入社1年未満の従業員などを育児休業や子の看護等休暇の対象から外す場面の書式。育児介護休業法第6条等が認める労使協定による除外者の範囲を明確化する。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
育児・介護休業等の適用除外に関する労使協定書
第1部: 書式本文
株式会社〇〇(以下「会社」という。)及び会社に使用される労働者の過半数を代表する〇〇(以下「労働者代表」という。)は、育児休業、介護休業、子の看護等休暇、介護休暇及び所定外労働の制限に係る適用除外者の範囲について、下記のとおり協定を締結する。
第1条(目的) 本協定は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「育児介護休業法」という。)第6条第1項ただし書、第12条第2項、第16条の3第2項、第16条の6第2項及び第23条第1項ただし書に基づき、それぞれの制度の対象から除外する従業員の範囲を定めることを目的とする。
第2条(育児休業の適用除外) 次の各号のいずれかに該当する従業員から育児休業の申出があったときは、会社はその申出を拒むことができる。 一 入社1年未満の従業員 二 申出の日から起算して93日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員 三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
第3条(介護休業の適用除外) 次の各号のいずれかに該当する従業員から介護休業の申出があったときは、会社はその申出を拒むことができる。 一 入社1年未満の従業員 二 申出の日から起算して93日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員 三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
第4条(子の看護等休暇の適用除外) 次の各号のいずれかに該当する従業員から子の看護等休暇の申出があったときは、会社はその申出を拒むことができる。 一 入社6箇月未満の従業員 二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
第5条(介護休暇の適用除外) 次の各号のいずれかに該当する従業員から介護休暇の申出があったときは、会社はその申出を拒むことができる。 一 入社6箇月未満の従業員 二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
第6条(所定外労働の制限の適用除外) 次の各号のいずれかに該当する従業員から所定外労働の制限の請求があったときは、会社はその請求を拒むことができる。 一 入社1年未満の従業員 二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
第7条(除外事由の範囲の限定) 本協定に定める除外事由は、育児介護休業法及び同法施行規則が労使協定により除外することを認めた範囲に限るものとし、会社は前各条に定めのない事由により申出を拒むことはできない。
第8条(除外された従業員への説明) 会社は、本協定に基づき申出を拒否する場合、対象従業員に対し、拒否する理由及び根拠となる本協定の条項を書面で明示する。
第9条(就業規則との整合) 会社は、本協定の内容と就業規則(育児介護休業規程を含む。)の記載が齟齬なきよう、本協定の締結又は変更後、速やかに就業規則の該当部分を改定する。
第10条(周知) 会社は、本協定を事業場内に掲示し、又は書面を交付する方法その他の方法により、全従業員に周知する。
第11条(協議) 本協定に定めのない事項又は疑義が生じた事項については、会社及び労働者代表が誠実に協議して定める。
第12条(有効期間) 本協定は、【西暦年】年【 】月【 】日から効力を生じ、有効期間は【 】年間とする。期間満了の30日前までに会社又は労働者代表が改定の申入れをしないときは、同一の内容で更新する。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 会社側(作成用)
A-1 第2条の限定例 「前項第一号の入社1年未満の従業員であっても、本人が特に希望し、業務の引継ぎに支障がないと会社が認めた場合には、育児休業の取得を認めることができる。」 一言解説: 除外事由に該当しても、会社の裁量で除外しない取扱いをすることは労働者に有利な変更であり許容されるため、柔軟な運用の余地を残す条文を置くことができる。
A-2 第8条の運用例 「会社は、申出拒否の通知に際し、除外事由に該当しなくなった場合(所定労働日数の変更等)には再度申出が可能である旨を併せて説明する。」 一言解説: 除外事由は固定的なものではなく状況により変動するため、従業員が再申出の機会を失わないよう説明を尽くすことが望ましい。
B節: 労働者代表側(確認用)
B-1 第2条・第3条の確認事項 「労働者代表は、除外事由の内容が育児介護休業法施行規則第8条及び第23条が定める範囲を超えていないか、協定締結前に個別に照合する。」 一言解説: 法定除外事由を超えて対象者を絞る協定は無効となるため、労働者代表は条文と法令の文言を突き合わせて確認する責務を負う。
B-2 第9条の確認事項 「労働者代表は、就業規則の育児介護休業に関する規定が本協定の内容と矛盾していないか、改定後の条文を確認のうえ意見を述べる。」 一言解説: 協定と就業規則の記載が食い違うと、除外の効力について紛争が生じやすいため、整合性の確認を協定発効の条件とする運用が望ましい。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
本書式は、入社間もない従業員や短時間・短日数勤務の従業員について、育児休業や介護休業、子の看護等休暇等の対象から除外したい場合に用いる。他方、産前産後休業や年次有給休暇など、労使協定による除外がそもそも法令上認められていない制度については、本書式の枠組みを流用することはできない。
根拠法令は育児介護休業法第6条第1項ただし書(育児休業)、第12条第2項(介護休業)、第16条の3第2項(子の看護等休暇)、第16条の6第2項(介護休暇)及び第23条第1項ただし書(所定外労働の制限)である。これらの規定は、いずれも過半数労働組合又は労働者の過半数を代表する者との書面協定がある場合に限り、事業主が申出を拒むことができる者の範囲を定めることを認めるものであり、除外できる事由の内容自体は同法施行規則により法定されている。
実務でよくある失敗の一つ目は、法定の除外事由を超えて、例えば「パートタイム従業員は一律育児休業の対象外とする」といった規定を置いてしまうことである。所定労働日数が週2日を超えるパートタイム従業員は法定除外事由に該当せず、このような協定は当該部分について無効と評価される。
二つ目の失敗は、除外規定を労働契約書や内規のみに記載し、労使協定を締結しないまま運用してしまうことである。労使協定の締結を欠く除外は法的効力を持たず、育児休業等の申出を拒否したことが違法な取扱いとなり得る。
三つ目の失敗は、協定締結後に就業規則の育児介護休業規程を改定せず、両者の記載内容が食い違ったまま放置されることである。このような状態は従業員に混乱を生じさせ、除外の可否をめぐる紛争の火種となる。
除外事由への該当性の判断や個別従業員への適用可否は事案により異なるため、具体的な運用にあたっては社会保険労務士又は弁護士等の専門家に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 育児休業の除外事由を育児介護休業法施行規則の定める範囲内で記載したか
- [ ] 介護休業の除外事由を法定範囲内で記載したか
- [ ] 子の看護等休暇・介護休暇の除外事由(入社6箇月未満等)を区別して記載したか
- [ ] 所定外労働の制限の除外事由を別途規定したか
- [ ] 法定範囲を超える除外事由(パートタイム一律除外等)を含めていないか確認したか
- [ ] 就業規則の育児介護休業規程との整合性を確認したか
- [ ] 除外対象者への説明方法・書面交付の手続を定めたか
- [ ] 全従業員への周知方法を定めたか
- [ ] 有効期間及び更新手続を明記したか