派遣契約を期間途中で解除する際の通知書です。労働者派遣法第29条の2に基づく新たな就業機会の確保と損害賠償の措置を示します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
労働者派遣契約中途解除通知書
第1部: 書式本文
【発行年月日】令和【 】年【 】月【 】日
【派遣元事業主名】御中
【派遣先事業所名】 【代表者役職・氏名】㊞
労働者派遣契約中途解除通知書
貴社との間で令和【 】年【 】月【 】日付で締結した労働者派遣個別契約(契約番号【 】、派遣就業期間:令和【 】年【 】月【 】日から令和【 】年【 】月【 】日まで)について、下記のとおり期間の中途で解除しますので通知します。
第1条(解除の対象) 本通知は、対象派遣労働者【氏名】に係る前記個別契約を対象とする。
第2条(解除の理由) 解除の理由は下記のとおりである。 □ 派遣先の経営上の事由(具体的内容:【事業縮小・部門廃止等】) □ 派遣労働者の帰責事由(具体的内容:【 】、これまでの改善要請の経過:【 】) □ 天災その他やむを得ない事由(具体的内容:【 】) □ その他(具体的内容:【 】)
第3条(解除日) 本契約は、令和【 】年【 】月【 】日をもって解除する。
第4条(新たな就業機会の確保への協力) 1. 派遣先は、労働者派遣法第29条の2に基づき、派遣元による対象派遣労働者の新たな就業機会の確保に協力する。 2. 具体的な協力内容:□ 関連会社での就業あっせん □ 派遣元からの求めに応じた就業先の紹介 □ その他【 】
第5条(休業手当等に相当する費用の負担) 1. 派遣先の事由による解除の場合、派遣元が対象派遣労働者に休業手当(労働基準法第26条)その他の手当を支払う必要が生じたときは、派遣先は当該費用を派遣元に対して負担する。 2. 負担額の算定方法:【 】、支払期限:【 】
第6条(損害賠償) 1. 前条に定める費用のほか、本契約の解除により派遣元に生じた損害(解雇予告手当相当額、休業手当相当額を除く直接損害等)について、派遣先の事由による解除である場合は、派遣先がこれを賠償する。 2. 損害の範囲及び算定方法については、派遣元・派遣先間で別途協議のうえ確定する。
第7条(解除理由の説明) 派遣元から請求があったときは、派遣先は解除の理由について書面により説明する。
第8条(相当の猶予期間) 本契約の解除にあたり、派遣先は、可能な限り、解除の申入れから解除日までの間に相当の猶予期間を確保するよう努めた。
第9条(貸与物品等の返還) 対象派遣労働者が使用していた貸与物品、入退館証、システムアカウント等は、解除日までに派遣元を通じて返還を受ける。
第10条(守秘義務の存続) 対象派遣労働者が本契約に基づく就業を通じて知り得た秘密情報については、契約解除後も別途締結した秘密保持に関する合意に従い、これを保持する義務が存続する。
第11条(協議事項) 本通知書に定めのない事項及び疑義が生じた事項については、派遣元・派遣先間で誠実に協議して定める。
以上
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 派遣先の立場から通知する場合
- 記載例1:「第2条の解除理由を経営上の事由とする場合、『令和【 】年【 】月【 】日付取締役会決議により【事業部門名】の廃止が決定され、これに伴い当該部門における派遣就業の必要性が消滅した』のように、経営判断の根拠と時期を具体的に記載する。」 一言解説: 経営上の事由による解除は、正当な理由なく行われると派遣先の責めに帰すべき事由による解除と評価されやすいため、判断根拠を具体的に示すことが重要である。
- 記載例2:「第8条の相当の猶予期間について、『解除の申入れは令和【 】年【 】月【 】日に行い、解除日までに【 】日間の猶予期間を確保した』のように、実際に確保した期間を明記する。」 一言解説: 猶予期間の確保状況を記録しておくことは、新たな就業機会の確保に協力する趣旨を実質的に果たしたことの説明資料となる。
B節: 派遣元の立場から受領・確認する場合
