規約違反等を理由に会員を除名する処分を通知する書面です。除名事由、弁明の機会の付与、決議手続、効力発生日を記載します。提出先や保存期間の目安もあわせて整理しています。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
除名処分通知書(団体)
第1部: 書式本文
除名処分通知書
【対象会員の氏名又は名称】 殿
【団体名称】(以下「当団体」という。)は、下記のとおり、貴殿(貴社)に対する除名処分を決定したので通知します。
第1条(処分の内容) 当団体は、貴殿(貴社)を会員名簿から除名し、会員としての一切の資格を喪失させる処分(以下「本処分」という。)を行う。
第2条(除名事由) 本処分の理由は、次のとおりである。 【違反行為の具体的日時・態様・当団体の会則との抵触箇所を記載】
第3条(適用条項) 本処分は、当団体の会則第【 】条(除名事由)及び第【 】条(除名手続)に基づくものである。
第4条(弁明の機会の付与) 当団体は、本処分に先立ち、【 年 月 日】付通知書により貴殿(貴社)に対し除名事由を通知したうえ、【 年 月 日】に開催した【弁明の機会の場(理事会・総会等)】において、貴殿(貴社)に弁明の機会を付与した。 弁明の内容及びこれに対する当団体の判断は、次のとおりである。 【弁明内容の要旨及び採否の理由】
第5条(決議の経過) 本処分は、【 年 月 日】開催の【総会・理事会等】において、出席者【 】名中【 】名の賛成により、会則所定の決議要件を満たして決定された。
第6条(効力発生日) 本処分の効力は、【 年 月 日】(本通知書が貴殿(貴社)に到達した日又はこれより後の日)から生じる。
第7条(除名後の取扱い) 貴殿(貴社)は、本処分の効力発生日以降、当団体の会員としての権利(議決権、会員向けサービスの利用等)を失う。既に納付済みの入会金及び会費の返還の要否は、当団体の会則の定めによる。
第8条(貸与物の返還及び守秘義務) 貴殿(貴社)は、本処分の効力発生日までに、当団体から貸与又は交付を受けた物品を返還し、在会中に知り得た当団体の非公開情報について、除名後も第三者に開示してはならない。
第9条(異議申立て) 本処分に異議があるときは、貴殿(貴社)は、本通知書到達の日から【 】日以内に、当団体所定の異議申立書により申し立てることができる。
第10条(通知方法) 本通知書は、【内容証明郵便等の方法】により送付する。
第11条(除名の公表) 当団体は、本処分の効力発生後、必要な範囲において、除名の事実を他の会員に周知することができる。ただし、除名事由の詳細な内容の周知は、貴殿(貴社)の名誉を不当に毀損しない範囲にとどめる。
【通知年月日】 年 月 日 【団体名称・代表者名・印】
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 団体に有利な修正例
A-1. 弁明不出頭時の手続続行 「貴殿(貴社)が正当な理由なく弁明の機会に出頭せず、かつ書面による弁明の提出もしないときは、当団体は弁明の機会を付与したものとして除名の手続を続行することができる。」 一言解説: 対象会員の不出頭により手続が無期限に停滞することを防ぎ、団体側の手続進行を確保する修正である。
A-2. 緊急除名の暫定措置 「除名事由が当団体又は他の会員に著しい損害を生じさせるおそれが高いと理事会が認めるときは、正式な除名決議に先立ち、暫定的に会員としての権利行使を停止することができる。ただし、この場合も第4条の弁明の機会を速やかに付与する。」 一言解説: 手続の適正さを損なわない範囲で、緊急性の高い事案に対応するための修正である。
B. 対象会員に有利な修正例
B-1. 除名事由の特定性の要求 「除名事由の通知は、違反とされる行為の日時、内容及び会則上の根拠条文を具体的に特定して行うものとし、抽象的な理由の記載のみでは足りない。」 一言解説: 除名事由が曖昧なまま処分が行われることを防ぎ、対象会員が実質的に反論できるようにする修正である。
B-2. 弁明準備期間の確保 「弁明の機会は、除名事由の通知が到達した日から【 】日以上の準備期間を置いたうえで設定するものとする。」 一言解説: 通知から弁明までの期間が短すぎることによる実質的な防御権の侵害を防ぐ修正である。
