自動車損害賠償保障法に基づく自賠責保険金の請求手続をまとめた書式です。被害者請求と加害者請求の必要書類を整理します。ひな型をもとに数分で自社仕様に調整できます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
自賠責保険金請求手続書式
第1部: 書式本文
自賠責保険金(共済金)請求書
【請求の種別】【加害者請求(自賠法第15条)・被害者請求(自賠法第16条)】 【証明書番号】【 】 【事故発生日】【 年 月 日】
第1 請求者情報 1. 請求者氏名・住所・生年月日 【 】 2. 請求者と事故との関係(加害者・被害者本人・被害者の相続人等) 【 】 3. 加害車両の登録番号・保有者名・自賠責保険証明書番号 【 】
第2 事故の概要 4. 事故発生日時・場所 【 】 5. 事故態様の概要 【 】 6. 交通事故証明書の添付 【添付済(発行番号 )】
第3 損害の内容(被害者請求の場合) 7. 傷害による損害(治療費・休業損害・慰謝料等)の内訳 【 】 8. 後遺障害の有無及び等級認定の状況(認定済・申請中・未申請) 【 】 9. 死亡による損害の内訳(葬儀費・逸失利益・慰謝料等、死亡事案の場合) 【 】 10. 損害額合計及び請求額 【 】円
第4 加害者請求の内容(加害者請求の場合) 11. 被害者へ既に支払った損害賠償額及び支払日 【 】 12. 支払の根拠資料(示談書・領収書・振込明細等) 【添付】 13. 請求額(既払額の範囲内であることの確認) 【 】円
第5 必要書類一覧 14. 保険金・共済金支払請求書(所定様式) 【添付】 15. 交通事故証明書 【添付】 16. 事故発生状況報告書 【添付】 17. 診断書・診療報酬明細書(人身損害の場合) 【添付】 18. 後遺障害診断書(該当する場合) 【添付】 19. 死亡診断書又は死体検案書、戸籍謄本(死亡事案の場合) 【添付】 20. 印鑑証明書・振込先口座情報 【添付】 21. 委任状(代理人が請求する場合) 【添付・該当なし】
【請求者署名又は記名押印】 【 】 【提出先(自賠責保険会社又は共済組合)】 【 】
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節 被害者の立場からの修正例(被害者請求)
A-1 加害者側の対応が得られない場合 第1「2.」の下に「加害者からの連絡状況・示談交渉の有無・加害者請求がなされる見込みの有無」を記載する欄を追加する。加害者が任意に手続に協力しない場合、被害者は自賠法第16条に基づき保険会社に対して直接損害賠償額の支払を請求することができるため、加害者側の対応状況を記録しておくことは請求方針の判断に資する。
A-2 後遺障害等級認定を先行させる必要がある場合 第3「8.」を「事前認定・被害者請求による認定のいずれの手続を選択するか」を明記する形式に改める。等級認定の手続を被害者請求と併せて進めるか、加害者側の任意保険会社経由で先行させるかにより、書類の準備手順や認定結果への関与の程度が異なるため、選択した手続を明記しておくことが望ましい。
A-3 相続人が請求する場合 第1「1.」の下に「被相続人(死亡した被害者)の氏名、請求者と被相続人との続柄、相続人全員の氏名及び相続分」を記載する欄を追加し、第5「19.」に「相続関係を証する戸籍謄本一式」を明記する。相続人が複数いる場合、請求権の帰属や受領方法について相続人間で事前に整理しておく必要がある。
B節 加害者の立場からの修正例(加害者請求)
B-1 分割で被害者へ支払いを行っている場合 第4「11.」を一覧表形式に改め、支払日ごとの支払額・支払方法・残額を記載できるようにする。加害者請求は既に被害者へ塡補した損害の範囲内で行うものであるため、支払の都度、その裏付け資料とともに記録しておくことが円滑な請求につながる。
B-2 加害者請求と被害者請求が競合する可能性がある場合 第1「1.」の下に「同一事故について被害者請求が既になされているか否かの確認状況」を追記する。同一の損害について二重に支払われることを避けるため、請求前に保険会社又は共済組合への照会を行った旨を記録しておくことが望ましい。
