セット内容

  • インフルエンサーPR業務委託契約書 2バージョン(発注企業側/インフルエンサー側)Word形式
  • ステマ規制対応の広告表示義務条項の解説
  • 投稿内容の事前確認・修正依頼フローの取り決め例

こんな場面で

企業がインフルエンサー・SNSアカウント運営者へ商品・サービスの紹介投稿を依頼する場面。

特長

  • 景品表示法のステマ規制に対応した「広告」表示義務を契約条項として明記
  • 投稿の炎上・削除時の対応、報酬の算定方法(フォロワー数・PV連動等)を収録
  • ステマ規制対応 広告表示ガイドライン(stema-hyoji-guideline-kitei)と併用し社内外のルールを統一
以下はAIが作成し弁護士監修前のβ版である。一般的な参考情報として無料公開しており、個別事案への適合性は保証しない。重要な取引に使用する際は専門家によるレビューを受けること。監修完了後に正式版へ差し替える。

インフルエンサーPR業務委託契約書標準版(監修用ドラフト)

⚠ 本ファイルは弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布を禁止する。

商品ID: infuruensa-pr-keiyaku / 価格: 2,980円 / 立場バージョン: 発注企業側有利・インフルエンサー側有利

本ドラフトは、企業がインフルエンサー又はSNSアカウント運営者に対し、自社の商品又はサービスの紹介投稿(PR投稿)を依頼する取引を想定する。景品表示法上のステルスマーケティング規制(2023年10月1日施行の「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の指定告示。以下「ステマ規制告示」という。)に対応するため、投稿における広告等表示義務を契約条項として明記している。第1部には中立的なベース条文を掲載し、第2部で「発注企業側有利」「インフルエンサー側有利」の2バージョンの差分を提示する構成とする。


第1部: 契約書本文(標準版・中立)

インフルエンサーPR業務委託契約書

〇〇〇〇(以下「甲」という。)と〇〇〇〇(以下「乙」という。)とは、甲が提供する〇〇〇〇(以下「本商品」という。)に関する紹介投稿の実施について、以下のとおり業務委託契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(目的)

本契約は、甲が乙に対し、乙が運営するSNSアカウント(〇〇〇〇。以下「本アカウント」という。)における本商品の紹介投稿(以下「本投稿」という。)の実施を委託し、乙がこれを受託することに関する条件を定めることを目的とする。

第2条(業務内容)

  1. 乙は、甲の委託に基づき、本アカウントにおいて、次の各号に定める内容の本投稿を行う。 (1)投稿の媒体及び形式: 〇〇〇〇(例: Instagram フィード投稿、ストーリーズ、X(旧Twitter)投稿、YouTube動画等) (2)投稿本数: 〇〇本 (3)投稿予定日又は投稿期間: 〇〇〇〇年〇〇月〇〇日から〇〇〇〇年〇〇月〇〇日まで (4)投稿内容の概要: 〇〇〇〇
  2. 本投稿の具体的な構成、使用画像・動画、キャプション文言等の詳細は、甲乙協議のうえ、本契約締結後に別途書面(電磁的方法を含む。以下同じ。)により合意するものとする。
  3. 乙は、本投稿の実施にあたり、自らの表現方法及び創作的工夫を用いることができるものとし、甲は乙の表現の自由を不当に制限しないよう配慮するものとする。

第3条(広告であることの明示義務)

