派遣先が事業所単位の派遣可能期間の制限に係る抵触日を派遣元へ知らせる場面の書式。労働者派遣法第26条第4項に基づく契約締結前の通知義務に対応している。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
抵触日通知書(労働者派遣)
【文書番号】【 】号 【作成日】令和【 】年【 】月【 】日
【宛先】 【派遣元事業主の名称】【 】御中
【差出人】 【派遣先事業主の名称】【 】 【所在地】【 】 【代表者役職・氏名】【 】 印
第1部: 書式本文
抵触日通知書
当社は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)第26条第4項の規定に基づき、下記のとおり事業所単位の派遣可能期間の制限に係る抵触日を通知いたします。
記
1.通知対象の事業所 名称:【 】 所在地:【 】
2.派遣可能期間の起算日 令和【 】年【 】月【 】日
3.事業所単位の抵触日 令和【 】年【 】月【 】日 (起算日から3年を経過する日の翌日)
4.過半数労働組合等からの意見聴取の状況 □ 未実施(派遣可能期間の延長手続は今後実施予定) □ 実施済み(意見聴取日:令和【 】年【 】月【 】日、意見聴取先:【過半数労働組合/過半数代表者の氏名】)
5.派遣可能期間を延長した場合の新たな抵触日(延長手続実施済みの場合のみ記載) 令和【 】年【 】月【 】日
6.本通知の適用範囲 本通知は、今後貴社との間で締結する労働者派遣契約(個別契約を含む)のすべてに適用されるものとし、上記事業所単位の抵触日を超えて労働者派遣を受け入れることはできません。
7.今後の労働者派遣契約締結における留意事項 本通知に係る抵触日以降に労働者派遣契約を締結する場合は、事前に事業所単位の派遣可能期間の延長手続の有無および新たな抵触日を貴社に再通知いたします。
8.本通知の有効期間 本通知は、次回の抵触日変更通知が発出されるまで有効とします。
以上
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 派遣先側(通知用)
- 記載例1: 「4.過半数労働組合等からの意見聴取の状況欄で『未実施』を選択する場合、通知本文に『意見聴取手続完了後、速やかに再通知する』旨を追記する。」 一言解説: 労働者派遣法第40条の2第4項は、派遣可能期間を延長しようとする場合に過半数労働組合等からの意見聴取を義務づけており、意見聴取前の抵触日を先行通知する場合はその旨を明示しないと誤解を招く。
- 記載例2: 「1.通知対象の事業所欄は、派遣先が複数事業所を有する場合、契約対象となる事業所ごとに通知書を分けて作成する運用注記を加える。」 一言解説: 事業所単位の期間制限は事業所ごとに判定されるため、複数事業所分をまとめて通知すると誤った抵触日を適用するリスクがある。
- 記載例3: 「8.本通知の有効期間の下に、抵触日の変更が生じた場合の再通知の連絡先(担当部署・担当者名)を明記する。」 一言解説: 抵触日は事業所の派遣受入れ実績により変動し得るため、変更発生時の連絡窓口をあらかじめ明示しておくと派遣元との情報連携が円滑になる。
B節: 派遣元側(受領・管理用)
- 記載例1: 「本通知書の余白に【受領日】【受領担当者】【労働者派遣契約書への転記日】欄を追加し、受領から契約書反映までの管理を行う。」 一言解説: 労働者派遣法第26条第4項の通知は労働者派遣契約の締結前に行われる必要があり、派遣元は受領日と契約締結日の先後関係を記録しておくことが望ましい。
- 記載例2: 「3.事業所単位の抵触日欄について、派遣元は個人単位の期間制限(同法第35条の3、原則同一組織単位で3年)とは別個の管理台帳に転記し、両者を混同しないようにする。」 一言解説: 事業所単位の抵触日と派遣労働者個人単位の抵触日は制度趣旨・延長手続が異なるため、派遣元側で別管理することが実務上重要。
