学校や学習塾が成績・健康情報等を扱う際に保護者から取得する同意書。個人情報保護法の要配慮個人情報と第三者提供、学校教育法上の指導要録に配慮。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
児童生徒の個人情報取扱いに関する同意書
第1部: 書式本文
【学校名又は学習塾名】(以下「甲」という。)は、児童生徒【氏名】(以下「本人」という。)の教育活動及び安全管理のために個人情報を取り扱うにあたり、保護者【氏名】(以下「乙」という。)に対し、次の各項目を説明し、その同意を得るものとする。
第1項(取得する個人情報の項目) 甲は、本人の氏名、生年月日、住所及び連絡先のほか、指導及び安全管理に必要な範囲で、成績、出欠状況、学習の記録、健康診断の結果、アレルギーその他の疾患に関する情報、家庭環境に関する情報を取得する。これらのうち健康状態その他個人情報保護法第2条第3項に定める要配慮個人情報に該当する情報については、本項の同意をもって取得する。
第2項(利用目的) 甲は、取得した個人情報を、指導及び成績評価、健康管理及び安全確保、学校その他関係機関との連絡調整、指導要録その他法令上作成が求められる書類の作成、行事の実施及び記録の目的の範囲内で利用する。
第3項(指導要録等の取扱い) 甲が学校教育法及び関係法令に基づき指導要録その他の表簿を作成する場合、当該表簿の記載及び保存は、これらの法令に基づく甲の義務の履行として行われるものであり、本同意書における利用目的の定めにかかわらず、法令の定めるところによる。
第4項(教職員・指導担当者間の共有) 甲は、本人の健康状態その他安全確保上必要な情報を、指導及び緊急時対応に関与する教職員又は指導担当者の間で、必要な範囲に限り共有する。
第5項(第三者提供) 甲は、法令に基づく場合、本人の生命・身体の保護のために必要がある場合その他個人情報保護法上第三者提供の制限の例外に該当する場合を除き、乙の同意なく本人の個人情報を第三者に提供しない。医療機関への情報提供その他緊急時の対応に必要な提供については、第9項の緊急連絡に関する同意による。
第6項(進学・進級に伴う情報の引継ぎ) 甲は、本人が進学又は転校する場合、進学先又は転校先の学校等からの求めに応じ、指導上必要な範囲の情報を提供することがある。
第7項(写真・氏名等の公表) 甲は、行事の記録、広報活動等において本人の写真、氏名又は作品を使用することがある。乙は、当該使用の可否について、別途甲が示す方法により個別に意思表示をすることができる。
第8項(同意の任意性及び撤回) 本同意は乙の任意によるものであり、同意しない場合であっても、甲が指導及び安全管理上真に必要と判断する範囲の情報取扱いは妨げられない。乙は、いつでも甲に対し、本同意の全部又は一部を撤回することができる。
第9項(緊急時の情報利用) 甲は、本人の生命、身体又は健康に危険が生じるおそれがある場合、医療機関、消防機関その他の関係先に対し、必要な範囲で本人の個人情報を提供することができる。
第10項(保管期間) 甲は、取得した個人情報を、利用目的の達成に必要な期間又は法令上保存が求められる期間に限り保管し、当該期間経過後は適切な方法により廃棄又は消去する。
第11項(開示等の請求) 乙又は本人は、甲が保有する本人の個人情報について、開示、訂正又は利用停止を甲所定の窓口に請求することができる。
第12項(問い合わせ窓口) 本同意書の内容に関する問い合わせは、甲の【担当部署・氏名・連絡先】までとする。
第13項(本人の同意) 本人が同意能力を有すると認められる年齢に達している場合、甲は乙の同意に加え、本人からも別途説明の上、同意を確認する。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 学校・学習塾(取得者)向けの修正
A-1. 健康情報の共有範囲を職務上の必要性に限定する明確化
修正後:「第4項の情報共有は、担任、養護教諭その他本人の指導又は安全管理に直接関与する者に限り行うものとし、これに該当しない教職員への共有は行わない。」 一言解説: 要配慮個人情報である健康情報の取扱いにあたり、共有範囲を職務上の必要性に応じて限定し、過剰な情報流通を防ぐための取得者側の修正である。
