労働組合法第7条違反を理由に労働委員会へ救済を求める申立書です。団交拒否や不利益取扱いの事実と求める救済内容を記載します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
不当労働行為救済申立書
第1部: 書式本文
労働組合法第27条第1項に基づき、下記のとおり不当労働行為救済命令の申立てをする。
不当労働行為救済申立書
【令和〇年〇月〇日】
〇〇県労働委員会 会長 殿
第1 当事者の表示 1 申立人 組合名【〇〇労働組合】、代表者【執行委員長〇〇】、所在地【 】 (組合員個人が申立人となる場合は氏名・住所を記載) 2 被申立人 名称【株式会社〇〇】、所在地【 】、代表者【代表取締役〇〇】
第2 請求する救済の内容 1 【不利益取扱いの場合】 「被申立人は、申立人〇〇に対し令和〇年〇月〇日付けでした解雇を撤回し、原職に復帰させ、解雇期間中に受けるべきであった賃金相当額を支払わなければならない。」 2 【団体交渉拒否の場合】 「被申立人は、申立人が令和〇年〇月〇日付けで申し入れた団体交渉に誠実に応じなければならない。」 3 【支配介入の場合】 「被申立人は、申立人組合の運営に対する支配介入行為を行ってはならない。」 4 【ポスト・ノーティスを求める場合】 「被申立人は、下記内容の文書を〇日間、被申立人の事業場内の見やすい場所に掲示しなければならない。」(文書案を添付)
第3 不当労働行為に該当する事実 1 労働組合法第7条各号のいずれに該当するかを特定する 【 】第1号(不利益取扱い) 【 】第2号(団体交渉拒否) 【 】第3号(支配介入・経費援助) 【 】第4号(報復的不利益取扱い) 2 事実経過(時系列) (1) 組合結成・加入の経緯及び時期 (2) 被申立人が行った具体的行為(解雇、配転、団体交渉の拒否、組合活動への干渉等)の日時・内容 (3) 当該行為と組合活動との関連性(組合活動を行った時期との近接性、被申立人の言動等)
第4 被申立人の行為が不当労働行為に該当する理由 1 不利益取扱いの場合、組合員であることまたは正当な組合活動を行ったことを理由とする不利益取扱いであることの根拠 2 団体交渉拒否の場合、団体交渉事項が義務的団交事項に該当すること、被申立人の対応が誠実交渉義務(労働組合法第7条第2号)に違反すること 3 支配介入の場合、被申立人の行為が組合の結成・運営を妨げるものであること
第5 証拠 1 組合規約、組合結成通知書 2 団体交渉申入書、団体交渉議事録 3 解雇通知書、配転命令書等の関係書類 4 組合活動に対する被申立人の言動を示す資料(社内メール、発言録取書等)
第6 審査手続に関する申出事項 1 証人尋問を求める場合はその対象者及び立証趣旨 2 和解による解決の可能性についての申立人の考え方
第7 添付書類目録
以上
【申立人署名押印欄】
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 申立組合・労働者の立場
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不当労働行為該当性の主張の書き換え例 「申立人が組合を結成した令和〇年〇月〇日の直後である同月〇日に、被申立人は申立人に対し突如として配置転換を命じた」のように、組合活動の時期と不利益取扱いの時期との近接性を強調して記載する。不当労働行為の成否は、被申立人の内心(不当労働行為意思)の立証が難しいことが多いため、時期的近接性、被申立人の従前の対応との相違、他の非組合員との取扱いの違いといった間接事実を積み上げて記載することが有効とされる。
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求める救済内容の書き換え例 原職復帰に加え、「同様の取扱いを受けた他の組合員についても是正措置を求める」「団体交渉における誠実対応を継続的に担保するための文書掲示(ポスト・ノーティス)を求める」のように、個別救済にとどまらず、職場の労使関係の正常化を意識した救済内容を記載する。これは民事訴訟における損害賠償請求とは異なり、労働委員会による救済命令が原状回復的・将来効的な性格を持つことを踏まえたものである。
B節: 会社の立場
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不当労働行為の否認理由の整理例 「配置転換は、業務上の必要性に基づくものであり、申立人の組合活動を理由とするものではない」のように、不利益取扱いの理由が組合活動と無関係な業務上の必要性に基づくことを具体的な資料(人員配置計画、業務量の変化を示す資料等)とともに準備する。不当労働行為の主張に対しては、単に「組合活動を理由としていない」と述べるだけでなく、代替的な合理的理由を積極的に立証することが防御上重要とされる。
