環境に配慮した製品や部材を優先的に調達するための基準書です。含有化学物質の制限、認証の要求、評価と見直しの方法を定めます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
グリーン調達基準書
第1部: 書式本文
本基準書は、【調達企業】(以下「甲」という。)が【サプライヤー】(以下「乙」という。)から製品・部材・原材料(以下「対象製品」という。)を調達するに当たり遵守を求める環境配慮基準を定めるものである。
第1条(目的) 本基準書は、甲が環境に配慮した製品・部材を優先的に調達し、サプライチェーン全体での環境負荷低減を実現することを目的とする。
第2条(適用範囲) 本基準書は、甲が乙から継続的に調達する対象製品のうち、甲が別途指定する品目【対象品目リスト(別紙1)】に適用する。
第3条(含有化学物質の制限) 1. 乙は、対象製品に含有される化学物質について、電気・電子機器に関する特定有害物質の使用制限に関する欧州指令(RoHS指令)が定める鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、特定臭素系難燃剤(PBB・PBDE)及びフタル酸エステル類等の含有基準値を、輸出先の規制の有無にかかわらず社内基準として遵守する。 2. 乙は、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)上の第一種特定化学物質及び第二種特定化学物質を対象製品に使用しない。監視化学物質に該当する物質を使用する場合は、事前に甲に届け出る。 3. 甲は、別紙2【禁止・制限物質リスト】を随時見直し、乙に通知する。乙は、通知後【90】日以内に対応する。
第4条(含有化学物質調査への協力) 乙は、甲が求める場合、対象製品に含有される化学物質に関する調査票(グリーン調達調査共通化協議会(JGPSSI)様式その他甲が指定する様式)に基づき、正確な情報を甲に提供する。
第5条(認証・証明書類の提出) 1. 乙は、対象製品又は乙の事業所について、次の各号のいずれかの認証を取得している場合、その証明書類の写しを甲に提出するものとする。 (1) ISO14001(環境マネジメントシステム) (2) エコマーク又はこれに相当する第三者認証 (3) その他甲が認める環境関連認証 2. 乙が前項の認証を保有しない場合、甲が指定する自己評価チェックシートを提出することで代替できる。
第6条(グリーン購入法の考え方の参照) 甲は、対象製品の選定に当たり、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)に基づき国が定める判断の基準(特定調達品目の判断基準)を、民間調達における自主的な参考基準として適用する。
第7条(評価及びランク付け) 1. 甲は、乙から提出された情報に基づき、対象製品及び乙の環境配慮の取組みを別紙3【評価基準】に従い評価し、A・B・Cの3段階でランク付けする。 2. Cランクと評価された乙に対し、甲は改善計画の提出を求めることができる。
第8条(基準見直し) 1. 本基準書は、化審法、RoHS指令その他関連法令・規格の改正状況を踏まえ、甲が年【1】回を目途に見直す。 2. 甲は、基準見直しの内容を乙に通知し、乙は通知後合理的な期間内に対応する。
第9条(不適合時の対応) 1. 乙が本基準書に定める基準に適合しない対象製品を納入したことが判明した場合、甲は当該製品の受領を拒否し、又は返品することができる。 2. 甲は、乙が継続的に不適合を生じさせると認める場合、取引基本契約に基づき取引の見直しを行うことができる。
第10条(記録の保持) 乙は、対象製品に係る化学物質含有情報及び認証関連書類を、納入後【5】年間保管し、甲の求めに応じて提示する。
第11条(適用関係) 本基準書は、甲乙間の取引基本契約に付随するものとし、取引基本契約の内容と抵触する場合は、環境配慮に関する事項に限り本基準書を優先する。
【年月日】
甲(調達企業) 【住所】【氏名又は名称】 印 乙(サプライヤー) 【住所】【氏名又は名称】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節:調達企業(甲)の視点
調達企業は、規制物質の変更に対する乙の対応の遅れや、調査票の虚偽記載によって自社の輸出製品がRoHS指令等に抵触するリスクを警戒する。
