相談窓口を実効化したい企業向け。受付から事実確認・措置までの手順と守秘義務を定め、男女雇用機会均等法第11条の相談体制整備義務を満たします。

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ハラスメント相談窓口運営規程

第1部: 書式本文

第1条(目的) 本規程は、【株式会社〇〇】(以下「会社」という。)の職場におけるセクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント、パワーハラスメント等(以下「ハラスメント」という。)に関する相談窓口の設置及び運営について定め、相談者が安心して相談できる体制を整備し、問題の早期解決を図ることを目的とする。

第2条(定義) 本規程において「ハラスメント」とは、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、性的な言動、妊娠・出産・育児休業等の取得に関する言動により、就業環境が害されるものをいう。

第3条(相談窓口の設置) 1. 会社は、社内に相談窓口(以下「窓口」という。)を設置し、相談員【 】名を配置する。 2. 相談員は、人事部門及び【 】部門から性別に配慮して選任する。

第4条(相談対象者及び対象事案) 窓口は、会社の従業員(正社員、契約社員、パートタイマー等の雇用形態を問わない。)からの相談を受け付ける。他の従業員からのハラスメントを目撃した場合の相談も対象とする。

第5条(相談方法) 1. 相談は、面談、電話、電子メール又は書面のいずれの方法によっても行うことができる。 2. 相談は、匿名で行うことを妨げない。ただし、事実確認が必要な事案については、相談者の氏名の開示を求める場合がある。

第6条(相談受付時の対応) 1. 相談員は、相談者の意向を尊重し、相談内容を正確に記録する。 2. 相談員は、相談者に対し、事実確認調査の要否について説明し、意向を確認する。

第7条(事実確認調査) 1. 会社は、相談内容に基づき事実確認が必要と判断したときは、相談者、被申告者及び関係者に対しヒアリングを行う。 2. 調査は、相談者及び被申告者の双方に対し公平に行い、必要に応じて【人事部長】が調査責任者となる。 3. 調査に当たっては、相談者と被申告者が同一部署に所属する場合、双方が直接接触することのないよう配慮する。

第8条(措置) 1. 会社は、調査の結果ハラスメントの事実が認められたときは、就業規則の懲戒規定に基づき行為者に対する措置を講じるとともに、被害者に対する配慮措置(配置転換、メンタルヘルスケアの案内等)を講じる。 2. 会社は、事実が認められなかった場合であっても、当事者間の関係改善に向けた助言等の措置を講じることができる。

第9条(秘密保持) 1. 相談員及び調査に関与した者は、相談者、被申告者及び関係者のプライバシーに関する情報を、業務上必要な範囲を超えて第三者に開示してはならない。 2. 前項の秘密保持義務は、退職後も存続する。

第10条(不利益取扱いの禁止) 会社は、相談をしたこと又は事実確認調査に協力したことを理由として、当該従業員に対し解雇その他不利益な取扱いを行わない。

第11条(外部相談窓口の併用) 会社は、社内窓口に相談しにくい事情がある従業員のため、外部の相談機関【 】を窓口として併設することができる。

第12条(教育研修) 会社は、管理職及び従業員に対し、年【 】回、ハラスメントの防止に関する研修を実施する。

第13条(記録の管理) 相談記録及び調査記録は、個人情報の保護に関する法律に従い、目的外利用を行わないよう厳重に管理し、保存期間は原則として解決後【 】年間とする。

第14条(改廃) 本規程の改廃は、就業規則の変更手続に準じて行う。

第15条(附則) 本規程は【西暦年】年【 】月【 】日から施行する。

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A節: 社内窓口設置企業向け(相談員を自社人員で構成する企業)

A-1 第3条の修正例 「窓口は人事部内に設置し、相談員は課長職以上の中から【2】名を選任する。相談員の氏名及び連絡先は、社内掲示及びイントラネットで常時周知する。」 一言解説: 社内窓口のみの場合、相談員の顔が見えることが安心感につながる一方、相談員の匿名性や中立性への懸念が生じやすいため、選任基準と周知方法を明確にしておく。

A-2 第7条の修正例 「調査責任者は、相談者又は被申告者の直属の上司であってはならず、双方と利害関係のない役職者を選任する。」 一言解説: 社内窓口のみの体制では利害関係者が調査に関与するリスクが高いため、除斥ルールを明記して調査の公平性を担保する。