  1. 乙は、本投稿を行うに当たり、消費者庁が定める「ステルスマーケティングに関する景品表示法上の考え方」(令和5年3月28日内閣府告示第19号及び消費者庁の運用基準に基づくもの。以下「ステマ運用基準」という。)その他の関連法令及びガイドラインに従い、本投稿が甲の依頼に基づく広告であることを一般消費者が判別できるよう、次の各号に定める表示を行わなければならない。 (1)投稿本文又は画面上の明瞭に認識できる箇所に、「広告」「PR」「〇〇(甲の名称)から商品提供を受けて投稿しています」等、広告であることが明確に分かる表示を付すこと (2)当該表示を他の文言に埋没させ、又は多数のハッシュタグの中に紛れ込ませる等、一般消費者が広告表示であることを判別しづらくする態様を用いないこと (3)動画コンテンツについては、広告である旨の表示を、視聴者が動画の視聴を通じて認識可能な形式(冒頭表示、概要欄への記載等の組み合わせ等)で行うこと
  2. 乙は、本投稿において、本商品の提供又は金銭の支払を受けている事実を隠蔽し、又は自らの自主的な意思による投稿であるかのように誤認させる表示を行ってはならない。
  3. 甲は、乙が行う広告表示の方法について、事前に確認し、必要な助言を行うことができる。ただし、本条の広告表示義務の履行主体は乙とし、甲による確認又は助言は、乙の義務を免除するものではない。
  4. 甲及び乙は、ステマ運用基準その他の景品表示法に関する規制が改正された場合、当該改正内容に従い、本投稿における表示方法を適宜見直すものとする。

第4条(表示内容の適正化)

  1. 乙は、本投稿において、本商品の品質、規格その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認される表示(優良誤認表示)、又は取引条件について実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示(有利誤認表示)を行ってはならない。
  2. 乙は、本商品を実際に使用又は体験したうえで投稿を行うものとし、使用又は体験していない商品について使用感等を投稿してはならない。
  3. 乙は、本商品に関する客観的な事実と異なる効果効能(医薬品的な効果効能を含む。)を標榜してはならない。

第5条(投稿内容の事前確認)

  1. 乙は、本投稿を行う前に、投稿予定の文案、画像又は動画(以下「投稿案」という。)を甲に提示し、甲の確認を受けるものとする。
  2. 甲は、投稿案が本契約の内容、法令又は甲の定めるガイドラインに適合しないと判断した場合、乙に対し修正を求めることができる。乙は、正当な理由がない限り、当該修正要請に応じるものとする。
  3. 前2項の確認は、本商品に関する事実関係の正確性及び第3条・第4条の遵守を目的とするものであり、甲は、乙の表現方法そのものについて過度な変更を求めないよう努めるものとする。
  4. 甲の確認を経て投稿されたことは、投稿内容が法令に適合することを保証するものではなく、乙は本投稿の内容について自ら責任を負うものとする。

第6条(投稿の維持及び削除)

  1. 乙は、本投稿を、投稿日から〇〇か月間、本アカウント上に掲載を継続しなければならない。
  2. 乙は、前項の期間内に本投稿を削除し、非公開とし、又は投稿内容を改変しようとする場合、事前に甲の承諾を得なければならない。ただし、法令違反その他乙が本投稿を継続することが相当でないと合理的に判断する事由がある場合は、甲に事後速やかに通知のうえ削除することができる。
  3. 本投稿に起因して炎上(本投稿に対し、SNS上又はその他の媒体において批判、抗議その他の否定的反応が社会的に相当程度の規模で生じている状態をいう。以下同じ。)が生じた場合、甲及び乙は、速やかに情報を共有し、協議のうえ、投稿の削除、訂正、謝罪その他の対応方針を決定するものとする。

第7条(報酬)

  1. 甲は、乙に対し、本業務の対価として、次のいずれかの方法により算定した報酬を支払う(甲乙間で選択のうえ、該当する号を残すものとする)。 (1)固定報酬制: 本投稿1本当たり金〇〇〇〇円(消費税別) (2)成果連動制: 本投稿の実施時点における本アカウントのフォロワー数(〇〇〇〇人)を基準として金〇〇〇〇円(消費税別)とし、投稿後〇〇日間のインプレッション数又は再生回数が〇〇〇〇件を超えた場合、超過分〇〇〇〇件ごとに金〇〇〇〇円を加算する (3)混合型: 固定報酬金〇〇〇〇円(消費税別)に加え、前号の成果連動部分を上乗せする
  2. 甲は、前項の報酬を、本投稿の実施完了及び第5条に基づく確認手続の完了を条件として、乙が別途指定する方法により発行する請求書に基づき、〇〇〇〇年〇〇月〇〇日限り、乙が指定する銀行口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は甲の負担とする。
  3. インプレッション数又は再生回数の計測方法及び計測期間は、〇〇〇〇(利用するプラットフォームの公式分析ツール等)によるものとし、甲乙間で疑義が生じた場合は、当該公式分析ツールの表示数値を基準とする。

