金融機関や登記所から債務者の財産情報を取得する申立書です。対象となる情報の種類と要件、事前手続の関係を整理します。ひな型をもとに数分で自社仕様に調整できます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
第三者からの情報取得手続申立書
第1部: 書式本文
第三者からの情報取得手続申立書
【申立日】令和【 】年【 】月【 】日 【提出先裁判所】【 】地方裁判所 御中
当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり 請求債権の表示 別紙請求債権目録記載のとおり 情報の種類 別紙情報対象記載のとおり
第1 申立ての趣旨 【第三者(金融機関/登記所/市町村・日本年金機構等)】に対し、債務者の【預貯金債権・振替社債等/土地建物に関する権利/給与債権(勤務先)】についての情報の提供を命ずる、との決定を求める。
第2 申立ての理由 1 執行力ある債務名義又は先行する財産開示手続の実施 債権者は、債務者に対し、【裁判所名】令和【 】年(【 】)第【 】号事件の執行力ある債務名義を有する。 2 情報取得の対象及び前置要件(対象ごとに記載) (1)預貯金・振替社債等に関する情報(民事執行法207条) この類型は財産開示手続の先行は不要である。債権者は債務者の財産状況を把握できていないため、【 】銀行その他の金融機関に対する情報提供命令を求める。 (2)不動産に関する情報(民事執行法205条) この類型は原則として財産開示手続の先行(申立て日から3年以内に実施決定がされていること)が要件となる。債権者は令和【 】年【 】月【 】日、【 】地方裁判所令和【 】年(財チ)第【 】号事件において財産開示手続の実施決定を得ている。 (3)給与(勤務先)に関する情報(民事執行法206条) 養育費等の扶養義務等に係る請求権又は生命・身体の侵害による損害賠償請求権を有する場合に限り、かつ財産開示手続の先行が要件となる。本件請求債権は【養育費/人身損害に基づく損害賠償請求権】に該当する。 3 情報取得の必要性 債務者の任意履行がなく、知れている財産のみでは完全な弁済を得られる見込みがない。
第3 疎明方法 1 執行力ある債務名義の正本(写し) 2 送達証明書 3 財産開示手続の実施決定に関する証明書(不動産・給与情報を求める場合) 4 請求債権が養育費等又は人身損害であることを示す資料(給与情報を求める場合)
第4 添付書類 1 執行力ある債務名義の正本 1通 2 送達証明書 1通 3 当事者目録 1通 4 請求債権目録 1通 5 情報対象目録 1通
第5 不動産情報取得の場合の対象裁判所についての参考記載(民事執行法205条2項) 不動産に関する情報取得手続は、対象不動産の所在地を管轄する法務局その他の登記所を情報提供先とし、当該登記所の所在地を管轄する地方裁判所ではなく、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所に申し立てるものとする。
第6 決定後の債務者への通知時期についての意見(任意記載) 債権者は、情報の提供命令が発せられた場合における債務者への通知(民事執行法208条2項)について、情報提供がされた後速やかに行われることを希望する。財産の散逸防止の観点から、通知時期に関する意見を上申書として付する。
(別紙)当事者目録 【申立人(債権者)】住所【 】 氏名又は名称【 】 【相手方(債務者)】住所【 】 氏名又は名称【 】 【情報提供先(第三者)】名称【 】 所在地【 】
(別紙)情報対象目録(預貯金の例) 債務者が情報提供先に開設している預貯金口座に係る下記事項 1 取扱店舗 2 預貯金の種別及び口座番号 3 基準時点における預貯金額
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節 債権者の立場から
