大会の参加資格と競技ルールを定める規約です。不正行為の禁止、賞金の支払と税務、配信映像の権利帰属を明確にします。自社の実情に合わせて条項を取捨選択できる構成です。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
eスポーツ大会参加規約
第1部: 書式本文
甲(【大会名称】の主催者。以下「甲」という。)と乙(本大会への参加者。以下「乙」という。)は、甲が開催する【大会名称】(以下「本大会」という。)への参加に関し、次のとおりeスポーツ大会参加規約(以下「本規約」という。)を締結する。
第1条(適用範囲) 本規約は、本大会への参加登録を行った全ての参加者に適用され、乙は参加登録をもって本規約の内容に同意したものとみなす。
第2条(参加資格) 1 乙は、甲が定める参加資格(年齢、地域、対象タイトルの保有アカウント等)を満たす者でなければならない。 2 甲は、参加資格を満たさないと判断した乙のエントリーを拒否又は取り消すことができる。
第3条(参加登録) 乙は、甲が指定する方法及び期限までにエントリーを行い、必要な情報を正確に申告するものとする。虚偽の申告が判明した場合、甲は当該エントリーを無効とすることができる。
第4条(競技ルールの遵守) 乙は、甲が別途定める競技ルール、対戦形式及び使用機材に関する規定を遵守するものとする。
第5条(不正行為の禁止) 乙は、本大会において、チート行為、不正なプログラムの使用、八百長、意図的な回線切断その他の不正行為を行ってはならない。
第6条(不正アクセスの禁止) 乙は、本大会の運営システム、対戦サーバー又は他の参加者の端末に対し、不正アクセス行為の禁止等に関する法律に違反する不正アクセス行為(アクセス制御機能を回避した識別符号の不正利用等)を行ってはならない。
第7条(賞金) 1 甲は、本大会の成績上位者に対し、別途甲が定める賞金を支払う。 2 賞金の支払は、参加者本人名義の口座への振込その他甲が定める方法により行う。
第8条(賞金の税務上の取扱い) 1 個人が受領する賞金は、所得税法上、原則として一時所得に該当し得るものとし、乙は自己の責任において確定申告その他必要な税務手続を行う。 2 甲は、法令上必要とされる場合、支払調書の提出その他の税務上の手続に協力する。
第9条(配信・映像の権利帰属) 1 本大会の対戦画面、実況及び演出を含む配信映像に関する著作権は甲に帰属する。 2 乙のゲームプレイ映像及びコメントが配信に含まれる場合、乙は当該範囲において甲が配信映像を複製、公衆送信及び二次利用することを許諾する。
第10条(肖像等の使用許諾) 乙は、本大会に関連する広報、記録映像及びダイジェスト映像において、甲が乙の氏名、ゲーマータグ、写真及び映像を使用することを許諾する。
第11条(失格・処分) 甲は、乙が第4条から第6条までの規定に違反したと判断した場合、乙を失格とし、又は獲得した賞金の全部若しくは一部の返還を求めることができる。
第12条(免責) 1 甲は、通信障害、サーバートラブルその他甲の合理的な管理を超える事由により生じた乙の損害について、甲の故意又は重過失による場合を除き、責任を負わない。 2 乙は、本大会への参加が自己の判断と責任において行われるものであることを承諾する。
第13条(個人情報の取扱い) 甲は、乙から取得した個人情報を、本大会の運営、賞金支払及び本規約に定める目的の範囲内で利用し、法令に基づく場合を除き第三者に提供しない。
第14条(規約の変更) 甲は、本大会の運営上必要と判断した場合、乙への事前告知のうえ本規約の内容を変更することができる。
第15条(協議・合意管轄) 1 本規約に定めのない事項及び疑義については、甲乙誠実に協議のうえ解決する。 2 本規約に関する紛争については、【管轄裁判所】を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
本規約への同意の証として、乙は参加登録手続を行うものとする。書面による締結を行う場合は次のとおり記名押印する。
【参加登録日】
甲(大会主催者) 住所: 名称: 代表者: 印
乙(参加者) 住所: 氏名: 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節 大会主催者の立場から有利にする修正
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失格処分の裁量拡大(第11条の書き換え) 「甲は、乙に不正行為の疑いがあると合理的に判断した場合、調査結果の確定を待たず、暫定的に乙の出場を停止することができる。」 一言解説: 不正が疑われる段階で迅速に対応できるようにし、大会の公正性を守る。
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賞金返還請求権の強化(第7条の書き換え) 「賞金支払後に乙の不正行為が判明した場合、甲は乙に対し、支払済みの賞金全額及び調査費用相当額の返還を請求できる。」 一言解説: 事後的な不正発覚時の原状回復手段を明確にする。
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免責範囲の拡大(第12条の書き換え) 「甲は、天災、通信事業者の障害、第三者によるサイバー攻撃その他甲の直接の管理下にない事由により本大会が中止又は変更された場合、乙に対し一切の責任を負わない。」 一言解説: 外部要因によるトラブルの責任を主催者が負わない範囲を明確化する。