B節: 外部委託併用企業向け(外部相談機関と契約する企業)

B-1 第11条の修正例 「会社は、外部相談機関【〇〇株式会社】と業務委託契約を締結し、従業員が社内窓口と外部窓口のいずれかを選択して利用できる体制を整備する。外部窓口が受理した相談のうち、会社への報告を要する事案の範囲は、委託契約において別途定める。」 一言解説: 外部委託を併用する場合、外部窓口からどの範囲の情報が会社に共有されるかを事前に契約で明確化しないと、相談者の期待と会社の対応可能範囲にずれが生じる。

B-2 第9条の修正例 「外部相談機関が受理した相談情報のうち、会社への提供は相談者の同意を得た範囲に限る。ただし、生命・身体の安全に関わる事案については、相談者の同意の有無にかかわらず会社に報告するものとする。」 一言解説: 外部委託の場合、守秘義務の範囲を相談者の同意ベースとしつつ、緊急性の高い事案の報告例外を設けておくことで、安全確保と信頼確保を両立できる。

第3部: 書き方と法的ポイントの解説

本規程を導入すべき場面は、就業規則にハラスメント禁止の定めはあるものの、相談を受け付ける具体的な窓口・手順が定まっておらず、相談が寄せられても対応が属人的になっている企業である。逆に、既に相談窓口規程やコンプライアンス通報規程の中でハラスメント相談を包含して運用しており、重複する規程を新設するとかえって従業員の混乱を招く企業では、既存規程の改定で対応する方が適合する場合がある。

根拠法令としては、男女雇用機会均等法第11条が事業主に対しセクシュアルハラスメントに関する相談体制の整備を義務付けており、同法第11条の3は妊娠・出産等に関するハラスメントについても同様の措置義務を定める。また、労働施策総合推進法第30条の2は、いわゆるパワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務を事業主に課しており、相談窓口の設置はこれらの措置義務の中核をなす。育児介護休業法第25条は、育児休業等の取得に関するハラスメント防止措置も併せて求めている。これらの法令はいずれも指針において、相談窓口の周知、相談者・行為者のプライバシー保護、不利益取扱いの禁止を具体的に求めており、第9条及び第10条はこれに対応するものである。

実務でよくある失敗の一つ目は、相談者と被申告者が同一部署に所属する事案で、調査を担当する相談員が双方の上司であるなど利害関係を有し、公平性への疑念を招くことである。第7条のように調査責任者の除斥ルールを設けることで対応できる。

二つ目の失敗は、相談を受けた後の事実確認調査の過程で相談者や関係者への配慮を欠き、いわゆる二次被害(セカンドハラスメント)を生じさせることである。ヒアリングの実施方法や配置転換等の配慮措置を第8条のように明記し、調査担当者に対する研修を徹底することが対策となる。

三つ目の失敗は、相談をしたこと自体を理由に相談者が不利益な人事評価や配置転換を受け、それが発覚して会社の責任が問われることである。第10条のように不利益取扱いの禁止を明記するとともに、実際の運用でも人事評価者に相談の事実を共有しない等の措置を講じる必要がある。

相談窓口の体制設計や外部委託先との情報共有範囲の取り決めについては、個別事案は専門家に確認することを推奨する。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] ハラスメントの定義(セクハラ・マタハラ・パワハラ等)を対象範囲に含めたか
  • [ ] 相談員の人数・選任方法・性別バランスを定めたか
  • [ ] 匿名相談の可否と対応の限界を明記したか
  • [ ] 相談者と被申告者が同一部署の場合の調査担当者の除斥ルールを定めたか
  • [ ] 事実確認調査の手順と公平性確保の方法を定めたか
  • [ ] 二次被害防止の観点からヒアリング方法への配慮を記載したか
  • [ ] 秘密保持義務の範囲と退職後の存続を明記したか
  • [ ] 不利益取扱いの禁止を明記したか
  • [ ] 外部相談窓口を併設する場合の情報共有範囲を定めたか
  • [ ] 記録の保存期間及び管理方法を定めたか
  • [ ] 管理職・従業員への教育研修の実施頻度を定めたか