C. 場面別バリエーション:反社会的勢力への該当が判明した場合の即時除名
反社会的勢力への該当その他会則が別段の重大事由として定める場合には、通常の弁明手続とは異なる簡略化された除名手続を設ける団体がある。 「貴殿(貴社)又はその役員が暴力団、暴力団員又はこれらに準ずる者に該当することが判明した場合、当団体は、会則第【 】条に基づき、理事会の決議のみをもって除名することができる。この場合であっても、当団体は、除名決定後速やかにその理由を貴殿(貴社)に通知する。」 このバリエーションは、事前の弁明手続を経ることが事案の性質上適当でない、又は困難な場合に限定して用いるべきものである。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面・使ってはいけない場面の解説 本書式は、任意団体、協同組合又は一般社団法人が、会則違反その他の正当な事由に基づき会員を強制的に脱退させる場面で用いる。単なる会費未納や連絡不通が続く程度の軽微な事情については、まずは督促や資格停止等の段階的な措置を検討すべきであり、いきなり除名処分を選択することは、後述の判例上の考え方に照らして処分の合理性が問題となり得るため慎重を要する。また、会則上に除名手続の定めがない、又は弁明の機会に関する規定がない団体においては、本書式をそのまま用いる前に会則の整備を検討する必要がある。
根拠法令の解説 一般社団法人については、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第30条前後において、社員の除名は正当な事由がある場合に限り社員総会の決議によって行うことができ、除名しようとする社員に対しあらかじめ除名の理由を通知し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない旨が定められている。任意団体についてはこの規定が直接適用されるものではないが、判例上、社団的な性質を有する団体からの除名処分については、除名事由に合理性があること及び被処分者に弁明の機会が適正に付与されていることが、当該処分の効力を判断するうえで重視される傾向にあり、最高裁判例の考え方もこうした団体自治と適正手続の調和を志向するものと理解されている。
実務でよくある失敗と対策の解説 第一に、除名事由の記載が「会則違反があったため」といった抽象的な表現にとどまり、対象会員が具体的にどの行為が問題とされたのか把握できない例がある。第2条及びB-1のように、違反行為の日時・態様・根拠条文を具体的に記載することが対策になる。第二に、弁明の機会を形式的にのみ設け、実質的な検討をしないまま除名決議を行う例がある。第4条のように弁明内容とこれに対する判断を通知書に明記し、A-2のような緊急事案以外は十分な準備期間(B-2)を確保することが望ましい。第三に、決議要件(定足数・賛成数)が会則の定めと一致しているかの確認を怠り、後日決議の有効性自体が争われる例がある。第5条のように決議の経過を具体的に記録することが有効である。第四に、除名の事実を他の会員に周知する際、除名事由の詳細まで過度に公表し、対象会員の名誉を不当に毀損してしまう例がある。第11条のように周知の範囲を限定し、必要以上に詳細な事由を開示しないよう配慮することが望ましい。個別の事案については専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 会則上の除名事由に該当する具体的事実を特定したか
- [ ] 除名理由の通知を弁明の機会付与に先立って行ったか
- [ ] 弁明の機会の日時・場所・出頭方法を適切に案内したか
- [ ] 弁明内容及びこれに対する当団体の判断を記録・明記したか
- [ ] 総会又は理事会の決議要件(定足数・賛成数)を会則と照合したか
- [ ] 決議の経過(出席者数・賛成数)を通知書に記載したか
- [ ] 効力発生日及び通知の到達方法を明確にしたか
- [ ] 除名後の会費返還の要否を会則に照らして確認したか
- [ ] 貸与物の返還及び守秘義務の内容を記載したか
- [ ] 異議申立ての手続・期間を設けたか
- [ ] 緊急除名や反社条項等の特別手続を用いる場合の要件を限定したか
- [ ] 除名事実を他の会員に周知する場合の範囲・方法を検討したか