第8条(費用負担)

  1. 本投稿に使用する本商品は、甲が乙に無償で提供する。
  2. 前項に定めるほか、乙が本業務の遂行のために要する費用(撮影機材の使用料、通信費等)は、乙の負担とする。ただし、甲が事前に費用負担を承諾した場合はこの限りでない。

第9条(著作権及び肖像権の帰属並びに二次利用)

  1. 本投稿における文章、画像及び動画(以下「投稿コンテンツ」という。)に関する著作権(著作権法第27条及び第28条に定める権利を含む。)は、乙又はその作成者に留保されるものとする。
  2. 甲は、乙に対し、投稿コンテンツを甲の自社ウェブサイト、公式SNSアカウント、広告媒体その他甲が指定する媒体において、次の各号に定める条件で二次利用することにつき許諾を求めることができる。 (1)利用媒体及び利用態様: 〇〇〇〇 (2)利用期間: 〇〇〇〇 (3)二次利用の対価: 〇〇〇〇円(前条の報酬とは別に定める場合はその旨を明記する。)
  3. 前項の許諾は、乙の書面による同意がある場合に限り効力を生じるものとし、本契約の締結のみをもって当然に許諾されるものではない。
  4. 乙は、投稿コンテンツに乙以外の第三者が被写体として写り込んでいる場合、当該第三者の肖像権の処理について、甲乙協議のうえ対応するものとする。
  5. 甲は、投稿コンテンツを、乙の事前の承諾なく、乙の意図に反する文脈(本商品と無関係な広告への転用、乙の名誉を毀損する態様での利用等)で使用してはならない。

第10条(秘密保持)

  1. 甲及び乙は、本契約の遂行に関連して知り得た相手方の技術上又は営業上の秘密情報を、相手方の事前の書面による承諾を得ることなく第三者に開示又は漏えいしてはならず、本契約の目的以外に使用してはならない。
  2. 乙は、本投稿の公開前における本商品の仕様、発売時期、価格その他甲が指定する未公表情報を、本投稿による開示が予定された範囲を超えて事前に公表してはならない。
  3. 本条の規定は、本契約終了後〇年間、なお効力を有する。

第11条(表明保証)

  1. 乙は、甲に対し、次の各号の事項を表明し、保証する。 (1)本アカウントのフォロワー数、エンゲージメント率その他の実績値について、甲に提供した情報が真実かつ正確であること (2)本アカウントのフォロワーについて、不正な手段(フォロワー購入、bot等)により水増しを行っていないこと (3)本投稿の実施につき、第三者との間で本契約と矛盾抵触する義務を負っていないこと
  2. 前項の表明保証に反する事実が判明した場合、甲は、本契約を解除し、又は既払いの報酬の全部若しくは一部の返還を求めることができる。

第12条(禁止事項)

乙は、本契約の履行に際し、次の各号の行為を行ってはならない。 (1)本商品又は甲の信用を毀損する表現を用いること (2)第三者の著作権、商標権その他の権利を侵害する内容を投稿すること (3)法令、公序良俗又は公共の秩序に反する内容を投稿すること (4)甲の競合他社の商品又はサービスを本投稿と同時期に殊更に比較し、又は誹謗する内容を投稿すること (5)本契約で定めるもののほか、甲の事前の承諾なく本商品に関する未公表情報を開示すること

第13条(契約解除)

  1. 甲又は乙は、相手方に次の各号のいずれかの事由が生じた場合、何らの催告を要せず、本契約の全部又は一部を解除することができる。 (1)本契約に違反し、相当の期間を定めて是正を求める書面による催告を受けたにもかかわらず、当該期間内に是正されないとき (2)第3条、第4条又は第12条に違反したとき (3)手形若しくは小切手の不渡り、支払停止若しくは支払不能の状態に至ったとき (4)破産、民事再生その他の倒産手続開始の申立てを受け、又は自ら申立てをしたとき (5)第14条(反社会的勢力の排除)の表明保証に違反したとき (6)その他前各号に準ずる事由があり、本契約を継続し難い重大な事情が生じたとき
  2. 本投稿に起因する炎上により、本商品又は甲の社会的信用に重大な悪影響が生じ、又は生じるおそれがあると甲が合理的に判断した場合、甲は、乙と協議のうえ、本投稿の削除を求め、又は本契約の全部若しくは一部を解除することができる。

