相談から調査、措置、フォローまでの対応経過を記録する報告書です。労働施策総合推進法の措置義務履行の証跡として活用します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
ハラスメント被害者対応報告書
第1部: 書式本文
【報告書作成日】令和【 】年【 】月【 】日 【対応番号】【相談受付票・調査番号との紐付け番号】 【被害者氏名・所属】【 】 【相談窓口担当者】【氏名・所属】
【時系列対応記録】 1. 相談受付日:令和【 】年【 】月【 】日、受付方法:【面談/電話/メール等】、初動対応者:【氏名】 2. 一次対応の内容:【傾聴内容の要旨、緊急性の有無の評価、当面の安全確保措置】 3. 調査への引継ぎ日:令和【 】年【 】月【 】日、引継ぎ先:【調査主体】 4. 暫定措置の実施状況:□ 行為者との業務上の接点の一時的分離 □ 在宅勤務・座席変更等の環境調整 □ 特になし(理由:【 】) 5. 調査結果通知日:令和【 】年【 】月【 】日、通知方法:【 】、通知内容の要旨:【 】
【被害者への配慮措置】 1. メンタルヘルスケアの案内:□ 産業医面談を案内(実施日:【 】) □ 外部相談機関を案内(機関名:【 】) □ 未実施(理由:【 】) 2. 業務上の配慮:□ 一時的な業務内容・配置の変更(内容:【 】) □ 特になし 3. 加害者とされた者との接触回避措置:【具体的内容・実施期間】 4. プライバシー保護のための情報共有範囲の限定:【共有した部署・担当者の一覧】
【フォローアップ】 1. フォローアップ面談の実施日:令和【 】年【 】月【 】日(第1回)、令和【 】年【 】月【 】日(第2回) 2. 面談における被害者の状況・意見:【要旨】 3. 就業環境の改善状況の確認結果:【良好/一部懸念あり/継続対応要】 4. 追加対応の要否:【要/不要、要する場合の内容】
【不利益取扱いの有無の確認】 1. 相談・協力を理由とする不利益取扱いの有無:□ なし(確認方法:【人事評価記録・異動履歴の確認等】) □ 懸念あり(内容:【 】) 2. 確認担当者・確認日:【氏名・日付】
【再発防止措置への反映】 1. 本件を踏まえた研修・周知の実施予定:【内容・時期】 2. 職場環境改善のための措置:【内容】
【本報告書の保管・開示】 1. 保管期間:【 】年間 2. 開示範囲:【人事担当役員・相談窓口責任者等、必要最小限の範囲】 3. 最終確認者:【氏名・役職・確認日】
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 相談窓口担当者の立場から作成する場合
- 記載例1:「【一次対応の内容】欄に、相談受付時点で緊急性(身体的危険・自傷他害のおそれ等)を評価した結果と、その判断根拠を明記する項目を追加する。」 一言解説: 緊急性の評価を記録に残しておくことで、暫定措置の要否判断が事後的に適切であったかを説明しやすくなる。
- 記載例2:「【被害者への配慮措置】の産業医面談案内欄に、被害者が案内を希望しなかった場合の記録欄(希望しない理由・再案内の要否)を追加する。」 一言解説: 配慮措置を提案したが被害者の意向で実施しなかった経過も記録しておくことで、会社が配慮を怠ったわけではないことを示す資料となる。
B節: 被害者本人が経過を確認する立場から
- 記載例1:「【フォローアップ】欄の被害者の状況・意見の記載について、被害者本人が記載内容を確認し、認識の相違があれば付記できる欄を設ける。」 一言解説: 会社側の記録のみで対応経過が確定してしまうことを避けるため、被害者本人の確認機会を設けることが望ましい。
- 記載例2:「【不利益取扱いの有無の確認】欄について、被害者から人事評価・異動等に関する懸念が示された場合、その具体的内容と会社の説明を対比して記載する構成にする。」 一言解説: 相談・協力を理由とする不利益取扱いの禁止は労働施策総合推進法上の重要な要請であり、懸念が示された場合は個別に丁寧な説明を記録に残すことが望ましい。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
