新任の取締役・監査役の実在性を確認するための添付書面。商業登記規則第61条第7項に基づき住民票記載事項証明書や運転免許証の写しを用いる際の記載例を示します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
本人確認証明書(役員就任登記用)
第1部: 書式本文
本書式は、新たに取締役または監査役に就任する者について、その実在性および氏名・住所の同一性を登記所に対して示すために作成する添付書面である。就任承諾書に押印された印鑑につき市区町村発行の印鑑証明書を添付できない場合(設立時の取締役等で印鑑証明書の添付が不要とされる場合など)に、これに代わる本人特定資料として提出する。
本人確認証明書本体
本人確認証明書
私は、下記のとおり相違ないことを証明する。
記
- 氏名 【氏名】
- 住所 【住所】
- 生年月日 【生年月日】
- 添付する本人確認書類の種別 【住民票記載事項証明書・運転免許証の写し・個人番号カードの写し(裏面の個人番号部分を除く)等のいずれか】
- 添付書類記載の氏名・住所と、就任承諾書及び登記申請書に記載された氏名・住所とが同一であること
【作成年月日】 【会社名】 就任者本人 【氏名】 ㊞
記載必須項目一覧
商業登記規則第61条第7項の趣旨を踏まえ、次の6項目を確認的に記載する。
- 証明の対象となる者の氏名(戸籍上または住民票上の氏名と一致させる)。
- 住所(住民票記載事項証明書等の添付書類に記載された住所と完全に一致させる)。
- 生年月日(添付書類記載の生年月日との整合を確認する項目)。
- 添付する本人確認書類の種類(住民票記載事項証明書、運転免許証の写し、個人番号カードの写し(表面のみ)、在留カードの写し等から選択する)。
- 就任承諾書・登記申請書上の氏名・住所との同一性を確認した旨の文言。
- 作成年月日および就任者本人の署名または記名押印。
なお、本人確認証明書は就任者本人が作成し署名(または記名押印)することを原則とするが、実務上は就任承諾書と一体の書面として作成する例と、独立した一枚の書面として作成する例のいずれも見られる。会社の登記申請を担当する司法書士の指示に従い、様式を統一しておくと、複数の役員が同時に就任する場合の取りまとめが容易になる。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 登記申請用(添付書面として提出する場合)
修正条文例:
本証明書は、【会社名】の取締役【氏名】が就任するにあたり、商業登記規則第61条第7項に定める本人特定資料として、住民票記載事項証明書の写しを添付のうえ提出するものである。
一言解説: 添付書類の種類を証明書本文に明示しておくことで、登記官が形式審査を行う際にどの書類との照合を求めているかが一目で分かり、補正の可能性を下げられる。
B節: 住民票等添付(運転免許証等の写しを用いる場合)
修正条文例:
就任者本人は、住民票記載事項証明書に代えて、運転免許証の写し(表裏両面)を添付する。当該写しに記載された氏名・住所・生年月日は、就任承諾書に記載された内容と相違ない。
一言解説: 運転免許証の写しを用いる場合は、有効期限内であることと、写しの余白に「原本と相違ない」旨を本人が自書する運用が一般的であり、写しの鮮明さについても事前に確認しておくとよい。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
本書式は、株式会社の取締役または監査役への就任登記において、就任者が実在する人物であり、かつ就任承諾書等に記載された氏名・住所と同一人物であることを示す目的で用いる。とりわけ設立登記や、社外から新たに招へいした取締役・監査役の就任登記において重要となる書面であり、既存の役員体制に新規の人物が加わる局面で用いられることが多い。他方で、既に登記済みの取締役が重任(任期満了による再任)する場合や、住所変更を伴わない代表取締役の選定のみを行う場合など、商業登記規則上、本人確認証明書の添付そのものが不要とされる登記類型も存在するため、あらゆる役員変更登記に一律で添付すればよいというものではない。添付の要否は登記の種類と就任者の属性(初めて役員となる者か否か)によって異なる点に留意する必要がある。また、清算人や監査等委員会設置会社における監査等委員である取締役など、役職の性質によって取扱いが変わる場合もあるため、対象となる役職と登記事由を確認したうえで添付要否を判断する姿勢が求められる。
根拠法令としては、商業登記規則第61条第7項が、設立の登記または取締役、監査役等の就任による変更の登記の申請書には、当該取締役等が就任を承諾したことを証する書面に記載した氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市区町村長発行の証明書その他これに準ずるものを添付しなければならない旨を定めている。この規定は、実在しない人物を役員として登記する、いわゆる名義貸しや虚偽登記を防止する目的で設けられたものと理解されている。従前は印鑑証明書を代表取締役以外の役員についても幅広く求める運用があったところ、本人確認証明書の制度が整備されたことで、住民票記載事項証明書のように印鑑登録を伴わない書類でも本人特定資料として利用できるようになった経緯があるとされる。
実務でよくある失敗として、第一に、住民票記載事項証明書の記載事項の不一致が挙げられる。就任承諾書に記載した住所の表記(番地の書き方、マンション名の有無等)と住民票の表記が微妙に異なるだけで補正の対象となり得るため、両書類の記載を作成段階で突き合わせる対策が有効である。第二に、添付書類の取得時期が就任承諾から大きく離れてしまい、住所異動後の状況を反映していない場合であり、実務上は就任承諾書の作成時期に近い時点で取得した証明書を用いる運用が一般的であるため、就任承諾書の作成と同時期に住民票等を取得しておくことが望ましい。第三に、個人番号カードの写しを添付する際に個人番号(マイナンバー)部分を復元可能な形で提出してしまう事例であり、個人番号部分をマスキングまたは非表示にしたうえで写しを取得する運用を徹底することが対策となる。第四に、外国籍の就任者について住民票記載事項証明書ではなく在留カードの写しを添付する際、在留カードの氏名がアルファベット表記のみで登記申請書上のカタカナ表記と一致しないという事例もあり、登記申請書に記載する氏名表記を事前に司法書士と協議しておく対策が考えられる。なお、対象となる登記の種類ごとに本人確認証明書の添付要否が異なるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 対象者が初めて役員に就任する者であり、本人確認証明書の添付が必要な登記類型であることを確認したか
- [ ] 証明書記載の氏名・住所が就任承諾書の記載と完全に一致しているか確認したか
- [ ] 添付する本人確認書類の種類(住民票記載事項証明書・運転免許証の写し等)を特定したか
- [ ] 運転免許証等の写しを用いる場合、有効期限内であるか確認したか
- [ ] 個人番号カードを用いる場合、個人番号部分をマスキングまたは非表示にしたか
- [ ] 住民票の住所表記(番地・建物名)と登記申請書上の表記の整合を確認したか
- [ ] 就任者本人の署名または記名押印がなされているか確認したか
- [ ] 証明書の作成年月日が就任承諾日または登記申請日と整合しているか確認したか
- [ ] 重任や住所変更を伴わない選定など、そもそも添付が不要な登記でないか確認したか