示談で合意した金員の支払と受領を確認する書面です。支払日、金額、振込先、残債務の不存在を明記して精算を完了させます。後日の紛争を防ぐための確認欄をあらかじめ設けています。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
示談金支払確認書
第1部: 書式本文
示談金支払確認書
支払者:【支払者の住所・氏名又は名称】(以下「甲」という。) 受領者:【受領者の住所・氏名又は名称】(以下「乙」という。)
甲及び乙は、令和【 】年【 】月【 】日付「示談書」(以下「原示談書」という。)に基づき甲が乙に支払うべき示談金の支払及び受領の完了に関し、次のとおり確認する。
第1条(原示談の表示) 原示談書の締結日:令和【 】年【 】月【 】日 原示談の対象事案:【事案の概要(事故日・当事者・事案の種類等)】 原示談書上の合意金額:金【 】円
第2条(支払方法及び支払日) 甲は乙に対し、原示談書に定める示談金として金【 】円を、令和【 】年【 】月【 】日、下記の方法により支払った。 支払方法:銀行振込・現金手渡し・その他【 】 振込先:【金融機関名・支店名・種別・口座番号・口座名義】(銀行振込の場合) 振込依頼人名義:【 】
第3条(受領の確認) 乙は、前条記載の金【 】円を、令和【 】年【 】月【 】日に、全額過不足なく受領したことを確認する。乙は、民法第486条第1項に基づき、本書面をもって甲に対する受取証書として交付する。
第4条(分割払いであった場合の総支払額の確認) ※原示談書が分割払いであった場合に適用 原示談書に定める分割金の総額は金【 】円であり、甲は令和【 】年【 】月【 】日から令和【 】年【 】月【 】日までの間に、下記のとおり全ての分割金を支払った。 第1回:令和【 】年【 】月【 】日 金【 】円 第2回:令和【 】年【 】月【 】日 金【 】円 (以下同様に各回の支払日・金額を記載する) 乙は、上記全ての分割金の受領をもって、原示談書に基づく甲の金銭支払義務が完済されたことを確認する。
第5条(弁済の効果) 甲による第2条の支払は、民法第473条に定める弁済に該当し、これにより原示談書に基づく甲の乙に対する金銭支払債務は消滅したものとする。
第6条(清算条項) 甲及び乙は、原示談の対象事案に関し、本書面に定めるもののほか、名目のいかんを問わず、互いに債権債務のないことを相互に確認する。乙は、甲に対し、原示談の対象事案を理由とする一切の追加請求、再交渉又は異議申立てを行わない。
第7条(残債務不存在の確認) 乙は、原示談書に基づく甲の金銭支払義務が本書面記載の支払により完全に履行されたことを確認し、甲に対して原示談の対象事案に関する残債務が存在しないことを確認する。
第8条(原示談書のその他の条項の存続) 原示談書に定める口外禁止条項その他の金銭支払義務以外の条項については、本書面締結後もなお効力を有するものとする。
第9条(本書面と原示談書との関係) 本書面と原示談書の記載内容に齟齬がある場合、金銭の支払及び受領の事実に関する事項については本書面の記載を優先する。
第10条(書面の保管) 甲及び乙は、本書面を原示談書と併せて保管し、税務上の記録保存義務その他法令上必要な期間、適切に保管する。
第11条(合意管轄) 本書面に関する紛争については、【地方裁判所・簡易裁判所名】を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
以上のとおり支払及び受領の完了を確認したので、本書面に署名又は記名押印する。
令和【 】年【 】月【 】日 甲(支払者)住所・氏名: 印 乙(受領者)住所・氏名: 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節:支払者側の場面別パターン
A-1 振込手数料や源泉徴収の控除により、原示談書記載額と実際の振込額に差異が生じる場面 第2条を次のように修正する。「甲は乙に対し、原示談金額金【 】円から振込手数料金【 】円を控除した金【 】円を振り込んだ。乙は、当該控除について原示談書第【 】条に基づく甲の負担区分に従うものであることを確認し、控除後の金額の受領をもって全額の支払を受けたものとみなすことに同意する。」 一言解説:控除の根拠を原示談書の条項に紐付けて明記しないと、後日「満額支払われていない」という主張を招くおそれがある。