第14条(反社会的勢力の排除)

  1. 甲及び乙は、それぞれ相手方に対し、自己が、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団その他これらに準ずる者(以下「反社会的勢力」と総称する。)に該当しないこと、及び反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を有しないことを表明し、保証する。
  2. 甲又は乙が前項の表明保証に違反した場合、相手方は、何らの催告を要せず本契約を解除することができる。この場合、解除した当事者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。

第15条(損害賠償)

  1. 甲又は乙は、本契約に違反し、相手方に損害を与えた場合、これにより相手方に生じた損害を賠償する責めを負う。
  2. 乙の広告表示義務違反(第3条違反)により、甲が景品表示法上の措置命令、課徴金納付命令その他の行政処分を受け、又は取引先若しくは一般消費者から損害賠償請求を受けた場合、乙は、甲に生じた損害(弁護士費用を含む。)を賠償する責任を負う。ただし、甲が第5条の事前確認において当該表示の不備を看過した場合等、甲の帰責事由が競合するときは、双方の関与の程度に応じて損害を分担するものとする。

第16条(権利義務の譲渡禁止)

甲及び乙は、相手方の事前の書面による承諾を得ることなく、本契約上の地位並びに本契約に基づく権利及び義務を第三者に譲渡し、承継させ、又は担保に供してはならない。

第17条(存続条項)

第6条第3項、第9条、第10条、第11条第2項、第15条及び本条から第19条までの規定は、本契約が終了した場合においても、なお効力を有する。

第18条(協議事項)

本契約に定めのない事項又は本契約の解釈に疑義が生じた事項については、甲乙誠意をもって協議のうえ解決するものとする。

第19条(合意管轄)

本契約に関する紛争については、〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

以上、本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ、各自1通を保有する。

〇〇〇〇年〇〇月〇〇日

(甲)住所    商号又は名称    代表者名         印

(乙)住所又は所在地    氏名又は名称(アカウント名〇〇〇〇)         印


第2部: 立場別修正パターン

商品には「発注企業側有利」「インフルエンサー側有利」の2バージョンを収録する。第1部は中立版を基準としており、以下は各バージョンを作成する際の差分(代替条文)である。

A. 発注企業側有利バージョンへの変更

発注企業(PRを依頼する側。甲)に有利にするための修正パターン。

A-1. 第3条(広告であることの明示義務)の履行責任を乙に一元化しつつ、表示ひな形の使用を義務化

追加条文例: 「乙は、甲が別途提供する広告表示のひな形文言(「広告」「PR」の表示位置及び文字サイズを含む。)をそのまま使用しなければならず、独自の表現に置き換えてはならない。」

解説: ステマ運用基準違反による景品表示法上のリスクは、措置命令の名宛人が甲(発注企業)となる可能性が高いため、表示の統一性を確保し、乙の恣意的な省略・埋没を防ぐための条項。乙の表現の自由(第2条第3項)との調整が必要になる場合がある。

A-2. 第5条(投稿内容の事前確認)を「承諾なき投稿禁止」に強化

修正後: 「乙は、甲の書面による事前承諾を得ることなく、投稿案を投稿してはならない。甲の承諾なく投稿された内容は、本契約上の債務の履行とは認めない。」

解説: 事前確認を単なる助言的関与から拒否権付きの承認プロセスに強化する修正。インフルエンサー側の裁量を大きく制約するため、投稿頻度の高い案件では合意形成に時間を要する可能性がある。

A-3. 第7条(報酬)の支払条件に成果未達時の減額規定を追加

追加条文例: 「乙に提供された本アカウントのフォロワー数又はエンゲージメント率が、契約締結時に乙が甲に提示した数値を著しく下回ることが判明した場合、甲は、報酬を実際の実績に応じた金額に減額することができる。」

