暴力団や関係者でないことを誓約し、違反時の契約解除に異議を述べない旨を確認する書面です。役員名簿の添付にも対応します。関連書式とあわせて使うことで手続の漏れを防げます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
暴力団排除に関する誓約書(入札用)
第1部: 書式本文
〇〇〇〇発注者(以下「発注機関」という。)が実施する【工事名・業務名】に係る入札への参加にあたり、〇〇〇〇(以下「参加者」という。)は、暴力団排除の観点から次のとおり誓約する。
1. 暴力団等非該当の表明 参加者並びにその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他名称を問わずこれらに準じる支配力を有する者を含む。以下同じ。)は、次のいずれにも該当しないことを表明する。 (1) 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下「暴力団対策法」という。)第2条第2号に規定する暴力団 (2) 同条第6号に規定する暴力団員 (3) 暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者 (4) 暴力団又は暴力団員が実質的に経営を支配する法人その他の団体 (5) 自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもって暴力団又は暴力団員を利用している者 (6) 暴力団又は暴力団員に対して資金等を提供し、又は便宜を供与する等の関与をしている者 (7) 役員等が暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有する者
2. 不当介入の禁止 参加者は、自ら又は第三者を利用して、本入札及びその後の契約に関し、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求行為、取引に関して脅迫的な言動をする行為又は暴力を用いる行為を行わない。
3. 役員名簿の提出 参加者は、本誓約書と併せて、別紙【役員名簿】に役員全員の氏名、生年月日及び住所を記載のうえ提出する。役員に変更が生じた場合には、変更後遅滞なく発注機関に届け出る。
4. 暴力団排除条例の遵守 参加者は、本社所在地又は工事(業務)履行地を管轄する都道府県が定める暴力団排除条例の趣旨を理解し、これを遵守する。
5. 発注機関による調査への協力 参加者は、発注機関が参加者又はその役員が第1項各号に該当するか否かを確認するため、警察への照会その他の調査を行うことに同意し、必要な資料の提出その他の協力を行う。
6. 表明保証違反時の契約解除・異議不申立て 参加者は、参加者又はその役員が第1項各号のいずれかに該当することが判明した場合、発注機関が催告を要せず入札参加資格の取消し、落札決定の取消し、契約の解除又は入札参加停止の措置を講じることに、いかなる異議も申し立てない。
7. 解除後の損害賠償等 参加者は、前項の措置により発注機関に損害が生じた場合、その損害を賠償する。また、契約解除に伴い参加者に生じた損害について、発注機関に対し一切の請求を行わない。
8. 下請負人等への準用 参加者は、下請負人、資材納入業者その他の関係者を選定するにあたっても、当該関係者が第1項各号に該当しないことを確認する。
以上のとおり誓約する。
【日付】 参加者 住所・商号・代表者名 印
(添付書類:役員名簿)
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 入札参加者の立場からの修正
A-1. 表明対象の明確化
修正後:「第1項の『役員』とは、別紙役員名簿に記載する者に限るものとする。」 一言解説: 表明保証の対象範囲が無限定に広がることを避け、名簿記載者に限定することで参加者の管理可能な範囲に収める修正である。
A-2. 契約解除時の出来高精算条項の追加
追加条文例:「第6項に基づき契約が解除された場合であっても、発注機関は解除時点における出来高部分に相当する対価を参加者に支払うものとする。」 一言解説: 表明保証違反による解除であっても、既履行部分の対価は不当利得の観点から精算されるべきとする実務上の要求に基づく修正である。ただし発注機関が拒否する例も多く、交渉事項となる。
A-3. 調査協力の範囲限定
修正後:「第5項の協力は、参加者が合理的に取得可能な資料の提出に限るものとする。」 一言解説: 警察照会等、参加者の権限が及ばない事項についてまで協力義務を負わされることを避ける修正である。
B. 発注機関の立場からの修正
B-1. 準暴力団・共生者類型の追加明記
追加条文例:「第1項に掲げる者のほか、暴力団と社会的に非難されるべき関係を有する者として発注機関が別途定める基準に該当する者も、本誓約書の適用対象に含む。」 一言解説: 都道府県条例や国土交通省の指針で示される「共生者」等の類型を条項に取り込み、暴力団排除の実効性を高める修正である。
B-2. 落札決定前の事前審査への同意
追加条文例:「参加者は、落札決定に先立ち、発注機関が第1項各号該当性について事前審査を行うことに同意し、これに応じない場合は入札参加資格を失うものとする。」 一言解説: 契約締結後の解除では原状回復の負担が大きいため、落札決定前の段階で審査を完了させる運用を可能にする修正である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面/使ってはいけない場面 本書式は、公共工事又は物品役務の入札に際し、発注機関が参加者及びその役員が暴力団等に該当しないことを確認し、事後的な契約解除の根拠を確保するために用いる。既に取引関係が長期継続している相手方との個別契約更新の場面では、より簡易な確認書(暴力団排除条項を契約書内の一条項として設ける方式)で足りる場合もあり、本書式のような独立の誓約書兼名簿提出方式が常に必要とは限らない。
根拠法令の解説 暴力団対策法は、暴力団員による不当な要求行為等を規制する法律であり、同法第2条において「暴力団」及び「暴力団員」の定義が置かれている。もっとも、公共契約からの暴力団排除は同法自体が直接義務付けるものではなく、各都道府県が制定する暴力団排除条例(いわゆる暴排条例)において、公共工事その他の契約に際し暴力団関係者を排除する努力義務又は契約解除条項の整備が定められていることが多い。また、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(適正化法)は、入札及び契約の透明性・公正性の確保を目的としており、発注機関が暴力団排除措置を講じる制度的な背景となっている。役員が暴力団員等に該当するかどうかの確認は、発注機関が警察に照会する運用が一般的であり、誓約書上でこれへの同意を取り付けておくことが実務上重要である。
実務でよくある失敗と対策 第一に、役員の範囲を明確にしないまま誓約書を締結し、退任した相談役や実質的支配者の扱いが曖昧になる失敗がある。A-1のように名簿記載者への限定又は実質的支配力を有する者の定義を明確化することが対策となる。第二に、契約解除時の出来高精算について何ら定めがなく、解除後に既履行部分の対価を巡って紛争になる失敗がある。A-2のような精算条項の要否を事前に検討することが望ましい。第三に、暴力団排除条例の内容が都道府県ごとに異なることを見落とし、本社所在地の条例のみを前提に誓約書を作成してしまい、履行地の条例上の要求事項が漏れる失敗がある。工事(業務)履行地の条例も確認したうえで条項を設計する必要がある。暴力団該当性の判断や解除の有効性は個別の事実関係に強く依存するため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 暴力団対策法第2条の定義(暴力団・暴力団員)に沿った該当性項目を設けたか
- [ ] 役員の範囲(相談役・顧問等の実質的支配者を含むか)を明確にしたか
- [ ] 役員名簿の添付を求め、変更時の届出義務を定めたか
- [ ] 都道府県暴力団排除条例(本社所在地・履行地双方)の内容を確認したか
- [ ] 適正化法の趣旨を踏まえた入札契約手続との整合性を確認したか
- [ ] 発注機関による警察照会等の調査への同意条項を設けたか
- [ ] 表明保証違反時の契約解除・入札参加停止の要件を明確にしたか
- [ ] 解除に伴う異議不申立て・損害賠償条項の妥当性を検討したか
- [ ] 出来高精算の要否について事前に方針を決めたか
- [ ] 下請負人・資材納入業者への準用の要否を検討したか
- [ ] 提出期限及び様式が発注機関の指定に合致しているか確認したか