育児休業の申出を受けた会社が休業期間や賃金・社会保険料の取扱いを回答する場面の書式。育児介護休業法施行規則が定める通知事項を漏れなく網羅している。

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育児休業取扱通知書

第1部: 書式本文

【文書番号】号 【西暦】年【 】月【 】日

宛先: 【従業員氏名】殿 差出人: 【会社名】 【代表者役職氏名】

育児休業取扱通知書

貴殿から【西暦】年【 】月【 】日付で申出のあった育児休業について、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「育児介護休業法」という)施行規則第7条に基づき、下記のとおり通知します。

  1. 育児休業の申出に対する取扱い □ 申出のとおり受理する □ 一部条件を付して受理する □ 却下する(理由は第9項)
  2. 育児休業開始予定日 【西暦】年【 】月【 】日
  3. 育児休業終了予定日 【西暦】年【 】月【 】日
  4. 休業期間中の賃金の取扱い □ 無給 □ 一部支給(内容【 】) ※雇用保険の育児休業給付金の対象となる場合はその案内を別紙で交付する
  5. 休業期間中の社会保険料の取扱い 健康保険・厚生年金保険料は、育児休業等取得者申出書の提出により被保険者・事業主分とも免除される場合がある旨、および免除期間中も被保険者資格・将来の年金額計算上は保険料納付済みとして扱われる旨
  6. 休業終了後の賃金・労働条件 復職後の賃金体系【 】、勤務形態【 】、配置予定部署【 】
  7. 休業期間中の連絡体制 会社からの連絡窓口【担当者名・連絡先】、従業員からの連絡方法【 】
  8. 復職後の異動・配置に関する事項 原則として原職または原職相当職に復帰させる方針である旨、やむを得ず配置転換を行う場合の考慮事項
  9. 却下する場合の理由(該当する場合のみ) □ 労使協定により対象外の従業員に該当(理由【 】) □ 申出要件を満たさない(理由【 】)
  10. 苦情処理・相談窓口 社内相談窓口【部署・担当者】、外部相談窓口(都道府県労働局雇用環境・均等部(室)等)

以上

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. 申出を受理する場合

  • 記載例: 第1項を「申出のとおり受理する」とし、第2項・第3項の開始・終了予定日を申出書記載のとおり転記した上で、「本通知をもって育児休業の取得が確定します」と付記する。 一言解説: 施行規則第7条は受理の可否にかかわらず通知事項を定めているため、受理の場合でも開始・終了予定日と賃金・社会保険料の取扱いを省略せず記載する必要がある。
  • 記載例: 第4項の賃金の取扱いに「雇用保険の育児休業給付金の支給申請はハローワークを通じて会社が代行する場合がある」旨と担当窓口を明記する。 一言解説: 賃金が無給となる休業中の生活保障は給付金に依存するため、通知書の段階で申請手続の見通しを示すことでトラブルを防げる。

B. 申出を却下する場合

  • 記載例: 第1項を「却下する」とし、第9項に労使協定上の除外事由(例: 「入社1年未満」「1年以内に雇用関係が終了することが明らかな者」等、労使協定で定めた具体的事由)を条文に即して具体的に記載する。 一言解説: 育児介護休業法第6条は限定された除外事由がある場合に限り申出を拒めるとしており、抽象的な「業務都合」等を理由にすることは認められない。
  • 記載例: 却下の場合であっても第10項の苦情処理・相談窓口欄を必ず記載し、「本通知の内容に不服がある場合は下記窓口にご相談ください」と付記する。 一言解説: 却下は従業員にとって不利益性が高い判断であるため、争いを未然に収めるための相談導線を書式に組み込むことが望ましい。
  • 記載例: 却下通知の末尾に「本却下は労使協定に基づくものであり、要件を満たすに至った場合は再度申出が可能である」旨を付記する。 一言解説: 除外事由に該当して却下された場合でも、その後に要件を満たす状況になれば再申出ができることを明示することで、従業員が不必要に権利行使を諦めることを防げる。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

本書式は、従業員から育児休業の申出を受けた事業主が、育児介護休業法施行規則第7条に定める通知事項を回答するために使用する。申出書そのもの(従業員が書く書類)とは異なり、本書式は事業主が負う「通知義務」を履行するための書類であることに注意が必要である。育児休業の対象要件を審査する場面(申出の可否判断そのもの)ではなく、可否判断が固まった後にその結果と条件を従業員に知らせる場面で用いる。

