小規模な飲食店や菓子製造業に作成が義務付けられた衛生管理計画と記録の様式。食品衛生法で制度化されたHACCPの考え方に沿い、一般衛生管理と重要管理点を定める。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
HACCPに沿った衛生管理計画書
第1部: 書式本文
1. 基本情報
- 事業者名・屋号:【 】
- 営業許可の種類・許可番号:【飲食店営業/菓子製造業等、許可番号 】
- 施設所在地:【 】
- 衛生管理計画の作成日:【 年 月 日】/直近改定日:【 年 月 日】
- 衛生管理責任者(食品衛生責任者):【役職・氏名】
2. 一般衛生管理のポイント
- 原材料の受入の確認:納品時の外観・温度・期限表示・仕入先の確認方法と確認者
- 庫内温度の管理:冷蔵庫【 ℃以下】、冷凍庫【 ℃以下】、確認頻度【1日2回・開店前/閉店後】
- 交差汚染・二次汚染の防止:生食用食材と加熱用食材の器具・まな板・トレイの用途別使い分け、動線の分離
- 器具等の洗浄・消毒・殺菌:使用する洗剤・消毒剤の種類、希釈濃度、頻度
- トイレの洗浄・消毒:頻度、担当者
- 従業員の健康管理:検便実施頻度、発熱・下痢・嘔吐・化膿創がある場合の就業制限基準
- 衛生的な手洗いの実施:手順(石けん→流水→アルコール消毒)とタイミング(調理前、トイレ後、盛付前等)
- 異物混入防止対策:防虫・防そ対策の実施状況、毛髪・爪・アクセサリーの管理ルール
- 廃棄物・排水の取扱い:廃棄物容器の管理、排水設備の清掃頻度
- 施設・設備の衛生管理:換気設備・給排水設備・照明の清掃点検頻度、ねずみ・昆虫の侵入経路の点検記録
- 苦情・異常発生時の一次対応:体調不良の申告や異物混入の苦情を受けた際の一次受付・記録・報告先
3. HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(重要管理点)
- 対象メニュー・工程の特定:【加熱調理品/非加熱提供品(刺身・生野菜等)ごとに列挙】
- 重要管理点(CCP)の設定例:中心温度【75℃・1分以上】での加熱、冷却は【90分以内に20℃以下】まで
- モニタリング方法・頻度:中心温度計による測定、記録者、測定頻度
- 管理基準(Critical Limit)を逸脱した場合の対応:再加熱、廃棄、提供中止の判断基準
- 記録様式:日常点検表、加熱・冷却記録表、検収記録表を添付する
- 非加熱で提供するメニュー(刺身、サラダ、和え物等)については、加熱工程がないため、原材料の鮮度確認・保管温度・提供までの時間管理を重要管理点に準ずる項目として位置付け、モニタリング方法を別途定める
4. 記録の作成・保存
- 記録媒体:【手書き様式/表計算ソフト/専用アプリ】
- 保存期間:【原則1年間、対象食品の消費期限等を踏まえて設定】
- 保存責任者・保存場所:【 】
5. 計画の見直し
- 見直しの頻度:【半年に1回、またはメニュー・仕入先変更時】
- 見直し実施者・承認者:【 】、変更履歴の記録方法
6. 従業員教育・訓練
- 新規採用時研修の内容(手洗い、体調管理、報告ルール)・実施記録の様式
- 定期研修の頻度・実施記録、外部講習受講の記録
7. 是正措置記録欄
発生日、逸脱内容(温度未達、期限切れ食材の混入等)、原因分析、是正措置の内容、再発防止策を記録する様式を備える。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 飲食店・食品事業者の視点
小規模事業者(「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の対象)は、業界団体作成の手引書を土台に簡略化してよい。 - 記載例:「本計画は【全国○○業生活衛生同業組合作成の手引書(令和 年 月版)】に準拠し、当店の業態・客席数・調理工程に応じて必要事項を簡略化して作成する。」 - 一言解説:参照した手引書の名称・版を明記しておくと、保健所の立入検査で作成根拠を説明しやすく、監査対応の負担が軽くなる。
B. 衛生管理責任者の視点
