理事の選解任や計算書類の承認を行う評議員会の議事録です。招集手続、決議要件、書面決議の取扱いを整理しています。相手方との認識のずれを防ぐ具体的な記載例を示します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
評議員会議事録(一般財団法人)
第1部: 書式本文
評議員会議事録
一般財団法人【法人名称】は、【開催年月日】【開催時刻】から、【開催場所】において評議員会を開催した。
- 評議員の総数: 【評議員総数】名
- 出席評議員数: 【出席評議員数】名(委任状による出席【委任状出席数】名を含む)
- 出席理事: 【出席理事氏名】
- 出席監事: 【出席監事氏名】
- 議長: 【議長氏名(定款の定めに従い選出)】
- 議事録署名人: 【署名人氏名】、【署名人氏名】
定刻、定款第【条数】条の規定により議長に選出された【議長氏名】は、開会を宣言し、本評議員会は法令及び定款に定める定足数を満たし適法に成立した旨を述べ、直ちに議事に入った。
第1号議案 理事選任の件 議長は、理事【退任理事氏名】の任期満了に伴い、後任理事として【新任理事候補者氏名】を選任したい旨を述べ、その適否を諮ったところ、出席評議員は満場一致でこれを承認可決した。被選任者は席上就任を承諾した。
第2号議案 計算書類等承認の件 議長は、第【期数】期(自【事業年度開始日】至【事業年度終了日】)の貸借対照表、正味財産増減計算書及びこれらの附属明細書について、監事の監査報告とあわせて説明し、その承認を求めたところ、出席評議員は異議なくこれを承認可決した。
第3号議案 理事の報酬等の額改定の件 議長は、理事の報酬等の総額を年額【金額】円以内とする旨を提案し、その理由を説明した。出席評議員から【質疑要旨】との質問があり、議長がこれに回答した後、採決の結果、出席評議員の過半数の賛成により本議案は承認可決された。
以上をもって本日の議事を終了したので、議長は閉会を宣言した。閉会時刻は【閉会時刻】であった。
上記の議事の経過の要領及びその結果を明確にするため、この議事録を作成し、議長及び議事録署名人がこれに記名押印する。
【開催年月日】
一般財団法人【法人名称】評議員会
議長 【氏名】 印 議事録署名人 【氏名】 印 議事録署名人 【氏名】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
評議員の立場
A. 決議内容の記載を厳密にする修正 文例: 「出席評議員【出席数】名中、賛成【賛成数】名、反対【反対数】名、棄権【棄権数】名により、本議案は可決された。」 一言解説: 満場一致との記載だけでなく賛否の数値を明記しておくと、後日議事録の正確性を争われた際に評議員側が議事の適法性を立証しやすくなる。
B. 質疑応答の記録化 文例: 「評議員【氏名】から【質問内容】との質問があり、理事【氏名】が【回答内容】と回答した。」 一言解説: 評議員会は理事の職務執行を監督する機能を担うため、質疑の内容を記録に残すことで、理事が説明を尽くした事実を後日確認できるようになる。
理事の立場
A. 決議の効力発生要件を明確にする修正 文例: 「本評議員会は、第182条に定める招集通知期間を遵守して招集されたものであり、招集手続に瑕疵がないことを確認したうえで、本決議は第189条に定める決議要件(出席評議員の過半数)を満たして成立した。」 一言解説: 決議取消しの訴えの多くは招集手続の瑕疵を争点とするため、理事側としては招集通知の発送日・到達状況及び決議要件の充足を議事録上で明示しておくことが後日の紛争予防に資する。
B. 理事の説明を簡潔にとどめる修正 文例: 「理事は計算書類の概要を説明し、詳細は事前送付資料のとおりである旨を述べた。」 一言解説: 説明義務を果たしつつ議事録の記載を簡潔にすることで、議事進行の効率と記録の正確性のバランスを図ることができる。
場面別バリエーション: 書面決議(みなし決議)の場合
文例: 「理事は、評議員会の目的である事項について次のとおり提案し、評議員全員が書面により同意の意思表示をしたため、当該提案を可決する旨の評議員会の決議があったものとみなす。」 一言解説: 一般法人法第194条により評議員全員の書面同意があれば実開催なしに決議があったものとみなされるため、通常の議事録に代えて同意書及びみなし決議の記録を備え置く必要がある。