B-3 政府保障事業への案内が必要な場合 第5の末尾に「加害車両が不明又は無保険であることが判明した場合、請求者は自賠法第72条に基づく政府保障事業への請求を別途検討することができる」との注記を加える。自賠責保険の枠組みでは填補が及ばない事案があることを請求者に案内し、手続の選択誤りを防ぐ趣旨である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、自動車の運行によって他人の生命又は身体に損害が生じた事故について、自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)に基づく自賠責保険(共済)の保険金を請求する場面で用いる。人身損害に限定された制度であるため、物損のみの事故には使用できない。また、加害者が明らかに存在しない自損事故や、無保険車による事故で加害者請求・被害者請求のいずれによっても填補が期待できない場合には、自賠法第72条に基づく政府保障事業への請求など別の手続を検討する必要があり、本書式をそのまま使用する場面ではない。
自賠法第15条は、保有者が被害者に対して損害の賠償をした場合に限り、その塡補をした金額について保険会社に対して保険金の支払を請求することができる旨を定めており、いわゆる加害者請求の根拠となる。これに対し自賠法第16条は、被害者が保険会社に対して直接損害賠償額の支払を請求することができる旨を定めており、被害者請求(いわゆる16条請求)の根拠となる。加害者請求が既払額の範囲内でのみ認められるのに対し、被害者請求は被害者が加害者側の対応を待たずに直接手続を進められる点で、両者の性質は異なる。また、ひき逃げ事故や無保険車による事故など、加害者請求・被害者請求のいずれによっても救済が及ばない場合の救済制度として、自賠法第72条は政府が被害者の損害を塡補する政府保障事業を定めている。
消滅時効については、自賠法第19条により、保険会社に対する損害賠償額の支払請求権(被害者請求権)は、被害者が損害及び加害者を知った時から3年間(死亡又は後遺障害による損害の場合も同様に起算される)行使しないときは時効によって消滅する旨が定められている。後遺障害については症状固定の時点、死亡事案については死亡した時点が起算点となるのが一般的な解釈であり、治療が長期化する事案では請求時期を管理することが特に重要になる。
よくある失敗として、第一に、後遺障害等級認定の申請方法(事前認定か被害者請求による認定か)を整理しないまま手続を進め、必要書類の準備が重複又は不足する例がある。A-2のように選択した手続を明記する運用が対策となる。第二に、加害者請求において既払額を超える金額を請求してしまい、保険会社から補正を求められる例がある。支払の都度、裏付け資料とともに記録する運用が有効である。第三に、消滅時効の起算点を誤認し、症状固定前に3年が経過したものと誤解して請求を断念してしまう例がある。等級認定の見込みや損害の内容によって時効の起算点の考え方が異なる場合があるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 加害者請求(自賠法第15条)と被害者請求(自賠法第16条)のいずれによるかを明確にしたか
- [ ] 交通事故証明書を取得し添付したか
- [ ] 人身損害の内訳(治療費・休業損害・慰謝料等)を具体的に記載したか
- [ ] 後遺障害の有無及び等級認定手続の選択(事前認定・被害者請求)を明記したか
- [ ] 死亡事案の場合、相続関係を証する戸籍謄本等を添付したか
- [ ] 加害者請求の場合、既払額及びその裏付け資料を添付したか
- [ ] 同一事故について二重請求となっていないか確認したか
- [ ] 消滅時効(自賠法第19条、損害及び加害者を知った時から3年)の起算点を確認したか
- [ ] 代理人が請求する場合、委任状を添付したか
- [ ] 印鑑証明書及び振込先口座情報に不備がないか確認したか
- [ ] 政府保障事業(自賠法第72条)の利用が適切な事案でないかを確認したか
- [ ] 治療が長期化している場合、症状固定の見込み時期と時効管理の方針を確認したか
- [ ] 交通事故証明書の発行番号と請求書記載の事故内容に齟齬がないか確認したか