戸建住宅(土地建物一体)の売買契約書。宅建業法37条書面の必須記載事項を満たす構成。
不動産売買契約書(土地建物・監修用ドラフト)
⚠ 本ファイルは弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布を禁止する。
商品ID: fudosan-baibai-keiyaku-tochitatemono / 価格: 4,480円 / 立場バージョン: 売主有利・買主有利・標準(中立)
本ドラフトは土地及び当該土地上の建物(戸建住宅を想定)を一体として売買する取引を対象とする。宅地建物取引業法第37条書面が求める記載事項(代金額・支払時期、引渡し時期、移転登記の申請時期、契約不適合責任の定め等)を踏まえた構成とし、第1部には標準(中立)版を掲載する。宅建業者が媒介する取引では、別途同法第35条に基づく重要事項説明書の交付が必須である点に留意する。
第1部: 契約書本文(標準版・中立)
不動産売買契約書
売主〇〇〇〇(以下「売主」という。)と買主〇〇〇〇(以下「買主」という。)とは、末尾表示の土地及び建物(以下併せて「本物件」という。)の売買について、次のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。
記
売買代金:金〇〇〇〇円 手付金:金〇〇〇〇円(売買代金の一部として売買代金支払時に充当する。) 所有権移転登記・引渡し予定日:〇〇〇〇年〇〇月〇〇日
第1条(売買の目的物)
売主は買主に対し、末尾表示の土地(以下「本件土地」という。)及び本件土地上に存する建物(以下「本件建物」という。)を、本契約に定める条件により売り渡し、買主はこれを買い受ける。
第2条(売買代金及び支払方法)
- 買主は、売主に対し、売買代金を次のとおり支払う。 (1)契約締結時:手付金として上記金額 (2)残代金支払時:売買代金から手付金を控除した残額
- 残代金の支払と同時に、売主は買主に対し本物件の所有権移転登記手続に必要な書類を交付し、本物件を引き渡す。
第3条(手付解除)
買主は売主に対し手付金を放棄して、売主は買主に対し手付金の倍額を現実に提供して、それぞれ本契約を解除することができる。ただし、相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
第4条(所有権の移転)
本物件の所有権は、買主が売主に対し売買代金の全額(手付金を除く残代金)を支払い、これと引換えに売主が引渡し及び所有権移転登記に必要な書類の交付を完了した時に、売主から買主に移転する。
第5条(引渡し)
- 売主は、買主に対し、残代金支払と同時に本物件を現状有姿にて引き渡す。
- 売主は、引渡しまでに本件建物内の動産及び残置物を撤去し、本物件を買主が円滑に使用できる状態にしなければならない。
第6条(所有権移転登記)
- 売主は、残代金の支払を受けるのと同時に、買主に対し本物件の所有権移転登記手続に協力する。
- 登記手続に要する費用は、別段の定めがない限り買主の負担とする。ただし、売主の負担すべき抵当権抹消登記等の費用は売主の負担とする。
第7条(負担の除去)
売主は、残代金の受領時までに、本物件に付されている抵当権、質権、先取特権その他買主の完全な所有権行使を阻害する負担を除去し、完全な所有権を買主に移転しなければならない。
第8条(公租公課等の精算)
本物件に賦課される固定資産税及び都市計画税その他の公租公課は、引渡し日を基準として日割り計算のうえ、引渡し日の前日までを売主の負担、引渡し日以降を買主の負担として精算する。
第9条(境界の明示)
- 売主は、引渡しまでに、買主の立会いのもと本件土地の境界を現地において買主に明示する。
- 隣接地との境界標が存しない箇所がある場合、売主はその設置に協力するものとし、費用負担については別途協議する。
第10条(契約不適合責任)
- 引き渡された本物件が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものであるとき(雨漏り、シロアリの害、建物構造上主要な部分の腐食等の隠れた不具合を含む。)は、買主は、売主に対し、修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完、代金減額、損害賠償又は契約の解除を請求することができる。