B節 参加者の立場から有利にする修正
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失格処分の手続保障(第11条の書き換え) 「甲は、乙を失格とする前に、乙に対し弁明の機会を与えるものとし、乙は処分内容について甲に対し異議を申し立てることができる。」 一言解説: 一方的な失格処分から参加者の手続的な権利を確保する。
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賞金支払期日の明記(第7条の書き換え) 「甲は、本大会終了後【30日】以内に、成績確定した賞金を乙に支払うものとする。」 一言解説: 賞金支払の遅延を防ぎ、参加者の収入予見可能性を高める。
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配信映像利用の対価(第9条の書き換え) 「甲が乙のゲームプレイ映像を本大会のダイジェスト以外の商業的な二次利用(広告出演等)に使用する場合、甲乙別途協議のうえ対価を定める。」 一言解説: 大会運営目的を超える映像利用について参加者にも対価が及ぶようにする。
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個人情報の利用範囲限定(第13条の書き換え) 「甲は、乙の個人情報を本大会の運営及び賞金支払に必要な範囲に限定して利用し、マーケティング目的での利用には乙の別途の同意を要する。」 一言解説: 参加登録情報が無断で販促目的に転用されることを防ぐ。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、オンライン又はオフラインで開催されるeスポーツ大会において、主催者が参加者との間で参加条件、競技ルール及び賞金の取扱いを定める場面で用いる。企業の社内イベントとして無償の余興大会を行う場合など、賞金の授受や配信映像の商業利用が想定されない小規模な催しでは、本書式ほどの詳細な規定は不要な場合がある一方、賞金総額が大きい大会や、放送・配信による収益化を伴う大会では、本書式の各条項を個別に精査して用いるべきである。
景品表示法との関係では、大会主催者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して賞金類を提供する場合には景品類規制が問題となり得るが、参加者の技量を競う競技の結果として賞金を交付する興行としての性格が強い大会については、取引付随性が認められにくく、景品類規制の対象外と整理され得る場合がある。もっとも、この整理は大会の実態や参加条件(商品購入を参加条件とするか等)によって異なるため、個別の確認が必要である。不正アクセス行為の禁止等に関する法律は、対戦サーバーや運営システムへの識別符号を用いない、又は他人の識別符号を無断で用いたアクセス行為等を禁止しており、チート行為の一部はこの法律にも抵触し得る。配信映像については、実況・演出・編集を伴う映像は甲の著作物として著作権法上保護され得るため、参加者のプレイ映像が含まれる場合の利用許諾を規約上明確にしておく必要がある。所得税法上、賞金は多くの場合、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得として一時所得に区分されると解されるが、プロ選手のように業として大会賞金を得ている場合は事業所得に該当し得るなど、参加者の活動実態によって区分が異なり得る点にも留意が必要である。
よくある失敗として、第一に、賞金の支払期日や振込方法を定めず、大会後の賞金トラブルに発展する例がある。第7条のように支払期日と方法を明記することが対策となる。第二に、配信映像への出演について包括的な許諾のみを取得し、大会運営目的を超えた商業利用が行われて参加者との間で紛争になる例がある。第9条のように利用範囲を明確にし、範囲外利用時の協議規定を設けることが望ましい。第三に、不正行為の定義が曖昧で、失格処分の妥当性をめぐって争いになる失敗もある。第5条・第6条のように禁止行為を具体的に列挙し、第11条で手続を明確にすることが有効である。賞金の税務区分や景品類該当性の判断は大会ごとの事情によって変わり得るため、専門家に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 参加資格(年齢・地域・アカウント保有条件等)を明記したか
- [ ] エントリー方法・期限・虚偽申告時の取扱いを定めたか
- [ ] 競技ルール・使用機材に関する規定を別紙等で明確にしたか
- [ ] 不正行為(チート・八百長・意図的切断等)を具体的に列挙したか
- [ ] 不正アクセス行為の禁止と違反時の処分を定めたか
- [ ] 賞金の金額・支払方法・支払期日を明記したか
- [ ] 賞金が景品表示法上の景品類に該当しないか事前に確認したか
- [ ] 賞金の税務上の取扱い(一時所得該当性等)について参加者に周知したか
- [ ] 配信映像の著作権の帰属及び参加者出演部分の利用許諾範囲を定めたか
- [ ] 肖像・ゲーマータグの使用範囲を明記したか
- [ ] 失格処分の基準と参加者の異議申立て手続を定めたか
- [ ] 個人情報の利用目的・第三者提供の可否を明記したか