A-2 支払者が保険会社を通じて一括で支払う場面 第2条冒頭に次を追加する。「甲が加入する【保険会社名】は、甲の依頼に基づき、甲に代わって前項の金員を直接乙に支払った。甲は、当該保険会社による支払をもって自らの支払義務を履行したものとみなす。」 一言解説:保険会社が支払主体となる場合、甲本人の口座を経由しないため、支払の履行者と支払義務者を区別して記載する必要がある。
B節:受領者側の場面別パターン
B-1 受領者が未成年者又は成年被後見人であり、法定代理人が受領手続を行う場面 当事者欄を次のように修正する。「受領者:【本人氏名】(未成年者・成年被後見人)、法定代理人(親権者・成年後見人):【氏名】。乙欄の署名は法定代理人が本人に代わって行う。」 一言解説:受領能力に疑義がある者からの受領確認は、法定代理人の関与を明記しないと弁済の効力自体が争われる可能性がある。
B-2 受領者が一部金額についてのみ異議を留保して受領する場面 第7条を次のように修正する。「乙は、金【 】円の受領については異議なく確認するが、【異議の対象となる項目】については別途協議を継続するものとし、当該項目に限り本書面の清算条項の効力は及ばないものとする。」 一言解説:一部異議留保付きの受領は清算の効果を限定するため、留保対象を条項上で明確に区切っておくことが重要である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式を使う場面は、既に締結された示談書に基づいて示談金の支払が完了し、支払と受領の事実及び残債務の不存在を書面化して紛争を確実に終結させたい段階である。示談書の締結と支払が同時に行われる場合は、示談書自体に清算条項を設ければ足り、本書式を別途作成する必要性は乏しい。他方、示談成立から支払完了までに期間が空く場合や、分割払いが完済された場合には、支払完了の事実を独立した書面で確認しておくことで、後日「支払を受けていない」という主張を防ぐ実益が大きい。逆に、支払がまだ完了していない段階でこの書式を用いることは事実に反するため避けるべきである。
根拠法令としては、民法第473条が、債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は消滅する旨を定めており、本書式第5条はこの弁済の効果を確認する条項である。また、民法第486条第1項は、弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる旨を定めており、本書式は実質的にこの受取証書の機能を兼ねるものである。清算条項によって残債務の不存在を確認する行為自体は、和解契約(民法第695条)の効果として、当事者間の権利義務関係を確定させる意味を持つ。
よくある失敗として、第一に、支払額と原示談書記載額に振込手数料等の差異があるにもかかわらず、その理由を記載せず「全額受領」とだけ記載してしまい、後日差額を巡る争いが生じる例がある。第2条のように控除の根拠と金額を明記することが対策となる。第二に、分割払いの途中経過を記録せず、最終回の支払のみを確認して完済としてしまい、途中の未払回が見落とされる例がある。第4条のように各回の支払日・金額を一覧化することが対策となる。第三に、清算条項の対象範囲を明確にせず、後日新たに判明した損害についても一律に請求できなくなってしまう例がある。受領者側であれば異議留保の要否を検討すべきであり、支払者側であれば清算条項の対象を明確にすべきである。控除項目の扱いや異議留保の可否については事案ごとに判断が分かれるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 原示談書の締結日・合意金額を正確に記載したか
- [ ] 実際に支払われた金額と支払日を確認したか
- [ ] 振込手数料等の控除がある場合、その根拠と金額を明記したか
- [ ] 分割払いの場合、各回の支払日・金額を全て記録したか
- [ ] 保険会社等の第三者が支払主体となる場合、その旨を条項に反映したか
- [ ] 受領者の受領能力(未成年・後見等)に問題がないか確認したか
- [ ] 一部異議を留保する必要がある場合、その対象範囲を明確にしたか
- [ ] 清算条項及び残債務不存在確認の範囲を確認したか
- [ ] 原示談書のその他の条項(口外禁止等)との関係を整理したか
- [ ] 合意管轄裁判所を記載したか
- [ ] 甲乙双方の署名又は記名押印を取得したか