保険事故が発生した際の社内報告手順を定める規程です。報告期限、報告先、保険会社への通知担当、記録の保存を明確にします。提出先や保存期間の目安もあわせて整理しています。

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保険事故社内報告規程

第1部: 書式本文

保険事故社内報告規程

第1条(目的) 本規程は、当社が付保する各種保険(労働災害総合保険、施設賠償責任保険、生産物賠償責任保険、サイバー保険、動産総合保険その他当社が加入する損害保険をいう。以下「対象保険」という。)に関連する事故が発生した場合における社内報告の手順、報告期限、報告先及び記録の保存方法を定め、迅速かつ適切な保険金請求及び再発防止措置を図ることを目的とする。

第2条(適用範囲) 本規程は、当社の全部門及び全従業員(役員、正社員、契約社員、パートタイマー及び派遣労働者を含む。)に適用する。ただし、【子会社・関連会社【 】】については別途定める規程による。

第3条(用語の定義) 1. 「保険事故」とは、対象保険の保険金支払事由に該当し、又は該当するおそれのある事象をいう。 2. 「発生部門」とは、保険事故が発生し、又は発見された部門をいう。 3. 「リスク管理部門」とは、【総務部リスク管理課】をいい、本規程に基づく報告の受付及び保険会社への通知を統括する部門をいう。

第4条(報告対象となる事故の類型) 発生部門は、次の各号のいずれかに該当する事象を発見したときは、本規程に従い報告しなければならない。 一 従業員の業務上の負傷・疾病その他労働災害に該当する事象 二 施設・設備の欠陥等により第三者に損害を与えた事象又はそのおそれがある事象 三 当社が製造・販売した製品に起因して第三者に損害を与えた事象又はそのおそれがある事象 四 不正アクセス、ランサムウェア感染その他情報システムに関するインシデント 五 個人情報の漏えい又はそのおそれがある事象 六 火災、水害、盗難その他社有財産に生じた損害 七 その他対象保険の保険金支払事由に該当し得ると発生部門が判断した事象

第5条(第一報の報告期限) 発生部門は、前条各号に該当する事象を発見した場合、発見後【24】時間以内に、様式1(保険事故第一報告書)によりリスク管理部門に報告しなければならない。緊急を要する場合は、様式の作成を待たず、電話又は電子メールにより口頭で先行報告することができる。

第6条(詳細報告の期限) 発生部門は、第一報の報告後、事実関係の調査が進捗次第、遅くとも発見から【5】営業日以内に、様式2(保険事故詳細報告書)により被害状況、原因、初動対応及び想定される損害額の概算をリスク管理部門に報告しなければならない。詳細が確定しない場合であっても、判明している範囲で報告するものとし、確定次第、追加報告を行う。

第7条(報告先) 1. 発生部門は、前2条の報告を、リスク管理部門の担当者(担当者名【 】、連絡先【 】)宛てに行う。 2. 人身事故を伴う場合又は個人情報の漏えいを伴う場合は、リスク管理部門への報告と同時に、それぞれ人事労務部門又は法務・情報システム部門にも報告するものとする。 3. 重大な事故(想定損害額が【 】円を超える場合等)については、リスク管理部門は速やかに担当役員及び代表取締役に報告する。

第8条(保険会社への通知) 1. リスク管理部門は、第5条又は第6条の報告を受けた後、遅滞なく、対象保険を引き受ける保険会社又は保険代理店に対して事故の通知を行う。 2. 保険会社への通知担当者は、リスク管理部門の担当者(前条第1項に定める担当者)とし、発生部門が直接保険会社に連絡することを原則として禁止する。ただし、緊急やむを得ない場合はこの限りでない。 3. リスク管理部門は、保険会社への通知内容及び通知日時を記録し、様式3(保険会社通知記録簿)に記載する。

第9条(外部機関への報告との関係) 個人情報の漏えいその他法令上、個人情報保護委員会、警察、監督官庁等への報告義務が生じる事象については、リスク管理部門は法務部門と連携し、法令上の報告期限を遵守するよう努めるものとし、保険会社への通知と法令上の報告義務の履行を並行して進めるものとする。

第10条(報告様式) 本規程に基づく報告に用いる様式は、次のとおりとする。 一 様式1 保険事故第一報告書 二 様式2 保険事故詳細報告書 三 様式3 保険会社通知記録簿 四 様式4 保険金請求記録簿 様式の内容は別途リスク管理部門が定め、社内共有システムに掲示する。

第11条(保険金請求手続) 1. リスク管理部門は、保険会社への通知後、保険金請求に必要な資料(見積書、領収書、写真、調査報告書等)を発生部門と連携して収集し、保険会社所定の請求書式により保険金請求手続を行う。 2. 発生部門は、リスク管理部門の求めに応じ、必要な資料を遅滞なく提出しなければならない。

第12条(記録の保存) 1. リスク管理部門は、本規程に基づき作成又は受領した報告書、通知記録及び保険金請求記録を、保険事故の発生日から起算して【7】年間保存する。 2. 個人情報を含む記録については、社内個人情報管理規程に従い、目的達成後速やかに廃棄又は削除するものとする。 3. 保険金請求に関する記録のうち、税務上必要な書類については、法人税法その他関係法令に定める保存期間に従う。

第13条(提出先・共有範囲) 様式1から様式4までの報告書は、リスク管理部門を提出先とし、必要に応じて担当役員、法務部門、人事労務部門、情報システム部門その他関係部門に共有する。社外への提出は、保険会社、監督官庁等、法令上又は契約上必要な範囲に限る。

