主催者がホールや多目的スペースを借りて催事を行う際の使用契約書。消防法の防火管理と興行場法の許可、原状回復・中止時のキャンセル料を規定。

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イベント会場使用契約書

第1部: 書式本文

【会場運営者名】(以下「甲」という。)と【イベント主催者名】(以下「乙」という。)とは、甲が管理運営する【会場名称】(以下「本会場」という。)を乙が使用してイベントを開催することに関し、次のとおり会場使用契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(目的及び使用日時) 甲は乙に対し、本契約に定める条件に従い、下記のとおり本会場を使用させる。 使用日時:【〇〇〇〇年〇〇月〇〇日 〇時から〇時まで】(搬入・搬出時間を含む。) 催事名称・内容:【     】

第2条(使用料及び支払方法) 1. 乙は甲に対し、本会場の使用料として金【〇〇】円(消費税別)を、【〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】までに甲の指定する口座に振り込む方法により支払う。 2. 振込手数料は乙の負担とする。

第3条(法令上の許認可) 1. 乙は、本催事の内容が興行場法(昭和23年法律第137号)第2条に定める興行場に該当する常設の興行場としての営業許可を要するものではないことを前提として本会場を使用するものとし、催事の性質上、都道府県知事の許可その他の法令上の手続を要する場合は、乙の責任と費用負担において取得する。 2. 甲は、本会場が消防法(昭和23年法律第186号)第8条に基づき選任する防火管理者による防火管理体制を維持しており、同法第17条に定める消防用設備等を適法に設置していることを表明する。

第4条(防火管理への協力) 1. 乙は、本催事の実施にあたり、甲が選任する防火管理者の指示に従い、避難経路の確保、火気の使用制限その他の防火上の措置を遵守する。 2. 乙が本催事において特殊な照明、火気、危険物等を使用する場合は、事前に甲の承諾を得るとともに、所轄消防署への届出その他の法令上必要な手続を自ら行う。

第5条(施設の使用方法) 乙は、本会場の使用にあたり、甲が定める使用細則及び収容人員の上限を遵守し、これに違反した使用を行ってはならない。

第6条(原状回復) 1. 乙は、本催事終了後、乙又は来場者の行為により生じた損傷を修復し、本会場を使用開始前の状態に原状回復した上で甲に返還する。 2. 乙が定められた期限までに原状回復及び退去を完了しない場合、甲は乙の負担において必要な措置を講じることができる。

第7条(施設賠償責任及び損害賠償) 1. 甲は、本会場の設備の瑕疵に起因して乙又は来場者に生じた損害について、甲に故意又は過失がある場合に限り賠償責任を負う。 2. 乙は、本催事の実施又は来場者の行為に起因して第三者に生じた損害について、自らの責任と費用負担において対応するものとし、必要に応じてイベント保険その他の賠償責任保険に加入する。

第8条(中止・変更) 1. 乙は、催事を中止又は延期する場合、速やかに甲に通知するものとし、第9条に定めるキャンセル料を負担する。 2. 甲は、天災その他の不可抗力又は本会場の使用に支障を生じる事由が発生した場合、乙に通知の上、本契約を解除し、又は使用日時の変更を求めることができる。

第9条(キャンセル料) 1. 乙の都合により本催事を中止する場合、乙は甲に対し、使用日の【30】日前まではキャンセル料を要しないものとし、以後、使用日までの残日数に応じて次のキャンセル料を支払う。使用日の【29日前から15日前まで】は使用料の【30】パーセント、【14日前から7日前まで】は使用料の【50】パーセント、【6日前から当日まで】は使用料の【100】パーセントとする。 2. 天災、感染症の拡大その他の不可抗力により催事を中止する場合、甲乙協議の上、キャンセル料の全部又は一部を免除することができる。

第10条(反社会的勢力の排除) 甲及び乙は、自己が暴力団その他の反社会的勢力に該当せず、これらと関係を有しないことを表明し保証する。

第11条(協議及び合意管轄) 本契約に関する紛争は、【〇〇地方裁判所】を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

