取材記事や協業案件で自社ロゴの掲載を認める簡易許諾書。商標法上の出所表示機能の保護と著作権法第21条の複製許諾を併せて扱います。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
コーポレートロゴ使用許諾書
第1部: 書式本文
【許諾者】(以下「甲」という)と【被許諾者】(以下「乙」という)は、甲が保有する下記ロゴマークの使用に関し、以下のとおり許諾契約(以下「本契約」という)を締結する。
第1条(目的) 本契約は、甲が保有するコーポレートロゴ【ロゴ名称・登録商標番号】(以下「本ロゴ」という)について、乙が【取材記事の掲載/協業案件の告知/パートナーページへの掲載】(以下「本目的」という)の範囲で使用することを甲が許諾する条件を定める。
第2条(許諾の範囲) 1. 甲は乙に対し、本目的の達成に必要な限度で、本ロゴを次の各号の態様により利用することを許諾する。 (1) 著作権法第21条に基づく複製(印刷物・PDF等への複製) (2) 著作権法第23条に基づく公衆送信(自社ウェブサイト・SNSアカウントへの掲載) 2. 前項に定めのない利用態様(改変加工、二次的著作物の作成、第三者への再許諾等)は本許諾の範囲に含まれない。
第3条(使用媒体・掲載箇所) 乙は、本ロゴを【媒体名・URL・掲載箇所】においてのみ使用できるものとし、他の媒体への転載を行う場合は事前に甲の書面による承諾を得るものとする。
第4条(使用態様の制限) 乙は、本ロゴについて、色調・縦横比・余白等を含め甲が別途交付するロゴ使用ガイドラインに従い使用するものとし、本ロゴの分割、変形、他の標章との結合その他甲の出所表示機能を損なう改変を行ってはならない。
第5条(表示義務) 乙は、本ロゴの使用にあたり、甲の商号または登録商標である旨を示す表示(®・™表記を含む)を付するものとする。
第6条(監修・事前確認) 甲は、本ロゴの使用態様が本契約の趣旨に適合するか確認するため、乙に対し使用前の校正データ提出を求めることができる。
第7条(許諾期間) 本許諾の有効期間は、本契約締結日から【期間】とする。期間満了後も甲乙協議のうえ更新できる。
第8条(対価) 本許諾は【無償/有償(金額)】とする。
第9条(権利の帰属) 本ロゴに関する商標権および著作権その他一切の知的財産権は甲に帰属し、本契約は当該権利を乙に移転するものではない。
第10条(再許諾・譲渡の禁止) 乙は、甲の書面による事前の承諾なく、本許諾に基づく地位または権利を第三者に譲渡し、または本ロゴの使用を第三者に再許諾してはならない。
第11条(誤認混同の防止) 乙は、本ロゴの使用にあたり、甲乙間に資本関係、代理店契約その他本目的を超える関係が存在するとの誤認混同を第三者に生じさせてはならない。
第12条(使用終了後の措置) 本許諾の終了後、乙は速やかに本ロゴの使用を停止し、既存の掲載物について甲が求める場合は削除または訂正の措置を講じるものとする。
第13条(解除) 甲は、乙が本契約に違反した場合、催告なく本契約を解除できる。
第14条(損害賠償) 乙が本契約に違反し甲に損害を生じさせた場合、乙は甲に対しその損害を賠償する。
第15条(準拠法・管轄) 本契約は日本法に準拠し、本契約に関する紛争は【地方裁判所】を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. ロゴ保有企業向け(甲=許諾者側の強化)
第2条を「甲は本ロゴの改変・加工の一切を禁止し、乙は掲載前に校正データを甲に提出し承諾を得なければならない」と改め、第13条に「甲は本ロゴの使用態様が甲のブランドイメージを毀損すると判断した場合、催告なく即時に許諾を撤回できる」との撤回権を追加する。一言解説: 出所表示機能の毀損を未然に防ぐため、事前チェック権と即時撤回権を明文化するのがポイントである。
B. 掲載希望者(取材・協業先)向け