- 買主は、本条に基づく請求権を、本物件の引渡しを受けた日から〇か月以内に売主に通知しないときは、当該不適合を理由とする請求をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときはこの限りでない。
- 前2項の規定は、本件土地における土壌汚染、地中埋設物その他の契約不適合についても準用する。
第11条(住宅ローン特約)
- 買主が本物件の購入資金の全部又は一部を金融機関からの借入れにより調達することを予定している場合、買主は速やかに融資の申込手続を行う。
- 買主が金融機関所定の期日までに融資の承認を得られなかったときは、買主は売主に対し、本契約を解除する旨を書面により通知することができる。この場合、売主は受領済みの手付金を無利息にて買主に返還する。
第12条(危険負担)
本物件の引渡し前に、天災その他売主及び買主いずれの責めにも帰することができない事由により本物件の全部又は一部が滅失又は毀損したときは、売主がその修復又は代替措置を講じるものとし、修復が不可能な程度に至った場合は、買主は本契約を解除することができる。
第13条(反社会的勢力の排除)
- 売主及び買主は、自己(自己の役員を含む。)が暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業その他これらに準ずる者に該当しないことを表明し、保証する。
- 前項の表明保証に違反した場合、相手方は何らの催告を要せず本契約を解除することができる。
第14条(協議事項)
本契約に定めのない事項又は疑義が生じた事項については、売主及び買主が誠意をもって協議のうえ解決する。
第15条(合意管轄)
本契約に関する紛争については、本物件の所在地を管轄する地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
以上、本契約締結の証として本書2通を作成し、売主・買主記名押印のうえ、各自1通を保有する。
〇〇〇〇年〇〇月〇〇日
(売主)住所 氏名 印 (買主)住所 氏名 印
物件の表示 土地:所在・地番・地目・地積 建物:所在・家屋番号・種類・構造・床面積
第2部: 立場別修正パターン
A. 売主有利バージョンへの変更
A-1. 第10条(契約不適合責任)の通知期間短縮・免責範囲の拡大
修正後: 通知期間を「引渡しを受けた日から3か月以内」に短縮し、かつ「本物件は現状有姿で引き渡すものとし、雨漏り、シロアリの害及び給排水管の故障を除き契約不適合責任を負わない」旨の限定を追加する。個人間・中古住宅の売買で用いられる代表的な売主保護条項であるが、買主が消費者の場合、宅建業者が売主となる取引では宅建業法40条により引渡しから2年以上の期間を下回る特約は無効とされる点に注意を要する。
A-2. 第11条(住宅ローン特約)の解除期限を明確に限定
修正後: 融資否認による解除の通知期限を「契約締結日から〇日以内」と明記し、期限経過後は買主が自己都合で解除する場合と同様の違約金(売買代金の20%相当額を上限とする損害賠償の予定)を課す。
A-3. 第9条(境界の明示)の売主義務を「実測売買」から「公簿売買」に変更
修正後: 「本件土地は公簿面積による取引とし、実測面積と公簿面積が相違しても売買代金の増減精算は行わない」旨を明記する(公簿売買)。買主にとっては面積差異のリスクを負うことになるため、実測売買を求められる可能性がある。
A-4. 第7条(負担の除去)の履行時期を柔軟化
修正後: 抵当権抹消登記について「残代金受領と同時に抹消手続を行う」旨に変更し、事前抹消を不要とする(決済時同時抹消は実務上一般的である)。
A-5. 第12条(危険負担)に売主の解除権を追加
追加条文例: 「本物件の滅失又は毀損により売主の履行が著しく困難となったときは、売主も本契約を解除することができる。」
B. 買主有利バージョンへの変更
B-1. 第10条(契約不適合責任)の通知期間延長・調査協力義務の追加
修正後: 通知期間を「引渡しを受けた日から2年以内」に延長し、加えて「売主は、本物件の状況について買主が実施するインスペクション(建物状況調査)に協力するものとする」との条項を追加する。中古住宅売買では、宅地建物取引業法上、媒介契約締結時にインスペクション業者のあっせんの可否を説明する義務が宅建業者に課されている点も踏まえ、買主側から調査協力義務の明記を求める例が多い。
