新に委ねるのではなく、本書式のような合意更新の手続を取る必要がある。更新料については、最高裁判所平成23年7月15日判決が、更新料条項が高額に過ぎるなど特段の事情がない限り、消費者契約法第10条にいう消費者の利益を一方的に害するものには当たらず有効であると判断しており、契約書上に更新料の金額と支払時期を明確に定めることが重要である。
実務でよくある失敗の一つ目は、更新の合意書を締結せず、口頭や黙示の合意のみで更新条件(賃料改定・更新料)を変更しようとし、後日「聞いていない」との争いになることである。第3条から第5条のように、更新後の期間、賃料、更新料を書面で明確に合意することが重要である。
二つ目の失敗は、連帯保証人について更新時の再確認を怠り、極度額の定めのない古い保証契約のまま更新を繰り返し、令和2年の民法改正後は保証契約自体が無効と評価されるリスクを抱えたままになることである。第6条のように、更新のたびに極度額を明示した再確認を行うことが実務上重要である。
三つ目の失敗は、更新料の支払を合意更新の効力発生要件とする条項を設けたにもかかわらず、実際には更新料が未払いのまま物件を使用収益させ続け、法定更新への切替りが起きているのか合意更新が有効に成立しているのか不明確な状態になることである。A節のような効力発生要件を定める場合は、実際の運用でも支払確認前に鍵の交付や契約書の押印手続を進めないなど、手続の整合性を保つ必要がある。
四つ目の失敗は、更新にあたり物件の使用状況(同居人の増加、ペット飼育の有無、用途変更の有無等)を確認せず、原契約締結時と異なる使用実態を追認する形で漫然と更新してしまうことである。更新の機会は、原契約締結後に生じた事情変更を確認し、必要に応じて特約を追加する好機でもあるため、第7条の「その他の契約条件」を検討する際に、現況の使用状況について改めて確認するプロセスを設けておくことが望ましい。
更新料条項の有効性の判断基準や、極度額の適正な設定水準については、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 更新が合意更新であり法定更新ではないことを明記したか
- [ ] 更新後の契約期間を明記したか
- [ ] 更新後の賃料・共益費等の条件を明記したか
- [ ] 更新料の金額・支払期限を明記したか
- [ ] 更新料支払を効力発生要件とする場合、その旨を明確にしたか
- [ ] 連帯保証人の継続意思と極度額(民法第465条の2)を再確認したか
- [ ] 保証人からの再確認が取れない場合の代替手段(新保証人・保証会社利用)を検討したか
- [ ] 更新部分以外は原契約の内容が維持される旨を明記したか
- [ ] 更新料条項の有効性(消費者契約法第10条との関係)を確認したか
- [ ] 更新手続のスケジュール(期間満了前の締結)を管理しているか
- [ ] 物件の現況(同居人・ペット飼育・用途変更等)を更新時に確認したか