解説: フォロワー数の水増し等(第11条の表明保証違反)とは別に、実績が事前提示値を下回った場合の報酬調整規定。減額の基準を恣意的に運用すると紛争を招くため、算定式をできる限り明確にすることが望ましい。

A-4. 第6条(投稿の維持及び削除)に炎上時の即時削除義務を追加

修正後: 「炎上が生じた場合、甲は、乙に対し本投稿の削除を求めることができ、乙は、正当な理由がない限り、甲の求めから〇〇時間以内に本投稿を削除しなければならない。」

解説: 発注企業のレピュテーションリスクを最小化するため、削除の判断権限を実質的に甲に集約する修正。乙にとっては表現活動への介入が強まるため、削除基準(炎上の定義・程度)を客観化する工夫が求められる。

A-5. 第15条(損害賠償)の乙の責任範囲を拡大し、上限を撤廃

修正後: 「乙の第3条又は第4条違反に起因して甲に生じた損害については、乙は、甲が受けた行政処分に伴う課徴金相当額、取引先からの契約解除に伴う逸失利益及び弁護士費用を含む一切の損害を賠償するものとし、賠償額に上限を設けない。」

解説: ステマ規制違反の責任をインフルエンサー側に重く負わせる修正。インフルエンサー側の実際の支払能力に比して過大な賠償額となりやすく、契約書全体としての公平性を欠くと判断されるリスクがあるため、報酬額との均衡を考慮すべき条項である。

B. インフルエンサー側有利バージョンへの変更

インフルエンサー(PR投稿を行う側。乙)に有利にするための修正パターン。

B-1. 第3条(広告であることの明示義務)の履行責任を甲乙共同責任に変更

修正後: 「甲及び乙は、本投稿における広告表示の適法性について、甲が乙に提供する表示ひな形の妥当性を含め、共同して責任を負うものとする。乙が甲の提供したひな形又は指示に従って表示を行った場合、当該表示に起因する景品表示法上の問題については、甲が第一次的な責任を負う。」

解説: ステマ規制の名宛人(措置命令の対象)は表示内容を決定する事業者、すなわち一般的には発注企業側になりやすいという構造を踏まえ、甲の指示に従った結果生じた不備についてまで乙に責任を負わせるべきではないとする考え方に基づく修正。

B-2. 第5条(投稿内容の事前確認)に表現の自由への配慮義務を明記

追加条文例: 「甲は、投稿案の確認に際し、事実関係の正確性及び法令適合性の確認に必要な範囲を超えて、乙の表現方法、文体又は演出について修正を強制してはならない。甲が正当な理由なく修正を強要したことにより投稿が遅延した場合、当該遅延について乙は責任を負わない。」

解説: 発注企業による過度な内容介入は、インフルエンサーの表現の独自性を損ない、フォロワーからの信頼低下(ひいては本投稿の広告効果低下)を招くおそれがあるため、確認権限の範囲を限定する修正。

B-3. 第7条(報酬)の支払時期を前払又は投稿前払に変更

修正後: 「甲は、乙に対し、本契約締結後〇〇日以内に、報酬の50パーセントに相当する金額を着手金として支払い、残額を本投稿の実施完了後〇〇日以内に支払う。」

解説: インフルエンサー側は個人事業主であることが多く、報酬の全額後払いは資金繰りリスクが大きい。着手金・分割払いの設計は、フリーランス・事業者間取引の適正化等に関する法律(いわゆるフリーランス新法)の趣旨にも沿う実務対応である。

B-4. 第6条(投稿の維持及び削除)の削除義務に正当な補償を追加

追加条文例: 「甲の請求により本投稿を削除した場合であって、乙に帰責事由がないときは、甲は、既払いの報酬の返還を求めることができず、また、削除による乙の逸失利益(二次利用機会の喪失等)について協議のうえ相当な補償を行うものとする。」

解説: 発注企業側の一存による削除要求に対し、インフルエンサー側の経済的損失を補填する規定。特に炎上が甲側の商品自体の欠陥や不適切な指示に起因する場合、乙に一切の不利益を負わせるべきではないとする考え方に基づく。