場面別バリエーション: オンライン参加を認める場合
文例: 「評議員【氏名】は、映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法により出席した。」 一言解説: 評議員会の開催場所に現実に参集しない、いわゆるオンライン出席についても、出席者が議事の内容を認識し即時に意見交換できる方法であれば出席として扱う運用が一般的であり、議事録上にその出席方法を明記しておくと後日の疑義を避けられる。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使用場面の解説
本書式は、一般財団法人が定時または臨時の評議員会を開催した場合の議事録として使用する。理事の選任・解任、計算書類の承認、定款変更など評議員会の権限に属する事項(一般法人法第178条)を決議した際の記録に適する。評議員会は法人運営の根幹に関わる機関であるため、招集から決議、議事録作成に至る一連の手続を通じて記録の正確性を確保することが特に重要である。
使ってはいけない場面の解説
社員総会を設置する一般社団法人の総会議事録としては使用できない。また、評議員会を開催せず書面のみで決議を成立させる場合(第194条の決議省略)には、通常議事録ではなく提案書と評議員全員の同意書を組み合わせた記録とする必要があり、本書式をそのまま流用すべきではない。
根拠法令の解説
評議員会の招集は第179条、招集の決定は第181条、招集の通知は第182条、招集手続の省略は第183条に規定される。決議要件は第189条、特別決議事項は同条第2項各号に列挙される。議事録の作成義務は第193条に規定され、主たる事務所への10年間の備置き、従たる事務所への5年間の備置きが求められる。決議の省略(みなし決議)は第194条に規定される。理事・監事の選任及び解任は、第177条により一般社団法人の規定(第63条・第70条・第176条)が評議員会に読み替えて準用される。
よくある失敗と対策の解説
第一に、出席評議員数や委任状出席の記載を欠くことがある。定足数の充足を証明できるよう、出席者数と委任状の有無を必ず記載する。 第二に、決議要件の異なる特別決議事項(監事解任、定款変更に類する事項等)を普通決議と同様に「過半数で可決」とだけ記載してしまう例がある。第189条第2項各号に該当する議案は三分の二以上の要件を満たしたことを明記する。 第三に、書面決議を行った際に通常の議事録形式のまま作成し、同意書の保存を怠る例がある。第194条第2項により、同意書は10年間備え置く必要があるため、議事録とは別に同意書一式を保管する運用を定めておく。 第四に、理事の報酬等の額を決定する議案において、金額の上限のみを定め、各理事への配分方法を理事会等に委ねる旨の記載を欠く例がある。配分の決定機関及び方法を議事録上明確にしておくと、後日の説明責任を果たしやすい。
評議員会の権限や決議要件は、理事会設置の有無や定款の個別の定めによっても左右されるため、個別事案については、定款の定め、事業年度、決議事項の性質によって必要な記載事項が異なる点を踏まえ、専門家に確認のうえ最終稿を確定されたい。
第4部: 使用前チェックリスト
- 評議員の総数及び出席評議員数(委任状出席を含む)を記載したか
- 出席理事・監事の氏名を記載したか
- 議長の選出方法が定款の定めに従っているか
- 各議案の提案内容と決議結果(賛成・反対・棄権の数)を記載したか
- 特別決議事項に該当する議案について決議要件(三分の二以上等)を確認したか
- 質疑応答があった場合、その要旨を記録したか
- 議事録署名人の選任方法が定款に沿っているか
- 議事録への記名押印(または電磁的記録の場合の措置)が完了しているか
- 主たる事務所における10年間の備置き体制が整っているか
- 書面決議(みなし決議)を用いる場合、同意書一式が別途保存されているか
- オンライン出席者がいる場合、出席方法を議事録に記載したか
- 理事の報酬等に関する議案がある場合、配分方法の記載を確認したか
- 閉会時刻を記載したか