Before(乙提示の原案・第3条3項): 「甲は禁止物質リストを見直し、乙に通知する。乙は速やかに対応する。」
After(甲修正案): 「甲は禁止・制限物質リストを随時見直し、乙に通知する。乙は通知受領後【60】日以内に対応計画を甲に提出し、【180】日以内に対応を完了する。対応が遅延することにより甲に損害が生じた場合、乙は当該損害を賠償する。」 一言解説:「速やかに」では期限管理ができないため、通知から対応完了までの具体的な日数と、遅延時の損害賠償責任を明記することが望ましい。
また、甲は虚偽の調査票提出に備え、第4条に「乙が提出した情報に虚偽があったことが判明した場合、甲は取引基本契約に基づき取引を停止することができる」旨を追記することを検討する。
B節:サプライヤー(乙)の視点
サプライヤーは、認証取得の負担や、規制変更への即時対応義務が過大になることを警戒する。
Before(甲提示の原案・第5条1項): 「乙は、ISO14001等の認証を必ず取得し、証明書類を提出する。」
After(乙修正案): 「乙は、第1項各号の認証を保有する場合は証明書類を提出するものとし、保有しない場合は甲所定の自己評価チェックシートの提出をもって代替できる。認証の新規取得を本基準書遵守の条件としない。」 一言解説:認証取得には相応の費用・期間を要するため、認証を必須条件とせず、自己評価による代替手段を確保しておくことが中小サプライヤーにとって重要である。
さらに、乙は基準見直し時の対応期間について、第8条2項に「対応に要する追加費用が生じる場合、甲乙協議のうえ負担を定める」旨を追記し、規制対応コストの一方的な転嫁を防ぐことが望ましい。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面:製造業・小売業等が、部材・製品の調達先に対し環境配慮基準を提示し、含有化学物質の管理や認証取得状況を確認・評価する場面で使用する。取引基本契約の付属書類として運用することを想定している。
使ってはいけない場面:本基準書は民間企業間の自主的な調達基準であり、グリーン購入法が本来対象とする国・地方公共団体等の調達義務を直接根拠づけるものではない。国等の調達手続そのものに適用する場合は、同法及び関連の判断の基準告示に基づく別途の整理が必要である。
根拠法令:国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法、主として国・独立行政法人等を対象とする法律であり、本基準書では自主基準の参考規範として位置づける)、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法、第一種・第二種特定化学物質の規制)、電気・電子機器に関する特定有害物質の使用制限に関する欧州指令(RoHS指令。EU域内向け製品を扱う場合に実務上重要となる)。
よくある失敗と対策: 1. 規制物質リストの改廃時に、乙への通知から対応完了までの期限を定めず、対応漏れが発生する。→第3条・第8条で通知から対応完了までの日数を明記する。 2. 認証取得を一律必須とし、対応可能なサプライヤーが限定されてしまう。→自己評価チェックシートによる代替手段を用意する(第5条2項)。 3. 化審法とRoHS指令など複数の規制枠組みを混同し、対象物質・基準値の適用範囲が不明確になる。→別紙で規制根拠ごとに対象物質を整理し、参照条文を明記する。
規制物質のリストや基準値は改正が頻繁であるため、最新の法令・指令の内容については弁護士・行政書士等の専門家に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 対象品目リスト(別紙1)を最新の調達品目に合わせて更新したか
- [ ] 禁止・制限物質リスト(別紙2)がRoHS指令・化審法の最新規制と整合しているか確認したか
- [ ] 化学物質含有調査票の様式を指定したか
- [ ] 認証取得の要否と代替手段(自己評価)を明記したか
- [ ] 評価基準(別紙3)とランク付けの運用方法を定めたか
- [ ] 基準見直し時の通知方法・対応期限を明記したか
- [ ] 不適合品への対応(受領拒否・返品・取引見直し)を定めたか
- [ ] 記録保存期間を明記したか
- [ ] 取引基本契約との適用関係(優先順位)を確認したか
- [ ] 中小サプライヤーへの過度な負担がないか見直したか