B-5. 第9条(著作権及び肖像権の帰属)の二次利用対価を別建てで明確化

修正後: 「甲による投稿コンテンツの二次利用(広告media、ウェブサイト掲載、他媒体への転用等)については、利用態様・期間・媒体ごとに、本業務の報酬とは別に、乙の書面による同意及び対価の合意を要するものとする。同意なき二次利用が判明した場合、甲は、乙に対し、通常の利用許諾料相当額に加え、無断利用による損害を賠償するものとする。」

解説: PR投稿の報酬と広告への二次利用(いわゆる「二次使用」)の対価は本来別個の権利処理であるにもかかわらず、実務上、報酬に含まれるものとして扱われがちであるため、インフルエンサー側の権利保護の観点から明確に分離する修正。

B-6. 第11条(表明保証)の解除・返還条項に軽過失を除外

修正後: 「前項の表明保証違反が乙の故意又は重過失による場合に限り、甲は本契約を解除し、又は既払いの報酬の返還を求めることができるものとする。」

解説: フォロワー数の集計方法の齟齬等、軽微な誤差にまで解除・返還義務を及ぼすと乙にとって過度に苛酷であるため、帰責性の程度に応じた限定を加える修正。


第3部: 逐条解説(購入者向け)

第1条(目的) 契約の適用範囲を定める条項。「本アカウント」を具体的なSNS名・アカウントIDまで特定しておくことで、複数アカウントを運営するインフルエンサーとの間で対象範囲の齟齬が生じることを防ぐことができる。

第2条(業務内容) 投稿本数・媒体・期間を具体的に定める条項。インフルエンサーとの契約では、投稿内容の詳細を契約書本体ではなく別途のクリエイティブブリーフ等で定める実務が多く、本条第2項はその整合を図る規定である。

第3条(広告であることの明示義務) 本テンプレートの中核をなす条項である。2023年10月1日に施行されたステマ規制(令和5年3月28日内閣府告示第19号による指定告示、及び消費者庁「ステルスマーケティングに関する景品表示法上の考え方」に基づく運用基準)により、事業者が自己の広告であることを隠して行わせる表示は景品表示法上の不当表示規制の対象となった。留意すべき点として、同規制における措置命令の名宛人は「表示内容の決定に関与した事業者」であり、一般的には発注企業(甲)が名宛人となる可能性が高いと考えられる一方、乙(インフルエンサー)に契約上の表示履行義務を課すこと自体は妨げられないため、両者の責任分担を契約書上明確にしておくことが望ましい。

第4条(表示内容の適正化) 広告表示の有無とは別に、投稿内容自体が優良誤認・有利誤認に該当しないようにするための条項。健康食品・化粧品等の効果効能表示については、医薬品医療機器等法(薬機法)上の広告規制にも留意する必要がある。

第5条(投稿内容の事前確認) 発注企業の確認権限の範囲は、インフルエンサーの表現の自由との調整が必要な論点である。確認範囲を「事実関係の正確性・法令適合性」に限定するか、「表現内容全般」まで広げるかで、第2部のバランスが大きく変わる。

第6条(投稿の維持及び削除) 炎上時の対応フローを事前に定めておくことは、実務上のトラブル予防に直結する。削除の判断権限をどちらに置くか、削除に伴う経済的損失をどちらが負担するかが交渉の焦点となる。

第7条(報酬) 固定報酬制・成果連動制・混合型のいずれを採用するかにより、インフルエンサーのリスク負担の程度が異なる。成果連動制を採用する場合、インプレッション数等の計測方法・計測期間・計測ツールを具体的に定めておかないと、支払額をめぐる紛争の原因になりやすい。

第8条(費用負担) 本商品の無償提供は現物給付としての性質を持ち、所得税法上、インフルエンサー側で経済的利益として扱われる場合がある点に留意が必要である(税務上の扱いは個別事案により異なるため、本テンプレートでは条文化していない)。

