補助事業の必要性と実施体制、期待効果を説明する計画書です。スケジュール、数値目標、資金計画を具体的に記載します。提出先や保存期間の目安もあわせて整理しています。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
補助事業計画書
第1部: 書式本文
補助事業計画書は、補助金交付申請書の添付書類として、申請事業者が事業の必要性・実施体制・期待される効果を具体的に説明するために作成する書式である。交付申請書が申請手続そのものを構成するのに対し、本計画書は事業の中身を実質的に審査するための資料として位置付けられる。以下の記載項目一覧に沿って作成する。
-
事業名及び実施者 事業名【 】、実施主体(申請事業者)【 】、事業実施責任者(役職・氏名)【 】
-
事業の背景及び必要性 本事業を実施するに至った社会的背景、解決しようとする課題、現状分析の概要を記載する。【 】
-
事業の目的 本事業を通じて達成しようとする目的を、抽象的な理念ではなく具体的な到達点として記載する。【 】
-
実施内容 事業を構成する個別の活動を工程ごとに分解し、それぞれの内容を記載する。 工程1【 】、工程2【 】、工程3【 】
-
実施体制 事業実施の役割分担図(担当部署・担当者・外部委託先の有無)を記載する。外部委託を行う場合は委託先名【 】及び委託業務範囲【 】を明記する。
-
スケジュール 実施期間全体を月単位又は四半期単位で区分し、各工程の開始・完了時期を記載する。 【 年 月】着手 ~ 【 年 月】完了、中間報告時期【 年 月】
-
数値目標(成果指標) 本事業の成果を測定するための定量的な指標及び目標値を記載する。 指標1【 】目標値【 】、指標2【 】目標値【 】
-
資金計画 総事業費【 円】の内訳として、補助対象経費【 円】、自己負担額【 円】、その他資金調達方法【 】を記載する。年度をまたぐ事業の場合は年度別の資金計画を併記する。
-
事業終了後の見込み及び自立化の方針 補助期間終了後、当該事業をどのように継続・自立的に運営していくかの方針を記載する。【 】
-
リスク及び対応策 事業実施上想定されるリスク(需要変動、人材確保困難等)及びその対応策を記載する。【 】
-
財産の取得・処分の見込み 本事業により取得する財産(機械装置、システム等)がある場合、その内容、取得価額、耐用年数及び処分制限期間中の取扱いの見込みを記載する。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 申請事業者の立場
A-1. 数値目標の設定条項(記載例) 「本事業により、【 年度】末までに【売上高○○円増加/利用者数○○人増加等】を達成することを目標とする。目標未達成の場合は、その要因分析及び改善策を交付機関に報告する。」 一言解説: 数値目標を曖昧にすると事業効果の検証ができず、実績報告段階で交付機関からの疑義照会を受けやすくなるため、測定可能な指標を用いる。
A-2. 財産処分制限に関する記載 「本事業により取得する【機械装置名】については、補助金適正化法第22条に基づく処分制限期間中は、交付機関の承認を得ることなく譲渡、交換、貸付け又は担保に供しない。」 一言解説: 処分制限財産の存在をあらかじめ計画書に明記しておくことで、事業完了後の財産管理義務を事業者自身が認識しやすくなる。
A-3. 外部委託を伴う実施体制の記載 「実施内容のうち【 】業務については、専門性を要するため【委託先名】に委託して実施する。委託費は補助対象経費の内数として計上する。」 一言解説: 外部委託費を補助対象に含める場合、委託先選定の経緯や委託の必要性を説明しておくと審査上有利に働くことが多い。
B節: 交付機関の立場
B-1. 計画書の審査基準明示条項 「交付機関は、提出された補助事業計画書について、事業の必要性、実現可能性、数値目標の妥当性及び資金計画の健全性を審査基準として交付の可否を判断する。」 一言解説: 審査基準を明示することで、申請事業者が計画書作成時に重視すべき要素を把握しやすくなる。
B-2. 計画変更時の届出条項 「申請事業者は、交付決定後に本計画書の内容(実施内容、スケジュール又は資金計画)に重要な変更が生じるときは、あらかじめ交付機関に計画変更承認申請を行わなければならない。」 一言解説: 交付決定後の計画変更を無届で進めると、補助金適正化法第17条の事情変更による取消し事由に該当し得るため、事前届出の仕組みを明記する。
B-3. 中間報告の義務付け条項 「交付機関は、実施期間が【 】月を超える事業について、申請事業者に対し中間報告書の提出を求めることができる。」 一言解説: 長期事業についての進捗確認を制度化し、計画と実績の乖離を早期に把握する。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面: 交付申請書と併せて提出し、事業の内容面での妥当性を交付機関に説明する場面で使用する。特に事業規模が大きい補助金や、成果指標による事後評価が予定されている補助金制度において重要度が高い。
使ってはいけない場面: 既に完了している事業について事後的に体裁を整えるために作成することは適切でない。また、実現可能性の乏しい過大な数値目標を掲げることは、事業完了後の実績報告や補助金適正化法第17条に基づく事情変更時の取消し・返還請求のリスクを高めるため避けるべきである。
根拠法令: 補助事業計画書に基づいて交付機関が行う交付決定は補助金適正化法第15条の規律に服する。交付決定後、計画と異なる状況変化が生じた場合には同法第17条(事情変更による決定の取消し)が適用される可能性があり、計画変更の届出手続を計画書内に組み込んでおくことがリスク低減につながる。また、本事業により取得する財産については同法第22条(財産処分の制限)が適用され、処分制限期間中は交付機関の承認なく処分できない場合があるため、計画書の段階から取得財産の見込みを整理しておくことが望ましい。業務の一部を外部委託する場合の性質整理としては、民法第632条(請負)及び第643条・第656条(委任・準委任)の区分を踏まえ、委託費の計上根拠を明確にする。
よくある失敗と条項上の対策 失敗1: 数値目標が抽象的で測定不能であり、実績報告時に達成状況を説明できない。対策としてA-1のように定量的かつ測定可能な指標・目標値を記載する。 失敗2: 財産処分制限の存在を認識せず、補助期間終了後まもなく対象財産を処分してしまう。対策としてA-2のように補助金適正化法第22条に基づく処分制限を計画書内で明記し、事業者の認識を確保する。 失敗3: 計画変更が生じた際に交付機関への届出を怠り、事情変更による取消し(同法第17条)の対象となる。対策としてB-2のように計画変更承認申請の手続を計画書内であらかじめ明示する。
本書式の適用可否を含め、個別事案は専門家に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- 事業の背景・必要性が客観的なデータや現状分析に基づいて記載されているか
- 実施内容が工程ごとに具体的に分解されているか
- 実施体制図に外部委託先の有無及び役割分担が明記されているか
- スケジュールが実施期間内に無理なく収まっているか
- 数値目標(成果指標)が測定可能な形で設定されているか
- 資金計画の総事業費と補助対象経費・自己負担額の内訳が整合しているか
- 財産の取得を伴う事業の場合、処分制限期間中の取扱いの見込みを記載しているか
- 事業終了後の自立化・継続方針が具体的に記載されているか
- リスク及び対応策が事業特性に即して記載されているか
- 計画変更が生じた場合の届出手続を認識しているか
- 中間報告が求められる場合、報告時期・内容を計画書上で確認したか
- 交付申請書の記載内容(事業目的、実施期間等)と齟齬がないか