財産の拠出により設立する一般財団法人の定款です。評議員会と理事会の構成、基本財産の維持、目的変更の制限を規定します。自社の実情に合わせて条項を取捨選択できる構成です。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
一般財団法人定款
第1部: 書式本文
【法人名】定款
第1章 総則
第1条(名称) 当法人は、一般財団法人【法人名】と称する。
第2条(主たる事務所) 当法人は、主たる事務所を【主たる事務所の所在地】に置く。
第3条(目的) 当法人は、設立者が拠出した財産を運用し、【事業目的、例:学術研究の助成】を行うことにより、【目的とする社会的意義】に寄与することを目的とする。
第4条(事業) 当法人は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。 一 【事業内容1】 二 【事業内容2】 三 その他前条の目的を達成するために必要な事業
第5条(公告の方法) 当法人の公告は、当法人の主たる事務所の掲示場に掲示する方法により行う。
第2章 基本財産
第6条(設立時の拠出財産) 当法人の設立に際して設立者が拠出する財産の価額は、金【300万】円とする。
第7条(基本財産) 当法人の設立に際して拠出された財産及び理事会の決議により基本財産に組み入れられた財産は、基本財産とする。基本財産は、理事会において特に処分することを可とする決議がない限り、処分し、又は担保に供してはならない。
第3章 評議員及び評議員会
第8条(評議員の員数) 当法人に評議員【3】名以上を置く。評議員の選任及び解任は、評議員選定委員会の決議による。
第9条(評議員の任期) 評議員の任期は、選任後【4】年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとする。
第10条(評議員会の権限) 評議員会は、法令に定める事項及び本定款に定める事項に限り、決議をすることができる。
第11条(評議員会の決議事項) 評議員会は、次の事項について決議する。 一 理事及び監事の選任又は解任 二 理事及び監事の報酬等の額 三 貸借対照表及び損益計算書等の計算書類の承認 四 定款の変更 五 基本財産の処分又は除外の承認 六 その他法令又は本定款で評議員会の決議事項と定める事項
第4章 役員及び理事会
第12条(役員の設置) 当法人に理事【4】名以上、監事【1】名以上を置き、理事会を組織する。
第13条(理事会の権限) 理事会は、業務執行の決定、理事の職務執行の監督並びに代表理事及び業務執行理事の選定及び解職を行う。
第14条(代表理事) 理事会は、理事の中から代表理事【1】名を選定する。代表理事は、当法人を代表し、その業務を執行する。
第15条(監事の職務) 監事は、理事の職務の執行を監査し、監査報告を作成する。
第5章 計算
第16条(事業年度) 当法人の事業年度は、毎年【4月1日】から翌年【3月31日】までとする。
第6章 定款の変更及び解散等
第17条(定款の変更) 本定款は、評議員会の決議によって変更することができる。ただし、当法人の目的及び評議員の選任・解任の方法に係る定めについては、その変更を必要とする特別の事情が生じた場合に限り変更することができる。
第18条(解散及び残余財産の帰属) 当法人は、法令に定める事由により解散する。解散した場合の残余財産は、評議員会の決議により、当法人と類似の目的を有する公益的団体等に帰属させる。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節 設立者の立場から
A-1 拠出財産を段階的に積み増す設計とする場合 「第6条(設立時の拠出財産)当法人の設立に際して設立者が拠出する財産の価額は、金【300万】円とする。設立者は、設立後【5年】以内を目途に、理事会の定めるところにより追加の拠出を行うよう努めるものとする。」 解説:設立当初の拠出額が小さい場合、努力義務規定を置くことで基本財産の充実の道筋を示し、対外的な信用力の説明材料とすることができる。