第9条(著作権及び肖像権の帰属並びに二次利用) 投稿コンテンツの著作権を乙に留保しつつ、甲による二次利用は別途の許諾を要件とする構成としている。実務上、発注企業が広告素材として投稿コンテンツを転用したいというニーズは強いため、二次利用の対価を本来の投稿報酬と切り分けて明確化しておくことが望ましい。

第10条(秘密保持) 未発売商品のPRを依頼する場合、発売前情報の管理が特に重要になる。インフルエンサーは投稿という性質上、意図せず情報を先出ししてしまうリスクがあるため、公表可能な範囲・時期を具体的に指定することが望ましい。

第11条(表明保証) フォロワー数やエンゲージメント率の水増し(フォロワー購入、bot利用等)は、報酬算定の前提を崩す重大な問題であるため、表明保証条項として明記することが望ましい。

第12条(禁止事項) 競合品との比較投稿や誹謗中傷的表現の禁止は、発注企業のブランド毀損リスクを避けるための一般的な規定である。

第13条(契約解除) 炎上時の解除権を発注企業に一方的に付与する構成にするか、協議を前置するかは交渉の対象となる。インフルエンサー側の帰責性が乏しい炎上(商品自体の欠陥等に起因するもの等)にまで一方的な解除権を及ぼすことは、バランスを欠くとの評価もあり得る。

第14条(反社会的勢力の排除) 現在の契約実務でほぼ必須の条項。インフルエンサーが個人事業主である場合も含め、表明保証の対象とすることが一般的である。

第15条(損害賠償) 広告表示義務違反に起因して発注企業が行政処分等を受けた場合の損害賠償責任の分担は、本テンプレートで特に重視すべき条項である。乙の表示義務違反のみに起因する場合と、甲の指示・確認プロセスの不備が競合する場合とで、責任分担を書き分けることが望ましい。

第16条・第17条(権利義務の譲渡禁止・存続条項) 存続条項の列挙漏れがあると、契約終了後にその条項が無効と解釈されるリスクがあるため、契約全体を見直した際は本条の列挙内容も必ず更新する必要がある。

第18条・第19条(協議・合意管轄) 合意管轄は当事者の所在地により交渉になりやすい。インフルエンサーが個人(フリーランス)である場合、消費者契約法の適用はないが、フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の適用対象となる場合があるため、報酬支払期日等の規定が同法の規律に抵触しないか留意する必要がある。


第4部: 監修者への確認依頼事項

  1. 第3条の広告表示義務条項について、ステマ運用基準(令和5年3月28日内閣府告示第19号及び消費者庁の運用基準)の内容を条文上の記載として過不足なく反映できているか、最新の運用実態(表示例、Q&A等)に照らして確認いただきたい。
  2. 第3条第3項及び第15条第2項における発注企業・インフルエンサー間の責任分担(措置命令等のリスク負担)について、実務相場としてどちらの責任をどの程度重くする例が一般的か確認いただきたい。
  3. 第7条の成果連動制報酬におけるインプレッション数・再生回数の計測方法について、プラットフォームの公式分析ツールに依拠する設計で実務上十分か、第三者計測ツールの利用可能性も含めて確認いただきたい。
  4. 第9条の著作権帰属及び二次利用条項について、実務上「投稿報酬に二次利用対価が包含される」という契約例と「別建てで対価を定める」という契約例のいずれが一般的か、業界の実務動向を踏まえて確認いただきたい。
  5. インフルエンサーが未成年者又はフリーランス新法上の特定受託事業者に該当する場合の追加的な留意事項(法定代理人の同意、報酬支払期日の規制等)を第3部の解説に追記すべきか確認いただきたい。
  6. 第13条第2項の炎上時解除条項について、乙の帰責事由の有無によって解除の可否や損害賠償の要否を区別する規定に修正すべきか確認いただきたい。
  7. 第4条の効果効能表示の禁止について、健康食品・化粧品等の特定業種を想定した場合、薬機法上の広告規制との関係でテンプレートに個別の留意事項を追記する必要があるか確認いただきたい。
  8. 第11条の表明保証違反(フォロワー数の水増し等)が発覚した場合の返還義務の範囲(既払い報酬全額か、水増しの程度に応じた按分か)について、実務上望ましい設計を確認いただきたい。