- 記載例1:「第4条の新たな就業機会の確保への協力について、派遣先からの具体的な協力内容の提示がない場合、派遣元から『関連会社での就業あっせんの可否について、令和【 】年【 】月【 】日までに回答されたい』と追加の申入れを行う文書を別途作成する。」 一言解説: 労働者派遣法第29条の2は派遣先に新たな就業機会の確保への協力を求めており、協力内容が抽象的な場合は具体化を求めることが望ましい。
- 記載例2:「第6条の損害賠償について、派遣元が既に対象派遣労働者に休業手当を支払っている場合、支払済みの金額・算定根拠を記載した明細を添付し、費用負担の協議を早期に開始する。」 一言解説: 休業手当の支払は派遣元の義務であるが、派遣先の事由による解除の場合はその負担を派遣先に求める根拠が労働者派遣法上明確にされているため、早期の費用精算を求めることが実務上重要である。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
本様式は、労働者派遣契約を期間の中途で解除する場合に、派遣先から派遣元に対して通知する場面で使用する。使う場面は、派遣先の経営上の事由、派遣労働者の帰責事由、天災等やむを得ない事由により契約期間満了前に契約を終了させる必要が生じた場合である。使ってはいけない場面としては、対象派遣労働者を退職に追い込む目的で名目上の理由を掲げて解除する場合であり、この場合は後述する派遣先の責任が重く評価されるリスクがある。
根拠法令及び留意点としては、労働者派遣法第29条の2は、派遣先の都合により労働者派遣契約の解除を行おうとする場合、派遣先は当該労働者派遣に係る派遣労働者の新たな就業の機会の確保を図ること、休業手当等に相当する額以上の額について損害賠償を行うこと等により、当該労働者派遣に係る労働者派遣契約の解除に伴い派遣元事業主に生じる損害の賠償を行うことその他の必要な措置を講じなければならないと定めている。また、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律に基づく指針(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等を図るための派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針・派遣先が講ずべき措置に関する指針)は、派遣先の事由による解除の場合、少なくとも解除の30日以上前に予告すること、予告をしない場合は30日分以上の賃金相当額の損害賠償を行うこと等、より具体的な対応を求めている。派遣先の事由による解除に伴い派遣元が労働者を休業させる場合、派遣元は労働基準法第26条に基づき休業手当の支払義務を負うが、その原因を作出した派遣先がこれに相当する費用を負担すべきとされている点も重要である。
実務でよくある失敗として、第一に、解除理由を「経営上の都合」とのみ記載し、具体的な根拠を示さないまま解除を行い、後日、正当な理由のない解除として派遣元・派遣労働者双方から責任を追及されるケースがある。対策として、第2条に経営判断に至った具体的な経緯・時期を記載する。第二に、新たな就業機会の確保への協力を形式的な条項として記載するのみで、実質的な協力を行わないケースがある。対策として、第4条の協力内容を具体的な行動として特定し、実施状況を記録する。第三に、猶予期間を確保せずに即日解除を行い、指針が求める予告期間を満たさないケースがある。対策として、第8条において実際に確保した猶予期間を明記し、確保できなかった場合は損害賠償による対応を検討する。なお、解除に伴う損害賠償の範囲及び算定方法は事案により異なるため、専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 解除の対象となる個別契約・対象派遣労働者を特定したか
- [ ] 解除理由が具体的な根拠とともに記載されているか
- [ ] 解除日及び相当の猶予期間の確保状況を記載したか
- [ ] 新たな就業機会の確保への協力内容を具体的に記載したか
- [ ] 休業手当等に相当する費用の負担者・算定方法を定めたか
- [ ] 損害賠償の範囲・算定方法についての協議方針を定めたか
- [ ] 派遣元からの解除理由の説明請求に応じる旨を明記したか
- [ ] 貸与物品・入退館証・システムアカウント等の返還方法を定めたか
- [ ] 秘密保持義務の存続について明記したか
- [ ] 派遣労働者本人への説明・配慮を派遣元と連携して行う体制があるか