訪問介護事業所がホームヘルプの利用開始時に交付する契約書と重要事項説明書。介護保険法の指定居宅サービス基準に基づき、支援内容・利用者負担・苦情窓口を記載する。

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訪問介護利用契約書・重要事項説明書

第1部: 書式本文

訪問介護利用契約書

【訪問介護事業所名】(以下「甲」という。)と【利用者氏名】(以下「乙」という。)は、甲が乙の居宅において行う訪問介護サービス(以下「本サービス」という。)の提供に関し、次のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。甲は、本契約の締結に先立ち、別紙重要事項説明書を交付し、その内容を乙に説明したうえで本契約を締結する。

第1条(契約の目的) 甲は、介護保険法及び関係法令に基づき、乙が心身の状況に応じた日常生活を営むことができるよう、居宅における入浴・排せつ・食事等の介護その他の生活全般にわたる援助を提供し、乙はその対価を甲に支払う。

第2条(サービスの種類及び内容の区分) 1. 本サービスは、身体介護(乙の身体に直接接触して行う介助及びこれに準ずる自立支援のための見守り的援助をいう。)と生活援助(掃除、洗濯、調理その他日常生活の援助であって身体介護に該当しないものをいう。)に区分する。 2. 甲は、居宅サービス計画及び訪問介護計画に基づき、各回のサービス提供時間帯において実施する区分(身体介護・生活援助又はその組み合わせ)をあらかじめ乙に明示する。 3. 生活援助は、乙本人の日常生活の援助に該当する範囲に限るものとし、乙以外の同居家族の食事の調理、来客対応その他乙の直接の援助に該当しない行為は本サービスの対象としない。

第3条(サービス提供日時) 本サービスの提供日、提供時間帯及び1回あたりの提供時間は、訪問介護計画書に定めるとおりとし、甲乙協議のうえ変更することができる。

第4条(利用者負担) 1. 乙が甲に支払う利用料は、介護報酬の算定基準に基づく費用の額に、乙の負担割合(1割、2割又は3割のいずれか、介護保険負担割合証記載のとおり)を乗じた額とする。 2. 前項のほか、通常の事業の実施地域を超える交通費その他介護保険給付の対象とならない実費については、乙が別途負担する。

第5条(キャンセル及び時間変更の取扱い) 1. 乙の都合により訪問予定日の前々日以降に本サービスの利用を中止する場合、甲は所定のキャンセル料を乙に請求することができる。 2. 前項のキャンセル料は介護保険の給付対象とならないため、乙の全額自己負担となる。甲は、契約締結時及び重要事項説明書において、キャンセル料の発生基準及び金額を乙に明確に説明する。 3. 甲の都合により訪問時間の変更又は中止が必要となった場合、甲は速やかに乙に連絡し、代替日時を調整する。

第6条(ヘルパーの訪問体制) 1. 甲は、資格を有する訪問介護員等を担当者として選任し、原則として固定の担当者による訪問体制を維持するよう努める。 2. やむを得ず担当者を変更する場合、甲は事前に乙にその旨を通知し、引継ぎに必要な情報共有を行う。

第7条(重要事項説明書との整合) 甲は、本契約書と別紙重要事項説明書に記載する利用料金その他の条件が齟齬しないよう相互に確認し、内容に変更が生じた場合は、変更後の重要事項説明書を交付したうえで乙の同意を得る。

第8条(秘密保持) 甲は、本サービスの提供を通じて知り得た乙の身体状況、生活状況その他の個人情報を、正当な理由なく第三者に開示又は漏えいしてはならない。

第9条(苦情受付) 1. 乙は、本サービスの内容に関する苦情を、甲が指定する苦情受付窓口に申し出ることができる。 2. 甲は、乙が甲への申出によって解決しない場合、乙の居住する市町村の担当窓口又は国民健康保険団体連合会に苦情を申し立てることができる旨を、重要事項説明書に明記して説明する。

第10条(契約の解除) 1. 乙は、甲に対し書面により通知することで、いつでも本契約を解除できる。 2. 甲は、乙が正当な理由なく利用料の支払を遅滞したとき、その他本契約の継続が困難な事由が生じたときは、相当期間を定めて催告のうえ本契約を解除できる。

