月80時間を超える時間外労働で疲労が蓄積した従業員が医師の面接指導を求める場面の様式。労働安全衛生法第66条の8および同規則第52条の3に対応している。

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長時間労働者の面接指導申出書

第1部: 書式本文

【申出日】令和【 】年【 】月【 】日 【申出者氏名】【 】(【所属部署】/【役職】) 【対象月】令和【 】年【 】月分 【当月の時間外・休日労働時間数】【 】時間 【直近2〜6か月平均の時間外・休日労働時間数】【 】時間 【該当する要件】□ 1か月80時間超の時間外・休日労働があり、疲労の蓄積が認められる者からの申出 □ 事業者が定める基準(月【 】時間超)に該当する者 【疲労蓄積の自覚症状】□ 慢性的な疲労感 □ 睡眠不足・不眠 □ 頭痛・めまい □ 食欲不振 □ 動悸・息切れ □ 集中力の低下 □ その他【 】 【現在の健康状態に関する自覚】【本人の記述:体調面で気になる点を自由記載】 【既往歴・通院中の疾患の有無】□ なし □ あり(【 】) 【面接指導の希望日時(第1〜第3希望)】第1希望:令和【 】年【 】月【 】日【 】時、第2希望:【 】、第3希望:【 】 【面接指導の実施方法】□ 事業場内の産業医による面接 □ 事業場が指定する医師による面接 □ 本人が選定した医師の診断結果を証明する書面の提出 【申出者署名】【 】

【会社側受理欄】 【受理日】令和【 】年【 】月【 】日/【受理担当者】【氏名・所属】 【産業医への連絡日】令和【 】年【 】月【 】日 【面接指導実施日】令和【 】年【 】月【 】日/【実施医師名】【 】 【医師からの意見聴取日】令和【 】年【 】月【 】日 【就業上の措置の要否】□ 措置不要 □ 就業場所の変更 □ 作業の転換 □ 労働時間の短縮 □ 深夜業の回数減少 □ その他【 】 【措置内容の本人への通知日】令和【 】年【 】月【 】日

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A節: 従業員側(申出用)

  • 記載例1: 「【疲労蓄積の自覚症状】欄はチェック方式に加え自由記載欄を設け、『いつ頃から』『どの程度の頻度で』症状が生じているかを補記させる。」 一言解説: 症状の発生時期を記録しておくと、面接指導後の就業上の措置の要否を医師が判断する際の材料になる。
  • 記載例2: 「【面接指導の実施方法】欄で本人選定医師の証明書面提出を選んだ場合、証明書面に時間外労働時間数と面接指導に相当する検査項目が含まれているかを申出者自身が事前確認する注記を加える。」 一言解説: 労働安全衛生規則第52条の3第4項に基づき、本人選定医師の証明書は面接指導と同等の内容を満たす必要があるため、様式段階で要件を示しておくと差し戻しを防げる。
  • 記載例3: 「【現在の健康状態に関する自覚】欄は、業務内容や労働時間との関連を感じる症状かどうかを本人に選ばせる補助チェック(□ 業務量の増加と関連を感じる □ 特に関連を感じない)を追加する。」 一言解説: 本人の主観的な関連づけを記録しておくと、面接指導を行う医師が業務起因性を踏まえた意見を形成する際の参考情報になる。

B節: 会社側(実施記録用)

  • 記載例1: 「【会社側受理欄】に受理日から面接指導実施日までの日数を自動計算する欄を設け、遅延がないかを可視化する。」 一言解説: 安衛則第52条の3第3項は申出後遅滞なく面接指導を実施することを求めており、日数管理は履行証拠として機能する。
  • 記載例2: 「【就業上の措置の要否】欄は医師の意見を『そのまま転記』する欄と、会社が最終決定した措置内容を分けて記載する二段構成にする。」 一言解説: 医師意見と会社の最終判断を混同すると、安衛法第66条の8第4項の意見聴取義務を履行した記録として不十分になるため区分が必要。
  • 記載例3: 「【産業医への連絡日】欄の下に、産業医不在の事業場(安衛法第13条の2の努力義務対象となる労働者数50人未満の事業場等)における代替の医師確保手段(地域産業保健センターの活用等)を記載する予備欄を設ける。」 一言解説: 小規模事業場では産業医の選任義務(安衛法第13条)自体がなく、面接指導を行う医師の確保方法をあらかじめ定めておかないと「遅滞なく」の要件を満たせないおそれがある。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

