行方不明の相続人がいる場合に財産管理人の選任を求める申立書です。不在の事実の疎明、権限外行為許可の流れを整理します。ひな型をもとに数分で自社仕様に調整できます。
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不在者財産管理人選任申立書
第1部: 書式本文
不在者財産管理人選任申立書
【令和〇年〇月〇日】
【〇〇家庭裁判所】 御中
申立人 住所 【 】 氏名 【 】 印 不在者との関係 【共同相続人】
不在者の表示 最後の住所 【 】 本籍 【 】 氏名 【 】(昭和/平成〇年〇月〇日生)
申立ての趣旨 不在者【氏名】の財産管理人として、適任者の選任を求める。
申立ての理由 1. 申立人と不在者は、被相続人【氏名】(令和〇年〇月〇日死亡)の共同相続人である。 2. 不在者は、令和〇年〇月頃から所在が不明となり、以後【〇年〇か月】にわたり連絡が取れない状態が継続している。関係者への聞き取り及び住民票の職権消除の有無を確認したが、生死及び所在ともに判明していない。 3. 被相続人の相続財産については、共同相続人全員による遺産分割協議が必要であるところ、不在者を除外した協議は無効であるため、不在者のために財産管理人の選任を求める必要がある。 4. 民法25条1項は、従来の住所又は居所を去った者(不在者)が財産の管理人を置かなかったときは、家庭裁判所は利害関係人の請求により、その財産の管理について必要な処分を命じることができる旨定めている。
不在の事実に関する疎明資料 一 不在者の戸籍附票(最後の住所地の記載があるもの) 二 不在者宛の郵便物が不着で返戻された事実を示す資料(あれば) 三 不在者の親族・知人への照会結果を記載した申立人の陳述書 四 警察への行方不明者届の受理番号(提出している場合) 五 不在者名義の預貯金口座の入出金が長期間ないことを示す資料(取得可能な範囲で)
添付書類 一 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本 二 相続人全員の戸籍謄本 三 不在者の戸籍謄本及び戸籍附票 四 財産管理人候補者の住民票 五 遺産分割協議書案(権限外行為許可の申立てを併せて行う場合)
権限外行為許可に関する説明 選任された財産管理人は、民法27条から29条までの規定に基づき保存行為及び財産の性質を変えない範囲の利用・改良行為のみを単独で行うことができるが、遺産分割協議への参加はこれらの範囲を超える処分行為に該当するため、民法28条に基づき家庭裁判所の権限外行為許可を別途受ける必要がある。実務上は、財産管理人選任の申立てと同時に、又は選任後速やかに、権限外行為許可の申立て(遺産分割協議書案を添付)を行う運用が一般的である。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 共同相続人の一人が申立人となる場合 「申立ての理由」第1項及び第3項を次のように具体化する。 「申立人は被相続人の子であり、不在者もまた被相続人の子として共同相続人の地位にある。遺産分割協議を進めるためには不在者を含めた全員の合意が必要であるが、不在者の所在が不明であるため協議を進めることができない状態にある。」 一言解説:共同相続人が申立人となる場合、遺産分割の必要性が不在者財産管理人選任の直接の動機となることを明確に記載する。
B. 不在者の債権者が利害関係人として申し立てる場合 「不在者の表示」の下に、次の記載を追加する。 「申立人は不在者に対し【金〇〇万円の貸金債権】を有する債権者であり、不在者の財産からの回収を図るため、財産の管理及び保全を目的として本申立てに及ぶ。」 一言解説:債権者の立場では遺産分割ではなく債権保全・回収が主目的となるため、権限外行為許可の申立てが不要な場合もある点を書き分ける。
