技能実習生を受け入れる実習実施者が本人と締結する雇用契約書。技能実習法に基づく実習計画の認定、日本人と同等以上の報酬要件と入管法上の在留資格条件を踏まえます。

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技能実習に係る雇用契約書

第1部: 書式本文

【実習実施者名称】(以下「甲」という)と【技能実習生氏名】(以下「乙」という)は、技能実習の実施に伴う雇用に関し、次のとおり契約を締結する。

第1条(技能実習の区分) 本契約は、技能実習法に基づく第【 】号技能実習(区分:企業単独型・団体監理型のいずれか)として、認定を受けた技能実習計画に従って実施する。

第2条(実習職種・作業) 乙が従事する実習職種及び作業は、認定技能実習計画に記載された【職種・作業名】とし、当該計画に定めのない作業には従事させない。

第3条(雇用期間) 雇用期間は【開始日】から【終了日】までとし、技能実習の段階(1号・2号・3号)の移行に伴い改めて契約を締結する。

第4条(就業場所及び労働時間) 就業場所は【実習実施場所】、所定労働時間は1日【 】時間、休憩【 】分、休日は【 】とする。

第5条(報酬) 基本給は月額【金額】円とし、同一の事業所において同種の業務に従事する日本人労働者と同等以上の報酬とする。

第6条(技能実習指導員及び生活指導員) 甲は、技能実習指導員及び生活指導員をそれぞれ選任し、乙に対する技術指導及び生活上の指導を行わせる。

第7条(労働安全衛生) 甲は、乙に対し実習開始前に安全衛生教育を実施し、必要な保護具を貸与するものとする。

第8条(私生活の自由の保障) 甲は、正当な理由なく乙の外出、通信手段の利用その他の私生活における自由を制限しない。

第9条(帰国旅費の負担) 乙が技能実習を終えて帰国する場合の旅費は、甲又は監理団体が負担する。

第10条(契約の終了及び転籍) 甲の事業上のやむを得ない事情等により技能実習の継続が困難となった場合、甲及び監理団体は、乙が技能実習を継続できるよう転籍の支援に努める。

第11条(準拠法) 本契約は日本法に準拠する。

第12条(技能実習日誌の作成) 甲は、技能実習指導員を通じて技能実習日誌を作成し、乙の実習の進捗を記録する。

第13条(母国語での説明) 甲は、乙が理解できる言語又は通訳を介して、本契約の内容及び就業規則の内容を説明する。

以上、本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印の上各1通を保有する。

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. 実習実施者の立場から

団体監理型で監理団体を通じて受け入れる場合は、監理団体との役割分担を契約書上でも整理しておくことが望ましい。

修正例:「乙に対する生活指導及び入国後講習の実施については、監理団体【名称】が協力するものとし、甲は実習実施場所における技能指導及び労務管理を担当する。」

一言解説:監理団体と実習実施者の役割が曖昧なまま契約すると、指導記録の作成主体や責任の所在が不明確になりやすい。

実習実施者としては、技能実習計画の変更が必要となった場合の手続を契約書上でも明確にしておくことが望ましい。

修正例:「実習内容の変更が必要となった場合、甲は認定を受けた実習実施者として、技能実習計画の変更届出又は変更認定申請の手続を遅滞なく行う。」

一言解説:実習の進行に伴い作業内容の一部変更が必要になることは珍しくないため、無届のまま計画と異なる実習を行わないよう、変更手続を条項化しておくことが実務上有効である。

B. 技能実習生の立場から

乙の立場からは、時間外労働の上限や割増賃金率が日本人従業員と同一であることを条項上明記させることが望ましい。

修正例:「時間外労働、休日労働又は深夜労働を行わせる場合、甲は労働基準法に定める協定の範囲内で行い、同法所定の割増賃金を支払う。」

一言解説:技能実習生であることを理由に労働条件を切り下げることは労働基準法第3条の均等待遇原則に反するため、契約書上でも同一基準であることを明示する意義がある。

技能実習生の立場からは、母国語による契約内容の説明を受けられることを契約書上の権利として明記させることも有効である。

修正例:「甲は、乙の母国語又は乙が理解できる言語により本契約及び就業規則の内容を説明し、乙がこれを理解した上で署名するものとする。」

一言解説:言語の壁により契約内容を十分理解しないまま署名させられるケースを防ぐため、説明義務を明文化しておくことが望ましい。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

本書式は、技能実習法に基づき認定を受けた技能実習計画に沿って外国人技能実習生を雇用する場面で使用する。認定前の段階や、計画に記載のない職種・作業に従事させる場合には使用してはならず、必ず技能実習計画の認定内容と契約内容を一致させる必要がある。

根拠法令としては、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)が実習計画の認定基準、実習実施者の義務、禁止事項を定めており、労働基準法第3条の国籍による差別的取扱いの禁止、最低賃金法による賃金水準の確保が適用される。技能実習法上、保証金の徴収や違約金の定めをして技能実習の中止を制限する行為は禁止されており、送出機関による保証金徴収が確認された場合、実習実施者側にも実習認定の取消し等の不利益が生じ得る。

実務でよくある失敗として、第一に、実習計画に記載のない作業に従事させ、後の実地検査で計画との齟齬を指摘されるケースがある。実際の業務内容と計画書の記載を定期的に照合する運用が対策となる。第二に、私生活の自由を制限する社内規則(外出禁止、通信機器の没収等)を設け、技能実習法が禁止する人権侵害行為に該当すると判断されるケースがある。契約書及び就業規則の内容を技能実習法の禁止事項と照合して見直す必要がある。第三に、報酬水準を最低賃金ぎりぎりに設定した結果、同種業務に従事する日本人労働者との報酬比較で同等性の説明ができないケースがあり、賃金台帳による比較資料を整備しておくことが望ましい。

第四に、実習内容の一部変更が生じた際に変更届出・変更認定申請を怠り、認定計画と実態の齟齬が長期間放置されるケースがあり、変更手続の担当部署と手順をあらかじめ定めておくことが対策となる。

技能実習計画の認定要件や監理団体との契約関係の細部は個別の実習職種により異なるため、実際の運用にあたっては弁護士又は行政書士等の専門家に個別に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 認定技能実習計画に記載された職種・作業と契約内容が一致しているか
  • [ ] 技能実習の区分(企業単独型・団体監理型)を明記したか
  • [ ] 技能実習指導員及び生活指導員を選任したか
  • [ ] 報酬額が日本人労働者との比較で同等以上であることを確認したか
  • [ ] 保証金の徴収や違約金による技能実習中止の制限がないか
  • [ ] 私生活の自由を不当に制限する規定がないか
  • [ ] 安全衛生教育及び保護具の貸与を規定したか
  • [ ] 帰国旅費の負担者を明記したか
  • [ ] 監理団体との役割分担を整理したか
  • [ ] 時間外労働・割増賃金が労働基準法の基準を満たしているか
  • [ ] 転籍支援に関する規定を設けたか
  • [ ] 母国語又は理解できる言語による契約内容説明の実施を明記したか
  • [ ] 実習内容変更時の届出・変更認定手続を明記したか