本様式は、時間外・休日労働時間が1か月当たり80時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者が、医師による面接指導を求める場面で使用する。根拠は労働安全衛生法第66条の8第1項(一般労働者向け面接指導)であり、事業者は要件に該当する労働者からの申出があったときは、遅滞なく医師による面接指導を行わなければならない。実施手続の詳細は労働安全衛生規則第52条の2から第52条の4に定められており、時間外・休日労働時間の算定方法(同規則第52条の2第2項)、申出の勧奨(同条第3項)、面接指導の実施時期(同規則第52条の3)が対応関係にある。使用してはいけない場面としては、時間外労働が要件を満たさない者について任意で行う健康相談(安衛法上の面接指導ではなく事業場独自の福利厚生的対応)を本様式で処理すると、法定義務の履行記録と任意の健康管理記録が混在し、労基署の調査時に区別できなくなる点に注意が必要である。また、研究開発業務従事者や高度プロフェッショナル制度対象者については、それぞれ安衛法第66条の8の2、第66条の8の4で別建ての基準(月100時間超等)が定められているため、本様式をそのまま流用せず対象要件を差し替える必要がある。

さらに、面接指導は労働者本人の「申出」を起点とする点が制度上の特徴であり、事業者が一方的に面接指導の実施を強制する場面には本様式は適さない。事業者は、時間外・休日労働が月80時間を超えた労働者に対して労働時間に関する情報を通知し(安衛則第52条の2第3項)、申出を行いやすい環境を整える義務を負うにとどまる。もっとも、実務上は健康障害リスクの高さに鑑み、事業者が対象者に個別に申出を勧奨する運用が広く行われており、本様式の【該当する要件】欄はこの勧奨を受けて労働者が自発的に申し出た体裁を保つように設計している。

実務でよくある失敗として、第一に、時間外労働時間の算定基準日を給与計算締日と混同し、法定の「休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた時間」の算定(安衛則第52条の2第2項)とずれた数値を記載してしまう例がある。対策として、【当月の時間外・休日労働時間数】欄の算定根拠を給与計算とは独立して確認する運用注記を添えている。第二に、面接指導を実施したものの医師からの意見聴取(安衛法第66条の8第4項)を書面化せず、就業上の措置の判断根拠が後日不明になる例がある。対策として、【医師からの意見聴取日】と【就業上の措置の要否】を別欄で必ず記録する構成とした。第三に、事業者が対象者への申出勧奨(安衛則第52条の3第3項)を怠り、対象者自身が申出制度を知らないまま放置される例がある。対策として、本様式とは別に勧奨通知の実施記録を人事労務台帳側で管理することを推奨する。なお、対象労働者の該当性判断や不利益取扱いの禁止(安衛法第66条の8第5項)との関係については、個別の事情により判断が分かれ得るため、弁護士等の専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 対象月の時間外・休日労働時間数が正確に算定されているか(安衛則第52条の2第2項基準)
  • [ ] 月80時間超の要件、または事業者が定める独自基準への該当性が明記されているか
  • [ ] 疲労蓄積の自覚症状欄が具体的に記載されているか
  • [ ] 既往歴・通院中の疾患の有無が確認されているか
  • [ ] 面接指導の希望日時が複数候補で記載されているか
  • [ ] 実施方法(産業医/指定医師/本人選定医師)が明確に選択されているか
  • [ ] 本人選定医師を利用する場合、証明書面が安衛則第52条の3第4項の要件を満たすか確認したか
  • [ ] 受理日から実施日までの期間が「遅滞なく」の水準に収まっているか
  • [ ] 医師からの意見聴取が書面で記録されているか
  • [ ] 就業上の措置の要否が医師意見と会社判断に分けて記載されているか
  • [ ] 措置内容の本人への通知日が記録されているか
  • [ ] 不利益取扱いに該当し得る記載が含まれていないか
  • [ ] 対象者への労働時間情報の通知(安衛則第52条の2第3項)が事前に行われているか
  • [ ] 産業医不在の事業場の場合、代替の医師確保手段が明記されているか