存続期間50年以上で更新や建物買取請求のない一般定期借地権の設定契約書。借地借家法第22条の特約を公正証書等の書面で定める分譲住宅・宅地供給向けの書式。

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一般定期借地権設定契約書

第1部: 書式本文

一般定期借地権設定契約書

土地所有者【地主氏名・名称】(以下「甲」という。)と、借地人【借地人氏名・名称】(以下「乙」という。)は、次のとおり一般定期借地権の設定契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(目的) 甲は乙に対し、乙が建物を所有する目的で、下記土地(以下「本件土地」という。)を賃貸し、乙はこれを賃借する。

第2条(対象土地) - 所在地: 【土地所在地】 - 地番: 【地番】 - 地目・地積: 【地目】・【地積】平方メートル

第3条(存続期間) 本件借地権の存続期間は、【始期】から満【 】年間とする。ただし、この期間は借地借家法第22条に基づき50年以上とする。

第4条(特約の内容) 1. 甲及び乙は、借地借家法第22条に基づき、次の特約を定める。 ① 本契約は、存続期間の満了により終了し、更新しない。 ② 乙は、存続期間の満了に際し、建物の築造による存続期間の延長(借地借家法第7条)を求めることができない。 ③ 乙は、存続期間満了時に建物買取請求(借地借家法第13条)をすることができない。 2. 前項の特約は、公正証書その他の書面(電磁的記録を含む)によってしなければ効力を生じない。

第5条(建物の用途) 乙は、本件土地上に【用途:戸建住宅・分譲住宅等】の用に供する建物を所有するものとし、当該用途を変更しようとするときは、事前に甲の書面による承諾を得るものとする。

第6条(地代) 乙は甲に対し、地代として年額(又は月額)金【 】円を、【支払時期・方法】により支払う。

第7条(保証金・敷金) 乙は甲に対し、本契約に基づく債務の担保として、保証金(敷金)【 】円を差し入れる。甲は、本件土地の返還を受けたときに、乙の未払債務を控除した残額を無利息で返還する。

第8条(建物の増改築・処分) 1. 乙は、本件土地上の建物を第三者に譲渡し、又は借地権を第三者に譲渡・転貸しようとするときは、事前に甲の承諾を得なければならない。 2. 甲は、正当な事由がない限り、前項の承諾を拒むことができない。ただし、承諾を拒む場合の借地非訟手続の要否は別途協議する。

第9条(期間満了時の明渡し) 1. 乙は、存続期間満了時、自己の費用で建物を収去し、本件土地を更地にして甲に明け渡す。 2. 甲及び乙は、期間満了前に協議のうえ、建物を存置したまま甲乙間で別途の合意(建物譲渡特約付借地権への切替等)をすることを妨げない。

第10条(公正証書等の作成) 第4条の特約を含む本契約の内容は、公正証書によって作成する。作成費用は甲乙で協議のうえ負担割合を定める。

第11条(協議事項) 本契約に定めのない事項は、甲乙誠実に協議して定める。

以上、本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する。

【締結日】

甲: 【住所】 【氏名・名称】 印 乙: 【住所】 【氏名・名称】 印

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A節: 地主(土地所有者)向け(分譲後の管理を重視する場合)

A-1 第5条の修正例 「乙は、本件土地上の建物及び敷地の管理につき、甲が別途定める分譲地管理規約を遵守するものとし、規約に違反した場合、甲は是正を求め、是正されないときは本契約を解除することができる。」 一言解説: 分譲住宅地として複数区画を一般定期借地権で供給する地主は、区画横断的な管理規約への遵守義務を個別契約にも組み込むことで、地域全体の資産価値を維持しやすくなる。

B節: 借地人(分譲事業者)向け(転売・承継を前提とする場合)

B-1 第8条の修正例 「乙が本件借地権付建物を第三者(以下「買主」という。)に譲渡する場合、甲は、買主が本契約の内容(第4条の特約を含む。)を承継することを条件として、譲渡を承諾する。譲渡承諾料は【 】円とする。」 一言解説: 分譲事業者は借地権付建物を一般消費者に転売することを前提とするため、承継条件と承諾料をあらかじめ明確化しておくことで個別交渉の手間を減らせる。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

本書式は、存続期間50年以上の長期にわたり、更新や建物買取請求のない借地権を設定して土地を貸借する場面、典型的には分譲住宅地や大規模施設用地の長期利用で使用する。存続期間を50年未満としたい場合や、事業用建物に限定したい場合は、事業用定期借地権(借地借家法第23条)など別の類型を検討すべきであり、本書式をそのまま流用してはならない。

根拠法令は借地借家法第22条である。同条は、存続期間を50年以上として借地権を設定する場合に限り、契約の更新をしないこと、建物の築造による存続期間の延長がないこと、建物買取請求をしないことの3つの特約を定めることができるとし、この特約は公正証書等の書面(電磁的記録による記録を含む)によってしなければ効力を生じないと規定する。事業用定期借地権(第23条)が公正証書を必須とするのに対し、一般定期借地権は公正証書に限らず書面一般で足りる点が異なるが、後日の紛争予防の観点からは公正証書によることが望ましいとされる。

実務でよくある失敗の一つ目は、存続期間を50年ちょうどではなく49年など50年未満に設定してしまい、一般定期借地権の要件を満たさず通常の借地権として扱われることである。本書式第3条のように存続期間を明確に50年以上とし、契約書上の起算日と満了日の計算に誤りがないかを重ねて確認する必要がある。

二つ目の失敗は、第4条の特約を口頭や覚書のみで合意し、書面性の要件を満たさないことである。特約が無効となれば、更新拒絶や建物買取請求の排除ができず、事実上通常の借地契約と同様の負担を地主が負うことになる。特約は必ず契約書本体又は公正証書に明記する必要がある。

三つ目の失敗は、分譲事業者が借地権付建物を転売する際、譲渡承諾の手続や承継条件を契約書に定めていないため、個別の転売のたびに地主との交渉が難航することである。第8条のように承諾条件や承諾料をあらかじめ定型化しておくことで、事業のスケーラビリティを確保できる。

四つ目の失敗は、地代の改定条項を設けていながら、改定の基準となる指標(公租公課、近隣相場、消費者物価指数等)を具体的に定めず、将来の紛争の火種を残すことである。一般定期借地権は存続期間が50年以上と長期にわたるため、経済情勢の変化を織り込んだ地代改定の仕組みをあらかじめ設計しておくことが、地主・借地人双方にとって有益である。

一般定期借地権と事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権(第24条)のいずれを選択すべきかは、土地利用計画や資金回収スキームによって異なるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 建物の所有目的(用途)を確認し、居住用・分譲用として計画されているか
  • [ ] 存続期間を50年以上に設定したか(50年未満になっていないか)
  • [ ] 更新排除・存続期間延長排除・建物買取請求権排除の3特約をすべて盛り込んだか
  • [ ] 特約を公正証書その他の書面(電磁的記録を含む)で作成する予定か
  • [ ] 地代の額・支払時期・改定条件を明記したか
  • [ ] 保証金・敷金の返還条件を明記したか
  • [ ] 借地権・建物の譲渡承諾手続と承諾料の有無を定めたか
  • [ ] 分譲地の場合、管理規約等の承継条件を定めたか
  • [ ] 期間満了時の建物収去・更地返還義務を明記したか
  • [ ] 建物譲渡特約付借地権など他の類型との比較検討を行ったか