非公開会社が第三者割当増資を行う際の議事録。会社法第199条の募集事項の決定と第309条第2項第5号の特別決議、有利発行に係る取締役の説明義務を踏まえた文例です。

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株主総会議事録(募集株式の発行(第三者割当))

第1部: 書式本文

【株式会社〇〇】(非公開会社)の臨時株主総会は、事業拡大に伴う設備投資資金を調達する必要が生じたことを受け、【西暦】年【月】月【日】日午後【時】時から本店会議室において招集され、招集通知記載のとおり定刻に開会した。当日出席した株主は【数】名(委任状による出席を含む。)であり、その議決権数は発行済株式総数に係る議決権総数【数】個のうち【数】個に達していたことから、定款に定める定足数を充足していることを取締役【氏名】が確認し、その後、株主総会の決議により議長に選任された代表取締役【氏名】が議事の進行を務めることとなった。

議長は、当会社が非公開会社であることから、募集株式の発行に関する募集事項の決定には株主総会の特別決議を要する旨を説明した上、第1号議案「募集株式発行の件」を上程した。あわせて、割当先である【第三者の氏名又は名称】を選定した経緯及び払込金額の算定根拠について取締役【氏名】から補足説明が行われた。

議案の内容は次のとおりである。

1 募集株式の数 【種類】株式【数】株 2 募集株式の払込金額 1株につき金【金額】円 3 募集株式と引換えに払い込む金銭の払込期日 【西暦】年【月】月【日】日 4 増加する資本金の額 金【金額】円、増加する資本準備金の額 金【金額】円 5 割当先 【氏名又は名称】、割当株式数 【数】株

議長は、上記払込金額が直近の株式評価額に照らして特に有利な金額に該当するものではない旨を、取締役【氏名】が作成した算定根拠資料に基づき説明した。当該資料は、類似会社比較法及び直近の第三者による株式価値算定結果を踏まえ、1株当たりの評価額を【金額】円と算出した上で、本募集における払込金額【金額】円との差異が合理的な範囲にとどまることを示すものであった旨を、取締役【氏名】が補足した。

議長はさらに、本募集株式の発行により、当会社の資本金の額は現在の金【金額】円から金【金額】円に増加し、資本準備金の額は金【金額】円から金【金額】円に増加する見込みである旨を説明し、これにより調達される資金【金額】円を【資金使途、例:製造設備の増設】に充当する計画であることを付言した。

議長が本議案の採否を諮ったところ、出席株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって、本議案は原案どおり承認可決された。議長は、割当先である【第三者の氏名又は名称】との間で、払込期日までに株式引受契約を締結し、当該契約において表明保証条項及び払込みの前提条件を定める予定であることを付言した。

以上をもって本総会の議案審議を終了したので、議長は閉会を宣した。

本議事録の正確性を証するため、議長及び出席取締役は次のとおり記名押印(電子署名を含む)する。

【西暦】年【月】月【日】日 【株式会社〇〇】臨時株主総会 議長・代表取締役 【氏名】 印 出席取締役 【氏名】 印

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A節: 非公開会社が特別決議で決定する場合

非公開会社が募集株式を発行する場合、募集事項の決定は原則として株主総会の特別決議による(会社法第199条第2項、第309条第2項第5号)。払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合(有利発行)には、取締役は株主総会において当該金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない(同法第199条第3項)。

修正条文例: 「取締役【氏名】は、本募集株式の払込金額が第三者に特に有利な金額に該当する理由として、【資金調達の緊急性、事業提携の対価性等】を説明した。」

一言解説: 有利発行に該当する可能性がある場合は、説明義務を履行した事実を議事録上に残すことで、後日の取締役の責任追及リスクを軽減できる。説明の際には、算定方法の名称だけでなく、算定の前提とした財務数値や比較対象会社の選定基準まで記録しておくと、事後の検証に耐えやすくなる。

B節: 募集事項の決定を取締役会等へ委任する場合

株主総会は、募集株式の数の上限及び払込金額の下限その他法務省令で定める事項を定めて、募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社では取締役会)に委任する特別決議をすることができる(会社法第200条)。

