債権者保護手続で異議が出た場合に弁済や担保提供を行った旨を証する書面。会社法第449条第5項ただし書の取扱いと、異議申述がなかった旨の上申書の記載例も収録。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
異議を述べた債権者への弁済等に関する上申書・証明書
第1部: 書式本文
本書式は、資本金の額の減少その他の債権者保護手続において、異議を述べた債権者に対する弁済・担保提供・信託が完了したこと(又は異議申述がなかったこと)を証し、登記申請の添付書面として使用するための上申書・証明書である。官報公告文案・催告書がいずれも手続開始時に発する書面であるのに対し、本書式は手続の結果を事後的にとりまとめ、登記所に対して手続の適法性を疎明するための書面である点で性質が異なる。作成時期は、異議申述期間の満了後、かつ異議があった場合には弁済等の対応が完了した後となる。
証明書
当会社は、令和【年】年【月】月【日】日開催の【株主総会・取締役会】において資本金の額を金【減少前資本金額】円から金【減少後資本金額】円に減少する旨決議し、会社法第449条第1項及び第2項の規定に基づき、下記のとおり債権者保護手続を実施したことを証明する。
- 官報公告掲載日:令和【年】年【月】月【日】日(官報【号数】号)
- 個別催告発送日及び発送先件数:令和【年】年【月】月【日】日、【催告先件数】件
- 異議申述期間:令和【年】年【月】月【日】日から令和【年】年【月】月【日】日まで
- 異議申述の有無:【有・無】
- 異議を述べた債権者への対応内容(異議申述がある場合)
| 債権者名 | 異議申述日 | 対応区分(弁済・相当の担保提供・信託) | 対応完了日 |
|---|---|---|---|
| 【債権者名】 | 【年月日】 | 【対応区分】 | 【年月日】 |
- 上記対応により、当該異議を述べた債権者を害するおそれがないと認められる事情:【該当する場合のみ記載】
以上のとおり相違ないことを証明する。
令和【年】年【月】月【日】日 【本店所在地】 【会社名】 代表取締役 【代表者氏名】 印
本証明書には、官報公告の掲載紙面の写し、催告書及び発送記録(配達証明を含む)、異議を述べた債権者との弁済・担保提供に係る合意書又は受領書の写しを別紙として添付し、記載内容を裏付ける資料一式を整えたうえで登記申請書に添付することが望ましい。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 登記申請用(異議申述がなかった旨の上申書)
修正条文例: 「当会社は、前記異議申述期間内において、知れている債権者及び官報公告を閲覧した第三者のいずれからも異議の申述を受けなかったことを、代表取締役【代表者氏名】において確認し、この旨を上申する。なお、異議申述の有無については、催告書発送先一覧【別紙】及び受付記録【別紙】と照合のうえ確認した。」
一言解説: 異議申述がなかった場合でも、登記実務上は「異議を述べた債権者がいない」旨を積極的に証する上申書の添付を求められることが一般的であり、単に沈黙をもって手続完了とせず、確認結果を書面化しておく必要がある。実務上は、代表取締役が確認した旨を証明書本文に明記するとともに、確認の根拠とした資料(発送先一覧、受付簿等)を別紙として引用しておくと、登記官による審査がスムーズに進みやすい。
B節: 代表者作成(異議を述べた債権者に弁済等を行った場合の証明)
修正条文例: 「当会社は、異議を述べた債権者【債権者名】に対し、会社法第449条第5項本文の規定に基づき、令和【年】年【月】月【日】日、金【弁済額】円を弁済し(又は相当の担保として【担保の内容】を提供し)、当該弁済等が完了したことを代表取締役【代表者氏名】が確認のうえ証明する。」
一言解説: 会社法第449条第5項ただし書は、資本金減少をしても当該債権者を害するおそれがないときは弁済等を要しないとするが、この例外に依拠する場合は「害するおそれがない」と判断した具体的根拠(担保余力、資産状況等)を書面に残しておかないと、登記官から補正を求められる可能性がある。弁済と担保提供のいずれを選択するかは、当該債権者との協議結果や資金繰りへの影響を踏まえて判断し、選択理由を社内稟議等に記録しておくと後日の説明が容易になる。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
本書式は、資本金の額の減少の効力発生後、変更登記を申請する際に添付書面として提出する場面で使用する。すなわち、官報公告・個別催告(会社法第449条第2項)を実施し、異議申述期間が経過した後、その結果(異議の有無、異議があった場合の対応)を証する目的に限定される。公告文案や催告書そのものの代わりにはならず、あくまで手続完了後の事後証明として用いる点に注意する。
根拠法令は、会社法第449条第5項(異議を述べた債権者に対する弁済・担保提供・信託の原則義務、及び「当該債権者を害するおそれがないとき」の適用除外を定めるただし書)である。登記手続との関係では、商業登記法上、資本金の額の減少による変更登記の添付書面として、債権者保護手続を証する書面(公告及び催告をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときはその者に対し弁済等をしたこと又は異議を述べた債権者がないことを証する書面)が求められる。
実務でよくある失敗として、第一に、異議申述がなかったにもかかわらず、その旨を明記した上申書を作成せず、登記申請時に補正を求められる例がある。対策として、異議申述期間満了後直ちに、催告発送先一覧と受付記録を照合し、異議の有無を確認した結果を書面化する運用を徹底する。第二に、異議を述べた債権者に対し弁済ではなく担保提供で対応した場合に、担保の内容(担保物件、担保権の順位等)を具体的に記載せず、登記官から担保の相当性を疎明する資料の追完を求められる例がある。対策として、担保提供時点で評価額や担保余力に関する資料を併せて保管しておく。第三に、会社法第449条第5項ただし書(害するおそれがないとき)を安易に適用し、弁済等を行わずに手続を進めてしまう例があるが、この判断は財務状況や当該債権の性質に照らして慎重に行うべきであり、判断を誤ると減資の効力自体が争われるリスクがある。対策として、適用除外の該当性については、財務資料に基づく検討記録を残す。第四に、異議申述期間の満了日を待たずに証明書を作成してしまい、期間満了直前に異議が到着した場合に証明内容と実態が食い違う例がある。対策として、証明書の作成日は必ず異議申述期間満了日以降とし、期間内に受け付けた異議の最終確認を終えてから書面化する運用とする。個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 官報公告掲載日・号数を正確に記載したか
- [ ] 個別催告の発送日及び発送先件数を記録・記載したか
- [ ] 異議申述期間の開始日・満了日を正確に記載したか
- [ ] 異議申述の有無を催告発送先一覧・受付記録と照合して確認したか
- [ ] 異議申述がなかった場合、その旨を明確に上申する文言を入れたか
- [ ] 異議を述べた債権者がいる場合、対応区分(弁済・担保提供・信託)と完了日を記載したか
- [ ] 会社法第449条第5項ただし書を適用する場合、その根拠事情を具体的に記載したか
- [ ] 担保提供の場合、担保内容・評価額の裏付け資料を保管したか
- [ ] 登記申請の添付書面としての体裁(代表者印の押印等)を確認したか
- [ ] 証明書の作成日が異議申述期間満了日以降になっているか
- [ ] 官報・催告書・弁済関係資料の写しを別紙として添付したか