第11条(損害賠償) 甲又は乙が本契約に違反し相手方に損害を生じさせた場合、当該違反当事者は相手方に生じた損害を賠償する。

第12条(有効期間) 本契約の有効期間は【契約締結日】から要介護認定の有効期間満了日までとし、認定更新の都度、甲乙協議のうえ本契約を更新するものとする。

以上を証するため本契約書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ各1通を保有する。

【締結日】 甲(訪問介護事業所)【住所・名称・代表者印】 乙(利用者)【住所・氏名・印】

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. 訪問介護事業所側が有利になる修正例

A-1. 直前キャンセルの起算点を明確化

「乙の都合による利用中止が訪問予定時刻の24時間前を切ってなされた場合、甲は所定のキャンセル料を請求できるものとし、乙はこれが介護保険給付の対象外であることをあらかじめ承知する。」 一言解説: キャンセル料の起算点(何時間前か)を数値で明示しておくと、当日の急なキャンセルをめぐる甲乙間の認識齟齬を防ぎやすい。

A-2. 生活援助と身体介護の境界に関する確認条項の追加

「乙又はその同居家族から、本サービスの区分に該当しない行為(庭の手入れ、大掃除、来客への対応等)を求められた場合、甲はこれを実施しないことができる。」 一言解説: 生活援助の範囲を超える依頼は保険給付の対象外であるため、現場のヘルパーが個別に判断せず事業所として統一的に断れるよう条項化しておく意義がある。

B. 利用者・家族側が有利になる修正例

B-1. 重要事項説明書との不整合時の優先関係

「本契約書と重要事項説明書の記載内容に齟齬がある場合、乙に有利な内容が優先して適用されるものとする。」 一言解説: 書面が複数ある場合の優先順位をあらかじめ定めておくことで、料金表記の食い違いによる紛争を回避しやすくなる。

B-2. 苦情申立先の周知強化

「甲は、契約締結時及び年1回以上、乙に対し、甲以外の苦情申立先(市町村介護保険担当課及び国民健康保険団体連合会の連絡先)を書面で通知する。」 一言解説: 事業所内での解決が難しい場合の外部相談先を定期的に案内することで、利用者が泣き寝入りする事態を防ぐ趣旨である。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

使う場面・使ってはいけない場面の解説 本書式は、訪問介護事業所が新規に利用者と契約を締結する場面、及び要介護認定の更新に伴い契約を更新する場面で用いる。他方、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や訪問看護など、訪問介護以外の類型のサービスを提供する場合には、それぞれの人員・運営基準に対応した別の書式を用いる必要があり、本書式をそのまま流用してはならない。

根拠法令の解説 指定居宅サービス事業者の指定基準は介護保険法第74条に定められており、同条に基づき厚生労働省令として指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)が定められている。同基準は、契約締結時における文書の交付及び説明、重要事項の記載事項、苦情処理の体制整備などを事業者の義務としており、本書式の各条項はこれらの規律を踏まえて構成した。

実務でよくある失敗と対策の解説 第一に、重要事項説明書に記載した利用料金と契約書本文の記載額が改定のタイミングのずれ等により食い違ってしまう例がある。第7条のとおり両書面の整合確認を条項化し、料金改定時は両方を同時に差し替える運用を徹底することが対策となる。第二に、直前キャンセル時のキャンセル料について、介護保険の給付対象外であることの説明を欠いたまま請求し、利用者側とのトラブルに発展する例がある。第5条第2項のように、キャンセル料が全額自己負担である旨を契約締結時に明確に説明しておく必要がある。第三に、苦情受付窓口として事業所の連絡先のみを記載し、国民健康保険団体連合会等の外部相談先を案内しないために、利用者の権利救済の道が分かりにくくなる例がある。第9条及び第2部B-2のように、外部の苦情申立先を明記し、定期的に周知することが望ましい。これらの対応を講じてもなお個別の事案の適法性に疑義がある場合には、専門家(弁護士等)に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 重要事項説明書を契約締結前に交付し、口頭でも説明したか
  • [ ] 契約書と重要事項説明書の利用料金の記載が一致しているか確認したか
  • [ ] 身体介護・生活援助の区分及び対象外行為の例を具体的に記載したか
  • [ ] 利用者負担割合(1~3割)を負担割合証の記載と照合したか
  • [ ] キャンセル料の発生基準・金額・保険給付対象外である旨を明記したか
  • [ ] ヘルパーの担当変更時の事前連絡ルールを定めたか
  • [ ] 苦情受付窓口(事業所・市町村・国民健康保険団体連合会)を明記したか
  • [ ] 契約解除の事由及び手続を定めたか
  • [ ] 要介護認定の更新に伴う契約更新の手続を定めたか
  • [ ] 秘密保持義務の範囲を確認したか