地縁による団体の運営ルールを定める規約です。区域、会員資格、役員の選任、総会の議決、会計と財産管理を規定します。後日の紛争を防ぐための確認欄をあらかじめ設けています。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
自治会・町内会規約
第1部: 書式本文
【〇〇町内会】(以下「本会」という。)の運営に関する事項を定めるため、次のとおり規約を定める。
第1条(名称) 本会は、〇〇町内会と称する。
第2条(区域) 本会の区域は、【〇〇市〇〇町〇丁目〇番から〇番まで】とする。
第3条(事務所) 本会は、事務所を【〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 会長宅】に置く。
第4条(目的) 本会は、区域内の住民相互の親睦を図るとともに、防犯・防災、環境美化その他地域の生活環境の維持及び向上に関する活動を行うことを目的とする。
第5条(事業) 本会は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。 1. 防犯灯及び防災資機材の維持管理 2. 地域清掃及び環境美化活動 3. 祭礼、盆踊りその他親睦行事の開催 4. 市及び関係団体との連絡調整 5. 会報の発行その他前各号に附帯する事業
第6条(会員) 1. 本会の区域内に住所を有する世帯は、本会の会員となる。 2. 会員は、世帯主又はこれに準ずる者をもって代表者とする。
第7条(退会) 会員は、区域外への転出その他の理由により、退会届を会長に提出して退会することができる。
第8条(役員) 1. 本会に次の役員を置く。会長1名、副会長【〇名】、会計【〇名】、監査【〇名】、班長【各班1名】。 2. 役員は、総会において会員の中から選任する。 3. 役員の任期は【〇年】とし、再任を妨げない。
第9条(会長の職務) 会長は、本会を代表し、会務を統括する。会長に事故があるときは、副会長がその職務を代理する。
第10条(監査の職務) 監査は、本会の会計及び業務の執行状況を監査し、その結果を総会に報告する。
第11条(総会) 1. 総会は、毎年度1回、通常総会として会長が招集する。 2. 会長が必要と認めるとき、又は会員の5分の1以上から会議の目的たる事項を示して招集の請求があったときは、臨時総会を招集する。 3. 総会は、会員(代表者)の過半数の出席(委任状及び書面表決を含む。)をもって成立する。 4. 総会の議事は、出席者の過半数をもって決し、可否同数のときは議長の決するところによる。
第12条(規約の変更) この規約の変更は、総会に出席した会員の3分の2以上の同意を得なければならない。
第13条(会計) 1. 本会の会費は、1世帯につき月額【〇円】とし、毎年度の総会で承認された予算に基づき収支を管理する。 2. 会計年度は、毎年【4月1日】から翌年【3月31日】までとする。
第14条(財産の管理) 本会の共有財産(防犯灯、防災倉庫、集会施設その他の設備を含む。)は、会長が代表者として管理し、その処分には総会の議決を要する。
第15条(委任) この規約に定めのない事項は、総会の決議による。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 自治会(役員会・会長)側の修正パターン
A-1. 認可地縁団体化を見据えた財産保有条項の追加
追加条文例:「本会は、地方自治法第260条の2第1項の認可を受けた場合、その旨を告示された日から権利能力を取得し、集会施設その他の不動産を本会の名義で登記することができる。」 一言解説: 従来個人名義で登記していた集会所等を町内会名義に移すため、認可地縁団体としての要件を規約上明記する修正である。
A-2. 未加入世帯への対応方針の明記
修正後:「本会は、区域内に住所を有しながら本会に加入しない世帯に対し、加入を強制しないものとし、防犯灯の維持等区域全体に及ぶ事業の受益に応じた協力を任意に依頼することができる。」 一言解説: 加入は任意であることを明確にしたうえで、未加入者にも受益に応じた協力を求める運用上の工夫である。
B. 会員(世帯)側の修正パターン
B-1. 書面・オンライン表決の明記
追加条文例:「総会に出席できない会員は、書面又は本会が指定する電磁的方法により議決権を行使することができる。」 一言解説: 高齢化や共働き世帯の増加により総会への現地出席が困難な会員が増えていることを踏まえ、実質的な意思反映の機会を確保する修正である。
B-2. 会費の減免規定の追加
修正後:「会長は、生活保護受給世帯、単身高齢世帯その他特別の事情がある世帯について、総会が定める基準により会費の全部又は一部を免除することができる。」 一言解説: 一律の会費負担が困難な世帯に配慮し、退会や滞納の発生を防ぐための修正である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面/使ってはいけない場面 本書式は、既存の自治会・町内会が組織運営の基本ルールを明文化する場面、及び集会施設等の不動産を団体名義で保有するために地方自治法上の認可地縁団体となることを検討する場面で用いる。他方、任意団体のままで足り、不動産を保有する予定がなく、既に慣習的な運営で支障がない小規模な組織にまで一律に厳格な規約整備を求める必要はなく、実情に応じた簡素な運用も許容される。
根拠法令の解説 地方自治法第260条の2は、町又は字の区域その他の地縁に基づいて形成された団体が、市町村長の認可を受けることにより、その区域に係る不動産等の権利義務の主体となり得る旨を定める。同条第2項は、認可を受けるための要件として、規約に区域、目的、名称、構成員の資格に関する事項、代表者に関する事項、会議に関する事項、資産に関する事項及び規約の変更手続を定めていることを求めており、本書式の第1条から第4条、第6条、第8条、第11条、第12条、第14条はこれらの記載事項に対応する構成としている。なお、規約を整備すること自体は認可の必須要件ではないが、認可を受けない任意団体のままでは不動産を団体名義で登記できず、代表者個人名義となることで相続時のトラブル等が生じやすい点に留意が必要である。
実務でよくある失敗と対策 第一に、加入を事実上強制するような規定を置き、会員からの任意加入の原則(判例上、自治会への加入を強制することはできないとされている)と矛盾する運用となる失敗がある。A-2のように加入の任意性を明記したうえで、未加入者への協力依頼にとどめることが対策となる。第二に、総会の成立要件や議決要件を定めないまま慣行で運営し、規約変更や財産処分の場面で手続の有効性が争われる失敗がある。第11条・第12条のように定足数と議決要件を明記することが望ましい。第三に、集会所等の不動産が代表者個人名義のまま長期間放置され、代表者の死亡により相続人との間で紛争になる失敗があるが、A-1のように認可地縁団体化を検討し、団体名義での登記を可能にすることが対策となる。認可の申請手続や既存不動産の名義変更の実務は市町村ごとに取扱いが異なるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 区域の範囲を町丁目・番地で具体的に特定したか
- [ ] 会員資格を世帯単位とするか個人単位とするか明確にしたか
- [ ] 加入・退会が任意であることを明記したか
- [ ] 役員の種類、選任方法及び任期を定めたか
- [ ] 総会の招集手続、定足数及び議決要件を定めたか
- [ ] 書面又は電磁的方法による議決権行使を認めるか検討したか
- [ ] 規約変更の手続要件(3分の2以上等)を定めたか
- [ ] 会費の額、徴収方法及び減免規定を定めたか
- [ ] 会計年度及び決算・監査の手続を定めたか
- [ ] 共有財産(集会施設等)の管理・処分の手続を定めたか
- [ ] 認可地縁団体化の要否(地方自治法第260条の2)を検討したか
- [ ] 未加入世帯への対応方針(協力依頼の範囲)を検討したか