A-2. 塾内テスト成績の他塾生・保護者間での比較公表に関する取扱いの明記
修正後:「甲は、成績優秀者の氏名及び順位を教室内に掲示する場合、当該掲示の可否についてあらかじめ乙の意思を個別に確認するものとする。」 一言解説: 学習塾特有の運用として成績掲示が行われることがあるため、要配慮個人情報に準じる機微性を踏まえ、掲示の可否を個別同意事項として切り出す修正である。
B. 保護者(乙)向けの修正
B-1. 第三者提供先の具体的な明示を求める修正
修正後:「甲は、第5項に基づき本人の個人情報を第三者に提供する場合、提供先の名称及び提供する情報の範囲を、事前に又は提供後速やかに乙に通知する。」 一言解説: 提供先が不明確なまま包括同意を求める書式が多いため、保護者側の把握可能性を高めるための修正である。
B-2. 写真・氏名等の公表に関する同意を年度ごとに確認する仕組みの追加
修正後:「第7項の写真・氏名等の使用に関する乙の意思表示は、年度ごとに確認するものとし、前年度の意思表示は当然には継続しない。」 一言解説: 児童生徒の状況や保護者の意向は時間の経過とともに変化し得るため、包括的かつ長期にわたる同意の固定化を避けるための修正である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面/使ってはいけない場面
本書式は、学校又は学習塾が、指導及び安全管理のために児童生徒の個人情報、特に健康情報等の要配慮個人情報を取得する場面で用いる。単に氏名・連絡先程度の基本情報のみを取得する場合には、本書式ほど詳細な同意項目は必ずしも必要でなく、取得する情報の機微性に応じて項目の要否を調整すべきである。
根拠法令
要配慮個人情報とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないよう特に配慮を要する記述等が含まれる個人情報をいい(個人情報保護法第2条第3項)、健康診断の結果やアレルギー等の疾患情報はこれに該当し得る。第三者提供については、原則として本人(未成年者の場合は保護者を含む。)の同意を得ることが求められ、法令に基づく場合等一定の例外を除き、本人の同意のない第三者提供は同法第27条の制限に服する。学校教育法及び関係法令に基づき作成される指導要録その他の表簿については、法令上の作成・保存義務の履行として位置付けられ、本同意書における利用目的の定めとは別の法的根拠に基づくものである点を整理して記載する必要がある。
実務でよくある失敗と対策
第一に、要配慮個人情報の取得について包括的な同意条項のみを設け、取得する情報の具体的な項目を明示していない例がある。取得する情報の種類をできる限り具体的に記載すべきである。第二に、指導要録の作成根拠と本同意書上の利用目的の関係が整理されておらず、保護者から同意撤回の申出があった際に対応方針が定まらない例がある。第三に、写真や氏名の公表に関する同意を一度取得したのみで、その後の状況変化(転居、家庭事情等)を反映する機会を設けていない例もある。個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 取得する個人情報の項目のうち要配慮個人情報に該当するものを具体的に特定したか
- [ ] 利用目的を指導・安全管理・行事等の目的ごとに具体的に記載したか
- [ ] 指導要録等の法令上の作成義務と本同意書上の利用目的との関係を整理したか
- [ ] 教職員間の情報共有範囲を職務上の必要性に応じて限定したか
- [ ] 第三者提供の有無、提供先及び提供する情報の範囲を明確にしたか
- [ ] 緊急時における医療機関等への情報提供について規定したか
- [ ] 写真・氏名等の公表に関する同意の取得方法及び見直しの機会を設けたか
- [ ] 同意の任意性及び撤回方法を明記したか
- [ ] 保管期間及び廃棄・消去の方法を明記したか
- [ ] 開示・訂正・利用停止の請求窓口を明記したか