B-2. 第9条(境界の明示)を実測売買に変更
修正後: 「引渡しまでに売主の費用負担により本件土地の確定測量を行い、実測面積に基づき売買代金を精算する」旨に変更する。
B-3. 第11条(住宅ローン特約)の解除条件を緩和
修正後: 融資の一部承認・条件付き承認の場合も解除事由に含め、買主の解除権行使のハードルを下げる。
B-4. 第7条(負担の除去)に事前抹消の原則を明記
修正後: 「売主は、残代金受領前に本物件に付された担保権を抹消しなければならない」との原則を明記し、同時抹消の場合の書類確認手続(司法書士による本人確認・決済立会い)を条項化する。
B-5. 第2条(支払方法)の残代金支払時期を検査後に設定
修正後: 「買主は、本物件の契約不適合の有無について、引渡し前に自己の費用で調査することができ、重大な不適合が判明した場合は残代金の支払を留保できる」旨を追加する。
C. 標準(中立)バージョンの位置づけ
第1部の本文がこれに該当する。個人間又は宅建業者媒介による戸建住宅(土地建物一体)の売買を想定し、宅建業法37条の必要記載事項を満たしつつ、双方の利害をバランスさせる構成とする。
D. 取引類型別の追加特約例
D-1. 古家付き土地(買主が建物を解体予定)の場合
追加条文例: 「買主は、本件建物を解体し土地として利用することを前提として本契約を締結するものとし、本件建物の契約不適合責任(第10条)は本件土地の契約不適合責任にのみ限定して適用する。」
解説: 建物の解体を前提とする取引では、建物自体の品質に関する契約不適合責任を実質的に問題にしない特約を置くのが一般的である。ただし、解体費用が想定を超える地中埋設物・土壌汚染等が判明した場合の扱いは別途明記する必要がある。
D-2. 相続不動産の売買の場合
追加条文例: 「売主は、本物件が被相続人〇〇〇〇の相続財産であり、相続人全員の同意に基づき本契約を締結するものであることを表明し、保証する。」
解説: 相続登記未了の不動産や共有名義の不動産では、売主適格(真の権利者であるか)を巡るリスクが高いため、相続関係の表明保証条項を追加することが望ましい。2024年施行の相続登記義務化(不動産登記法改正)との関係で、未登記の相続不動産の取扱いにも留意が必要である。
D-3. 建築確認未取得・既存不適格建物の場合
追加条文例: 「売主は、本件建物が建築基準法上の検査済証を取得していないこと(又は現行の建築基準法に適合しない既存不適格建物であること)を買主に告知し、買主はこれを了承のうえ本契約を締結する。」
解説: 検査済証の不存在や既存不適格は、住宅ローンの利用可否にも影響するため、告知義務を明確化し、住宅ローン特約(第11条)との関係を整理しておく必要がある。
第3部: 逐条解説(購入者向け)
総論(宅建業法との関係) 宅建業者が売買を媒介・代理する場合、契約締結前に同法35条に基づく重要事項説明書の交付・説明が必要であり、契約締結後(又は同時)に同法37条書面(代金額・支払時期、引渡し時期、移転登記の申請時期、契約不適合責任に関する定め等を記載した書面)を交付する義務を負う。本テンプレートはこの37条書面の必須記載事項を契約書本文に統合する構成である。個人間の直接取引でも、記載内容の水準としてこれらの事項を満たすことが望ましい。
第1条(売買の目的物) 土地と建物を一体で売買する旨を明確にする条項。区分所有建物(マンション)とは異なり、土地の持分割合等の記載は不要である。
第2条(売買代金及び支払方法) 手付金の性質(解約手付)は第3条と連動する。実務上、手付金は売買代金の1割前後とする例が多い。
第3条(手付解除) 民法557条に対応する任意規定。「履行の着手」の解釈(測量の実施、登記書類の準備等が着手にあたるか)は裁判例の蓄積があるテーマであり、解除期限を契約書上で明確化(例:「〇年〇月〇日まで」)しておくと紛争予防になる。
第4条(所有権の移転) 所有権移転時期を「代金完済+引渡し・登記書類交付」の時点とする実務的な定め方。契約締結時に移転する旨の特約も可能だが、対抗要件(登記)を欠く期間のリスクを買主が負うことになる。
第5条(引渡し)・第6条(所有権移転登記) 引渡しと決済(残代金支払・移転登記書類交付)を同時に行う「同時履行」が実務の基本形である。