実務でよくある失敗の一つは、休業を受理する場合には賃金や社会保険料の取扱いの説明を省略してよいと誤解することである。施行規則第7条は受理・却下いずれの場合にも、育児休業開始・終了予定日、休業期間中の賃金の取扱い、社会保険料の取扱い、休業後の賃金・配置その他の労働条件について通知することを求めている。本書式第4項から第6項でこれらを個別の欄として設け、記載漏れを防止している。

二つ目の失敗例は、却下の理由を「会社の都合」といった曖昧な表現で記載してしまうことである。育児介護休業法第6条第1項ただし書は、労使協定で定めた場合に限り一定範囲の従業員からの申出を拒めると定めており、理由は労使協定上の具体的事由に対応させる必要がある。本書式第9項では理由欄を設け、抽象的な記載を避けるよう促している。

三つ目の失敗例は、通知を口頭のみで済ませ書面化しないことである。書面化しないと後日「通知を受けていない」との争いに発展しやすく、本書式のように文書番号・作成日・差出人を明記した形式で交付することが望ましい。

なお、休業取得の申出や本通知の内容を理由とする不利益取扱いは育児介護休業法第10条により禁止されており、労使協定の除外事由の解釈や却下の適法性については個別事情により結論が異なり得るため、最終的には弁護士等の専門家に確認すべきである。

四つ目の失敗例は、通知のタイミングが遅れることである。施行規則第7条は通知の具体的な期限を明示していないものの、休業開始予定日までに従業員が生活設計や引継ぎの準備をできるよう、申出を受けてから遅滞なく通知することが求められる。特に賃金が無給となる場合や社会保険料の免除の要否は従業員の家計に直結するため、開始予定日の直前になって通知することは避けるべきである。本書式の作成日欄と申出受理日との間隔を人事担当者が自己点検できるようにしておくことが望ましい。

五つ目の失敗例として、休業後の配置に関する説明を「追って協議する」とだけ記載し、原職復帰の原則的な取扱い方針を示さないケースがある。法令上、原職または原職相当職への復帰が一律に義務付けられているわけではないが、事業主には円滑な職場復帰を支援する配慮が求められており、本書式第8項では復帰の基本方針とやむを得ず配置転換を行う場合の考慮事項を分けて記載する構成とし、従業員が復職後の見通しを持てるようにしている。休業中の労使協定の解釈や配置転換の適法性については、職種限定の有無など個別の労働契約の内容によって結論が左右されるため、判断に迷う場合は早い段階で専門家に相談することが望ましい。

六つ目の失敗例は、通知書を交付したことのみをもって説明義務を尽くしたと考え、従業員からの質問対応窓口を明示しないことである。書面通知は一方的な情報提供にとどまりやすく、社会保険料の免除手続や給付金申請の実務は従業員にとって分かりにくい場合が多い。本書式第7項の連絡体制欄と第10項の相談窓口欄を活用し、通知後も質問を受け付ける姿勢を明示することが、円滑な休業運用とトラブル防止の双方に資する。

なお、本書式が回答すべき対象はあくまで育児休業(第5条)の申出であり、出生時育児休業(産後パパ育休)や介護休業の申出に対する回答には、それぞれ制度趣旨に応じた別の通知書式を用いるべきである。休業の種類によって通知すべき事項の性質(就業可否の調整の要否等)が異なるため、本書式をそのまま使い回すことは避けるべきである。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 通知の文書番号・作成日・宛先・差出人を記載したか
  • [ ] 受理・条件付受理・却下のいずれであるかを明示したか
  • [ ] 育児休業開始予定日・終了予定日を記載したか
  • [ ] 休業期間中の賃金の取扱いを記載したか
  • [ ] 休業期間中の社会保険料の取扱い(免除の可能性を含む)を記載したか
  • [ ] 復職後の賃金・配置その他の労働条件を記載したか
  • [ ] 却下する場合、労使協定上の具体的な除外事由を記載したか
  • [ ] 苦情処理・相談窓口を記載したか
  • [ ] 会社からの連絡体制・担当者を記載したか
  • [ ] 施行規則第7条が定める通知事項を漏れなく網羅しているか再確認したか
  • [ ] 文書末尾に「以上」を付し、通知の完結性を明示したか
  • [ ] 通知の交付方法(書面・電子メール等本人が希望する方法)を確認したか
  • [ ] 通知の控えを会社側で保管する体制を整えたか
  • [ ] 育児休業給付金に関する案内(ハローワークへの申請手続を含む)を記載したか