キャラクターやアーティストのグッズ製作と販売を許諾する契約書です。監修手続、ロイヤルティ、在庫と返品、模倣品対応を定めます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
グッズ製作販売許諾契約書
第1部: 書式本文
【権利者の名称】(以下「甲」という。)と【製作販売者の名称】(以下「乙」という。)は、甲が権利を有するキャラクター・アーティスト名【対象IP名称】(以下「本IP」という。)を用いた商品の製作・販売に関し、次のとおり契約を締結する。
第1条(許諾の範囲) 甲は乙に対し、本IPの意匠・名称・ロゴ(以下「本素材」という。)を使用して【対象商品カテゴリ】(以下「対象商品」という。)を製作し、これを【販売地域】において販売することを、非独占的に許諾する。
第2条(監修手続) 1. 乙は、対象商品のデザイン案および試作品を、量産開始前に甲に提出し、甲の書面による監修承認を得なければならない。 2. 甲は、監修依頼を受けてから【 】営業日以内に承認または修正指示を行うものとする。 3. 監修を経ずに製造・販売された商品は、本許諾の対象外とみなし、甲は乙に対し当該商品の販売差止めを求めることができる。
第3条(ロイヤルティ) 1. 乙は甲に対し、対象商品の【卸売価格/小売価格】に【 】%を乗じた金額をロイヤルティとして支払う。 2. 乙は、毎月の販売実績を翌月【 】日までに甲に報告し、報告に基づき算出したロイヤルティを翌々月末日までに支払う。 3. 甲は、乙の販売実績の正確性を確認するため、乙の帳簿等を合理的な範囲で閲覧することができる。
第4条(最低保証額) 乙は、本契約期間中の年間ロイヤルティが金【 】円に満たない場合であっても、最低保証額として金【 】円を甲に支払う。
第5条(在庫および返品) 1. 契約期間満了後、乙は【 】か月間に限り、既に製造済みの在庫商品を販売することができる(以下「売り切り期間」という。)。 2. 売り切り期間経過後に残存する在庫は、乙の費用負担により廃棄するものとし、甲は廃棄の証明を求めることができる。 3. 商品の品質不良に起因する返品については乙が負担し、甲監修事項に起因しない仕様変更による返品については別途協議する。
第6条(品質管理および製造物責任) 1. 乙は、対象商品の企画・製造・検品を自己の責任と費用において行い、適用される法令上の安全基準を遵守する。 2. 対象商品の欠陥に起因して第三者に損害が生じた場合、乙は自己の責任と費用においてこれを賠償するものとし、甲に及んだ損害についても乙が甲に補償する。ただし、甲が指定した仕様に起因する欠陥については、甲乙間で責任分担を協議する。
第7条(模倣品・侵害対応) 1. 乙は、対象商品と類似する模倣品または本素材を無断使用した商品の流通を発見した場合、速やかに甲に報告する。 2. 甲は模倣品への対応について主体的に権利行使を行うものとし、乙は甲の求めに応じて必要な資料の提供その他の協力を行う。
第8条(商標の使用態様) 乙は、本素材を使用するにあたり、甲が指定する態様(商標表示、権利表記の付記等)を遵守しなければならない。乙が本素材を乙自身の商標として登録出願することは禁止する。
第9条(秘密保持) 甲乙双方は、取引条件・原価情報その他本契約の遂行過程で知り得た相手方の非公開情報について、契約終了後【期間】年間、正当な理由なく第三者に漏らしてはならないものとする。
第10条(契約期間) 本契約の存続期間は【契約締結日】から【契約終了日】までとする。この期間の満了する【 】か月前までにいずれかの当事者から更新しない旨の通知がなされない限り、【 】年間ごとに自動更新するものとする。
第11条(契約解除) 甲または乙は、相手方が本契約に違反し、相当期間を定めた催告後も是正されない場合、本契約を解除できる。乙が第2条の監修手続に違反して製造・販売を継続した場合、甲は催告なく解除できる。
第12条(反社会的勢力の排除) 甲および乙は、自らが暴力団その他反社会的勢力とは無関係であることを互いに保証し、契約の存続中これを維持することを誓約する。
署名欄
本合意の成立を証するため本書面を2通作成し、甲乙がそれぞれ記名押印のうえ1通ずつ保管する。
契約締結日:【 】年【 】月【 】日
甲(権利者) 住所: 名称: 代表者: 印
乙(製作販売者) 住所: 名称: 代表者: 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 甲(権利者)がブランド管理権限を強める修正例
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監修不合格時の全量廃棄義務 「第2条第3項に『監修を経ずに製造された商品について、乙は甲の指示に従い自己の費用でこれを廃棄しなければならない。』を追加する。」 解説: 差止請求のみでは既製造品の市場流出を防げないため、廃棄義務まで踏み込んで実効性を高める。