第7条(負担の除去) 売主が抵当権付きの物件を売却する場合、決済時に売買代金の一部を抹消費用に充当する「同時抹消」の実務運用を条項化しておくと、司法書士による決済立会いの実務と整合する。
第8条(公租公課等の精算) 固定資産税等の日割精算は法律上の義務ではなく実務慣行だが、宅建業法37条書面の記載事項でもあり、必ず明記する。
第9条(境界の明示) 公簿売買か実測売買かは代金精算方法に直結する重要な選択事項であり、購入者にはどちらの方式を採用するか明確に選択させる必要がある。
第10条(契約不適合責任) 2020年施行の改正民法により「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に整理された。宅建業者が自ら売主となる場合、宅建業法40条により引渡しの日から2年以上とする特約以外で買主に不利な特約をすることは原則として無効とされる点に注意が必要である。
第11条(住宅ローン特約) 融資が承認されなかった場合に手付金を無利息で返還し契約を白紙解除できる、買主保護のための標準的な特約である。解除期限を明記しないと売主が長期間契約に拘束されるリスクがある。
第12条(危険負担) 2020年民法改正により危険負担の債務者主義(民法536条)が原則となったが、不動産売買では引渡し前の滅失リスクは売主が負う扱いを契約で明記するのが一般的である。
第13条〜第15条(反社条項・協議・管轄) 不動産取引では反社会的勢力排除条項は宅建業者の媒介実務上ほぼ必須とされている。
第4部: 監修者への確認依頼事項
- 第10条の契約不適合責任の通知期間(〇か月)について、個人間売買・宅建業者媒介売買それぞれの実務相場(例:3か月、6か月、2年)を購入者向けにどう例示すべきか確認いただきたい。
- 宅建業者が自ら売主となる取引に本テンプレートを転用する場合、宅建業法40条(担保責任についての特約の制限)に抵触しない旨の注記を第2部Aバージョンに追加すべきか確認いただきたい。
- 第9条の公簿売買・実測売買の選択について、標準版でどちらをデフォルトとして掲載するのが実務上望ましいか確認いただきたい。
- 第11条の住宅ローン特約の解除期限について、標準的な設定日数(契約締結日から30日〜45日等)を本文に例示すべきか確認いただきたい。
- 土壌汚染対策法・地中埋設物に関する調査義務について、本物件が旧工場跡地等である可能性がある場合の追加調査条項の要否を確認いただきたい。
- 消費者である個人買主と事業者である売主との取引の場合、消費者契約法上の不当条項規制との関係で、第2部A-2の違約金条項(売買代金の20%相当額)の上限設定が妥当か確認いただきたい。
- 本テンプレートは戸建住宅(土地建物一体)を想定しているが、区分所有建物(マンション)売買及び古家付き土地(建物解体前提)の取引については別商品として切り分ける方針でよいか確認いただきたい。
- 第2部D-2の相続不動産売買特約について、2024年施行の相続登記義務化を踏まえた表明保証の記載内容が最新の実務に対応しているか確認いただきたい。
総括 不動産売買は当事者にとって人生で数える程度しか経験しない高額取引であることが多く、契約書の各条項が持つ意味を平易に理解できる解説を付すことが本テンプレートの価値の中心にある。特に契約不適合責任(第10条)と住宅ローン特約(第11条)は、契約解除・損害賠償に直結しやすい条項であるため、監修時にはこの2条項の記載水準を重点的に確認いただきたい。
買主・売主それぞれが契約前に確認すべき基本事項(購入者向け補足)
買主の立場で確認すべき代表的な事項は次のとおりである。
- 重要事項説明書に記載された都市計画法・建築基準法上の制限と本契約書の記載内容に齟齬がないか
- インフラ(上下水道・ガス・私道負担等)の整備状況
- 境界確定の有無及び越境物の有無
- 住宅ローン特約(第11条)の解除期限と自己の融資審査スケジュールとの整合性
売主の立場で確認すべき代表的な事項は次のとおりである。
- 契約不適合責任の範囲を限定する特約を設ける場合であっても、故意に告げなかった事実については免責されない(民法上の信義則・宅建業法上の告知義務)こと
- 抵当権等の担保権抹消のタイミングと決済手続の整合性
- 固定資産税等の精算基準日の設定
いずれの立場でも、手付解除(第3条)の期限が経過した後は契約からの離脱が事実上困難になるため、契約締結前に融資条件・引渡し条件を十分に確認することが重要である。