第14条(再発防止措置) リスク管理部門は、保険事故の内容を分析し、必要と認めるときは発生部門及び関係部門と協議のうえ再発防止策を策定し、代表取締役に報告する。

第15条(違反の取扱い) 発生部門の従業員が正当な理由なく本規程に定める報告を怠り、又は虚偽の報告を行った場合、就業規則に基づき懲戒の対象となることがある。

第16条(改廃) 本規程の改廃は、【取締役会/代表取締役】の決議による。

附則 本規程は、令和【 】年【 】月【 】日から施行する。

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A節: 各部門(発生部門)の立場からの書き換え

A-1. 現場での人身事故を発見した場合の初動報告文言 「本日【 】時頃、当部門の作業現場において従業員【 】が【負傷内容】を負う事故が発生しました。直ちに応急手当及び受診の手配を行い、本規程第5条に基づき第一報をご報告いたします。」 一言解説:発見直後の緊急連絡を想定し、応急対応の実施を先に述べたうえで報告義務の履行を明示する構成としている。

A-2. 情報システム部門がサイバーインシデントを発見した場合の報告文言 「監視システムのアラートにより、令和【 】年【 】月【 】日【 】時に不審な通信を検知しました。現在対象サーバーをネットワークから遮断し原因調査中ですが、本規程第4条第4号に該当する事象と判断し、第一報をご報告いたします。」 一言解説:システム部門特有の技術的な発見経緯を盛り込み、対象事象の該当条文を明示することで報告義務の根拠を明確にしている。

A-3. 製造部門が製品事故の情報を得た場合の報告文言 「取引先より、当社製造の【製品名】の使用中に破損し利用者が負傷したとの連絡を受けました。詳細は調査中ですが、生産物賠償責任保険の対象となり得る事象と判断し、本規程第4条第3号に基づき第一報をご報告いたします。」 一言解説:外部(取引先)からの情報が発端となるケースを想定し、社外からの連絡受領を報告の起点として明示している。

B節: リスク管理部門の立場からの書き換え

B-1. 発生部門への追加資料要請文言 「ご報告いただいた第一報につき、様式2による詳細報告及び被害状況を示す写真・見積書等の資料を、第6条所定の期限までにご提出ください。」 一言解説:詳細報告の督促を行う際の定型文言。期限を明示することで報告の遅延を防ぐ。

B-2. 保険会社への通知完了を発生部門に共有する文言 「貴部門よりご報告いただいた事故につき、令和【 】年【 】月【 】日、保険会社【 】に通知を完了いたしました。今後、保険会社より追加資料の提出を求められる場合がございますので、その際はご協力をお願いいたします。」 一言解説:通知窓口を一元化しているリスク管理部門から発生部門への進捗共有の文言。

B-3. 重大事故発生時の役員報告文言 「本日発生した【事故概要】について、想定損害額が【 】円を超える見込みであることから、第7条第3項に基づき担当役員及び代表取締役にご報告いたします。」 一言解説:重大性の閾値を超えた事故について、エスカレーションルートに沿って役員報告を行う場面の文言。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

本規程は、社内で保険事故の報告フローが標準化されておらず、報告の遅延や漏れによって保険金請求に支障が生じるおそれがある企業が、報告手順を明文化する場面で使用する。既に労働安全衛生法上の労働災害報告や個人情報保護法上の報告義務に関する社内規程がある場合は、重複や矛盾が生じないよう役割分担を整理したうえで導入する必要がある。

法的な観点では、労働災害の場合、労働安全衛生規則に基づく労働基準監督署への報告義務(労働者死傷病報告)が別途存在し、保険会社への通知とは別に履行しなければならない。個人情報漏えいの場合、個人情報保護法第26条に基づき個人情報保護委員会への報告及び本人への通知が義務付けられる場合があり、法令上の報告期限に留意する必要がある。保険契約に基づく通知義務の懈怠は保険法上、保険金減額・支払拒否の理由となり得るため、社内の報告期限は約款上の通知義務期限を十分に下回る水準とすることが望ましい。安全配慮義務との関係では労働契約法第5条も関連する。

よくある失敗として、第一に、報告先が部門ごとにばらばらで通知の責任が不明確になり遅延する例がある。対策として、第7条・第8条のようにリスク管理部門を唯一の通知窓口として一元化する。第二に、法令上の報告義務と保険会社への通知が別々に管理され片方が失念される例がある。対策として、第9条のように法務部門との連携条項を設ける。第三に、記録の保存期間が定められておらず資料が散逸する例がある。対策として、第12条のように保存期間を明確に定める。

なお、報告期限の設定や義務の履行方法は業種・保険契約により異なるため、個別事案は専門家(弁護士・社会保険労務士等)に確認のうえで規程を整備することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • 対象保険の種類(労災総合保険、施設賠償責任保険、サイバー保険等)を漏れなく列挙したか
  • 報告対象となる事故の類型が自社の事業内容に照らして網羅的か確認したか
  • 第一報・詳細報告それぞれの報告期限が保険約款上の通知義務期限より十分短く設定されているか
  • 保険会社への通知窓口をリスク管理部門に一元化する条項を設けたか
  • 法令上の報告義務(労働者死傷病報告、個人情報保護法上の報告等)との関係を整理したか
  • 重大事故についての役員・代表取締役への報告基準(金額基準等)を定めたか
  • 報告様式(様式1〜4)を整備し、社内で共有できる状態にしたか
  • 記録の保存期間及び個人情報を含む記録の取扱いを明記したか
  • 違反時の懲戒の可能性について就業規則との整合を確認したか
  • 子会社・関連会社への適用範囲を明確にしたか
  • 規程の周知方法(研修、イントラネット掲示等)を検討したか
  • 施行前に法務部門及び可能であれば専門家によるレビューを経たか