認可外保育施設や企業主導型保育が保護者と結ぶ入園契約書と同意書。児童福祉法の設備運営基準と重要事項説明、与薬・写真利用の同意を含みます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
保育施設の入園契約書・同意書
第1部: 書式本文
【保育施設運営者商号】(以下「甲」という。)と【保護者氏名】(以下「乙」という。)とは、乙の子(以下「本件児童」という。)の保育施設への入園に関し、次のとおり保育施設入園契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(目的) 本契約は、甲が乙の委託を受けて本件児童を保育する認可外保育施設(企業主導型保育事業を含む。)における保育サービス(以下「本件保育」という。)の提供条件を定めることを目的とする。
第2条(施設の届出) 甲は、児童福祉法第34条の3の規定に基づき、都道府県知事等に対し認可外保育施設としての届出を行っていることを表明し、届出済みであることの確認書類を乙に開示する。
第3条(重要事項の説明) 甲は、本契約締結に先立ち、認可外保育施設指導監督基準に定める保育の内容、職員体制、保育室の面積、給食の提供方法、非常災害対策、利用料金その他重要事項を記載した書面(以下「重要事項説明書」という。)を乙に交付し、説明を行った上で本契約を締結する。
第4条(保育の内容及び時間) 1. 本件保育の内容は、別紙保育計画のとおりとし、保育時間は【〇〇時】から【〇〇時】までとする。 2. 延長保育を利用する場合の取扱い及び追加料金は別紙料金表のとおりとする。
第5条(職員体制及び設備基準) 甲は、認可外保育施設指導監督基準に定める児童の年齢に応じた保育士等の配置基準及び保育室の面積基準を遵守し、本件児童の年齢及び人数に応じた適切な保育体制を確保する。
第6条(健康管理及び与薬) 1. 甲は、本件児童の日々の健康状態を観察し、体調に異変が生じたときは速やかに乙に連絡する。 2. 甲は、乙から医師の処方に係る薬剤を預かり本件児童に与薬する場合、乙が交付する与薬依頼書(薬剤名、用法・用量、与薬時刻を記載したもの)に基づき行うものとし、与薬依頼書によらない与薬は行わない。 3. アレルギー疾患を有する本件児童については、乙が甲に対し事前にアレルギーの内容及び対応方法(除去食の要否等)を書面で申告し、甲はこれに基づき給食を提供する。
第7条(写真・映像及びSNS利用の同意) 1. 甲は、保育の様子を記録するため本件児童の写真又は映像を撮影することができる。 2. 甲が前項の写真又は映像を、保育施設のウェブサイト、SNS、広報誌等に掲載する場合は、あらかじめ乙の書面による同意を得るものとし、乙は掲載の可否及び範囲を別紙同意書により選択できる。 3. 乙は、いつでも前項の同意を撤回することができ、甲は撤回の申出を受けた後、合理的な期間内に該当する写真又は映像の掲載を停止する。
第8条(緊急時・非常災害時の対応) 甲は、本件児童の急病、負傷その他の緊急事態及び火災、地震等の非常災害が発生した場合の対応手順(避難場所、緊急連絡先への連絡方法を含む。)をあらかじめ定め、乙に周知する。
第9条(登降園の手続) 1. 乙は、本件児童の登園及び降園に際し、甲が指定する方法により本人確認を行う。 2. 乙以外の者が本件児童を迎えに来る場合、乙は事前に当該者の氏名を甲に届け出るものとし、甲は届出のない者への引渡しを行わない。
第10条(利用料金及び支払方法) 1. 本件保育の利用料金は月額【〇〇】円とし、乙は甲に対し、毎月【〇〇日】までに翌月分を甲の指定する口座に振り込む方法により支払う。 2. 延長保育料その他の追加費用は別紙料金表のとおりとする。
第11条(退園及び解約) 1. 乙は、退園を希望する場合、退園予定日の【1】か月前までに甲に書面で通知する。 2. 本件児童の健康状態、行動が他の児童の保育に著しい支障を及ぼすと甲が判断した場合、甲は乙と協議の上、本契約を解除することができる。
第12条(反社会的勢力の排除) 甲及び乙は、自己が暴力団その他の反社会的勢力に該当せず、これらと関係を有しないことを表明し保証する。相手方が本条に違反した場合、催告を要せず本契約を解除することができる。
第13条(協議及び合意管轄) 1. 本契約に定めのない事項又は解釈に疑義が生じた事項は、甲乙誠意をもって協議し解決する。 2. 本契約に関する紛争については、【〇〇地方裁判所】を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
以上の合意を証するため本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各自1通を保有する。
【〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】
(甲) 住所:【 】 施設名称:【 】 代表者:【 】 印
