ライブ配信や見逃し配信の権利を許諾する契約書です。配信期間、地域制限、権利侵害への対応、収益分配の方法を定めます。必要事項を埋めるだけで短時間に整えられる書式です。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
配信権許諾契約書(スポーツ・イベント)
第1部: 書式本文
【権利者名称】(以下「甲」という)と【配信事業者名称】(以下「乙」という)は、甲が主催又は権利を保有する【対象興行・大会名】(以下「本興行」という)の映像配信に関し、以下のとおり配信権許諾契約(以下「本契約」という)を締結する。
第1条(目的) 本契約は、甲が本興行の映像に関して有する著作権法上の権利その他一切の権利(以下「本件権利」という)に基づき、乙に対して本興行のライブ配信及び見逃し配信を行う権利を許諾する条件を定めることを目的とする。
第2条(許諾の内容) 1. 甲は乙に対し、本興行の映像を著作権法第23条に定める公衆送信(自動公衆送信を含む)の方法により配信すること、及びこれに必要な限度で同法第21条の複製を行うことを許諾する。 2. 前項の許諾は【独占的/非独占的】許諾とし、許諾の範囲は【インターネット配信/ケーブルテレビ配信等】に限る。
第3条(許諾地域及び言語) 本契約に基づく配信は、【許諾地域(例:日本国内)】に所在する視聴者を対象とし、乙は地域制限技術(ジオブロッキング)を導入して当該地域外への配信を防止する措置を講じるものとする。
第4条(許諾期間) 本契約に基づく許諾期間は【開始日】から【終了日】までとする。ただし、見逃し配信については本興行終了後【日数】日間に限りこれを行うことができる。
第5条(配信の方法及び品質) 1. 乙は、本興行の生中継を【解像度・回線条件等】の品質にて行うものとし、配信の遅延、途絶その他の技術的障害が生じないよう合理的な措置を講じる。 2. 乙は、配信画面に甲の指定するロゴ、スポンサー表示その他の付随情報を表示するものとする。
第6条(対価及び支払方法) 1. 乙は甲に対し、本契約の対価として金【許諾料】円(消費税別)を、【支払期日】までに甲の指定する銀行口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は乙の負担とする。 2. 前項に加え、乙は視聴料収入その他本興行の配信により得た収益の【分配率】パーセントを甲に分配する。分配金の計算根拠となる資料は、乙が甲の求めに応じ開示する。
第7条(収益分配の精算) 乙は、本興行終了後【日数】日以内に前条第2項の分配対象収益を集計し、明細書を甲に提出のうえ、当該明細書記載の分配金を甲の指定口座に支払う。
第8条(権利侵害への対応) 1. 乙は、本興行の映像が無許諾で複製、公衆送信又は再配信されていることを発見した場合、直ちに甲に報告するとともに、著作権法及び不正競争防止法に基づく削除要請その他の是正措置を講じる。 2. 甲及び乙は、前項の対応に要した合理的費用の負担について別途協議する。
第9条(表明保証) 甲は、本興行の映像に関する配信許諾を行う正当な権原を有し、第三者の権利を侵害していないことを表明し保証する。
第10条(禁止事項) 乙は、甲の事前の書面による承諾なく、本件権利の全部又は一部を第三者に再許諾し、又は本契約上の地位を譲渡してはならない。
第11条(危険負担・中止時の取扱い) 1. 天災、感染症のまん延その他甲乙いずれの責めにも帰すことができない事由により本興行が中止された場合、既発生の配信準備費用の負担については民法第536条の規定を踏まえ甲乙協議のうえ定める。 2. 本興行の中止が乙の帰責事由による場合、乙は甲に対し民法第415条及び第541条・第542条に基づく損害賠償その他の責任を負う。
第12条(秘密保持) 甲及び乙は、本契約の締結及び履行を通じて知り得た相手方の営業上・技術上の秘密情報を、本契約の目的以外に使用せず、第三者に開示してはならない。
第13条(反社会的勢力の排除) 甲及び乙は、自己及び自己の役員が反社会的勢力に該当しないこと、並びに反社会的勢力と一切の関係を有しないことを相互に表明し、これに違反した場合は本契約を無催告で解除できるものとする。
第14条(契約期間中の解除) 甲又は乙は、相手方が本契約に違反し、相当期間を定めた催告後も是正されない場合、本契約を解除することができる。
第15条(準拠法及び管轄) 本契約は日本法に準拠し、本契約に関する紛争については【管轄裁判所】を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
第16条(協議事項) 本契約に定めのない事項及び本契約の解釈につき疑義が生じた事項については、甲乙誠実に協議のうえ解決する。
本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ各1通を保有する。