以上の合意を証するため本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各自1通を保有する。

【〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】

(甲) 名称:【     】 代表者:【     】 印 (乙) 名称:【     】 代表者:【     】 印

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. 会場運営者(貸主)向け

A-1. 火気や特殊演出を伴う公演での使用

第4条2項追加例:「乙が火気、煙効果、特殊照明等を使用する場合、催事開催日の【14】日前までに使用計画書を甲に提出し、甲及び所轄消防署の確認を得るものとする。」 解説: 事前の使用計画書提出を義務付けることで、消防法第8条の防火管理者による安全確認の実効性を高める。

A-2. 感染症流行時等の不可抗力による中止

第9条2項修正例:「感染症の拡大に伴う行政による自粛要請等を理由とする中止の場合、甲は既に発生した実費相当額を超えるキャンセル料を請求しない。」 解説: 不可抗力時のキャンセル料算定基準を実費相当額に限定することで、紛争の予防と主催者との信頼関係維持を図る。

B. イベント主催者(借主)向け

B-1. 来場者の事故発生に備える場面

第7条2項修正例:「乙は、本催事の開催に先立ち、来場者及び第三者に対する損害を補償するイベント保険に加入し、加入を証する書類を甲に提出する。」 解説: 保険加入の証明提出を義務付けることで、事故発生時の賠償原資を確保し、主催者自身のリスクを限定する。

B-2. 使用料の分割払いを希望する場面

第2条1項修正例:「乙は使用料の【50】パーセントを契約締結時に、残額を使用日の【7】日前までに支払う。」 解説: 分割払いとすることで初期の資金負担を軽減しつつ、甲にとっても開催直前の未収リスクを一定程度回避できる。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

使う場面・使ってはいけない場面 本書式は、ホールや多目的スペース等の施設を単発又は短期間のイベント目的で使用させる場合に用いる。常設の興行場として継続的に興行を行わせる場合や、会場運営者自身が興行主として催事を主催する場合には、興行場法上の許可名義や施設運営の責任分担が異なるため、本書式ではなく別途の契約構成を検討すべきである。

根拠法令 消防法第8条は一定規模以上の施設の管理権原者に防火管理者の選任を義務付け、同法第17条は消防用設備等の設置及び維持を義務付ける。これらは会場運営者が施設管理者として負う法定義務であり、主催者の防火協力義務(第4条)はこれを実効化するための契約上の手当てである。また、興行場法第2条は映画、演劇等を公衆に見せる施設の常設的な営業について都道府県知事の許可を要求するものであり、単発のイベント会場貸与がこれに該当するかは催事の性質によって異なるため、該当性の判断は個別に確認を要する。

実務でよくある失敗と対策 第一に、キャンセル料の算定基準を定めず、天災等による中止時に紛争化する失敗がある。第9条のように残日数に応じた段階的な基準と不可抗力時の協議条項を併記する。第二に、施設の瑕疵と主催者・来場者の行為に起因する損害の責任分担が曖昧なまま契約する失敗がある。第7条のように帰責事由に応じて分離する。第三に、火気や特殊演出を伴う催事において消防法上の手続を主催者任せにし、当日になって使用できない事態が生じる失敗もある。会場の規模や用途、所在地の条例により必要な手続は異なるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 使用日時に搬入・搬出時間を含めて明記したか
  • [ ] 使用料の金額、支払期限及び分割払いの要否を確認したか
  • [ ] 催事の内容が興行場法上の許可を要するか事前に確認したか
  • [ ] 防火管理者の指示への協力義務を条項化したか
  • [ ] 火気・特殊照明等の使用がある場合の事前届出手続を定めたか
  • [ ] 原状回復の範囲及び期限を明記したか
  • [ ] 施設賠償責任保険及びイベント保険の加入要否を確認したか
  • [ ] キャンセル料の段階的な算定基準を残日数に応じて定めたか
  • [ ] 天災その他不可抗力による中止時のキャンセル料の扱いを定めたか
  • [ ] 収容人員の上限その他の使用細則を明記したか