A-2 設立者の意向を運営に反映させたい場合 「第8条(評議員の員数)評議員選定委員会は、設立者が指名する者【1】名を含む【5】名以内で構成する。」 解説:一般財団法人は設立後に設立者の直接的な関与が制度上弱まる構造にあるため、評議員選定委員会の構成に設立者の関与を残すことで一定の連続性を確保できるが、私物化との評価を避けるため構成割合には留意が必要である。
B節 法人(既存事業会社・関係団体)の立場から
B-1 企業が社会貢献目的で設立母体となる場合 「第4条(事業)当法人は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。一 【親会社名】の事業分野に関連する研究に対する助成 二 前号に附帯する調査及び普及啓発事業」 解説:企業関連財団として設立する場合、助成対象分野を親会社の事業と関連づけて記載すると目的の一貫性が説明しやすくなる一方、私益供与との誤解を避けるため対象選定基準を別途明確にしておくことが望ましい。
B-2 業界団体が共同で財産を拠出する場合 「第6条(設立時の拠出財産)当法人の設立に際して設立者【複数名】が拠出する財産の価額は、合計金【1000万】円とし、各設立者の拠出割合は別紙のとおりとする。」 解説:複数の設立者が共同で拠出する場合は、拠出割合と併せて評議員選定委員会の構成バランスも定めておくと、特定の設立者の意向に偏らない運営がしやすくなる。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、財産の拠出によって設立する一般財団法人向けの定款であり、評議員・評議員会を必置機関とし、理事会が業務執行を担う統治構造を前提とする。社団法人と異なり構成員(社員)が存在せず、評議員会が理事・監事の選任解任等の重要事項を決議する点、基本財産の維持が制度上重視される点に特徴がある。研究助成、奨学金給付、文化振興など、拠出財産の運用益等を原資に継続的な事業を行いたい場合に適する一方、事業の担い手を頻繁に入れ替えたい、あるいは会員制の団体運営を志向する場合には社団法人形態の方が適合的である。
根拠法令としては、一般法人法第153条(定款の記載事項、財団の設立)、第131条(評議員の選任及び解任の方法)、第178条(評議員会の権限)、第172条(理事会の権限等の準用)、第197条において準用される第113条以下の規定、第200条(基本財産に関する規律の趣旨)を踏まえて条文を構成している。特に同法第178条第2項は評議員会の決議事項を法令又は定款に定めた事項に限定しており、第10条はこれに対応する。また同法第200条は評議員の資格に関する定款の定めについて一定の制限を課しており、評議員選定委員会の設計に際して留意すべき点である。
よくある失敗として、第一に、基本財産の処分制限を定めないまま運用し、財産の毀損防止という財団の趣旨が形骸化する例がある。対策として、第7条のように理事会の特別な決議を要件とする処分制限を明記することが有効である。第二に、評議員選定委員会の構成が設立者や特定の理事に偏り、評議員会の独立性に疑義が生じる例がある。対策として、外部有識者を含む構成とし、選定手続を定款上明確にすることが考えられる。第三に、目的規定に定款変更の制限がかからず、設立当初の趣旨と乖離した事業に転用される懸念が生じる例があり、対策として第17条ただし書のように目的等の変更要件を加重することが挙げられる。これらの整理は一般的な考慮事項であり、個別事案は専門家に確認のうえで条項を確定させることが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- 設立時の拠出財産の価額及び財産目録の内容が実態と一致しているか
- 基本財産の範囲及び処分制限の要件を具体的に定めたか
- 評議員の員数・任期・選任解任の方法(評議員選定委員会の構成)を定めたか
- 評議員会の決議事項を法定・定款事項に適切に限定しているか
- 理事会・代表理事・監事の設置及び権限分配を明記したか
- 目的及び評議員の選任解任方法に係る定款変更に加重要件を設けたか
- 解散時の残余財産の帰属先が類似目的の団体等として適切か確認したか
- 公告方法が法人の実務体制と整合しているか
- 事業年度及び計算書類の承認手続が評議員会の運営スケジュールと整合しているか
- 評議員選定委員会の独立性・中立性が確保される構成となっているか