契約締結日:令和【 】年【 】月【 】日
甲(権利者) 住所: 名称: 代表者: 印
乙(配信事業者) 住所: 名称: 代表者: 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 権利者(甲)側に有利な修正パターン
- 第2条第2項を「本許諾は独占的許諾とし、乙は許諾地域内における他の配信事業者への同種許諾を求めない」から「本許諾は非独占的許諾とし、甲は本興行の映像を他の配信事業者にも重ねて許諾できるものとする」に修正する。単一事業者への依存を避け、収益機会を最大化できる。
- 第6条第1項の支払時期を「配信開始日の【日数】日前まで」の前払い条件に変更する。乙の資金繰り悪化時の未回収リスクを甲が負わない形にできる。
- 第8条第1項に「乙は月次で侵害監視状況を甲に報告する」との一文を追加する。乙任せの対応にせず、甲が侵害対応の進捗を継続的に把握できるようにする。
- 第11条第1項に「甲はやむを得ない事由により本興行を中止する場合、乙に対し既払い許諾料の返還義務を負わない」との規定を追加する。天災等による中止時の甲の資金負担を軽減する。
B節: 配信事業者(乙)側に有利な修正パターン
- 第4条に「甲の映像提供が遅延した場合、許諾期間は当該遅延日数分延長される」との一文を追加する。甲側の準備遅延による乙の配信機会喪失を防ぐ。
- 第6条第1項を「対価は本興行終了後、実際の視聴者数に応じた変動制とする」に修正する。需要が読めない新規イベントでの過大な固定費負担を回避できる。
- 第9条に「甲の表明保証違反により乙が第三者から請求を受けた場合、甲は乙が被った損害及び弁護士費用を賠償する」との補償条項を追加する。権利関係の瑕疵リスクを甲に転嫁する。
- 第11条第1項を「中止の場合、乙は既に支出した配信設備費用相当額を甲に請求できる」に修正する。不可抗力時であっても実費回収の余地を残す。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
解説(a) 使う場面・使ってはいけない場面 本書式は、スポーツ大会やコンサート等の興行主催者(権利者)が、外部の配信プラットフォーム事業者に対してライブ配信・見逃し配信を許諾する場面を想定している。放送局との地上波放送契約や、出演者個人との肖像権・実演許諾契約には別途専用の書式が必要であり、本書式を流用すべきではない。また、権利者が自ら配信を行い外部委託(制作代行)のみを依頼する場合は、業務委託契約書を用いる方が適切である。
解説(b) 根拠法令 配信行為は著作権法第23条の公衆送信権(自動公衆送信を含む)の対象となり、配信用素材の作成・保存は同法第21条の複製権に関わる。中止時の危険負担は民法第536条、履行遅滞・履行不能による契約解除は同法第541条・第542条が基本的な枠組みとなる。無断転載や違法再配信への対応では不正競争防止法上の営業上の利益侵害の主張が補完的に検討され得る。また、独占的許諾条項を設ける場合、独占禁止法上の不公正な取引方法(拘束条件付取引)に該当しないか、許諾範囲・期間の合理性を検討する必要がある。
解説(c) よくある失敗と対策 第一に、許諾範囲を「配信」とのみ定め、地域制限や二次利用の可否を明記しないため、海外への意図しない配信や無断のアーカイブ化が生じる失敗がある。対策として第3条のように地域制限技術の導入義務を明記する。第二に、収益分配の計算根拠となる資料の開示義務を定めず、分配額の正当性を検証できない失敗がある。対策として第6条・第7条のように明細書提出義務を規定する。第三に、独占的許諾を長期間・無限定に設定し、独占禁止法上のリスクを見落とす失敗がある。対策として許諾期間・地域を具体的に限定し、更新時に条件を見直す仕組みを設ける。なお、個別の事案については弁護士等の専門家に確認することを推奨する。適法性を保証するものではない点に留意されたい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 許諾の対象が「ライブ配信」「見逃し配信」のいずれか又は双方かを明記したか
- [ ] 独占的許諾か非独占的許諾かを明記し、独占禁止法上のリスクを検討したか
- [ ] 許諾地域とジオブロッキング等の技術的措置の実施義務を定めたか
- [ ] 許諾期間及び見逃し配信可能期間を具体的な日数で定めたか
- [ ] 対価の支払時期・方法及び収益分配の計算根拠開示義務を定めたか
- [ ] 権利侵害(海賊版配信等)への対応手順と費用負担を定めたか
- [ ] 権利者の表明保証及び違反時の補償条項を検討したか
- [ ] 天災・感染症等による中止時の危険負担の分担を定めたか
- [ ] 秘密保持及び反社会的勢力排除条項を含めたか
- [ ] 準拠法及び専属的合意管轄裁判所を定めたか
- [ ] プレースホルダ【】を全て実際の当事者情報・数値に置き換えたか