宅建業法34条の2に基づく専任媒介契約書。有効期間・登録義務・報告義務の法定事項に対応。
媒介契約書(不動産・専任媒介・監修用ドラフト)
⚠ 本ファイルは弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布を禁止する。
商品ID: fudosan-baikai-keiyaku-sennin / 価格: 2,980円 / 立場バージョン: 依頼者有利・宅建業者有利・標準(中立)
本ドラフトは宅地建物取引業法第34条の2に基づき、不動産の売却又は賃貸を宅建業者に依頼する際の専任媒介契約書を対象とする。専任媒介契約は同法上、有効期間の上限(3か月)、指定流通機構への登録義務、業務処理状況の報告義務等の規制が課される類型であり、第1部にはこれらの必須記載事項を満たす標準(中立)版を掲載する。
第1部: 契約書本文(標準版・中立)
専任媒介契約書
依頼者〇〇〇〇(以下「依頼者」という。)は、宅地建物取引業者〇〇〇〇(以下「業者」という。)に対し、末尾表示の不動産(以下「本物件」という。)の売買(又は交換若しくは貸借。以下同じ。)の媒介を依頼し、業者はこれを引き受ける(以下「本契約」という。)。
記
媒介の種類:専任媒介契約(宅地建物取引業法第34条の2第1項) 有効期間:契約締結日から3か月間 媒介報酬(成約時):宅地建物取引業法に基づく国土交通大臣告示の上限額の範囲内で別途合意する額
第1条(媒介の依頼)
依頼者は業者に対し、本物件の売買の相手方を探索し、契約成立に向けた活動を行うことを依頼し、業者はこれを引き受ける。
第2条(専任媒介契約である旨)
- 本契約は、依頼者が業者以外の宅地建物取引業者に重ねて本物件の媒介又は代理を依頼することができない専任媒介契約とする。
- 依頼者が本契約の有効期間中に業者以外の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって本物件の売買契約を締結したときは、依頼者は業者に対し、第8条に定める違約金を支払う。
第3条(有効期間)
- 本契約の有効期間は、契約締結日から3か月間とする。
- 前項の期間は、依頼者の申出により更新することができる。ただし、更新の時期における依頼者の申出を要し、業者が一方的に更新することはできない。
第4条(自己発見取引)
- 依頼者は、業者の探索によらず自ら発見した相手方(以下「自己発見の相手方」という。)との間で本物件の売買契約を締結することができる。
- 依頼者は、自己発見の相手方と契約を締結しようとするときは、あらかじめ業者にその旨を通知するものとする。
第5条(指定流通機構への登録)
- 業者は、本契約締結の日から休業日を除き7日以内に、本物件の所在、規模、形質、売買すべき価額その他国土交通省令で定める事項を、指定流通機構(レインズ)に登録する。
- 業者は、登録を証する書面を遅滞なく依頼者に交付し、又は電磁的方法により提供する。
- 本物件の売買契約が成立したときは、業者は遅滞なくその旨を指定流通機構に通知する。
第6条(業務処理状況の報告)
業者は、依頼者に対し、本契約に係る業務の処理状況を2週間に1回以上(依頼者との合意により更に頻繁な報告とすることを妨げない。)、電話、電子メールその他の方法により報告する。
第7条(報酬)
- 業者は、本契約に基づき依頼者と相手方との間に本物件の売買契約が成立したときに限り、依頼者に対し報酬を請求することができる。
- 報酬の額は、宅地建物取引業法第46条に基づく国土交通大臣の定める額(速算式:売買代金額×3%+6万円(消費税別)を基本とする低廉な空家等の特例等を含む。)の範囲内で、別途合意する額とする。
- 業者は、本契約締結時に前項の報酬の全部又は一部を請求することはできない。
第8条(違約金)
- 依頼者が第3条の有効期間中に、業者以外の宅地建物取引業者の媒介若しくは代理によって、又は自ら発見した相手方以外の者との間で本物件の売買契約を締結したときは、依頼者は業者に対し、第7条に定める報酬相当額を上限とする違約金を支払う。
- 前項の場合において、業者が既に本契約に基づく業務(広告費等の実費を含む。)を遂行していたときは、依頼者はその費用を業者に償還する。
第9条(契約の解除)
- 依頼者は、業者が本契約に定める義務(指定流通機構への登録、業務処理状況の報告等)に違反したときは、相当の期間を定めて是正を催告し、当該期間内に是正されないときは本契約を解除することができる。
- 業者が第5条又は第6条の義務に違反したときは、依頼者は損害賠償を請求することを妨げない。
