額の確定を受けて補助金の支払を請求する書式です。請求額、振込先、請求書の記載事項と提出期限を整理しています。自社の実情に合わせて条項を取捨選択できる構成です。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
補助金交付請求書
第1部: 書式本文
第1条(表題及び宛先) 【補助事業者】は、【交付機関名】に対し、下記のとおり補助金の交付を請求する。
第2条(対象事業の特定) 事業名:【事業名】 交付決定番号:【交付決定番号】 額の確定通知番号:【確定通知番号】 額の確定通知年月日:【年月日】 確定した交付すべき額:【金額】円
第3条(請求金額) 本請求に係る請求金額は、確定した交付すべき額【金額】円から既に交付済みの概算払額【金額】円を控除した【金額】円とする。
第4条(振込先) 金融機関名:【銀行名】【支店名】 口座種別:【普通・当座】 口座番号:【口座番号】 口座名義(カナ):【口座名義】
第5条(請求書の記載事項) 本請求書には、次の事項を記載する。 一 補助事業者の名称・所在地・代表者名 二 事業名及び交付決定番号 三 額の確定通知番号及び確定額 四 請求金額及びその算出根拠 五 振込先金融機関口座情報 六 請求年月日及び請求者の記名押印
第6条(提出期限) 本請求書は、額の確定通知を受領した日から起算して【日数】日以内に、【交付機関名】所定の様式により提出する。当該期限を徒過した場合、交付機関の定める交付規則に従い、請求権の取扱いについて別途協議するものとする。
第7条(支払時期) 【交付機関名】は、本請求書を受理した日から【日数】日以内(予算執行手続上のやむを得ない事由がある場合を除く)に、前条の振込先へ補助金を支払うものとする。
第8条(遅延した場合の取扱い) 【交付機関名】の責めに帰すべき事由により支払が前条の期間を著しく超えて遅延した場合、【補助事業者】は民法その他関係法令に基づき遅延損害金の請求を検討することができる。ただし、遅延損害金の発生及び金額は個別の事情により判断されるものであり、本条は当然に遅延損害金の支払を保証するものではない。
第9条(振込手数料の負担) 振込手数料は【交付機関名・補助事業者】の負担とする。
第10条(誤払・過払いの取扱い) 交付機関の錯誤その他の事由により誤って過大に支払われた補助金があるときは、【補助事業者】は交付機関の指示に従い、速やかに当該過大分を返還する。
第11条(添付書類) 本請求書には、額の確定通知書の写し、振込先口座を確認できる通帳の写し又は金融機関発行の証明書その他【交付機関名】が指定する書類を添付する。
請求年月日:【年月日】/請求者:【補助事業者】(代表者名:【氏名】)
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節 補助事業者の視点
補助事業者にとっては、請求期限を徒過したことにより請求権自体を失うリスク、及び交付機関側の支払遅延によりキャッシュフローが悪化するリスクが懸念される。そのため、期限徒過時の救済規定と、支払遅延時の対応を具体化する修正が有利である。
Before:「請求期限を徒過した場合、請求権を失う。」 After:「請求期限を徒過した場合であっても、天災その他補助事業者の責めに帰することのできない事由があるときは、事由が消滅した後遅滞なく請求書を提出することにより、交付機関の承認を得て請求することができる。」 一言解説:交付規則上、期限徒過が失権事由とされている例があるため、やむを得ない事由による例外を条文上明記しておくことで、形式的な期限徒過による不利益を軽減できる可能性がある。
また、支払遅延への対応として、遅延理由の説明を求める規定も有利である。 Before:「支払時期は交付機関の定めるところによる。」 After:「交付機関は、第7条に定める支払期間内に支払が完了しない見込みとなった場合、遅滞なくその理由及び見込み時期を補助事業者に通知するものとする。」
B節 交付機関の視点
交付機関にとっては、振込先の誤りによる誤払い、及び請求書の記載不備による事務処理の遅延が懸念される。そのため、請求書の記載内容の確認義務を明確化する修正が有利である。
Before:「請求書に基づき振り込む。」 After:「交付機関は、請求書記載の振込先口座情報が第11条に定める添付書類(通帳の写し又は金融機関発行の証明書)の記載と一致することを確認したうえで振り込むものとし、不一致がある場合は補助事業者に対し是正を求め、是正が完了するまで支払を留保することができる。」 一言解説:振込先確認プロセスを条文化することで、誤払いのリスクを低減し、交付機関側の事務処理における免責の根拠にもなる。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本請求書は、交付機関から補助金の額の確定通知を受け、確定額が判明した後に使用する。確定通知を受ける前の概算払請求には、別途「概算払請求書」等の書式を用いるべきであり、本書式で確定前の請求を行うことは想定されていない。
根拠法令としては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(適正化法)第15条(交付すべき額の確定)により交付機関が額を確定した後、補助事業者には確定額の支払を求める権利(金銭債権)が発生する。この債権の履行については、適正化法自体に詳細な規定はなく、一般法である民法の規律が及ぶと解される。すなわち、民法第412条(履行期と履行遅滞)により、確定通知又は請求書の到達等により履行期が定まればその時から、また期限の定めがない場合は履行の請求を受けた時から交付機関は遅滞の責任を負い得るとされ、民法第414条(履行の強制)に基づき履行の強制や損害賠償請求が問題となり得る。もっとも、補助金交付規則が独自に請求期限や支払時期を定めている場合はそちらが優先的に適用されることが多く、期限徒過により請求権を失うと定める交付規則も存在するため、規則の内容を個別に確認する必要がある。
よくある失敗としては、第一に、請求期限を徒過し、交付規則上の失権規定により補助金を受け取れなくなるケースがある。対策として、第6条のように期限と、やむを得ない事由がある場合の取扱いを明記し、社内のスケジュール管理に反映させる。第二に、振込先口座情報の記載誤りにより支払が遅延又は誤払いとなるケースがある。対策として、第11条のように通帳の写し等の添付書類による確認を必須とする。第三に、遅延損害金を当然に請求できると誤解し、根拠なく高額の遅延損害金を主張してトラブルになるケースがある。対策として、第8条のように遅延損害金の発生が個別事情によることを明記し、断定的な記載を避ける。
また、複数年度にわたる交付決定の場合、年度ごとに額の確定通知が発行されることが一般的であるため、請求書もその都度年度単位で作成し、前年度分と当年度分を混同しないよう管理することが望ましい。請求期限の徒過による失権の有無や遅延損害金の可否は交付規則・個別事情により異なるため、個別の事案については弁護士・行政書士等の専門家に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 額の確定通知書を受領しているか、また記載内容と請求書の内容が一致しているか
- [ ] 確定額から既払いの概算払額を正しく控除しているか
- [ ] 振込先金融機関・口座番号・口座名義に誤りがないか
- [ ] 通帳の写し等、振込先を確認できる書類を添付しているか
- [ ] 請求期限(確定通知受領日からの日数等)を確認したか
- [ ] 代表者印又は請求者本人の署名・押印があるか
- [ ] 振込手数料の負担者を確認したか
- [ ] 請求金額の算出根拠を別紙等で示しているか
- [ ] 支払時期の目安を交付機関に確認したか
- [ ] 誤払い・過払いが生じた場合の返還手続を理解しているか