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誠実交渉義務に関する反論の整理例 「団体交渉には〇回応じており、資料開示要求に対しても可能な範囲で対応している」のように、団体交渉拒否の主張に対しては、交渉の回数・内容・提供した資料を時系列で示し、誠実交渉義務(労働組合法第7条第2号)を履行していたことを具体的に主張する準備をしておく。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
本書式は、労働組合法第7条に定める不当労働行為(第1号の不利益取扱い、第2号の団体交渉拒否、第3号の支配介入・経費援助、第4号の報復的不利益取扱い)があったことを理由として、同法第27条第1項に基づき都道府県労働委員会に救済命令を求める場面で使用する。使う場面は、労働組合の結成・加入・正当な組合活動を理由とする解雇・配転等の不利益取扱いや、使用者が正当な理由なく団体交渉に応じない、あるいは形式的に応じつつ実質的な交渉を拒否している場合、組合の運営に対して使用者が経費援助や妨害行為を行っている場合等である。他方、労働組合が関与しない個々の労働者と事業主との間の純粋な個別労働紛争(賃金未払い、解雇の有効性のみが争点となる事案で組合活動との関連性がないもの)については、本書式ではなく、労働審判や個別労働紛争解決促進法に基づくあっせん等の手続によるべきである。
よくある失敗として、第一に、不利益取扱いの事実は記載するものの、組合活動との関連性(不当労働行為意思の推認根拠)を示す間接事実が不足し、労働委員会が因果関係を認定しにくくなるケースがある。対策として、組合活動の時期、被申立人の対応の変化、非組合員との取扱いの相違等、関連性を基礎づける事実を網羅的に記載する。第二に、団体交渉拒否を主張する際、義務的団交事項(組合員の労働条件その他の待遇や団体的労使関係の運営に関する事項)に該当するか否かの検討が不十分なまま申立てを行い、そもそも団体交渉に応じる義務がない事項について争ってしまうケースがある。対策として、申立て前に交渉事項が義務的団交事項に該当するかを整理する。第三に、救済命令が確定した場合の実効性(履行確保の仕組み)を理解せず、命令が出れば直ちに問題が解決すると誤解するケースがある。労働組合法上、救済命令に対しては再審査の申立てや行政訴訟による取消訴訟の提起が可能であり、確定までに相応の期間を要する場合がある点に留意する。
不当労働行為救済制度は、労使関係の集団的正常化を目的とする行政救済であり、民事訴訟における損害賠償請求とは制度趣旨が異なる。個別事案は専門家に確認することが望ましい。
不利益取扱いの申立てについては、労働組合法上、行為の日(継続する行為にあってはその終了日)から1年を経過した事件は取り扱わないものとされており、除斥期間の起算点を誤ると申立てそのものが却下される危険がある。特に、配置転換や人事考課上の不利益など、行為が一回的なものか継続的なものかが評価によって異なり得る事案では、いつを起算点とすべきかについて慎重な検討が必要である。
また、労働委員会における不当労働行為の審査手続は、事実の調査を行う調査段階と、証人尋問等を通じて事実認定を行う審問段階に分かれており、通常の民事訴訟と同様に、書証の提出や証人尋問の申請、当事者双方の主張の応酬を経て命令が発せられる。手続には相応の期間を要することが多く、申立てから命令発出までに1年以上を要する事案も少なくない。このため、申立人・被申立人のいずれの立場でも、審査の途中段階で労働委員会が和解を勧告することがあり、和解による解決も現実的な選択肢として並行して検討しておくことが望ましい。
第4部: 使用前のチェックリスト
- 申立人が労働組合か組合員個人かを明確にし、それぞれに適した記載になっているか確認したか
- 労働組合法第7条各号(不利益取扱い・団体交渉拒否・支配介入・報復的不利益取扱い)のいずれに該当するかを特定したか
- 不利益取扱いと組合活動との関連性を示す間接事実(時期的近接性等)を網羅的に記載したか
- 団体交渉拒否を主張する場合、交渉事項が義務的団交事項に該当するか事前に検討したか
- 求める救済内容(原職復帰、バックペイ、ポスト・ノーティス等)を具体的に特定したか
- 証拠(組合規約、団体交渉議事録、社内メール等)を体系的に収集したか
- 出訴期間・除斥期間(不利益取扱いについては行為の日から1年以内等)を確認したか
- 救済命令確定までの手続の流れ(再審査、行政訴訟による取消訴訟)を理解しているか
- 個別労働紛争(組合活動との関連性がない事案)との切り分けができているか確認したか
- 提出前に第三者(専門家等)によるレビューを受けたか