本様式は、ハラスメント相談を受けてから調査、措置決定、その後のフォローアップに至るまでの一連の経過を、被害者への配慮措置という観点から時系列で記録する場面で使用する。既存の相談受付時点の一次記録や、認定事実を中心とする調査報告書とは異なり、本様式は被害者の就業環境がその後どのように回復・安定していったかという継続的な経過管理に主眼を置く点に特徴がある。使う場面は、相談受付後、暫定措置の実施からフォローアップ面談の完了までの全期間である。使ってはいけない場面としては、調査や措置の決定を経ずに本様式のみで対応を完結させようとする場合であり、本様式はあくまで実施した対応の記録であって、調査・措置決定そのものの代替とはならない。
根拠法令及び留意点としては、労働施策総合推進法第30条の2第1項に基づく事業主の雇用管理上の措置義務の内容として、厚生労働大臣が定める指針は、相談者・行為者のプライバシーへの配慮、相談を理由とする不利益取扱いの禁止、被害者に対する配慮のための措置(メンタルヘルス不調への対応、行為者との関係改善に向けた援助、被害者の労働条件上の不利益回復等)を求めている。同法第30条の2第2項は、相談したこと等を理由とする解雇その他不利益な取扱いを禁止しており、本様式の【不利益取扱いの有無の確認】欄はこの規定の履行を裏付ける記録として機能する。セクシュアルハラスメントについては男女雇用機会均等法第11条及び同条に基づく指針、妊娠・出産等に関するハラスメントについては同法第11条の3にそれぞれ同種の措置義務の根拠がある。本様式は、これらの措置義務のうち特に「事後の迅速かつ適切な対応」及び「被害者に対する配慮のための措置」の履行状況を証跡化するものである。
実務でよくある失敗として、第一に、調査結果の通知や措置の実施のみに関心が向き、その後の被害者の就業環境の変化を継続的に確認しないまま対応を終えてしまうケースがある。対策として、【フォローアップ】欄で複数回の面談実施を記録し、状況が安定するまで確認を継続する運用とする。第二に、被害者への配慮措置の提案記録が残っておらず、会社が何も対応しなかったのではないかとの疑念を招くケースがある。対策として、提案の有無と被害者の意向を必ず記録する。第三に、対応経過に関する情報が必要以上に社内で共有され、被害者のプライバシーが侵害されるケースがある。対策として、【本報告書の保管・開示】欄で開示範囲を必要最小限に限定する。第四に、フォローアップ面談を実施したこと自体が目的化し、被害者の状況に応じた追加対応の要否を検討しないまま形式的に終了してしまうケースもある。対策として、【フォローアップ】欄の追加対応の要否を毎回必ず判断し、継続対応が必要な場合はその内容を次回対応まで引き継ぐ運用とする。なお、配慮措置の具体的内容や不利益取扱いの該当性判断は事案ごとに異なるため、専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 相談受付から現在までの対応経過が時系列で記録されているか
- [ ] 相談受付時点の緊急性評価の結果が記録されているか
- [ ] 暫定措置(接点分離・環境調整等)の実施状況が記録されているか
- [ ] 調査結果の通知方法・内容が記録されているか
- [ ] 被害者へのメンタルヘルスケア案内の実施状況が記録されているか
- [ ] フォローアップ面談が複数回実施され、記録されているか
- [ ] 不利益取扱いの有無について確認した結果が記録されているか
- [ ] プライバシー保護のための情報共有範囲が限定されているか
- [ ] 再発防止措置への反映内容が記載されているか
- [ ] 保管期間・開示範囲・最終確認者が明記されているか
- [ ] 被害者本人が対応経過を確認する機会が設けられているか