出資金の払込みを証明するため代表者が作成し通帳写しを合綴する書面。会社法第208条の払込義務と、商業登記における添付書面としての要件や記載事項を整理します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
払込みがあったことを証する書面
第1部: 書式本文
本書式は、募集株式の発行等に際して引受人が払込取扱機関に払い込んだ出資金が、募集事項に定めた払込金額の総額どおりに確かに払い込まれたことを、会社の代表者が証明するために作成する書面である。通帳の写しその他の払込みを証する書類を合綴し、募集株式発行による変更登記の添付書面として提出する。
証明書本体
払込みがあったことを証する書面
当会社の下記募集株式の発行に関し、募集株式の引受人から下記のとおり払込みがあったことを証明する。
記
- 募集株式の数 【募集株式の数】株
- 1株当たりの払込金額 金【1株当たりの払込金額】円
- 払込金額の総額 金【払込金額の総額】円
- 払込みの期日又は期間 【払込期日又は払込期間】
- 払込取扱場所 【払込取扱金融機関の名称・支店名】
- 払込みを証する書類 【預金通帳の写し・振込金受取書の写し等】(別紙合綴)
【証明年月日】 【会社名】 代表取締役 【氏名】 ㊞
記載必須項目一覧
- 募集株式の数(募集事項決定時に定めた数と一致させる)。
- 1株当たりの払込金額および払込金額の総額。
- 払込みの期日又は払込みの期間(募集事項の定めと一致させる)。
- 払込取扱場所(払込みを受けた口座を開設した金融機関・支店名)。
- 払込みを証する書類の種類とその合綴の有無。
- 証明年月日および代表者の記名押印。
払込みを証する書類としては、預金通帳の写しが最も一般的であるが、インターネット専業銀行等で通帳が発行されない場合には、取引明細のスクリーンショットや金融機関発行の取引証明書を代替資料として用いる例もある。いずれの資料を用いる場合であっても、口座名義、入金日、入金額が判読できる状態で提出できるよう、事前に画面表示の設定や印刷の解像度を確認しておくことが望ましい。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 募集株式発行(第三者割当て・株主割当ての場合)
修正条文例:
引受人【引受人氏名又は名称】は、【払込期日】限り、金【払込金額】円を払込取扱金融機関【金融機関名・支店名】の当会社名義口座に払い込んだ。当会社は、当該払込みに係る預金通帳の写しを本書に合綴する。
一言解説: 引受人が複数いる場合は、引受人ごとの払込額と払込日を一覧表形式で記載し、通帳写しの該当箇所に付箋や番号を付して照合しやすくしておくと、登記申請時の確認作業が円滑になる。引受人の一部が期日までに払い込まなかった場合、その者は募集株式の株主となる権利を失うため、証明書上は実際に払込みを完了した引受人のみを記載する点にも注意する。
B節: 登記申請用(添付書面として提出する場合)
修正条文例:
本書は、会社法第208条第1項の規定による払込みが完了したことを証するものであり、払込みを証する書面として預金通帳の写し(表紙・払込みが記帳された頁)を合綴する。募集事項決定に係る取締役会議事録及び総数引受契約書とあわせて登記申請書に添付する。
一言解説: 登記申請の添付書面としては、証明書単体ではなく通帳写し等の裏付け資料と一体のものとして提出する必要があるため、合綴の順序(証明書を表紙とし、通帳写しを後続させる等)を統一しておくと審査がスムーズになる。ページ数が多い場合は各頁に契印を施し、後から差し替えが生じていないことを明らかにしておく実務も見られる。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
本書式は、募集株式の発行(第三者割当て、株主割当て、公募等いずれの方法によるかを問わない)により資本金及び発行済株式総数が増加する場合に、払込みの事実を証明するために用いる。設立時発行株式の払込みについても同様の考え方が妥当するが、設立の場合は発起人代表または設立時代表取締役が作成主体となる点で、既存会社の増資時とは作成名義が異なることに注意する。他方で、金銭以外の財産を出資する現物出資の場合には、払込みではなく給付があったことを証する書面や検査役の調査報告書等、別種の書面が必要となるため、本書式をそのまま用いることはできない。また、募集新株予約権の払込みについても金額や対象が異なるため、別途整理した書面を用いる必要がある。使ってはいけない場面のもう一つの典型例として、払込みが未完了の段階、すなわち引受人の一部について入金が確認できていない段階で本書式を作成してしまうケースがあり、この場合は全引受人の払込みが完了するまで証明書の作成を待つべきである。
根拠法令としては、会社法第208条第1項が、募集株式の引受人は払込期日又は払込期間内に、それぞれの募集株式の払込金額の全額を払い込まなければならない旨を定めており、同条第5項は、この払込みを仮装した場合の引受人の責任について規定している。商業登記実務上は、この払込義務の履行を証する書面として、払込みを証する書面(通帳の写し等)と、これに基づく代表者作成の証明書とを併せて添付することが求められている。払込みが金融機関を経由して行われる以上、通帳や取引明細といった客観的な資料と代表者による証明とを組み合わせることで、払込みの真実性を書面上重層的に裏付ける構造になっていると理解できる。
実務でよくある失敗として、第一に、払込みが払込期日又は払込期間より前に行われてしまい、募集事項に定めた払込期日等との整合が取れなくなる例である。払込みの実行前に、募集事項決定書または取締役会議事録に記載された払込期日を関係者全員に周知し、期日到来後に払込みを実行する運用が対策となる。第二に、払込取扱口座に引受人以外の名義で入金がなされ、誰からの払込みか通帳上判別できない例であり、振込依頼人名を引受人本人の氏名(法人の場合は正式名称)に統一するよう事前に案内する対策が有効である。第三に、いわゆる見せ金(払込みの直後に払込金を引き出して払込みを仮装する行為)の疑いを招く入出金があった場合であり、払込みから登記申請までの間に不自然な多額の出金がないことを通帳写しで確認し、必要に応じて資金の使途を説明できる資料を保管しておく対策が考えられる。第四に、払込取扱場所として複数の口座を並行して利用してしまい、証明書に記載した払込取扱場所と実際に入金された口座とが食い違う例もある。募集事項決定の段階で払込みを受け付ける口座を一つに固定し、関係者に周知しておくことが対策となる。なお、払込みの実質や仮装払込みの評価については、個別事案ごとに専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 募集株式の数・1株当たりの払込金額・払込金額の総額が募集事項の定めと一致しているか確認したか
- [ ] 払込みが募集事項に定めた払込期日又は払込期間内に行われたか確認したか
- [ ] 払込取扱場所として記載した金融機関・支店名が実際の入金口座と一致しているか確認したか
- [ ] 通帳の写し等、払込みを証する書類を漏れなく合綴したか
- [ ] 振込依頼人名が引受人本人(法人の場合は正式名称)と一致しているか確認したか
- [ ] 引受人が複数いる場合、引受人ごとの払込額の内訳を記載したか
- [ ] 見せ金など払込みの仮装を疑わせる不自然な資金移動がないか通帳を確認したか
- [ ] 代表取締役の記名押印がなされているか確認したか
- [ ] 証明年月日が払込期日又は払込期間の末日以降になっているか確認したか