(乙) 住所:【 】 氏名(保護者):【 】 印 本件児童氏名:【 】(生年月日:【 】)
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 保育施設運営者向け書き換え
A-1. 企業主導型保育事業として運営する場合
第2条修正例:「甲は、児童福祉法第34条の3に基づく認可外保育施設の届出に加え、公益財団法人児童育成協会が定める企業主導型保育事業の実施基準に基づく助成を受けていることを乙に開示する。」 解説: 企業主導型保育は認可外保育施設でありながら独自の助成・監査基準が存在するため、届出と助成基準の双方への適合を明記し乙の信頼を確保する。
A-2. 0歳児など低年齢児を多く受け入れる施設の場合
第5条追加例:「甲は、0歳児クラスについて、認可外保育施設指導監督基準に定める保育士等の配置基準を上回る配置を行うよう努めるものとし、具体的な配置人数を重要事項説明書に記載する。」 解説: 低年齢児は事故リスクが高く、基準を上回る配置を行う施設ではその点を明記することが差別化及びリスク管理の両面で有効である。
B. 保護者向け書き換え
B-1. アレルギー対応が必要な子を入園させる場合
第6条3項修正例:「乙は、本件児童のアレルギー内容の変更があったときは速やかに甲に書面で再申告するものとし、甲は再申告前の申告内容に基づき給食を提供したことについて、乙の再申告遅延に起因する場合は責任を負わない。」 解説: アレルギー情報は変化しうるため、再申告義務とその懈怠時の免責を明記し、誤配膳事故の責任所在を明確にする。
B-2. 写真・SNS掲載への同意を限定したい場合
第7条2項修正例:「乙は、写真又は映像の掲載について、施設内掲示のみ許可し、ウェブサイト及びSNSへの掲載は許可しないことを選択できるものとし、甲は乙の選択に応じて掲載範囲を区分して管理する。」 解説: 一括の同意・不同意ではなく、掲載媒体ごとに選択できる仕組みとすることで、保護者のプライバシー意識に応じた柔軟な対応が可能になる。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面・使ってはいけない場面 本書式は、認可外保育施設(企業主導型保育事業を含む。)が保護者との間で入園に係る契約を締結する場面で用いる。児童福祉法上の認可を受けた認可保育所については、市区町村を通じた利用調整や公定価格に基づく契約関係となり、本書式のような施設と保護者の直接契約とは法的構造が異なるため、認可保育所には本書式をそのまま用いるべきではない。
根拠法令及び留意点 児童福祉法第34条の3は、認可外保育施設の設置者に対し、事業開始後1か月以内に都道府県知事等への届出を義務付けており、第2条はこれを確認する条項である。届出を怠った施設の運営は同条違反となる。認可外保育施設に対する指導監督基準(いわゆる認可外保育施設指導監督基準)は、保育士等の配置基準、保育室の面積基準、非常災害対策等について具体的な基準を定めており、第5条及び第8条はこれに対応する。また同基準は、保護者への重要事項の説明を求めており、第3条はこれに対応する。写真・SNS利用については児童福祉法に直接の規定はないが、本件児童及び保護者の個人情報・肖像に関する権利を踏まえ、個人情報保護法上の第三者提供・公表に準じた同意取得の考え方に基づき第7条を設計している。
実務でよくある失敗と対策 第一に、重要事項説明書を交付せず、又は入園後に交付し、認可外保育施設指導監督基準上求められる事前説明が形骸化する失敗がある。第3条のように契約締結前の交付・説明を明記する。第二に、与薬を口頭依頼のみで実施し、誤った薬剤や用量を投与する事故につながる失敗がある。第6条2項のように与薬依頼書によらない与薬を行わない旨を明記し、書面化を徹底する。第三に、写真のSNS掲載について包括的な同意のみを取得し、保護者が掲載範囲を選択できず、後日撤回の申出をめぐって紛争になる失敗がある。第7条のように掲載範囲の選択及び同意撤回の手続を明記する。これらは一般的な留意点であり、施設の規模や地域の指導監督基準の運用に応じた対応は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 甲が児童福祉法第34条の3に基づく認可外保育施設の届出を行っていることを確認したか
- [ ] 重要事項説明書を入園契約締結前に交付・説明したか
- [ ] 保育士等の配置基準及び保育室の面積基準への適合を確認したか
- [ ] 与薬依頼書に基づく与薬手続を明記し、口頭のみの与薬を排除したか
- [ ] アレルギー対応の申告・再申告手続を定めたか
- [ ] 写真・映像の撮影及びSNS等への掲載について媒体ごとの同意取得方法を定めたか
- [ ] 同意の撤回手続と掲載停止までの対応期間を明記したか
- [ ] 登降園時の本人確認及び引渡し対象者の事前届出制を定めたか
- [ ] 非常災害時の避難場所及び緊急連絡フローを明記したか
- [ ] 退園手続及び甲からの契約解除事由を明記したか