- 記載例3: 「受領した本通知書を、派遣元管理台帳(労働者派遣法第37条)の記載事項の一つである派遣可能期間の制限に抵触することとなる最初の日の欄に転記した旨を確認するチェック欄を追加する。」 一言解説: 派遣元管理台帳への記載漏れは同法第37条違反となり得るため、通知受領と台帳転記を一連の業務フローとして管理する必要がある。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本様式は、派遣先が事業所単位の派遣可能期間の制限に係る抵触日を、労働者派遣契約の締結に先立って派遣元に通知する場面で使用する。根拠は労働者派遣法第26条第4項であり、派遣先は労働者派遣契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの事業所単位の抵触日を、派遣元事業主に対して書面の交付等により通知しなければならない。同項の通知を行わない場合、派遣元は当該労働者派遣契約を締結してはならないとされており(同条第5項)、本通知書は契約締結の前提条件を満たすための必須書類として機能する。事業所単位の期間制限自体は同法第40条の2第1項から第3項に定められ、原則として同一の事業所において3年を超えて労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。この期間を延長する場合は、抵触日の1か月前までに、当該事業所の過半数労働組合等からの意見聴取を行うことが同条第4項で求められている。本通知書は、労働者派遣契約の締結という取引行為に先立つ情報提供義務を履行するための書式であり、派遣先・派遣元双方にとって、その後の契約が適法に締結されたことを裏づける重要な証跡となる。
使ってはいけない場面としては、個人単位の期間制限(同法第35条の3、原則として同一の組織単位における同一の派遣労働者の受入れは3年が上限)の通知を行う場合である。個人単位の制限は事業所単位の制限とは別の制度であり、本様式のような事業所単位の抵触日通知をもって個人単位の期間制限の管理に代えることはできない。また、無期雇用派遣労働者や60歳以上の派遣労働者等、期間制限の適用が除外される者(同法第40条の2第1項各号)のみを受け入れる契約についても、本様式による抵触日通知は原則として不要である。
実務でよくある失敗として、第一に、労働者派遣契約の締結後に抵触日通知を行ってしまい、通知の先後関係が労働者派遣法第26条第4項の要求する「あらかじめ」の要件を満たさなくなる例がある。対策として、本様式の作成日欄と契約締結予定日を突き合わせる運用チェックを第4部に設けている。第二に、事業所単位の抵触日を延長したにもかかわらず、過半数労働組合等からの意見聴取(同法第40条の2第4項)の記録が残っておらず、延長の効力に疑義が生じる例がある。対策として、4.欄で意見聴取の実施状況と意見聴取先を必須記載事項としている。第三に、複数の派遣就業場所を有する派遣先が、事業所単位の抵触日を一括通知してしまい、事業所ごとの正確な起算日がわからなくなる例がある。対策として、1.欄で通知対象事業所を個別に特定する構成とした。なお、意見聴取手続の適法性や期間制限の適用除外の該当性については事案ごとの判断を要するため、個別事案については弁護士等の専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 通知対象の事業所名・所在地が特定されているか
- [ ] 派遣可能期間の起算日が記載されているか
- [ ] 事業所単位の抵触日(起算日から3年を経過する日の翌日)が正しく計算されているか
- [ ] 本通知が労働者派遣契約の締結前に発出されているか(労働者派遣法第26条第4項)
- [ ] 過半数労働組合等からの意見聴取の実施状況が記載されているか(延長を予定する場合)
- [ ] 延長手続実施済みの場合、新たな抵触日が記載されているか
- [ ] 複数事業所がある場合、事業所ごとに通知書が分かれているか
- [ ] 個人単位の期間制限(労働者派遣法第35条の3)と混同していないか
- [ ] 期間制限の適用除外に該当する契約でないか確認したか
- [ ] 差出人・宛先・作成日・文書番号が明記されているか
- [ ] 文末に「以上」の記載があるか
- [ ] 派遣元側で受領日・契約反映日を記録する欄が用意されているか
- [ ] 抵触日変更時の再通知連絡先が明記されているか
- [ ] 派遣元管理台帳(労働者派遣法第37条)への転記が確認できる仕組みになっているか