交通事故など第三者の行為による労働災害を労働基準監督署へ届け出る書式です。加害者情報、事故状況、示談の有無を記載します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
第三者行為災害届
第1部: 書式本文
【提出先】【 】労働基準監督署長 殿 【提出日】令和【 】年【 】月【 】日 【被災労働者】【氏名】(所属【 】/雇用形態【 】) 【事業場(証明者)】名称【 】 所在地【 】 証明者役職・氏名【 】
第三者行為災害届
【災害発生日時】令和【 】年【 】月【 】日【 】時頃 【災害発生場所】【 】 【災害の種類】交通事故(通勤途上を含む)/暴行/その他第三者の行為による災害【 】 【第三者(加害者)の情報】 氏名【 】/住所【 】/連絡先【 】 (交通事故の場合)車両登録番号【 】/加入自賠責保険会社【 】/加入任意保険会社【 】 【事故状況の詳細】【発生に至る経緯、過失の所在に関する認識、警察への届出状況(事故証明書の有無)】 【被災労働者の傷病の内容・程度】【部位、診断名、休業見込み】 【示談の有無】あり/なし (ありの場合)示談年月日【 】/示談金額・内容の概要【 】/示談書の写しの添付有無【 】 (なしの場合)示談交渉の予定・状況【 】 【他の保険給付の請求状況】自賠責保険への請求【予定・済/未定】/加害者側任意保険会社との交渉状況【 】 【添付書類】交通事故証明書の写し/診断書/示談書の写し(該当する場合) 【弁護士・保険会社等への相談状況】【相談先、相談日、相談内容の概要(相談していない場合はその旨)】 【本届出に関する会社側連絡担当者】【氏名・部署・電話番号】
以上
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 被災労働者側
- 記載例1: 「通勤途上の交通事故の場合、【事故状況の詳細】欄に通勤経路からの逸脱・中断がなかったことを示す情報(通常の通勤経路、事故発生地点との関係)を明記し、通勤災害としての認定に必要な情報を併せて記載する。」 一言解説: 第三者行為災害であることと通勤災害としての要件充足は別個に判断されるため、両方の観点から必要な情報を漏れなく記載する必要がある。
- 記載例2: 「暴行等、交通事故以外の第三者の行為による災害の場合、【第三者(加害者)の情報】欄に事件性の有無(刑事告訴・被害届の提出状況)を追記し、警察への届出内容と整合する記載とする。」 一言解説: 暴行事案では刑事手続の進行状況が労災の事実認定にも影響し得るため、警察への届出内容との整合性を確認しておくことが望ましい。
- 記載例3: 「加害者との示談交渉を進めている場合、示談成立前に本届出を提出し、示談成立後は示談書の写しを追送する運用に書き換える。」 一言解説: 示談成立を待ってから届出を行うと労災保険給付の請求自体が遅延するため、届出と示談交渉は並行して進めることが望ましい。
- 記載例4: 「加害者側の任意保険会社から直接連絡があり治療費の一括対応(一括払い)を打診された場合、【他の保険給付の請求状況】欄にその対応状況を記載し、労災保険による対応と保険会社による一括対応のいずれを優先するかの検討状況を付記する形に書き換える。」 一言解説: 一括対応と労災保険給付のどちらを利用するかにより過失相殺の扱いが異なり得るため、選択の経緯を記録に残しておくことが望ましい。
B節: 会社(証明者)側
- 記載例1: 「会社が事故状況を直接把握していない場合(私用中の事故等)、証明者欄の証明範囲を『被災労働者からの申告内容に基づく』旨に限定した記載に書き換える。」 一言解説: 会社が現認していない事実まで断定的に証明すると、後日の事実関係の齟齬が生じた際に証明者としての信用性が問われるため、申告に基づく旨を明示することが望ましい。
- 記載例2: 「通勤災害の場合、会社が把握している届出済みの通勤経路情報を証明者側の記載として追記し、被災労働者の申告内容との整合性を確認したうえで証明する形に書き換える。」 一言解説: 会社に届出済みの通勤経路と実際の被災場所に相違がある場合、その理由を確認しておかないと後日の労災認定審査で疑義が生じる可能性がある。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、交通事故等、労働災害の原因が事業主以外の第三者の行為による場合に、その事実を所轄労働基準監督署へ届け出るために使用する。使用すべき場面は、通常の労災保険給付請求書に加えて、加害者が存在する災害であることを監督署に明らかにする必要がある場合であり、使ってはならない場面は、加害者との間で既に示談が成立し、かつ示談条項に労災保険給付との調整に関する記載がないまま、届出を怠って給付請求のみを進める場面である。示談の内容次第では、後述する政府の求償権の行使に支障が生じるおそれがある。
法的根拠として、労働者災害補償保険法第12条の4は、政府が保険給付を行った場合、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償請求権を取得する(求償)旨、及び受給権者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、その価額の限度で保険給付をしないことができる(控除)旨を定めている。同法施行規則第22条は、第三者の行為による事故の場合、保険給付請求書に第三者行為災害届を添えて提出しなければならない旨を定めている。この届出により、監督署は求償又は控除の対象となる事実関係を把握し、労災保険給付と加害者からの損害賠償との間の調整を行うことになる。
実務上特に注意すべき点として、被災労働者が労災保険給付を受ける前に、加害者との間で早期に示談を成立させ、かつ当該示談において将来の労災保険給付分も含めて一切の請求権を放棄する内容としてしまうと、政府がその後に保険給付を行おうとしても、既に放棄された損害賠償請求権を求償の対象とすることができなくなり、結果として労災保険給付自体が制限される可能性がある。したがって、示談を検討する段階では、労災保険給付との関係を踏まえた条項設計が必要であり、拙速な示談締結は避けるべきである。
実務でよくある失敗として、第一に、第三者行為災害に該当することに気づかず、通常の労災保険給付請求書のみを提出してしまう例がある。対策として、【災害の種類】欄で第三者の行為による災害であるか否かを必ず確認する構成とした。第二に、示談を先行させてしまい、労災保険給付の調整に支障が生じる例がある。対策として、示談の有無・状況を届出内容に含め、示談前の届出を促す記載を第2部A節で示した。第三に、会社側が事実関係を十分確認せずに証明してしまい、後日の食い違いの原因となる例がある。対策として、証明範囲を申告内容に基づく旨に限定する記載を第2部B節で示した。なお、求償・控除の具体的な調整方法や示談条項の設計については事案ごとに異なるため、個別事案については弁護士等の専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 災害の種類が第三者の行為によるものであることを確認しているか
- [ ] 加害者(第三者)の氏名・住所・保険加入状況を記載しているか
- [ ] 事故状況の詳細(過失の所在に関する認識を含む)を記載しているか
- [ ] 交通事故証明書等の客観的資料を添付しているか
- [ ] 示談の有無・内容を正確に記載しているか
- [ ] 示談を検討している場合、労災保険給付との調整を踏まえた条項になっているか
- [ ] 通勤災害に該当する場合、通勤経路の逸脱・中断の有無を確認しているか
- [ ] 会社(証明者)が現認していない事実を断定的に証明していないか
- [ ] 自賠責保険・任意保険会社との交渉状況を記載しているか
- [ ] 労災保険給付請求書と併せて提出する体制になっているか
- [ ] 加害者側任意保険会社との一括対応の有無・選択状況を記録しているか
- [ ] 会社側連絡担当者を明記しているか