一定枠内で反復して借入を行えるようにする融資枠設定の契約書。特定融資枠契約に関する法律により利息制限法の適用が除外される手数料条項を整備。

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コミットメントライン契約書(融資枠契約)

第1部: 書式本文

【金融機関商号】(以下「甲」という。)と【借入企業商号】(以下「乙」という。)とは、乙が甲から反復して融資を受けられるようにするため、次のとおりコミットメントライン契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(融資枠の設定) 甲は乙に対し、本契約に定める条件に従い、極度額【 】円(以下「本コミットメントライン」という。)の範囲内で反復して金銭を貸し付けることを約する。

第2条(特定融資枠契約に関する法律の適用) 本契約は、特定融資枠契約に関する法律第2条に定める特定融資枠契約に該当することを甲乙確認する。乙は同法第2条第3号に定める会社等の要件を満たすものとする。

第3条(借入実行) 1. 乙は、借入希望日の【3】銀行営業日前までに、借入希望額及び借入期間を記載した借入要請書を甲に提出する。 2. 甲は、第7条の借入停止事由が生じていない限り、借入要請書記載の条件に従い実行日に貸付金を乙の指定口座に振り込む。

第4条(手数料) 1. 乙は、甲に対し、本コミットメントラインの設定及び維持の対価として、未実行残高に対し年【 】パーセントの割合によるコミットメントフィーを【四半期】ごとに支払う。 2. 前項のコミットメントフィーは、特定融資枠契約に関する法律第3条により利息制限法上の利息とはみなされない。

第5条(利息) 実行された各貸付金の利息は、実行日から返済日までの実日数に応じ、年【 】パーセント(TIBOR等の指標金利に一定のスプレッドを加えた変動金利)により計算し、利息制限法第1条の上限を超えないものとする。

第6条(コミットメント期間) 本コミットメントラインの利用可能期間は、契約締結日から【1】年間とする。甲乙合意により期間を更新することができる。

第7条(借入停止事由) 1. 乙について財務制限条項(第8条)への抵触、期限の利益喪失事由(第9条)の発生その他信用状況の著しい悪化が認められる場合、甲は新たな貸付の実行を停止できる。 2. 借入停止後であっても、既に実行済みの貸付金に係る乙の返済義務には影響しない。

第8条(財務制限条項) 乙は、各事業年度末において、貸借対照表上の純資産の額を前事業年度末比【75】パーセント以上に維持し、かつ経常損益を2期連続して損失としない。

第9条(期限の利益喪失) 乙が財務制限条項に抵触し、又は返済を1回でも遅滞したときは、甲の通知催告により乙は当然に期限の利益を喪失し、実行済み貸付金全額を直ちに一括返済する。

第10条(表明保証) 乙は、本契約締結日及び各借入実行日において、財務諸表の正確性及び本契約締結が適法な内部手続を経ていることを表明し保証する。

第11条(反社会的勢力の排除) 甲及び乙は、自己が暴力団その他の反社会的勢力に該当しないことを表明し保証する。

第12条(協議及び合意管轄) 本契約に関する紛争については、【〇〇地方裁判所】を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

以上を証するため本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各自1通を保有する。

【〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】

(甲) 住所:【     】 商号:【     】 代表者:【     】 印 (乙) 住所:【     】 商号:【     】 代表者:【     】 印

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. 金融機関向け書き換え

A-1. シンジケート団による大型融資枠

第3条追加例:「借入要請は幹事金融機関を経由して行うものとし、各参加金融機関はコミットメント比率に応じて貸付を実行する。」 解説: 複数金融機関が参加する場合、要請窓口と実行比率を明確にし、実務上の混乱を防ぐ。

A-2. 財務担当者との日常運用を重視する取引

第3条1項修正例:「借入要請は電子的な融資管理システムを通じて行うことができ、書面提出を要しない。」 解説: 反復的な借入実行を前提とする融資枠取引では、要請手続を電子化し実務負担を軽減する。

B. 借入企業向け書き換え

B-1. 財務制限条項の水準を緩和したい企業

第8条修正例:「純資産維持要件は前事業年度末比【50】パーセント以上とし、コベナンツ抵触後30日以内の是正機会(キュアピリオド)を設ける。」 解説: 業績変動が大きい業種では、抵触時に即座に借入停止とせず是正期間を設けることで実務上の柔軟性を確保する。

B-2. コミットメントフィーの負担を軽減したい企業

第4条修正例:「未実行残高が極度額の【80】パーセントを超える四半期については、コミットメントフィーを【0.1】パーセント減免する。」 解説: 実際の利用率が高い場合の実質的な資金調達コストを抑える設計とする。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

使う場面・使ってはいけない場面 本書式は、一定の融資枠を設定し、その範囲内で企業が必要な時期に反復して借入を行う場面で用いる。単発の資金需要に対する貸付には通常の金銭消費貸借契約書を用いるべきであり、本書式はなじまない。また特定融資枠契約に関する法律第2条第3号の適用対象(株式会社等で一定の要件を満たす者)に該当しない借主については、コミットメントフィーが利息制限法上の利息とみなされるおそれがあるため、対象企業の該当性を事前に確認する必要がある。

根拠法令 特定融資枠契約に関する法律第2条は特定融資枠契約の定義を、第3条はコミットメントフィーが利息制限法上の利息に該当しない旨をそれぞれ定める。利息そのものについては利息制限法第1条の上限規制が適用される。期限の利益喪失や財務制限条項(コベナンツ)は契約自由の原則に基づく合意事項であるが、その内容は民法第137条の期限の利益喪失事由の考え方とも整合させる必要がある。

実務でよくある失敗と対策 第一に、借主が特定融資枠契約に関する法律第2条第3号の対象要件を満たすか確認せず契約し、コミットメントフィーの利息該当性が争われる失敗がある。第2条で該当性を確認する条項を置く。第二に、財務制限条項への抵触後、是正機会を与えず直ちに借入停止・期限の利益喪失としてしまい、事業継続に支障が生じる失敗がある。第8条修正例のようにキュアピリオドを設ける対応が考えられる。第三に、借入要請の手続や期限を曖昧にし、実行日直前の要請でトラブルとなる失敗がある。第3条で要請期限を明記する。特定融資枠契約への該当性判断は専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 借主が特定融資枠契約に関する法律第2条第3号の対象要件を満たすか確認したか
  • [ ] 極度額とコミットメント期間が資金計画に合致しているか
  • [ ] コミットメントフィーの料率及び算定基礎(未実行残高等)を明記したか
  • [ ] 借入実行の要請手続・期限を具体的に定めたか
  • [ ] 財務制限条項(コベナンツ)の水準と抵触時の効果を明確にしたか
  • [ ] 期限の利益喪失事由と一括返済の手続を定めたか
  • [ ] 変動金利の指標(TIBOR等)とスプレッドの決定方法を明記したか
  • [ ] 借入停止事由発生時の既存貸付への影響範囲を確認したか
  • [ ] コミットメント期間更新の手続を定めたか