自動販売機を敷地や建物内に設置し販売手数料を配分する契約書。民法第601条の使用許諾を基礎に、電気代の負担、売上報告、食品衛生法上の管理責任を明確化。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
自動販売機設置契約書
第1部: 書式本文
自動販売機設置契約書
設置場所提供者【提供者氏名・名称】(以下「甲」という。)と、飲料メーカー(設置業者)【設置業者氏名・名称】(以下「乙」という。)は、次のとおり自動販売機設置契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(目的) 甲は乙に対し、下記場所(以下「本件設置場所」という。)を、乙が自動販売機(以下「本件自販機」という。)を設置し飲料等の販売を行う目的で使用させ、乙はこれを使用する。 - 所在地: 【所在地】 - 設置場所の特定: 【敷地内・建物内の位置】 - 本件自販機の台数・種類: 【 】台、【飲料・食品等の種類】
第2条(使用期間) 本契約の使用期間は、【始期】から【終期】までの【 】年間とする。
第3条(設置料・販売手数料) 1. 乙は甲に対し、本件設置場所の使用対価として、次のいずれかの方式による対価を支払う。 ① 固定制: 月額金【 】円 ② 歩合制: 売上金額の【 】パーセントに相当する金額 2. 対価の支払時期・方法は【支払時期・方法】による。
第4条(電気料金の負担) 本件自販機の稼働に要する電気料金は、【甲負担・乙負担・実測メーターによる乙負担】とする。
第5条(売上報告) 乙は甲に対し、歩合制を採用する場合、毎月【 】日までに前月分の売上実績を報告する。甲は必要に応じて乙に対し売上関係資料の提示を求めることができる。
第6条(食品衛生法上の管理) 1. 乙は、本件自販機で販売する飲料・食品について、食品衛生法その他関係法令を遵守し、賞味期限管理、庫内温度管理その他の衛生管理を自己の責任で行う。 2. 乙は、本件自販機の清掃・補充・釣銭補充等の日常管理を自己の費用と責任で行う。
第7条(設置工事・電気工事) 1. 乙は、本件自販機の設置及び電源引込工事を行うときは、事前に甲の承諾を得るとともに、電気事業法その他関係法令に適合する工事を行う。 2. 乙は、工事に起因して本件設置場所又は建物に損傷を生じさせた場合、自己の費用でこれを修復する。
第8条(事故発生時の責任) 本件自販機の転倒、故障、感電事故等により第三者に損害が生じた場合、当該損害が本件自販機の設置・管理の瑕疵に起因するものである限り、乙が責任を負う。
第9条(原状回復) 乙は、本契約終了時、自己の費用で本件自販機を撤去し、本件設置場所を原状に回復して甲に返還する。
第10条(協議事項) 本契約に定めのない事項は、甲乙誠実に協議して定める。
以上、本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する。
【締結日】
甲: 【住所】 【氏名・名称】 印 乙: 【住所】 【氏名・名称】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 設置場所提供者向け(歩合制で収益連動させたい場合)
A-1 第3条・第5条の修正例 「使用対価は、月間売上金額の【 】パーセントに相当する金額とし、乙は毎月の売上実績及び販売数量を、POSデータ又はこれに準ずる客観的資料により甲に報告する。甲は、報告内容に疑義がある場合、乙に対し取引記録の開示を求めることができる。」 一言解説: 歩合制を採用する提供者は、売上報告の客観性を担保する資料(POSデータ等)の提出義務を明記しておくことで、報告内容の信頼性を確保できる。
B節: 飲料メーカー・設置業者向け(複数拠点への一括設置を行う場合)
B-1 第1条・第2条の修正例 「本契約は、甲が所有・管理する複数施設(別紙設置場所一覧のとおり)への自動販売機設置に包括的に適用し、各設置場所の使用期間は、当該設置場所への設置日から起算する。」 一言解説: 複数の施設・店舗に自動販売機を設置するメーカーは、個別契約の締結事務を簡素化するため、包括契約と別紙による設置場所管理の方式を検討するとよい。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、敷地や建物内の一角に自動販売機を設置し、飲料・食品等を販売する場面で使用する。自動販売機の設置による使用は、当該スペースの独占的排他的使用を伴う点で単純な業務委託とは異なり、民法第601条の賃貸借に準じた使用許諾契約として整理するのが一般的である。
根拠法令は、使用対価を伴うスペース提供として民法第601条を基礎としつつ、販売する商品によっては食品衛生法上の規制(営業許可の要否、表示基準の遵守)が関係する。自動販売機による飲料等の販売自体は多くの場合食品衛生法上の許可を要しないが、商品の管理・補充を行う設置業者が衛生管理責任を負う点は契約上明確にしておくべきである。また、電源引込工事については電気事業法上の技術基準への適合が必要であり、感電事故等が発生した場合は民法第717条の土地工作物責任又は製造物責任法上の責任問題に発展する可能性がある。
実務でよくある失敗の一つ目は、歩合制の使用対価を採用しているにもかかわらず、売上報告の方法や根拠資料の提出義務を定めておらず、提供者側が実際の売上を確認できないことである。本書式A節のように、POSデータ等の客観的資料に基づく報告義務を明記することが望ましい。
二つ目の失敗は、電気料金の負担方法を曖昧にしたまま契約を締結し、後日どちらが電気料金を負担するか、又は個別メーターの設置費用を誰が負担するかで争いになることである。第4条のように、固定負担か実測メーターによる按分かを明確に選択して記載する必要がある。
三つ目の失敗は、自動販売機の転倒事故等の責任分担を定めておらず、第三者からの損害賠償請求に対して提供者と設置業者の間で責任の押し付け合いが生じることである。第8条のように、設置・管理の瑕疵に起因する責任を設置業者が負う旨を明記し、賠償責任保険への加入も検討することが有効である。
四つ目の失敗は、契約期間中に飲料メーカー側が自販機の機種変更や台数増減を行う際、事前の通知・承諾手続を定めていないため、提供者が知らないうちに設置内容が変わり、電気容量超過や景観上の問題が生じることである。第7条の設置工事に関する承諾手続を、初回設置時だけでなく機種変更・台数変更時にも適用される旨を明記しておくことで、変更のたびに個別確認を行う運用を徹底できる。
固定制と歩合制のいずれが適切かは、立地条件や想定来客数によって異なるため、個別事案は専門家又は業界慣行に詳しい業者に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 設置場所を具体的に特定したか
- [ ] 使用対価の方式(固定制・歩合制)とその金額・料率を明記したか
- [ ] 歩合制の場合、売上報告の方法と根拠資料(POSデータ等)を定めたか
- [ ] 電気料金の負担方法(固定負担・実測メーター)を明記したか
- [ ] 食品衛生法上の管理責任(賞味期限・庫内温度管理等)を設置業者に負わせたか
- [ ] 設置工事・電源引込工事の承諾手続と法令適合性を確認したか
- [ ] 事故発生時の責任分担(民法第717条を踏まえた整理)を明記したか
- [ ] 賠償責任保険への加入を検討したか
- [ ] 日常管理(清掃・補充・釣銭補充等)の実施主体を明記したか
- [ ] 契約終了時の自販機撤去・原状回復義務を明記したか
- [ ] 機種変更・台数増減時の事前通知・承諾手続を明記したか