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最低保証額の前払い化 「第4条を『乙は、契約締結時に最低保証額の全額を甲に前払いし、実績ロイヤルティが前払額を超えた場合、超過分を別途支払う。』に修正する。」 解説: 乙の販売不振リスクを甲が負わない設計とし、権利者側のキャッシュフローを安定させる。
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商標登録出願の全面禁止と発見時の譲渡義務 「第8条に『乙が誤って本素材に類似する商標を出願した場合、乙は自己の費用で当該出願を放棄し、または甲に無償で譲渡しなければならない。』を追加する。」 解説: 権利の希薄化や乗っ取りリスクを未然に防ぐための予防的な条項である。
B節: 乙(製作販売者)の事業リスクを抑える修正例
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監修期間の上限設定と不作為時のみなし承認 「第2条第2項の後に『甲が期間内に回答しない場合、乙が提出したデザイン案は承認されたものとみなす。』を追加する。」 解説: 甲の対応遅延が乙の事業スケジュールを圧迫することを防ぎ、予見可能性を確保する。
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最低保証額の減額調整条項 「第4条に『甲の都合による監修遅延または対象商品カテゴリの変更により販売機会が失われた場合、当該影響を考慮して最低保証額を按分減額する。』を追加する。」 解説: 甲側の事情に起因する販売機会の逸失について、乙が一方的にリスクを負わない設計とする。
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品質不良責任の限定 「第6条第2項に『対象商品の欠陥が甲の指定した仕様、監修承認済みのデザインに起因する場合、当該欠陥に係る責任は甲乙協議のうえ合理的に分担する。』を追加する。」 解説: 監修という甲の関与がある以上、欠陥原因によっては乙のみが一方的に製造物責任を負うべきでないとする趣旨である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
解説: 使いどころと不向きなケース
本書式は、権利者が保有するキャラクターやアーティストの意匠・名称を用いたグッズを、第三者の製造販売事業者に製作・販売させる場面を想定している。権利者自身が製造も行う自社製造の場合や、複数の権利者が共同でIPを保有する場合は、権利者間の合意状況を別途整理したうえで本書式を修正して用いる必要がある。
解説: 検討すべき法令
著作権法との関係では、キャラクターの意匠を商品に付す行為は複製権(同法21条)または譲渡権(同法26条の2)に関わる利用行為であるため、許諾の範囲(対象商品カテゴリ、販売地域、期間)を具体的に定めることが重要である。 商標法との関係では、ロゴや名称について商標登録がある場合、本契約は通常使用権の設定(同法30条)に相当する。専用使用権とする場合は登録が効力発生要件となる点に留意し、非独占的な通常使用権として運用する本書式では登録は必須ではないが、範囲の明確化が紛争予防に資する。 製造物責任法との関係では、対象商品に欠陥があり第三者に損害が生じた場合、製造業者としての乙が責任を負うのが原則であるが、監修を行う甲の関与の程度によっては共同不法行為等の形で甲の責任も問題となり得るため、第6条のように責任分担の考え方を整理しておくことが望ましい。
解説: つまずきがちなポイントへの対応
つまずき例1: 監修手続を口頭運用にとどめ、後に「承認した・していない」で紛争化する。対策として第2条のように書面承認を要件化する。 つまずき例2: 契約終了後の在庫販売可否を定めず、権利失効後も類似品が市場に残り続ける。対策として第5条のように売り切り期間と廃棄義務を明記する。 つまずき例3: ロイヤルティの算定基礎(卸値か小売価格か、返品分の扱い等)が曖昧で、報告額をめぐり争いになる。対策として第3条で算定基礎を具体的に特定する。
ロイヤルティ料率や責任分担の設計は業界慣行や商品特性によって相場観が異なるため、案件ごとに弁護士等の専門家に確認しながら条件を詰めることが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 許諾の範囲(商品カテゴリ・販売地域・独占/非独占)を明記したか
- [ ] 監修手続の期限と不承認時の取扱いを定めたか
- [ ] ロイヤルティの算定基礎と支払時期を明記したか
- [ ] 最低保証額の要否と金額を検討したか
- [ ] 契約終了後の在庫売り切り期間と廃棄義務を定めたか
- [ ] 品質不良・製造物責任に関する責任分担を定めたか
- [ ] 模倣品発見時の報告・協力義務を定めたか
- [ ] 商標の使用態様と乙による商標出願の禁止を明記したか
- [ ] 秘密保持の対象と存続期間を定めたか
- [ ] 監修違反時の解除条項を設けたか
- [ ] 反社会的勢力排除条項を含めたか