修正条文例: 「本総会は、募集株式の数の上限を【数】株、払込金額の下限を1株につき金【金額】円と定め、その余の募集事項の決定を取締役会に委任する。」

一言解説: 委任決議を用いると機動的な資金調達が可能になる一方、委任の範囲(数量・金額の上下限)を具体的に定めない委任は無効と解されるおそれがあるため、上限・下限を明示することが必須である。委任を受けた取締役会が実際に募集事項を決定した際は、別途取締役会議事録を作成し、委任決議の範囲内であることを確認できるようにしておく必要がある。

第3部: 書き方と法的ポイントの解説

本書式は、非公開会社(発行する全部の株式について譲渡制限のある会社)が特定の第三者に対して募集株式を割り当てる、いわゆる第三者割当増資を行う場合の株主総会議事録として用いることを想定している。公開会社(株式の全部又は一部について譲渡制限のない会社)の場合には、募集事項の決定は原則として取締役会の決議で足りる(会社法第201条)ため、公開会社の第三者割当については本書式をそのまま使用せず、取締役会議事録を用いるのが原則である。また、株主割当ての方法による場合は募集事項の一部が異なるため、本書式ではなく株主割当て専用の書式を用いる必要がある。取締役や監査役など会社関係者に対する割当てを行う場合には、利益相反取引に該当しないかについても別途検討を要する場面がある。

根拠法令としては、募集事項の内容を定める会社法第199条第1項、非公開会社における株主総会特別決議を定める同条第2項及び第309条第2項第5号、有利発行の場合の取締役の説明義務を定める同条第3項、並びに募集事項の決定を取締役等に委任する場合の特別決議を定める同法第200条が中心となる。現物出資による割当てを行う場合には、原則として検査役の調査を要する(会社法第207条)など追加の手続が必要となることがあるため、金銭出資を前提とする本書式をそのまま用いず、現物出資特有の記載を補う必要がある。

実務上よくある失敗としては、第一に、払込金額の算定根拠を示さないまま決議を行い、後日、既存株主から有利発行に該当するのではないかとの指摘を受けるケースが挙げられる。対策として、算定根拠資料(類似会社比較法、純資産法等)を議事録に引用又は添付する形で残しておくことが有効である。第二に、増加する資本金及び資本準備金の額の記載を怠り、登記申請時に補正を求められる例がある。対策として、決議事項に資本金・資本準備金の額を必ず明記することが望ましい。第三に、委任決議(第200条)を用いる際に払込金額の下限を定めずに委任してしまい、委任決議自体の有効性が争われる例もあるため、下限の明記を徹底する必要がある。

このほか、割当先が既存株主でない場合には、発行後の持株比率の変動により支配権に影響が生じることがあるため、既存株主への事前の説明や、必要に応じた株主間契約上の手当ての要否も検討課題となる。また、払込期日までに割当先からの払込みが実際に行われたことを確認できる資料(振込明細、残高証明書等)を保管しておくことも、変更登記の添付書類として欠かせない実務上の準備である。

払込金額が有利発行に該当するか否かの判断は会社の財務状況や株式評価の方法によって異なり得るため、個別事案については弁護士等の専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 発行会社が非公開会社(全株式譲渡制限会社)であることを確認したか
  • [ ] 募集株式の数を明記したか
  • [ ] 払込金額又はその算定方法を明記したか
  • [ ] 現物出資がある場合、その旨・内容・価額を記載したか
  • [ ] 払込期日又は払込期間を明記したか
  • [ ] 増加する資本金及び資本準備金の額を記載したか
  • [ ] 割当先の氏名又は名称及び割当株式数を記載したか
  • [ ] 払込金額が有利発行に該当する場合、取締役の説明内容を記載したか
  • [ ] 特別決議の定足数及び可決要件を具体的な議決権数で確認したか
  • [ ] 募集事項の決定を委任する場合、数量・金額の上限下限を明記したか
  • [ ] 登記申請に必要な記載事項が漏れなく含まれているか
  • [ ] 割当先との間で株式引受契約その他の合意書を締結する予定があるか
  • [ ] 個別事案について専門家へ確認する予定があるか