C. 不在の期間が長期にわたり、失踪宣告への移行を検討する場合 不在の期間が7年前後に達している場合は、次の一文を「申立ての理由」に追加することが考えられる。 「なお、不在者の生死不明の期間は本申立て時点で【〇年〇か月】に達しているが、申立人はまず財産管理の必要から本申立てを行うものであり、失踪宣告の申立ての要否については別途検討する。」 一言解説:財産管理人選任と失踪宣告は別個の制度であり、生死不明期間が7年に近い場合でも、遺産分割の緊急性から財産管理人選任を先行させる実務判断がある。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面:相続人の一人の所在が不明であり、遺産分割協議その他の相続手続を進める必要がある場合に用いる。単なる連絡困難ではなく、住所又は居所を去り帰来する見込みが立たない状態であることが要件となる。
使ってはいけない場面:不在者の生死が7年以上不明であり、相続関係を確定的に処理する必要がある場合には、財産管理人選任にとどまらず失踪宣告の申立て(民法30条以下)を検討すべきであり、財産管理人選任のみでは相続分の確定に至らない点に注意する。また、不在者が単に一時的に連絡が取れないだけで、居所自体は判明している場合には要件を欠く。
根拠法令:民法25条(不在者の財産の管理、家庭裁判所による管理人選任等の処分)、26条(管理人の改任)、27条から29条(管理人の職務権限、供託、権限外行為の許可)、特に28条は不在者財産管理人が遺産分割協議を行う場合に別途許可を要する根拠となる。手続法上は家事事件手続法別表第一に定める審判事項である。
よくある失敗と条項上の対策: 第一に、財産管理人選任の申立てのみを行い、遺産分割協議に必要な権限外行為許可の申立てを失念する例が非常に多い。対策として、遺産分割協議が目的である場合は、選任申立てと同時又は直後に権限外行為許可の申立てを行う旨をあらかじめ書式内に明記し、二段階の手続であることを申立人に周知する。 第二に、不在の事実の疎明が不十分で、裁判所から追加資料の提出を求められるケースがある。対策として、住民票の異動履歴、親族への照会結果、警察への行方不明者届の有無等、不在の事実を客観的に裏付ける資料を可能な限り網羅的に収集し添付する。 第三に、権限外行為許可の審査において、遺産分割協議書案の内容が不在者の法定相続分を不当に害するとして許可されない例がある。対策として、協議書案では原則として不在者の法定相続分に相当する財産(又は代償金)を確保する内容とする。
第四に、財産管理人選任後、管理人が長期間にわたり職務を継続する場合の報酬・管理費用の負担源を明確にしないまま手続を進め、他の相続人との間で費用負担をめぐる紛争が生じる例がある。対策として、財産管理人の報酬及び管理費用は原則として不在者の財産から支出される旨、また不在者財産が乏しい場合には申立人が予納金を負担する可能性がある旨をあらかじめ関係者に説明する条項を設ける。
また、遺産分割協議が成立した後も、財産管理人の職務は当然には終了せず、不在者が現れる、失踪宣告がされる、又は不在者の財産がなくなるまで管理を継続するのが原則である。対策として、遺産分割協議書には管理人の職務終了時期に関する当事者の理解を確認する一文を含めるとともに、協議成立後は速やかに家庭裁判所へ権限外行為許可に基づく行為の完了報告を行う運用とする。
不在者財産管理人の選任及び権限外行為許可の運用は事案により幅があるため、個別事案については専門家(弁護士・司法書士等)に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 不在者が住所又は居所を去り、帰来の見込みが立たない状態であることを疎明できるか
- [ ] 不在の事実を裏付ける客観的資料(戸籍附票、照会結果等)を収集しているか
- [ ] 遺産分割協議が目的の場合、権限外行為許可の申立てを併せて予定しているか
- [ ] 財産管理人候補者の適格性(不在者や他の相続人との利害対立の有無)を確認したか
- [ ] 遺産分割協議書案を作成し、不在者の法定相続分を確保する内容としているか
- [ ] 被相続人及び相続人全員の戸籍謄本一式が揃っているか
- [ ] 不在者の生死不明期間が7年に近い場合、失踪宣告の要否を検討したか
- [ ] 管轄家庭裁判所(不在者の従来の住所地)を正しく確認しているか
- [ ] 財産管理人選任後の報告義務・管理費用の負担について理解しているか
- [ ] 申立人自身の利害関係(相続人・債権者等)を証する資料を添付しているか