第10条(業者の義務)
- 業者は、本物件の売買が成立するに至るまでの間、その従事者数、取引の実績、専門知識その他媒介業務を適切に遂行する能力を活用し、通常の注意義務をもって業務を行う。
- 業者は、依頼者に対し、価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない(宅地建物取引業法第34条の2第2項)。
第11条(反社会的勢力の排除)
- 依頼者及び業者は、自己(自己の役員を含む。)が暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業その他これらに準ずる者に該当しないことを表明し、保証する。
- 前項の表明保証に違反した場合、相手方は何らの催告を要せず本契約を解除することができる。
第12条(協議事項)
本契約に定めのない事項又は疑義が生じた事項については、依頼者及び業者が誠意をもって協議のうえ解決する。
第13条(合意管轄)
本契約に関する紛争については、〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
以上、本契約締結の証として本書2通を作成し、依頼者・業者記名押印のうえ、各自1通を保有する。
〇〇〇〇年〇〇月〇〇日
(依頼者)住所 氏名 印
(業者)商号又は名称 代表者名 印 宅地建物取引業者免許番号 〇〇〇〇
物件の表示 所在・地番(家屋番号)・種類・面積・希望価額
第2部: 立場別修正パターン
A. 依頼者有利バージョンへの変更
A-1. 第7条(報酬)に成功報酬以外の請求を明確に禁止する文言を追加
追加条文例: 「業者は、契約成立に至らなかった場合、依頼者に対し広告費その他の費用を請求することはできない。ただし、依頼者の特別の依頼に基づき支出した費用であって、事前に依頼者が承諾したものはこの限りでない。」
解説: 特別の広告(新聞広告等)の費用は、依頼者の特別の依頼と承諾があれば請求できる例外があるが、これを明確に限定しないと通常の広告費まで請求される懸念がある。
A-2. 第6条(業務処理状況の報告)の頻度を引き上げ
修正後: 「1週間に1回以上」に変更し、法定の「2週間に1回以上」(専任媒介契約の場合の下限規制)よりも手厚い報告を求める。
A-3. 第8条(違約金)の上限をより低く設定
修正後: 「違約金は、業者が現に遂行した業務に要した実費相当額を上限とする」旨に変更し、報酬相当額全額の違約金請求を避ける。
A-4. 第3条(有効期間)に依頼者からの中途解除権を明記
追加条文例: 「依頼者は、業者の業務遂行状況が著しく不十分であると認めるときは、有効期間中であっても、相当の理由を示して本契約を解除することができる。」
解説: 専任媒介契約は法律上、依頼者による任意の中途解約を制限する規定はないが、業者との関係で解除条件を契約書上に明記しておくと紛争予防になる。
A-5. 第5条(指定流通機構への登録)の登録証明書の依頼者への交付方法を具体化
修正後: 「業者は、登録を証する書面(レインズ登録証明書)の写しを、登録後3営業日以内に依頼者の指定するメールアドレス宛てに送付する」旨、具体的な履行方法を明記する。
B. 宅建業者有利バージョンへの変更
B-1. 第4条(自己発見取引)に事前通知義務違反時の違約金を追加
追加条文例: 「依頼者が第2項の通知を怠り、業者に無断で自己発見の相手方と契約を締結したときは、依頼者は業者に対し、第7条に定める報酬相当額の違約金を支払う。」
B-2. 第7条(報酬)に契約締結時の預り金的性格の金員の受領を追加
修正後: 「業者は、契約成立前であっても、広告等の特別の依頼に基づき依頼者が承諾した実費については、その都度請求することができる。」
B-3. 第9条(契約の解除)に業者からの解除権を追加
追加条文例: 「依頼者が虚偽の事実を告知した場合、又は本物件について権利関係に争いがあることが判明した場合、業者は本契約を解除することができる。」
B-4. 第3条(有効期間)の更新手続を自動更新方式に変更
修正後: 「有効期間満了の1か月前までに依頼者から更新しない旨の申出がないときは、同一条件で更に3か月間更新されるものとする。」ただし、専任媒介契約の更新は宅地建物取引業法上「依頼者の申出により」行うものとされ、自動更新条項は同法の趣旨に反するおそれがあるため、監修時に有効性を必ず確認する必要がある。
B-5. 第8条(違約金)に加えて指定流通機構登録抹消に伴う信用棄損の賠償を追加
追加条文例: 「依頼者の違反行為により本契約が解除された場合、業者は前条の違約金に加え、指定流通機構における登録抹消手続その他の実費を別途請求できるものとする。」