1 情報の種類ごとに前置要件(財産開示手続の先行)の有無が異なるため、申立ての理由部分を情報類型別に節分けし、前置要件を満たす類型と満たさない類型を明確に区分して記載する形に書き換える。理由は、預貯金情報は前置不要だが不動産・給与情報は原則前置が必要であり、混同すると却下・補正のリスクがあるためである。 2 複数の金融機関に一括して照会する場合、情報提供先目録に支店網や照会対象金融機関コードを列挙し、全国照会システムを利用する旨を付記する。理由は、債務者の口座所在が不明な場合に照会範囲を広げる必要があるためである。 3 場面バリエーション(高額請求の場合) 高額の未払があり複数の財産類型(預貯金・不動産・給与)を並行して照会したい場合、それぞれ別個の申立書として構成しつつ、共通の疎明資料(債務名義写し等)を相互参照する記載にする。理由は、情報類型ごとに管轄・要件が異なり一体の申立てにはなじまないためである。 4 場面バリエーション(相手方が法人の場合) 債務者が法人の場合、給与情報取得手続(民事執行法206条)は自然人の給与債権を対象とするため利用できない旨に留意し、預貯金・不動産情報取得に絞って構成する。理由は、対象外の情報類型を含めると申立ての一部が不適法となるためである。 5 場面バリエーション(相手方が個人で勤務先不明の場合) 養育費請求権に基づき給与情報を求める場合で勤務先が全く不明なときは、日本年金機構等(厚生年金保険の実施機関)を情報提供先として指定し、その保有する情報の範囲(事業所名称・所在地)を情報対象目録に明記する。理由は、対象となる公的機関ごとに保有情報の内容が異なるため、目録上で取得したい情報項目を具体的に特定する必要があるためである。
B節 裁判所・情報提供者の立場から
1 情報提供先(登記所・市町村・金融機関等)の立場では、回答書のひな形に「回答期限」「回答方法(書面/オンライン)」「手数料の負担者」を明記する欄を追加する。理由は、情報提供実務における事務負担を明確化し円滑な回答を確保するためである。 2 裁判所の立場からは、決定書に情報提供先への送付方法及び債務者への通知時期(民事執行法208条2項の通知時期)を明記する運用が想定されるため、申立書段階で通知時期に関する意見(債務者への財産散逸防止の観点からの通知時期調整の希望)を上申書で付記できるようにする。理由は、通知により債務者が財産を移動させるリスクに配慮するためである。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、債権者が債務名義を有しているにもかかわらず債務者の財産所在が不明で強制執行に着手できない場合に、金融機関・登記所・市町村等の第三者から財産情報の提供を受けるために使用する。財産開示手続を経ずに直ちに不動産・給与情報を取得することは原則としてできないため、その場合は本書式ではなく先に財産開示手続申立書を用いる必要がある。
根拠法令は民事執行法204条から211条までである。預貯金等情報(同法207条)は財産開示前置が不要であるのに対し、不動産情報(同法205条)及び給与情報(同法206条)は原則として財産開示手続の実施決定(申立て日前3年以内)を経ていることが要件となる点、また給与情報は養育費等の扶養義務等に係る請求権又は生命・身体の侵害による損害賠償請求権を有する債権者に限定される点が重要な区別である。
よくある失敗の第一は、給与情報取得の要件(扶養義務等・人身損害に限定)を満たさないのに申し立ててしまうことである。対策として、請求債権の性質を疎明資料(養育費に関する調停調書等)で明確にする。第二の失敗は、不動産・給与情報について財産開示手続の先行を証明する資料を添付し忘れることである。対策として、財産開示実施決定書の写しを必ず添付書類に含める。第三の失敗は、情報提供先の名称・所在地の特定を誤り決定書の送付が不能となることである。対策として、金融機関であれば本店所在地、登記所であれば管轄区域を正確に確認する。第四の失敗は、管轄裁判所を情報提供先の所在地で誤って選定することである。対策として、不動産情報取得の場合であっても申立先は債務者の普通裁判籍所在地の地方裁判所であることを条文で確認する。
情報類型ごとの前置要件や管轄裁判所の判断は改正法の運用を含め専門的であるため、申立て前に弁護士等の専門家に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
1 執行力ある債務名義を有しているか確認したか 2 取得したい情報の種類(預貯金/不動産/給与)を特定したか 3 不動産・給与情報の場合、財産開示手続の実施決定(3年以内)を得ているか 4 給与情報の場合、請求債権が養育費等又は人身損害に該当するか確認したか 5 情報提供先(金融機関・登記所・市町村等)の名称・所在地を正確に記載したか 6 複数の金融機関に照会する場合、対象を目録で網羅的に列挙したか 7 送達証明書等の添付書類を揃えたか 8 提出先裁判所の管轄を確認したか 9 通知時期に関する希望(財産散逸防止の観点)を検討したか 10 予納郵券・手数料を確認したか 11 決定後の債務者への通知時期に関する希望を上申書にまとめたか 12 取得した情報を用いた次の執行手続(差押命令申立て等)の準備方針を検討したか