現場の衛生管理責任者は、自らの権限・報告義務と、設備投資など経営判断の責任とを切り分けておきたい。 - 記載例:「衛生管理責任者は、日常点検・記録の実施状況を月1回、事業者(経営者)に文書で報告する。事業者は、衛生管理責任者から改善提案があった場合、必要な人員・設備の要否を検討し、その結果を書面で回答する。」 - 一言解説:記録・点検の実施責任と、冷蔵庫更新等の投資判断責任とを分離すると、事故発生時に「誰の対応不備か」が不明確になる事態を避けやすい。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
本書式は、飲食店・惣菜店・小規模な菓子製造業など、食品等事業者が営業を開始する際、または既存の衛生管理体制を文書化・可視化する際に使用する。と畜場・食肉処理業・大規模な加工食品工場など、コーデックスの7原則12手順に対応した「HACCPに基づく衛生管理」が求められる事業者については、危害要因分析(ハザード分析)をより詳細に行った計画書が必要であり、本書式(小規模事業者向けの簡易な様式)をそのまま流用してはならない。
根拠法令は食品衛生法である。令和3年6月1日から、原則すべての食品等事業者に「HACCPに沿った衛生管理」の実施が制度化され、衛生管理計画の作成・実行・記録の作成及び保存が求められるようになった。具体的な管理基準は食品衛生法施行規則が定める「公衆衛生上必要な措置の基準」(一般的な衛生管理の基準及びHACCPに基づく衛生管理・HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の基準)に沿って作成する必要がある。
実務でよくある失敗として、第一に、保健所や業界団体配布のひな形をそのまま使用し、自店舗の実際のメニュー構成・調理工程と記載内容が一致していない例がある。対策として、第1部第5項の見直し規定を「メニュー改定のたびに実施」と明文化し、形骸化を防ぐ。第二に、日常点検記録はつけているものの、管理基準を逸脱した際の是正措置欄が空欄のまま放置される例が目立つ。第7項の是正措置記録欄を独立した様式として運用し、逸脱時には必ず記入する社内ルールを明文化する。第三に、従業員の健康管理記録が特定の担当者に属人化し、担当者不在時に確認が抜け落ちることがある。あらかじめ代行者を指定し、不在時の対応者を明記しておく。
第四に、非加熱提供メニュー(刺身・生野菜・和え物等)について、加熱によるCCPを設定できないにもかかわらず、加熱調理品向けの様式をそのまま流用し、鮮度確認や保管温度・提供までの時間管理といった代替的な管理項目が抜け落ちる例がある。第3部第3項に記載のとおり、非加熱提供メニューには専用のモニタリング項目を別途定める必要がある。
なお、本書式はあくまで一般的な記載項目の例示であり、業態・取扱食品・施設規模により必要な管理項目や重要管理点の設定は異なるため、個別の店舗の実情に応じた要否については保健所や専門家に確認のうえ最終化することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 営業許可の種類・許可番号を正確に記載したか
- [ ] 自店舗の業態(飲食店営業/菓子製造業等)に応じた管理項目になっているか
- [ ] 提供するメニュー・工程ごとに重要管理点(CCP)を具体的に設定したか
- [ ] 冷蔵・冷凍庫の管理温度の数値を実態に合わせて記入したか
- [ ] 記録の保存期間・保存責任者・保存場所を明記したか
- [ ] 業界団体の手引書を参照した場合、その名称・版を記載したか
- [ ] 従業員の健康管理・就業制限の基準を具体的に定めたか
- [ ] 計画の見直し頻度・見直し担当者を定めたか
- [ ] 是正措置記録欄を独立した様式として設けたか
- [ ] 従業員教育・訓練の実施記録の様式を用意したか
- [ ] 保健所の立入検査に対応できる説明資料として整合しているか
- [ ] 非加熱提供メニューについて代替的なモニタリング項目を定めたか
- [ ] 苦情・異常発生時の一次対応と報告先を定めたか