C. 標準(中立)バージョンの位置づけ
第1部の本文がこれに該当する。専任媒介契約に関する宅地建物取引業法上の規制(有効期間3か月、指定流通機構登録義務、2週間に1回以上の業務報告義務)を確実に満たしつつ、依頼者・業者双方の利害をバランスさせる構成とする。
D. 専属専任媒介契約への転用時の変更点
本テンプレートを専属専任媒介契約(自己発見取引も認めない、より強い専任型)に転用する場合、次の変更が必要になる。
- 第4条(自己発見取引)を削除し、「依頼者は、業者以外の者との間で本物件の売買契約を締結することができない」旨に変更する。
- 第5条(指定流通機構への登録)の登録期限を「契約締結の日から休業日を除き5日以内」に短縮する(専属専任媒介契約の法定期限)。
- 第6条(業務処理状況の報告)の頻度を「1週間に1回以上」に引き上げる(専属専任媒介契約の法定下限)。
- 第2条(専任媒介契約である旨)の見出しを「専属専任媒介契約である旨」に改める。
- 第8条(違約金)の対象行為に「自己発見取引を行ったこと」を追加する(専属専任媒介契約では自己発見取引自体が禁止されるため)。
- 第9条(契約の解除)の解除事由に、業者の登録義務・報告義務違反に加え、専属専任媒介契約特有の義務違反(例:依頼者への自己発見取引の機会提供拒否)を追加する。
E. 賃貸物件(貸借)の媒介に転用する場合の変更点
- 第7条(報酬)の速算式を、宅地建物取引業法46条・関連告示に基づく賃貸借の媒介報酬の上限(原則として借賃の1か月分相当額(消費税別)を貸主・借主双方から受領する報酬の合計の上限とする。)に置き換える。
- 有効期間・指定流通機構登録・業務報告義務の規制は売買・貸借を問わず同様に適用されるため、条項自体の変更は不要である。
- 賃貸借の場合、指定流通機構への登録事項に「入居可能時期」「敷金・礼金等の一時金の有無」を追加する。
- 事業用物件(オフィス・店舗)の賃貸借を媒介する場合、報酬の上限計算に消費税の扱いが異なる場合があるため、告示の最新版を確認のうえ速算式を調整する。
第3部: 逐条解説(購入者向け)
総論(専任媒介契約の位置づけ) 宅地建物取引業法上、媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3類型がある。専任媒介契約は、依頼者が他業者に重複依頼できない点で一般媒介契約より業者に有利だが、自己発見取引が認められる点で、自己発見取引も禁止される専属専任媒介契約より依頼者に有利な中間類型である。
依頼者が専任媒介契約を選択する主な動機は、業者が指定流通機構への登録や定期報告等の義務を負うことにより、複数業者に依頼する一般媒介契約よりも業者の営業活動へのインセンティブが働きやすい点にある。一方で、業者を変更したい場合には有効期間(最長3か月)の満了を待つ必要があり、依頼者の選択の自由が一定期間制約される点も理解しておく必要がある。
第1条・第2条(媒介の依頼・専任媒介契約である旨) 専任媒介契約書面には「専任媒介契約である旨」を明記することが宅建業法34条の2第1項により義務付けられている。
第3条(有効期間) 専任媒介契約の有効期間は3か月を超えることができず、これより長い期間を定めても3か月に短縮される(宅建業法34条の2第3項)。更新は自動更新が許されず、依頼者の申出を要件とする点が実務上見落とされがちな重要規制である。
第4条(自己発見取引) 専属専任媒介契約と異なり、専任媒介契約では依頼者が自ら発見した相手方と業者を介さず契約することが認められる。ただし、業者への通知義務を課すのが一般的である。
第5条(指定流通機構への登録) 専任媒介契約の場合、契約締結の日から休業日を除き7日以内の登録が義務付けられる(専属専任媒介契約の場合は5日以内)。未登録は宅建業法違反となり、行政処分の対象となり得る。
第6条(業務処理状況の報告) 専任媒介契約では2週間に1回以上、専属専任媒介契約では1週間に1回以上の報告義務が法定されている。報告方法は口頭でも可とされるが、記録化のため書面又は電子メールでの実施が実務上推奨される。
第7条(報酬) 媒介報酬(いわゆる仲介手数料)の上限額は宅地建物取引業法46条に基づく国土交通大臣告示で定められ、成約時にのみ請求できるのが原則である。契約不成立の場合に広告費等の実費を請求できるかは、依頼者の特別の依頼と承諾の有無によって結論が異なる。
第8条(違約金) 専任媒介契約の実効性を担保するための条項。他業者を通じた契約締結や無断の自己発見取引に対する違約金の上限は、実務上、報酬相当額を上限とする例が多い。