第3条を「乙は、本目的達成のため合理的に必要な範囲で、本ロゴを自社ウェブサイト、SNS、印刷物等の複数媒体に掲載できる」と拡張し、第7条の許諾期間を「甲乙いずれかが解約の意思表示をするまで自動更新する」と改める。一言解説: 単発掲載に留めず継続的な協業表示を行いたい乙の立場では、媒体の包括性と期間の柔軟性を交渉すべきである。
C. 単発利用の簡易版
第7条を「本許諾は乙が第2条の掲載を1回行うことにより目的を達成し、掲載後30日をもって当然に終了する」と改め、第8条を「本許諾は無償とする」に固定し、第6条・第9条以外の管理色の強い条項(監修義務の詳細化等)を削除して条文数を簡素化する。一言解説: 取材記事1本など単発利用では、更新や監修手続を重くせず、掲載完了で自動終了する設計が双方の事務負担を減らす。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、取材協力や協業発表など単発・小規模なロゴ掲載の場面で用いることを想定している。継続的なフランチャイズ的使用や、ロゴを含む包括的なブランド提携、共同商品開発におけるコブランディングのように利用期間・態様が広範にわたる場合には、本書式では条項が不足するため、より詳細な商標ライセンス契約書を別途検討すべきである。
法的根拠としては、ロゴの標章としての側面は商標法第25条(商標権の専用権)および第37条(侵害とみなす行為)により保護され、ロゴのデザインとしての側面は著作権法第21条(複製権)および第23条(公衆送信権)により保護される。両者は権利の性質が異なるため、本書式第2条のように利用態様ごとに許諾範囲を分けて規定する必要がある。単に「使用を許諾する」とだけ定めると、複製は想定していても公衆送信(ウェブ掲載)まで許諾したのか不明確になりやすい。
さらに留意すべきは、乙による本ロゴの使用が商標法上の「商標的使用」(自他商品・役務の識別標識としての使用)に該当するか否かという視点である。取材記事中に「同社のロゴ」として言及・掲載する行為は、乙が自社の商品・役務を示すための商標的使用ではなく、出所表示としての参照的使用にとどまるのが通常である。しかし乙が自社の広告バナーや自社サービスの紹介ページに本ロゴを組み込む態様になると、あたかも甲乙間に業務提携やお墨付きがあるかのような誤認混同を生じさせ、商標法上の出所表示機能を害するおそれがある。本書式第11条はこの誤認混同防止を目的とする条項であり、単なる著作権処理にとどまらない商標法固有の配慮が必要になる点が、著作権のみを対象とする一般的な素材利用許諾契約との違いである。
実務でよくある失敗の一つ目は、複製権のみを念頭に許諾したにもかかわらず、乙がウェブサイトやSNSへ掲載し公衆送信権の許諾範囲を巡って争いになるケースである。対策として第2条で利用態様を号立てで列挙し、想定外の媒体利用を明確に除外する。二つ目は、ロゴの色調や比率を乙が自由に変更し、著作権法第20条の同一性保持権侵害や商標としての出所表示機能の毀損を招くケースである。対策として第4条でガイドライン遵守を義務付け、改変を禁止する。三つ目は、許諾期間が終了したにもかかわらず乙のウェブサイトにロゴが掲載されたままとなり、あたかも取引関係が継続しているかのような誤認混同を第三者に生じさせるケースである。対策として第12条で終了後の削除義務を明文化する。なお、個別事案は専門家に確認してください。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 対象となるロゴの画像データ・登録商標番号を別紙で特定したか
- [ ] 複製と公衆送信のどちらまで許諾するか利用態様を明記したか
- [ ] 掲載媒体・掲載箇所を具体的に特定したか
- [ ] ロゴ使用ガイドライン(色調・比率・余白)を添付したか
- [ ] 許諾期間と更新の有無を定めたか
- [ ] 対価の有無(無償か有償か)を明記したか
- [ ] 第三者への再許諾・譲渡を禁止したか
- [ ] 誤認混同防止のための表示義務を定めたか
- [ ] 許諾終了後の削除・使用停止義務を定めたか
- [ ] 事前の校正確認プロセスを設けたか
- [ ] 管轄裁判所を明記したか