第9条・第10条(契約の解除・業者の義務) 業者は媒介業務において、価額について意見を述べる際に根拠を明示する義務(宅建業法34条の2第2項)を負う。これは、査定額の恣意的な提示を防ぐための規定である。
第11条〜第13条(反社条項・協議・管轄) 宅建業者の媒介実務では反社会的勢力排除条項がほぼ標準装備となっている。
媒介契約の3類型の比較(購入者向け補足)
- 一般媒介契約:複数の業者へ重複依頼が可能。指定流通機構への登録義務及び業務報告義務は法定されていない(業者の任意)。
- 専任媒介契約(本テンプレート):依頼者は他業者へ重複依頼できないが、自己発見取引は可能。登録義務(7日以内)・報告義務(2週間に1回以上)が法定される。
- 専属専任媒介契約:専任媒介契約よりさらに強い専任型で、自己発見取引も認められない。登録義務(5日以内)・報告義務(1週間に1回以上)が法定される。
依頼者にとっては、専任度が高い契約類型ほど業者の営業活動へのインセンティブが強まる一方、自らの営業機会(自己発見取引や複数業者への依頼)が制限される点を理解したうえで契約類型を選択することが望ましい。
契約締結前の確認チェックリスト(購入者向け補足)
依頼者が専任媒介契約書に署名する前に確認すべき代表的な事項を整理すると、次のとおりである。
- 媒介契約書面(本契約書)に「専任媒介契約」である旨が明記されているか
- 有効期間が3か月を超えていないか
- 指定流通機構への登録期限(7日以内)が明記されているか
- 業務処理状況の報告頻度(2週間に1回以上)が明記されているか
- 報酬額が国土交通大臣告示の上限を超えていないか
- 自己発見取引が認められているか(専属専任媒介契約ではないか)
- 違約金の算定根拠が明確か
これらの項目は宅地建物取引業法上、媒介契約書面の交付にあたって業者が遵守すべき事項であり、記載漏れがある場合は監督官庁(都道府県の宅建業法所管部局)への相談を検討すべき事項でもある。
業者の立場では、媒介契約書面の記載事項を怠った場合、指示処分・業務停止処分等の行政処分の対象となり得ることを踏まえ、契約書のひな形を継続的に最新の告示・施行規則の内容に更新する体制を整えることが望ましい。
依頼者・業者双方にとって、媒介契約は売買契約そのものではなく、あくまで契約成立に向けた活動を委託する準委任的な性質を有する契約である点を正しく理解しておくことが、後日のトラブル防止につながる。
媒介契約と売買契約は別個の契約であり、媒介契約の成立は売買契約の成立を保証するものではない。この点を依頼者が誤解し、業者に過大な期待を抱くことがトラブルの一因となりやすいため、契約締結時の説明において明確に区別して伝えることが望ましい。
第4部: 監修者への確認依頼事項
- 第7条の報酬の速算式(売買代金額×3%+6万円)について、2024年の宅建業法関連告示改正(低廉な空家等の売買における特例の上限拡大等)を反映した最新の記載になっているか確認いただきたい。
- 第8条の違約金の上限(報酬相当額)が実務相場として妥当か、業界慣行との整合性を確認いただきたい。
- 第2部B-4の自動更新条項について、専任媒介契約の更新は「依頼者の申出により」行うとする宅建業法34条の2第4項の趣旨に照らし、無効又は行政指導の対象となるリスクがないか確認いただきたい。
- 第5条の指定流通機構への登録期限(7日以内)及び登録証明書の交付方法について、実務上の標準的な運用(電子交付の可否等)を確認いただきたい。
- 賃貸物件(貸借)の媒介に本テンプレートを転用する場合、報酬の上限(借賃の1か月分相当額等、宅建業法46条・関連告示)に関する記載を別途追加する必要があるか確認いただきたい。
- 依頼者が消費者(個人)である場合、消費者契約法上の不当条項規制との関係で、第8条の違約金条項及び第2部B-1の違約金条項が過大な損害賠償の予定に該当しないか確認いただきたい。
- 第2部D(専属専任媒介契約への転用)及び第2部E(賃貸物件への転用)について、それぞれ別商品として切り分けるか、本テンプレートの応用パターンとして購入者向け解説にとどめるか方針を確認いただきたい。
- 指定流通機構(レインズ)の登録証明書の書式・記載事項が地域の指定流通機構(東日本・中部・近畿・西日本)によって差異がないか、また依頼者が売却依頼後に価額を大幅に変更する場合の手続(媒介契約の変更合意の要否)とあわせて、購入者向け解説に注記すべきか確認いただきたい。
上記の確認事項を踏まえ、監修完了後に本テンプレートを正式版として公開する予定である。